心優しき戦争男inダンジョン   作:鮭ノ神

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やることが……やることが多い…!

ここでチラッと本編


「そういえばなんでその姿なんですか?」
「…実はまだあの時は冒険者登録をしていなくてな。それにこの姿なら目立ちにくいだろう?」
「な、なるほど…!」


シューマイ「前話で後から説明するとか言ってたのに、これは浅いと思うよラーメンマ「黙れシューマイ!!」うっ…」


神の宴、美神の視線の巻!

───オラリオにそびえ立つ神の塔、雲を貫く程もあるそれの最上階。

そこで、美神はいつもの様に観察していた。

最近はベル・クラネルというまるで██焦が██しまいそうなほど純粋な()を見つけ、今日も彼を観察しようとその視線を隠すことなく、見下ろしていた。

 

しかし……

 

「……あら?何かしら、あれ…」

 

その彼と並び立つ魂を見た瞬間に、美神の脳内は疑問と興味で溢れ出した。

 

並び立つ魂の外見は機械仕掛けのただ氷のように冷たく、無機質なもの。しかし内在するは激しく燃える焔と心の温まるほどの優しい光。どんな氷雪でも絶えずに燃え続けるような不思議な魂だった。そして極めつけに……

 

「……()()()()()()()()()?」

 

それは天界で、オラリオで、飽きるほど見てきた神々の魂に酷似していた。

 

疑問が次々と出てくる、興味がどんどん溢れ出してくる。

欲しい?いや、手にするのは勿体ない。手にしてはまだ見ぬ未知の輝きが見えなくなってしまう。なら、どうする?

 

美神の目はオラリオの頂点としての神の目ではない。

まるで未知に驚き、興奮する一人の子供のようであった。

 

「ふふっ、くふふっ、アハハハハ!!これだから子供たち()は面白いわ!!」

 

美神はまるで少女のように笑う。それはある美神が嫌悪するいつもの姿ではなく、ただ一人の、若き少女のようであった。

 

「……でも」

 

だがたった一言だけ、呟いた。

 

「どうしてあなたはそんな悲しみの中にいるの?」

 

その本心からの疑問に

答えてくれる者は、いなかった。

 

 

 


 

 

 

『本日はよく集まってくれた皆のもの!俺がガネーシャである!今回の宴もこれほどの同郷者に出席して頂きガネーシャ超感激!愛してるぞお前達!さて積もる話はあるが、今年も例年通り三日後にはフィリア祭を開催するにあたり、みなの『ファミリア』にはどうかご協力をお願いしたく──』

 

さて、少し時を飛ばして、今ヘスティアはガネーシャ主催の宴に出ていた。もちろん、眷属の二人には先にこの事は伝えてある。

 

そして今ヘスティアは何をしているかと言うと……

 

「(ささっ!さささっ!)」

 

テーブルにある料理を日持ちしそうなものを厳選し、自身も料理を頬張りながらタッパーに詰めている。

貧乏ファミリアにとってのまたとないご馳走、それを自身の眷属達にも味合わせたいという思いがあるのだろうが……それを見せられている給仕係はなんとも言えぬ表情を浮かべている。

 

他の神から馬鹿にされるという可能性もあった。が、そんなことは天界でもう慣れたというべきか、扱い方を心得ていると言うべきか……ちょっかいを出されぬ限り無視を決め込むつもりだ。

 

「全く…何やってんのよあんたは…」

 

「!むっ!むぐっ!」

 

突如後ろから声をかけてきたのは赤髪の麗人、鍛治神であるヘファイストスだった。元々ファミリアを結成する前から厄介になっていたこともあり、二人は友人関係のようなものである。

 

「ヘファイストス!」

 

「ええ、久しぶり。元気そうで何より…もっとマシな姿を見せてくれたら、私はもっと嬉しかったんだけど」

 

「いやぁ会えて良かった、来て正解だったよ」

 

「言っとくけど、もうお金は一ヴァリスも貸すつもりはないわよ」

 

「しっ、失敬な!」

 

お互いに軽口を叩き合っていると……

 

「ふふっ、相変わらず仲がいいのね」

 

「え……っ?ふ、フレイヤ!?」

 

ヘスティアの前に、神々の中でも群を抜いた容姿の美神、フレイヤが現れた。

 

「な、なんで君がここに…」

 

「すぐそこで会ったのよ、久しぶりーって話してたら一緒に会場回りましょうって」

 

「か、軽過ぎないかいヘファイストス…?」

 

「……もしかしてお邪魔だったかしら?」

 

「そんな事ないけど……正直言ってぼくは君が苦手なんだ」

 

「あら、私は好きよ?その正直なところとか」

 

勘弁してくれ、ヘスティアは心の中でそう思った。ヘスティアとしても余り関わりたくない相手であり、処女神としても関わりたくは無い。

 

「おーい!ファーイたーん、フレイヤー、ドチビー!!」

 

「………もっとも、君なんかよりもずっっっっと大っ嫌いな奴がぼくにはいるけどね!」

 

大きく手を振りながらこちらにやってくるのは、ヘスティアにとってはもはや敵ともいえるほど嫌いな、女神ロキだった。

 

「はぁ……何しに来たんだよ君は」

 

「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか?『今宵は宴じゃー!』っいうノリやろ?むしろ理由を探す方が無粋っちゅうもんや。はぁ、マジで空気読めてへんわ、このドチビ」

