ゼロカラミダレルイセカイセイカツ   作:らら、

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続きを書いたのでまとまった文字数になれば投稿していきます。


#19 天の声

 

エミリア、シャウラ、メィリィにこの世界で『存在』を失った騎士、『ユリウス・ユークリウス』を加え、スバルはもう一度プレアデス監視塔へと向かう。目的は『暴食』の権能の特定である。

 

プレアデス監視塔にある大図書館プレアデスには大量の『死者の書』が所蔵されている。仮にスバルの推測が正しいとすれば、そこには『記憶を食われたことによる白紙の書』と『存在を食われたことによる題名のない書』があるはずなのだ。

この世界の歴史全てが詰まっているあの場所にあるはずの『題名のない書』、その中にスバルが読むことのできるものがあれば、それが目の前でうつむく『ユリウス・ユークリウス』という人物のものである可能性はかなり高いのではないだろうか。

 

ならば、必要なのは”その書”を読んだとき、それが『ユリウス・ユークリウス』であると自身をもって断定するに足る本人からの情報であろう。

 

「なぁ、お前ってアナスタシアの騎士だったんだろ?王選が始まる一週間前の夜、お前は何をしていたんだ?」

 

王選が始まる一週間前の夜。それは王選候補者クルシュ・カルステンが”アナスタシア・ホーシン”を名乗る何者かに襲撃され、死亡した日である。事後処理への粉骨砕身を見た王都の民からはあの”アナスタシア・ホーシン”が”本当のアナスタシア・ホーシン”でないということはほぼ確信されている。商人を忌み嫌う一部は未だに”アナスタシア・ホーシン”によるマッチポンプを叫んでいたが、プリステラでのアナスタシアの死の知らせはその層をも沈黙に追い込んだ。

それが真実を悟ったことでの沈黙か標的を失ったことでの霧散かは分からないが。

 

「あの日、私を含めたアナスタシア様に仕えていた者たちは皆王都にはいなかった。私たちも知らせを聞いて驚いたのだ。目の前におられるアナスタシア様が王都に火を放ったというのだからね。その後は貴方も知っての通りでしょう。アナスタシア様は汚名を被せられ、その挽回に誠心誠意尽くされた。………私が、不甲斐ないばかりにっ………!」

 

固く拳を握り締め、その白い騎士服にはぽつぽつと雫が零れる。騎士として守るべき者を守り切れなかったばかりか自身は敗北し、あまつさえ今こうして生きているのだ。正しく騎士の名折れであろう。

頼られた存在を守り切れず、誰からも必要とされず、それ以前に世界から消失したも同然の『ユリウス・ユークリウス』という人物にナツキ・スバルは接触した。”お前だからこそできることがある”と、そう言われ、ユリウスは今ここにいる。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

「ここが………」

 

「そうだ。ここがプレアデス監視塔だ」

 

もう何度ここに来ただろうか。憎き『色欲』の正体を暴くため、可能性のある人物を殺しては『死者の書』を読み、当てが外れたと悟るや否や『死に戻る』。そんな地獄のような生活をどれだけ繰り返したことか。とは言え”この世界”にはその悪魔の試行錯誤の残滓は無い。それに気付くとすれば、先の『色欲』との戦いを共にした『アル』という人物だけだろう。

 

「上の階層に緑色の部屋がある。とりあえずそこで休んでてくれ。お前には万全でいてくれないと困るからな」

 

「………了解した」

 

「じゃぁ、こっちッス!ついてくるッスよ~」

 

シャウラの道案内でユリウスは上へと上がっていく。こう言わなければユリウスは何かをさせてくれとここに残ろうとするのだ。今から行うことをユリウスには見せるべきじゃない。

………見たら既に精神が限界のユリウスは壊れてしまうだろうから。

 

「………メィリィ、準備はできてるか?」

 

「ばっちりよお~。それにしてもお兄さんも酷いわねえ。殺すために騙して連れてきて、それでも絶望はしてほしくないなんて、『傲慢』だわあ」

 

