ドシュトフロムンド戦記~少年と精霊と大地の果て   作:nocomimi

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前書き

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聞け、これは汝ら人間によって語り継がれた物語なり

 

それは空前にして絶後の激しく恐ろしい戦(いくさ)なり 

 

邪悪なる者達、突如地を割りその姿を現すなり

 

彼らは大地に暮らす者達から悉く微笑を奪い去り

 

森を焼き、泉を枯らし、人を殺め続けるなり

 

彼らが狙うはあの御方、女神が守りし万能の力なり

 

万能の力、それは全ての願い、全ての欲望を叶えしものなり

 

それは神々からの遺産、太古の祖より女神様が受け継ぎし 究極の力なり

 

女神は邪悪な者から万能の力を守る為、生き残った人間を乗せ大地を天に浮かべるなり

 

こうして人間は魔の手が及ばぬ場所、雲海の向こう 高き空の果てに逃げ延びるなり

 

そして女神と亜の者達は命を賭した闘いの果て邪悪を封印し得たり 

 

かくして大地は再び静寂の日々を取り戻すなり

 

聞け、これは汝ら人間によって語り継がれた物語なり

 

(ミンミードルファイキン著「空向剣伝説」より)

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これは遥か太古の昔、最初の勇者もまだ現れず、ハイラル王家もまだ存在していなかったころの話である。

 

地には人間および亜の者たちが住んでいた。そのころ、天候を司る神であったギランストロフィリスは人間たちが神々への感謝を忘れたことに憤り、女神ハイリアと袂を別って、地に住む者たちを厄災をもって苦しめるようになった。

 

やがて彼は増長し、自分には許されていなかった像を人間に刻ませ、それを拝むよう強要し始めた。それで女神ハイリアは彼を大地の割れ目に閉じ込め千年の間封印したのである。

 

だが千年のあと、ギランストロフィリスは大地の割れ目を破り姿を現した。彼は魔族どもを引き連れて地上の諸族を攻め滅ぼし、あまつさえ女神が守護する大能の力を奪おうと画策し始めた。

 

それを見た女神ハイリアは大地を削り出して浮島を造り、人間たちを乗せて空に浮かべ、そして魔族どもとの最大の戦いに臨んだのである。

 

この戦いに臨んだ女神の軍勢は大多数がゴロン族、キュイ族やモグマ族などの亜人たちによって占められていた。

 

しかしながら、この戦列にごく少数ながら人間も加わっていたことはあまり知られていない。

 

女神ハイリアの戦列に人間が加わることになった経緯は複雑である。

 

そもそも、後にシーカー族と呼ばれるようになる女神のしもべたちは、人間が浮島に逃れた後も地上において亜人諸族をまとめ、偵察を行い、時に戦闘に加わっていた。

 

だが、それ以外にも、自らの意志で地上に残り戦った人間たちがいた。

 

彼等は英雄的な者たちだったかというと、決してそうではない。

 

むしろ、人嫌いの隠遁者、はみだし者、あるいは不信心者など、到底他の模範とはなれないような者たちのほうが多かったらしい。

 

しかし、わたくし筆者は本編においてこの者たちに光を当てたい。なぜなら、そのような者たちの中にこそ我ら現代ハイラル王国の諸市民が忘れかけている、人間の真の姿が見てとれると考えるからである。

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