読者参加型やりたくなったんだ。イナヴィクがね、面白そうすぎてね。
なお買ってないよ。金がないよ。悲しいね。
「ここで試合終了ォォォォ!フットボールフロンティア・インターナショナル!優勝は、イナズマジャパンだァァァァ!!!」
伝説のイナズマイレブンを継ぐ雷門中のキャプテン、円堂守。フットボールフロンティアで優勝を果たし、エイリア学園から地球を守った彼が率いたイナズマジャパンは、世界の強豪達を打ち破り、見事頂点へと輝いた。
その熱狂は日本中を強く、激しく広がっていく。
それはこの、小さな島国にも届いていた。
ここは日本の孤島、自然溢れる羽森島。インターネットもまともになく、森からは猪や熊が稀に出没し、少子高齢化がアホのように進んでいる、過疎りまくったところである。
そんな羽森島の森の中で、子供が2人、木の上に登って話をしていた。
「イナズマジャパン大・優・勝!凄かったね!熱かったね!かっこよかったね!」
「あぁ、素晴らしい試合だった……!特にラストの攻防。円堂さんが上がってきた時は感動したぜ……!」
黒髪の少年は興奮冷めやらぬといった様子で、枝の上に座りながら、笑顔で両手両足をバタバタと動かしている。
一方の金髪の少年は、うんうんと頷きながら、イナズマジャパンの勝利をグッと噛み締めていた。
「ねぇ
「この島にいる子供達は俺達含めても11人越えないんだぞ。それに、俺とソラ以外は皆サッカーやらないし。無理だろ」
黒髪の少年は、金髪の少年の方へと身をよりだして問いかけるが、その問いを金髪の少年はズバッと切り捨てる。その鋭い指摘に、黒髪の少年は何も言い返せずに頬を膨らませた。
少子高齢化の進みすぎたこの島は、子供達を片っ端から集めたとして11人越えることはない。全校生徒が11人いないというのに、中学校でサッカーをやることは不可能だった。
頬を膨らませていた黒髪の少年は、「……それなら!」と木から飛び降り、地面を踏みしめて空へ向けて指をさす。
「僕はこの島を出て、もっとでかい中学校に行って、そこでサッカー部に入る!フットボールフロンティアに出るんだ!」
その様子を見ていた金髪の少年もニッと笑うと、同じように木から飛び降り、空へ向けて指をさした。
「なら俺だって。フットボールフロンティアで優勝して、円堂さんのように伝説になる!」
「なら約束だ!僕達2人は、フットボールフロンティアで絶対優勝する!」
「おう!」
2人の約束が、羽森島の空へと響き渡った。
そして、時は流れる……
「……夢、か」
少年はゆっくりと布団から起き上がると、大きく伸びをし、頬をパチン!と叩いて意識をハッキリと覚醒させる。
冬の寒さが身体を刺激し、思わず布団の中に潜り込みたくなるが……それを我慢して立ち上がり、カーテンを開いて日光を浴びる。天気は雲1つない晴天だ。
「うん!今日もサッカー日和だ!」
彼の名は
ソラは洗面所へと移動すると、ボサボサになった寝癖だらけの黒髪を水で濡らし、くしとドライヤーで整えていく。
綺麗になった長髪をオレンジ色のシュシュで結んでポニーテールを作り、顔を軽く洗い、自分の姿を鏡でよく確認する。
黒い大きな瞳が特徴的な童顔、髪型もあって随分と中性的に仕上がっていた。
「……うわ、今日も僕ビジュ良すぎ……?写真撮っとこ」
「なにしてんだいバカ孫!さっさと朝飯食わなきゃ片付けちまうよ!」
「えー!?ちょ、待ってよ!すぐ行くから!」
鏡の前でキメポーズをとっていたところ、それを見て呆れたばあちゃんがソラを呼ぶ。ソラは慌てて準備を終わらせると、食卓の方へと走っていった。
食卓の上にはご飯と味噌汁、昨日ばあちゃんが釣ってきた鮭の切り身に、山菜の付け合わせ、オマケに茹で玉子もついている。豪華な朝食だ。
「おいしそー!いただきまーす!」
ソラは手を合わせて挨拶を済ませると、口の中へと食事を急いで放りこんでいく。それを呆れた様子でばあちゃんは見つめていた。
「ふぉーいやは」
「飲み込んでから喋んな」
ばあちゃんに注意されたソラは、置いてあった麦茶を飲み、口の中の物を胃へと流し込む。ふーっと一息つき、話し始めた。
「今日だっけ?予約してた人達が来るの」
「そうさね。こんななんもないとこに宿泊の予約をするってんだから、変な客もいたもんだよ」
「そのなんもないとこで旅館してるのがばあちゃんなんだけど……」
ばあちゃんの発言に苦笑いをしながらソラがツッコミをいれる。それを聞いたばあちゃんは「ふんっ」と不機嫌そうに顔を背ける。
ソラの住む家は、この羽森島唯一の旅館。その女将をしているのがこの不機嫌そうにしている人当たり最悪な祖母である。
この旅館、住民達が夕食を食べに来たり、集まったりする憩いの場ではあるのだが、わざわざこのなにもない島に外から泊まりに来る客は、年に一回あるかないかであった。
「金落としてくれるのならあたしゃ誰が来ようと構いはしないさ。それより美空。あんた、今日もサッカーしに学校行くのかい?」