スバルがメィリィにさせているのは逃げ道の封鎖である。メィリィが飼いならした魔獣をプレアデス監視塔の周りに配置して万が一の逃走を防ぐために。だが、これはすべて万が一、億が一の保険。

最善は緑部屋で眠っているところをシャウラに殺してもらう道。何も分からないままに一瞬で。それが騙した上に殺そうとするスバルの精一杯の心遣いである。

 

「………あぁ、オレもそう思ってるよ」

 

何の罪もない人を大量に殺し、『死に戻り』の力で全てを塗り替える。今の世界に影響が無いだけで、スバルの行いは大罪司教と何ら変わらない。エミリアを、レムを、みんなを血に染めた大罪司教と何も変わらない。心の底からの自己嫌悪を含め、スバルは呟いた。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

(これが……ユリウスの………)

 

自分がそこにいるようでいない。頭も感情もぐちゃぐちゃになりそうな感覚もかなり慣れてきた。

 

窓からこちらを見ているのは弟だろうか。自分と比較すれば相応に小さい体がベッドから上体を起こし、こちらを見つめている。

今の白い騎士服とは似ても似つかない純白のワンピースを身に付けた自分を。

 

「『ナツキ・スバル』」

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

陽光のような、それでいて違うような温もりが体を覆っている。

 

「…な様、旦那様?」

 

眠気眼を開けば、飛び込んでくるのは超俺好みの銀髪の美少女である。しかも、聞き間違いじゃなければ今この子は俺のことを『旦那様』と呼んだのだ。俺の家、『菜月家』にそんな人がいたはずは無いのだが、そんな子がどういう訳か今ここにいる。

高校デビューに失敗し、間もなく引きこもりになった俺なんかでも浴びれる日差しはあるらしい。

 

(うわっ!めっちゃ可愛いな………っていうか俺、膝枕してもらってるんだけど!?なんで膝枕されてんの!?いや、滅茶苦茶うれしいけどね!?)

 

光を反射して美しく輝く銀色の髪、宝石を思わせるような紫紺の瞳、きめ細やかでひんやりとした肌。現実を疑うに足るような超絶美少女である。

目の前の美少女に目を奪われていたが、ようやっと周りを見渡す心の余裕が出てきた。

コンビニ帰りで寝ぼけてしまったのか、寝込むまでの記憶がない。分かれ惜しいが膝枕へと別れを告げ、上体を起こす。見渡せば見慣れたオタク趣味の数々が目に映るはずだ。

はずだったのだが。

 

「ここ、どこ?」

 

見て目に飛び込んでくるのは緑色の何か。色とりどりのフィギュア等の類は幻のように消え失せ、目に優しい景色が広がっている。

 

「あの…ここがどこか知って………ます…?」

 

しばらくの引きこもり生活でコミュニケーション能力が酷く落ちたらしい。そもそも初対面で膝枕をする人への温度感がどのくらいかなど分かるはずもなし。

 

こちらが効いているにも拘わらず銀髪の美少女はうんともすんとも言わない。何も言わずに昴の腕をギュッと胸元で抱きしめている。

当たる双丘の感触に脳が持っていかれそうになりながら、昴は質問を変える。

 

「じゃあ、キミの名前は?俺は『菜月昴』。天下不滅の無一文!」

 

「……『79番』、私はただの『79番』です」

 

『79番』………名付けたやつ最低だな。人を番号で呼ぶとかありえねぇだろ。しかもこんな美少女を。

 

「ホントにそうなの?」

 

「はい」

 

コミュニケーションを取らなくなった昴でも分かる。少なくとも彼女はこの『79番』という呼ばれ方を嫌がっていない。しかし、しかしである。昴の善性は訴えるのだ。それでいいとは限らないぜ、と。

 

「キミが良ければなんだけど違う名前で呼んでもいいかな」

 