 

「…………ッ!!!ッ!!」

 

「ちょっと、その凄い顔やめなさい」

 

ロキにバカにされたヘスティアはまるでロキを一族の仇かのように睨みつける。だが聞いておきたいことの為に何とか耐える。

 

「ねぇ、ロキ。君の『ファミリア』に所属しているヴァレン某について聞きたいんだけど………その噂の『剣姫』は付き合ってる伴侶や男はいるのかい?」

 

「はぁ?何言っとんねん。アイズはうちのお気に入りや、そんな奴おったらもうこの世にはおらん」

 

「チッ!」

 

「なんでそのタイミングで舌打ちするのよ…」

 

ヘスティアに呆れるヘファイストス、だがふと気づいたようにロキに尋ねた。

 

「今更だけど、珍しいわね。ロキがドレスだなんて…」

 

「フヒヒ、よく聞いてくれたわファイたん。実はどっかのドチビが慌ただしくパーティーの準備をしてるってのを小耳にはさんでなぁ…?

 

 

ドレスも着れん貧乏神をぉ、笑おうと思ったんや!」

 

 

(こッッッこいつッッッ!!!)

 

ヘスティアは激怒した。かの邪智暴虐な女神をぶん殴ろうと決意…する所でふといい返しが思いついた。ヘスティアは思わず笑いを堪える。

 

「……なにがおかしい、ドチビ」

 

「あははっ……!いやぁ、恐れ入ったよ。まさかぼくを笑う為だけにそのみすぼらしい岸壁を周りに見せつけるなんてね!こんな面白いのは初めてだ!」

 

「な……なにっ……!!」

 

「まさか自分から墓を立てるなんてね!君には自分の墓を立てる才能があるよ!」

 

ロキの顔が真っ赤になっていく。ヘファイストスは一応一歩下がった。

 

「……ロキ、無いものねだりはよくないよ?」

 

ロキは自身のコンプレックスを憐れむヘスティア、それがトドメだった。

 

「………い、い、いいい───

 

いい加減にしろやこのドチビがぁぁぁあ!!!

 

「ふみゅぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?」

 

泣きながらヘスティアに掴みかかるロキ、だが自分には無いものが見えた瞬間にロキの心はバキバキに折られた。

 

「……き、今日は、このくらいで…グスッ勘弁したるわ…!」

 

(((泣いた……)))

 

「ふんっ!もうその貧相な物をぼくの視界に入れるんじゃないぞ!この負け犬め!」

 

「うっさいわアホォーーーーッ!!覚えどげよぉーー!!」

 

泣きながらロキは去っていった……

 

「本当に丸くなったわねぇ、ロキ……」

 

「小者臭しかしないんだけど…?」

 

「下界に来るまでは暇つぶしに他の神達に殺し合いをしかけてたのよ?今の方がずっといいわ」

 

「ふん!あんな小者のことなんか知るもんか!」

 

今だに憤慨しているヘスティアにヘファイストスは本気で戸惑い、フレイヤはくすりと笑った。

 

「子供たちの事が好きみたいね、ロキは。だからあんな風に変わったのかもしれない」

 

「甚だ遺憾だけど、その点に関してだけはロキに賛同するよ」

 

「へぇ、前まで『ファミリアに入ってくれないなんて子供達は見る目がなーい』なーんて言ってたくせに、やっぱり貴方のファミリアに入ってくれたベルってこのおかげ?」

 

「ふふん、まぁね。僕にはもったいないくらい、すごく良い子だよ!もう一人も同じくらいにいい子だけどね!」

 

「あら、初耳ね。新しく入ったの?」

 

「うん!ただ……なぜかいつも、ものすごく悲しそうに見えちゃうんだ。初めて会った時も……まるでどこにも居場所はないって言ってるみたいでね……」

 

そう語るヘスティアの今までに見たことの無い、複雑そうな表情にヘファイストスは驚きの表情を、フレイヤは少し考えるような表情を見せた。やがて、フレイヤはグラスをテーブルに置き、髪を翻した。

 

 

「じゃあ、私も失礼させてもらうわ」

 

「え、もう?フレイヤ、貴方用事があったんじゃないの?」

 

「えぇ、もういいの。確認したいことは聞けたし…」

 

ヘファイトスはフレイヤを怪訝な目で見ていたが、フレイヤはそんな彼女を無視し、ヘスティアの方を見下ろして、これまでと少し違った笑みを浮かべた。

 

「……それに、ここにいる男はみんな食べ飽きちゃったもの」

 

『『『サーセン』』』

 

「「……」」

 

それじゃあと、言い残し彼女はひしめく神達の中に消えていった。取り残された二人は微妙な顔をして、隣り合うお互いの顔を見交わした。

 

「……やっぱり、だらしないよ」

 

「まぁ…フレイヤは愛や情欲を司るから……ねぇ」

 

ヘファイストスは少し溜息をつき、不満そうに右目の眼帯をカリカリとかいた。

 

「それで、あんたはどうするの?私はもう少し回ってみようと思うんだけど…」

 

その言葉にヘスティアは少し戸惑ったような表情を見せたものの、決心をつけたかのようにヘファイストスを見た。

 

 

「……頼みがあるんだ

 

 

ベル君に……僕のファミリアの子に武器を作って欲しいんだ!!」

 

 




今回は結構苦労したぜよ
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