これは『二次創作』です。
原作様とは関係のない作品であることをご理解ください
「あらぁ?酷い状態じゃないですか。助けてあげましょうか。私はこの世の全てを愛していますから」
長い金のもみあげを垂らしながら、エメラダは黒く歪んだ角を持った少年に手を差し伸べた。
世間でどれだけ亜人が疎まれていようとエメラダは蔑む気が起きなかった。
人に生まれたからなんだと言うのか。
人の形を成しているだけの人未満の醜い者達。
そんな腐った者達より、蔑まれても強く生きる亜人達の在り方の方がエメラダは何倍も好感を持てた。
別に人を低く扱っている訳ではない。
対等の接し方をしているだけである。
それがどうやら人々は不服らしいが。
『博愛』の名の下、エメラダは全てを愛し、慈しむ。
それが巨人族だろうとワータイガーだろうと鹿人だろうと狐人だろうと。
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弱冠十五歳。この世界では十分に大人と呼ばれる年齢でエメラダは先祖代々の領の主となった。
今のルグニカ王国は亜人を蔑視し、差別の対象としている。実際、エメラダの統治範囲内でも『亜人』を理由とした、暴行事件が後を立たない。
『博愛』の名の下、エメラダは決断を下す。
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剣を持ったエメラダの前に拘束された人間の男が連行される。彼は亜人に対する暴行を繰り返してきた凶悪犯である。
惨めったらしく穴という穴から水を垂れ流し、その顔は無惨な程に醜い。かける慈悲はとうに枯れ失せた。
時間は有限。まだ見ぬ者へ愛を届けなければならない。その愛を目の前のような者に分け与えようとするのは時間の無駄というもの。
剣が振り上げられ、男の首に落ちる。
「ーーッ!!!」
言葉にできない苦痛の悲鳴が男の口から叫ばれる。
「う〜ん、斬れ味が悪いんじゃないですかね?落ちるまでやりますか」
エメラダは男の首を完全に断つまで、何回も剣を振り下ろす。肉が裂け、血が舞い、紅の中に白が見える。
男の悲鳴を垂れ流しながらも、エメラダの腕は止まらない。
ようやく首が落ちた時にはエメラダの衣服は血に染まっていた。
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終わりの見えない罪人の量。どれだけ処刑しても咎人は増加の一途をたどる。
衣服が汚れるのを避けるため、エメラダは服を着るのを辞めた。最低限の、下着同然の格好でエメラダは処刑を繰り返す。
(人が亜人達を疎むなら、私はその分だけ人を疎む。全てを平等に愛した先に『博愛』の世界が待っている。)
そう信じ、エメラダは今日もその手を血に染める。
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「分からない。これ以外のやり方が」
歪んだ角の少年の信じ難い膂力がエメラダの体を抑えつける。
彼が世にも珍しい『竜人』であると知った時、エメラダは大変に驚いた。亜人を数多く匿ってきたエメラダであるが、竜人は見たことが無い。噂で知っていた程度である。
そんな彼をエメラダは『博愛』の下、抱きしめる。
彼が受けた苦痛、その一切を受け入れようと、エメラダは竜人の彼に寄り添った。
彼女は博愛主義なのだから。
そんな彼が今、寝ようとしていたエメラダの部屋に侵入し、エメラダに被さっている。
「このやり方が合っているのかも分からない。でも、気持ちは……」
そう威勢を張る少年の口をエメラダが塞ぐ。
しばしの沈黙。それを荒い息遣いが破り、エメラダが言葉を繋げる。
「いいじゃないですか。それがあなたの愛の形ならば、アタクシはそれを受け入れましょう」
エメラダはそう言って竜人の少年を優しく抱擁する。
「どうぞ、クァドラン。アタクシの懐へ。あなたはどんなアタクシが好き?」
エメラダと竜人・クァドランは月夜の中、夜を明かした。
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痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
気が狂いそうな痛みに襲われながら、エメラダは自室のベッドで藻掻いている。
体中に浮かぶ黒い斑点がエメラダの体を蝕んでいる。否、黒い斑点も、が正しい。昨夜クァドランと一夜を共にした頃からエメラダの異変は始まった。
胸を締め付けるようなジワジワとした苦しみがエメラダを襲った。そのことに気付いたクァドランが自身の血で癒やそうとした結果、今の状況が出来上がった。
クァドランは涙で顔をぐちゃぐちゃにして、エメラダの手を握っている。
深い苦しみと激しい痛みの中、エメラダは死んだ。
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「ーム爺!ロム爺!!」
暗転した意識に呼び掛ける声が一つ。
開けた視界に映り込むのは真っ赤な瞳の眦に涙を浮かべた愛孫娘のフェルトであった。
次回 #12 一層の『試験』
フェルトが無事ですが、これは少し遡って二層突破の少し前の出来事です。次回は二層突破後のお話です。
キリを良くしようとした結果、少々読みにくくなってしまいました。