「とーぜん!グラウンド使いたいもん!」
「かーっ、よくやるよ。あんた冬休みだろう?休みの日に学校に行って1人で玉蹴りなんて、あたしにゃ考えらんないね」
せっかく質問に答えたというのにこの言い草である。ソラは思わず顔をしかめるも、言い返すのも面倒で、残りの食事と共に腹の中へと飲み込んだ。
「ごちそーさま!じゃ、行ってくるね!」
ご飯を終えたソラは食器を流しへ置くと、玄関に置いてあるサッカーボールを持って出ていく。その様子を、ばあちゃんは「あー」と生返事をしながら見送った。
ソラがいなくなった後、ばあちゃんは客が来たときにすぐに出迎えるように入り口の方へと向かう。
しかし、その顔には心配、哀れみといった感情が濃く出ており、頭の中は自身の孫のことでいっぱいであった。
「……ハァ、まったく諦めの悪い子だよ。剛くんが島から去って……サッカーを一緒にやる相手もいないのにさ」
寒空の中、ソラはドリブルをしながら学校への道を駆けていく。途中でヒールリフトやエラシコ等のドリブルテクニックを混ぜながら、悠々と歩いていた。
「ん、そろそろだな……」
ソラはボールを踏んで止めると、目の前にある大きな山を見上げる。草木が生い茂り、木々が立ち並んでおり、傾斜も非常に急であった。この山の頂上付近に学校とグラウンドがあるのだ。
このまま山の外周をグルっと回るように道路が整備されているため、本来なら、その道を進みながら少しずつ上へと登るものである。
しかし、この男は違った。
「よーし!よーい……ドンッ!」
ソラはボールを山に向かって勢いよく蹴ると、それを追うように走り出す。本来進むべき整備された道から飛び出し、木々が立ち並ぶ山の中へと真っ正面から突っ込んだ。
ボールが傾斜へと阻まれ、下へと転がりそうになった瞬間、そのボールに追い付いたソラがドリブルを始める。
傾斜のせいで走りにくく、スタミナも多く使う山道をソラは軽々とドリブルで駆け上がる。木の枝や根っこなどでボールが跳ねても、そのボールを胸でトラップしたり、足で受け止めることで、ものともせず。丸太や岩などの障害物はドリブルテクニックで華麗に躱していく。
やがて頂上が見えてくる。ソラは走ってきたその勢いのまま頂上から飛び上がる。地面から約10数メートルは飛ぶと、とある場所に向けて、ボールを思いっきり蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされたボールは風を切り、カーブの軌道を描きながら、まるで吸い込まれるようにグラウンドのゴールネットへと突き刺さった。
「よっし!ナイスゴール!」
ゴールしたことを確認すると、ソラは空中でガッツポーズをとる。その顔はサッカーを心から楽しんでいる顔であった。
ソラはうまく着地すると、ゴールの方へと歩いていく。あれほどの運動をしたにも関わらず、息はまったく乱れておらず、表情にも疲労は一切見えない。
「さて、次はなにしよっかなー」
ソラがボールを拾い上げ、次の練習を考えていた、その時だった。
パチ…パチ…パチ…
パチパチパチ!
突如聞こえた2つの拍手の音に驚き、ソラは音の聞こえた方へと振り返る。そこには、2人の男性と1人の少女が立っていた。
……島の人間ではない。まったく見たことのない人達だ。ソラは警戒心を強め、彼らを観察する。
少女は同い年くらいに見えた。水色の髪のおかっぱ頭、前髪で片目を隠してはいるが、もう片方の目がこちらを見てキラキラと輝かせており、ポカンと可愛く口を開いている。拍手も激しくしており、どうやらソラのプレーを見て感動してくれたようだった。
男性のうち、1人は老齢であり、スーツをキッチリと着ている。白い手袋をつけた手を前で組み、他2人と比べて2、3歩後ろに待機しているあたりから執事のように見えた。
そして、もう1人の男性はイケオジという言葉が似合う中年。同じくスーツではあるものの、こちらはラフに着こなしている。水色の髪のショートヘアで、おそらくあの少女の血縁だろう。瞳の形が似ていた。
中年の男はゆっくりと拍手をしながら、ソラの方へと近付いてくる。
「ブラボー!素晴らしいプレーだったよ!さすが天翔美空くんだ!噂に聞いた通りだよ」
「(僕のことを知っている……?)はぁ…どうも……」
なぜ自身の名前を知っているのか、ソラは困惑しつつも頭を下げる。その様子を見て、自分の胡散臭さにようやく気付いたのか、男は苦笑いを浮かべた。
「あー、ごめんよ美空くん。私も驚かせるつもりはなかったんだ。この学校で君を待たせてもらったんだよ。話があってね」
そこまで言うと、男は握手を求めて右手をこちらへと差し出してきた。
「私の名前は
「僕を……スカウト……?」
その時、2人の間を突風が吹き去っていった。それはまるで、この出会いを祝福するようで、なにか新たな物語が始まるような、そんな予感をソラの魂に感じさせていたのだった。