「私にはそれを決める『権利』はありません」

 

「じゃあいいってことだよな!?じゃあ………」

 

少し俯き、昴は名前を考える。

せっかくの銀髪なのだから、漢字よりも西洋っぽいカタカナな名前の方が合うだろう。となると英語である。中一の夏休みぶりの英語だが、幸運にも星や宇宙方向には知識がある。ならばその方向から名前になりそうなものをもってこよう。

この子は俺の目が覚めるまでも覚めてからもずっと側にいる。さながら地球と月のように。

 

「衛星は英語で『サテライト』だから………『サテラ』!で、どうかな?」

 

「はい。私は『サテラ』。ただの『サテラ』です」

 

「よろしく!『サテラ』!」

 

「はい、旦那様」

 

「できれば『昴』って呼んでほしいなぁ…なんて」

 

「はい、『スバル』様」

 

事態を知らぬ『菜月昴』は今だけはそう無邪気に長年ぶりの女の子とのコミュニケーションの成功に喜んでいた。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

「にしても、ここマジでどこ?」

 

久しぶりの女の子、それも俺好みの超美少女と仲良くなれて浮かれてしまったが、現状は何一つ変わっていない。よく分からない場所でよく分からない状況だ。

 

『この部屋を出てみましょう』

 

「え!誰!?もしかしてゲームの天の声的な初心者アシスト機能!?」

 

『はい、キミの冒険をアシストしましょう』

 

「マジかよ!偶に長いなぁとか思ってマジでごめん!マジで助かる!!」

 

なんとチュートリアル機能が付いているらしい!

ならばと昴は色々と聞いてみることにした。

 

「なぁ、天の声さん。ここってどこ?日本…じゃあねぇよな」

 

「はい。ここはキミの住んでいた場所ではありません」

 

「だよな………ってことは異世界転生?!いや、転移の線も捨てきれない………」

 

などと考えているうちに昴は上の階にたどり着いた。

 

「うわっ、なんだこれ………」

 

『ここは図書館です』

 

まともな本など長らく読んだ覚えがない。ラノベの類はかなりの数を読んだという自負があるのだが、新書の方はてんでダメだ。精々国語の教科書の文で精一杯。いや、それすら長く見ていない。その程度でも満身創痍かもしれない。とはいえ、ぱらっとくらいは見てみたいとも思うもの。

 

「?なんも書いてねぇ………本なら何か書いてると思ったんだが………」

 

『明日になればキミに読むことのできる本が届きます』

 

「え、何?宅配サービスでもあんの?さてはこれも初心者アシスト………いや、初心者ボーナスだな!?」

 

『はい』

 

「よっしゃあ!…でもこれいいのか?金とかいるんじゃねぇの?悪いけど俺は払えねぇぞ。なんせ無一文だからな!」

 

『ご安心ください。全て無料です』

 

「いい運営だなぁ!!」

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

「あらあ?お兄さん、どうしたのかしらあ?」

 

『この人は『メィリィ・ポートルート』。メィリィと呼んでください』

 

「メィリィ?」

 

「姿は違うけど、私はメィリィよお。お兄さん、忘れちゃったのかしらあ?」

 

「いや、違うんだ。……ちょっと、忘れてくれ」

 

「……そお。なら忘れてあげるわあ」

 

「おい、天の声さん?ちょっとチュートリアル雑じゃねぇか?会わせるだけ会わせてその後放置なんて俺にはハードル高いんだが」

 

『失礼しました』

(えらく素直だな………)

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

夜、急な人の気配に目を覚ました。長年魔獣使いとして汚れ仕事をやっていただろうか、こういった気配には人一倍敏感な自信がある。

 

「誰え?」

 

未だ眠い意識と共に上体を起こし、ちらと気配のした方を見やる。黒髪の男がぎらついた目をこちらに向けている。メィリィはあの目を知っている。あれは獲物を狩る獣の目だ。過去には自分もあんな目をしていたのだろうか。

