夢が叶わなかった
それは二人のモノだから。
小さい頃に、約束をした。
本当に小さい頃。
なんで、まだ覚えているのか。
なんで、今──思い出すのか。
夢の始まりなんて、ありきたり。
ただ単純に、テレビで見てたウマ娘が格好良くて。
抱き合って、泣いて、笑ってる。
トレーナーとウマ娘が幸せそうだったから。
たまたま一緒にいた幼馴染みと、約束をした。
「『二人で、トゥインクルシリーズへ』」
二人とも本気だった。
ひたすら勉強して、トレーニングして。
そうして、私は地方のトレセン学園へ。彼はトレーナー養成学校へと入学した。
トレセンでの日々は、つまらなかった。
入学してすぐに、クラスに敵はいないことがわかった。
半年もすれば、学年に敵はいなくなった。
──これなら中央でもやれるはずだ
私は誰ともトレーナー契約をせず、レースにも出走せず。
ひたすらトレーニングをして、彼を待った。
それから、高等部になった。
いよいよ待ちわびた日がやってきた。
記憶より大人っぽい彼が、ぴっしりとしたスーツを着て、トレセンへとやって来る。
──ああ、これから始まるんだ。
私は目頭を押さえて、彼へと飛び付いた。
彼がやってきてからの生活は、まるで今までとは違って見えた。
退屈な授業も、しんどいトレーニングも、一人で過ごした放課後も。
全部に色が着いて、音が聞こえる。
楽しかった、全部。
報われた気がしたんだ。だって、こんなに幸せだから。
──最近、身体のキレが落ちてるんじゃないか。
彼は、どこまでもトレーナーだ。
だからトレーニングや、私の身体に問題があったら、遠慮すること無くズバズバと言ってくる。いつもなら。
──もっとハッキリ言えば良いのに。
多分、私の全盛期は入学してしばらくの頃。
彼はその頃の私を直接見てないし、彼が来るまで本格的なレースに参加してなかったから、私も気付くのに遅くなった。
私の脚は、賞味期限切れだ。
でも、良いじゃないか。今幸せだよ?
あなたは、違う?
彼に怒られた。
トレセン学園を卒業してからの話をしただけなのに。
二人のためにも、今のうちに話しておくべきだと思ったんだけど……
でも、泣いていたから。謝ろう。
なんで?
どうして、契約解除なんて言ったの?
だって、もうそんなこと言っても遅いんだよ?
今さらどんなにトレーニングしても、私の脚は何の軌跡も残せない。
君のせいで、私の脚は死んだんだよ。
君が、殺したの。
でも、私は幸せだったのに。
私の幸せも奪うんだ。
でもね、責めないよ。
あなたのこと、好きだから。応援してるから。
私が、あなたをここに連れてきたから。
恨んでない、呪おうとも思わない。
あなたは、優秀だから。
私から解放されたなら、きっとどこまでも翔んでいく。
「だからね、私も連れてってね」
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
久しぶりに書いたので、文章ぐちゃぐちゃで文字数少ないですが、楽しんでいただけたなら嬉しいです。