生まれたときから、力が強くて頑丈だった。らしい。
北海道の田舎で生を受けた僕は、幼いときから周りよりもずっと力が強かった。片手で米俵を2つも持てたし、雪にハマった車を押して動かすこともできた。人が少なくて、狭い世界の小学校の低学年の頃はそれだけでヒーローだった。
けれど、それが変わってしまったのが、本州の都会へ引っ越した時だった。この時にはもう、僕の力の強さは人間離れしていて、農作業のためのトラックを軽々持ち上げられるほどになっていた。都会の中で、この力は恐怖と忌避の対象になってしまった。直接的なイジメを受けることはなかったが、無視や仲間はずれは当然のように行われた。先生たちも、僕の力を怖がっているようだった。決定的だったのが、6年生になってすぐの交通事故だった。下校中にスピード違反で突っ込んできた車に轢かれ、壁につぶされるような形になってしまったとき、僕は全くの無傷だった。ぐしゃぐしゃに潰れた車と崩れたコンクリートの塀の中から自力で出てきた僕を、目撃者の人たちは啞然と見ていた。
この事件で、いよいよ僕は怪物という扱いになった。さらに悪いことに、この頃僕はどんどんと背が伸び、175センチを超えていたのだが、この事故を境にさらにメキメキと背が伸び、卒業する頃には2メートルを超えていた。ヒョロリと細長いわけでなく、筋肉がモリモリとついた、まさに怪物のような体型になっていた。両親はそんな僕を、愛してくれていたけれど、その接し方には僕に対する怯えが見て取れた。
未だに伸びる背と、鍛えているわけでもないのに勝手に発達していく筋肉に、自分で自分のことを恐ろしく思っていたその時に、あの人はやってきた。
その人は自分を魔女だといった。
彼女は僕と両親に、ウィッチとウォーロクについての話をしてくれた。
かつて日本にやってきたウィッチは、使い魔として色々な動物を連れていたらしい。魔力を帯びたその動物たちは、やがて人の姿を取るようになっていき、鬼や天狗と呼ばれるようになっていったこと。現代ではその使い魔たちの力も退化していっていること。そして稀に、先祖返りを起こし、かつてのような力を持って生まれる使い魔の子孫がいること。
そして僕は、かつてダイダラボッチと呼ばれた、象の使い魔の先祖返りであること。
そして彼女の娘は、千の魔女と呼ばれる特別な魔女で、ウォーロックから狙われていることも。
彼女は僕に、その娘を守ってほしいと言った。僕と同い年で、いずれこの街に住むらしかった。
。不躾で勝手な願いだけど、お願いしたい。あなたと同じ、使い魔の先祖返りの人もいるからと。
僕は頷いた。僕と同じような人がこの世にいるんだと思うと、心が軽くなった。その人たちと一緒にいたいと思った。彼女は喜んで、僕にありがとう、ありがとうと、何度も頭を下げていた。
そしてそれから3年経った。体は大きくなりすぎてしまったから、中学は途中から通信教育に変えた。けれど高校は、彼らが通う高校、私立翌檜高校にした。受験は問題なく受かった。制服は特注になってしまったけど、両親は喜んでくれた。
そして今日は、僕の主になる若月ニコさんと、同僚になる乙木守仁さんと会う日だった。服を整え、深呼吸をしてからインターホンを鳴らす。程なくドアを開けてくれたのは、精悍な男の人だった。きっと守仁さんだろう。後ろから顔を出した可愛らしい女の子はきっとニコさんだろう。僕を見あげ、口を開けて呆然とする彼らに、丁寧に頭を下げて挨拶をした。
「はじめまして。僕は髙井 晴人。若月伊吹さんに頼まれて、若月ニコさんの護衛になりました。象の使い魔のダイダラボッチです。これからよろしくお願いします」
「⋯………………あ、はい。よろしくお願いします⋯?」
それが、僕のハチャメチャな生活の始まりだった。
主人公設定
髙井 晴人 15歳
誕生日 6月8日 血液型AB型
身長 265cm 体重 240kg(ほぼ筋肉)
ダイダラボッチ、象の使い魔。鬼以上の怪力と頑丈さを誇る。しかし、鬼の瞬発力と速度には全く及ばないため、実際に戦うと割とジリ貧になる。この主人公は格闘技なども収めていないため、守仁と戦うと普通に負ける。ただ、あまりダメージを負わないので模擬戦の相手をすることが多い。
原作でウィッチがどこを通って日本に来たかはわかりませんが、インドあたり通ってるかもしれないので原作にいてもおかしくないんじゃないかと思って書きました。続きはないです。