 

危機の察知。それの後を追いかけて意識が覚醒する。

だが、僅かに遅い。意識の覚醒に先駆けて黒髪の男が馬乗りにメィリィの細い首を締め上げる。

 

「お兄…さ………」

 

やはり、『色欲』の姿をしたわたしのことは許せなかったらしい。魔獣使いとしてメイザース領で騒ぎを起こし、その後王都にこの『色欲』の姿で乗り込んだ。話によるとその時もこのお兄さんに邪魔をされたらしい。どこで知ったのか王都に魔獣がいることを騎士団に告げ、そのせいであわや捕まるところだった。咄嗟に一人を生贄にして逃げ延びたけれど、あの時は本当に危なかった。

 

走馬灯のように記憶が溢れるも、思えば単純な暴力を受けたことは無いと思い至った。いつも私は魔獣使いとして仕事をしてきたのだ。この体を実際に使ったことなんてまったくと言っていいほどに無い。

精神的な痛みは嫌って程に教えられた。

”ママ”の躾がそれだ。

 

メィリィは短い人生に別れを告げた。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

朝、昴は不思議な疲労感と共に目を覚ました。特段変なことをした記憶は無いと、そう言いかけて口が止まる。

 

「いや、変なことだらけじゃねぇか」

 

突然、わけのわからない状況にさらされて疲労感がない方がおかしいのだ。つまりこの疲労感は正常なものである。昴はそう納得する。

 

『キミに読める本が図書館に届きました』

「お!マジか!注文から一日とかすげぇいいサービスしてるな」

 

昴は勇んで上階の図書館へと向かった。

そして目にした。『メィリィ・ポートルート』と銘打たれた一冊の本を。

記憶に間違いがなければ前の日に会った少女と同じ名前である。

 

「『メィリィ・ポートルート』?え、あの子、あの年齢で伝記でも書いてんの?だとしたら達観しすぎだろ」

『読んでみましょう』

「オッケー、天の声!いざ!」

 

昴は疑うこともなく手にした本を開く。

 

△▼△▼△▼△▼

 

「わたし、俺………があ?」

 

流れ込むメィリィ・ポートルートの記憶。自分がぐちゃぐちゃになるような感覚。ただ、吐き気が止まらない。

前のめりに突っ伏して、口を覆う。

重ねた手をゆっくりと自分の首にあてがう。

 

俺が

やった、やってない、やった、やってない、やった、やってない、やった、やった、やってない、やってない、やってない、やった、やった、やってない、やってない、やった、やってない、やった、やった、やった、やってない、やった、やった、やった、やった、やった、やった。

 

記憶には一切無い。俺がメィリィを殺したという記憶は全く無い。けれど、体は覚えている。自分の首にあてがった手が酷く、ぴったりと馴染むのだ。下向きに押さえつける感触も、手に力を入れる感覚も、骨に届くような力の入れ方も、全てに覚えがある。

記憶に無い記憶がある。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

錯乱、もしくは狂乱。昴は図書館から逃げるように目を開かずに走り出す。

風を切る音が耳に届く。

気付いた頃には昴は宙を舞っていた。

 

△▼△▼△▼△▼

 

「…な様、旦那様?」

 

声が届く。銀鈴のような可憐な声だ。

目を開けて映り込むのは光をささやかに反射する美しい銀色の髪と紫紺の瞳。耳にはひんやりと柔らかい感触が当たっている。

 

「サテラ?」

「旦那様、私は『79番』です」

 

「は?だってこれから『サテラ』って呼ぶって………」

「分かりました。私は『サテラ』です」

 

会話が嚙み合わない。

「天の声さん……これはどういう………」

『おはようございます。『ナツキ・スバル』。キミは夢を見ていたのです。それもこれから起こることを知らせる予知夢を』

 

「じゃ、じゃあ『メィリィ』は………」

『はい。生きています』

 

