ドシュトフロムンド戦記~少年と精霊と大地の果て   作:nocomimi

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後書き

以上が、女神ハイリアによる救済をあえて選ばず地上に残り、封印から蘇った『終焉の者』との凄絶な戦争に身を投じた「忘れられた英雄」たちの逸話である。

 

一説によれば、その後少年フロウと少女リナハは木こりとともに地上で暮らし、成人後はハイリアによって浮島に上げられたという。だが、この二人は最後まで地上で静かに暮らしたとする説もある。

 

しかし、初代勇者の時代、浮島には女神ハイリアの立像があり、女神の光り輝く剣がその台座の中に秘匿されていたことを踏まえると、フロウが浮島に上げられたか、あるいは少なくとも浮島の住人たちと交流があったとする説を否定してしまうのに然くはないと私筆者は考える。

 

なお、初代勇者リンクに関する伝承にはこのようなものがある。彼はこの物語からおよそ千年に後生まれた人物であるが、その力と技は先祖のひとりであったある勇敢な人物から伝えられたという。

 

この勇者リンクが生まれながらにして剣術と弓術に長けており、やがて浮島から地上に降りて、魔物に誘拐された巫女ゼルダを救うべく冒険を繰り広げたという事実から、少年フロウとリンクの血縁関係を推測するのは飛躍ではないと私筆者は考える。

 

数々の魔物を打ち倒し、危険な魔窟を踏破したる勇者リンクの武勇は、確かに、浮島における人々の平和な暮らしから得られるであろうものとはかけ離れていた。それゆえ、その力の源は同様の冒険を行った先祖の誰かに帰するしかない、と考えたのが私筆者の結論なのである。

 

これについて異論はもちろん存在しよう。この物語はその多くが筆者の推論によって補われているがゆえ、ただ、私筆者としては一つの可能性としてこの個人的な説を読者諸賢の前に提示するにとどめたい。

 

なお、このささやかな書き物を締めくくるにあたって、私筆者は皆さまに一考をお願いしたい。世に悪事の種は尽きず、人の悩みは数多い。だが、もしも『力なき者の勇気』が世界の命運を変えるとするならば、皆さま一人ひとりが小さな勇を発揮することがどれほど大きな変化につながるか、ということを。

 

最後に、この一編は『空向剣』(ニン・テンドー)と『ハイラル全史』(ニン・テンドー、ショー・ガッカン、アキラヒ・メカーワ)に触発されることなしには完成することはなかったということを申し上げたい。これらの書物を著して下さった方々には、厚く御礼を申し上げたい。

 

ハイラル歴 5126年2月7日

 

城下町にて 筆者 ノコーミミワムラゴンジ

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