天の声の言葉を聞き、ようやく深く呼吸する。その呼吸すらも震えているが、先ほどよりは格段にマシだ。

 

「なんで急に予知夢なんか………それもあんなリアルな感触まで………」

『それがキミの持つ能力です』

「わた、俺の能力?」

 

『そうです。予知夢として先のことを知ることのできるという力です』

「………毎回…あんなにリアル……なのか?」

『はい』

 

スバルは震えが止まらない。あんな苦痛、スバルには、俺には耐えられない。

あの予知夢ではこの天の声に無警戒に従った結果、あの苦痛を味わう羽目になったのだ。

なら、こんな声、無視してやる。

外に出ろなんて言われても誰が従ってやるか。

 

「お師様~?今日はのんびりしてるッスね~。そっちの膝枕もいいッスけど、あーしもお師様に膝枕したいッス~!!」

 

知らない声だ。サテラともメィリィとも天の、いや悪魔の声とも違う声がする。

 

「?どうしたッスか?お師様?あーしの顔になんか付いてるッスか?なら取って欲しいッス!」

 

少女は無垢で無邪気な笑顔でスバルに言い寄る。だが、それに対するスバルの返答はこうだ。

 

「えっと………どちら様?」

「お師様?あーしのことわかんないんスか?あーしッスよ?お師様の『シャウラ』ッスよ?」

「俺のかどうかは、どうでもいいけど………」

 

「どうでもよくないッス!あーしはお師様のシャウラッス~!!むぅ、相変わらずお師様はいけずッス………」

 

拗ねたように頬を膨らませ、シャウラはこちらを横目で見やる。

拗ねられてもスバルにとっては本当に初めましてなのだからしょうがない。

 

天の声からの情報は大して助けにはならなかった。

 

「そーいえば、お師様。白髪なくなったッスね。どうやったんスか?」

「は?白髪?」

「そうッス!お師様、会ったときから白髪混じりの髪の毛だったッス!」

 

スバルは益々混乱する。スバルは未だ高校生だ。その年齢で白髪混じりなど、実の両親よりも早いではないか。ストレスなんて抱えるような環境でもない。というかあの生活でストレスなんて抱えるようなら社会不適合もいいところ。そんな環境に身を置いているスバルにストレスなど溜まりようもない。僅かな可能性としては自己嫌悪の線だろうか。

そんな俺に白髪など到底考えられない。

 

いや、今はそれよりも大事なことがある。以前の『スバル』を知っているということは、俺は今日いきなりここに来たのではないということだ。

スバルの記憶はさっきのリアルすぎる予知夢を除けばコンビニに行ったところで終わっている。なのにシャウラという黒髪の少女はまるでこの場に元々『スバル』が存在したかのように言っている。

つまり、スバルの知らない『スバル』がここにいたとシャウラは言っているのだ。

 

あの手にこべり付いた首を絞める感覚。あんなに精細で鮮明な体の記憶がただの夢であると、スバルはもう信じられない。

もし、スバルの知らない『スバル』がスバルの体であの所業を行い、何らかの方法でその出来事をなかったことにしたのなら。今のスバルにその時の記憶がないことと辻褄が合うように思えてしまう。

 

メィリィを殺し、どうやってかその死を塗り替えた存在。それがスバルの考える元々ここにいた『スバル』である。

 

△▼△▼△▼△▼

 

スバルは『外に出ろ』とやかましい天の声をフル無視し、サテラと共にいる。

この緑で溢れている部屋は心地いい。温度も湿度も快適だ。

 

そんな部屋に来客が来た。

 

「いい、いいね、いいとも、いいから、いいだろう、いいだろうから!!みんながいてくれて本当にうれしい、うれしいさ、うれしいとも、うれしいと思えるから!!!」

舌で手のひらを舐り、矮躯の人は興奮で上擦った声でその名を高らかに叫ぶ。

 

「魔女教大罪司教、『暴食』担当、ロイ・アルファルド!!!」

 

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