転生した狐はメイドになる   作:くまんじゅう

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日間10位?どゆこと?って思いながら書きました。皆さん、ありがとうございます!

ノウェムのストレス解消の話が出るので最初の方でノウェムにドン引きするかもしれませんが、ノウェムは怒るとこうなります。


八星魔王(オクタグラム)

 

 

 

 

 

「・・・・あぁ。ようやく、ようやくですよ、クレイマン」

 

 クレイマンは眼前の『絶望』に、ただただ恐怖する。

 これまで生きてきた中で、これほどの恐怖に身を震わせた事はあっただろうか? 

 

「ずっとずっとずぅっ〜と、待っていたんですよ。この時を」

 

 当然『ない』。自明だ。

 先程リムルに圧倒されていた時でさえ、ここまでの恐怖は感じなかった。

 

「ああ、そういえば─────ギィさん! 停止世界を解除するまで目を瞑っておいてください!」

「あぁ? こっち側(魔王たち)の事情に手出ししやがってよ。てめェ、後で埋め合わせするんだろうな?」

「勿論! 久し振りに世界への宣言もします。契約ですよ?」

「ならいいぜ、契約成立だ」

 

 眼の前の見た目は可愛らしい少女が、理解の及ばない『化け物』に見えてならない。

 最強の魔王であるギィと、あのギィと親しげに話しているこの少女は何だ。ギィ相手に自らの要求を押し通すなど、並大抵の事ではない。

 

「さて、クレイマン。やっと、二人っきりになれましたね♪ あぁ、何て素晴らしい顔。顔の皮を剥ぎとって保存しちゃいたい・・・・・・」

 

 少女の親しげで、いっそ自分に好意を抱いているかのような口調は、クレイマンにとって恐怖の根源でしかなかった。

 悍ましさに震える自らの頬に手を当ててそう呟いているのも、恐ろしさと不気味さを際立たせる。

 

「────ま、冗談ですけどね。貴方の顔なんていりませんよ、ばっちい」

 

 瞬間、顔が焼けた。

 いや、焼けたのか? 崩れ落ちたのか? 分からない。ただ、何(・)か(・)が起こったことだけは理解できた。

 何故なら、言葉では表現し尽くせないほどの痛みと、視界に写ったボロボロの粉が何(・)か(・)が起こったと雄弁に語っているのだ。

 

「痛いでしょう? 苦しいでしょう? 怖いでしょう? 理解できないでしょう? ちゃんと教えてあげるので安心してください。今ね、貴方の頬だけ情報子へ変質させないようにして、そっと触れたんです」

「・・・・ぁ」

「停止世界ってね、分子結合が働いていないから情報生命体でない限り触れたら何でも壊れちゃうんです。どんなに硬い物質でも、どんなに粘性のある生命体でも何でも・・・・・ああ、分子結合なんて分からないか。失敗ですね♪」

 

 少女の解説は頭に入ってこない。

 少女の顔に釘付けになっていたからだ。表情では『笑顔』を作っている。口角も、目元も、何もかもが笑顔として自然だ。

 しかし、瞳の奥に宿る光だけが何一つとして笑っていない。冷徹な光を放っている。

 

「じゃあ次は、こうしよっか」

 

 そう言って少女はクレイマンの頬に添えていた手を離し、少ししたら、今度はクレイマンの手のひらに触れた。

 ガラス細工を持ち運ぶときのように、壊れてしまわないように、大切なものを包むような触れ方だった。

 

「・・・っ!」

 

 気づけば、自身の手は消滅していた。

 痛みも、感慨も、何も無い。ただ『無くなった』という結果だけが残されていた。

 しかし、少女の手の平から放たれた、どこまでも純粋な恐怖だけは魂に刻み込まれた。

 

「私の手を『虚無崩壊』で得た『虚無』に変質させたんです。地獄の『虚無』よりも純粋で、より高位の『虚無』。究極の破壊エネルギーです。どう?怖いでしょう?」

 

 少女の言っていることは何一つ理解できなかった。

 知識の次元が違いすぎる。そして次元が違うのは『力』も同じこと。こちらは自身が持ちえる可能性の全てで持っても調達できない『極地』なのだとは理解ができた。

 

「これで貴方を完全に消滅させてもいいんですけど、それじゃあつまらないですからね。苦しめるには『恐怖』よりも純粋な『痛み』じゃないと」

 

 心底楽しそうにそう言う少女は、首元からペンダントを取り出し、それの姿形を変貌させた。

 ペンダントはいつの間にか、幾つもの刃がワイヤーで繋がれたモノ────蛇腹剣と呼ばれる状態に変化していた。

 

「この武器の名前は『九曜(グラハ)』。これで貴方を斬り刻みます。大きな塊にしてから、段々と小さく。何度も何度も同じ傷を抉って、一気にではなくゆっくりゆっくり、細胞を一つづつ丁寧に削いでいきます。安心してください。バレないよう、最後には傷一つなく治した後にリムルと全く同じ手順で、全く同じ傷を寸分の狂いもなくつけてあげますから」

 

 私は何に手を出してしまったのだろう。

 

「楽しみでしょう?」

 

 助けてくれよ、ラプラス。

 

 ああ、君の言う通りだった

 私は少し、やり過ぎたようです

 君の忠告通り、大人しくしていれば良かったよ

 

 

 

 本当に、君はいつも正しいな─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現実の時間に換算して約二ヶ月後、停止世界は解除された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***********

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・ふぅ、スッキリした!」

 

 私は顔を上げた。

 眼の前には、もはや原型すら分からなくなった何(・)か(・)の成れの果てが、元の、スライムに心を折られた時の姿を取り戻したモノ。

 

「うん、そろそろ良いかな」

 

『停止世界』が展開される直前までいた位置に戻り、服の僅かなシワや立っているときの微細な力のかけ方まで何もかもを当時と全く同じ状況にした後、『停止世界』を解除した。

 

 

「──────之王(ビュート)」

 

 

 リムルがクレイマンを喰らいつくし、結界を解除する。と同時に、ギィが拍手をし始めた。

 

「見事だ。お前が今日から魔王を名乗ることを認めよう。異論のあるやつはいるか?」

 

 ギィがそう周囲に問いかけ、ラミリスさんが騒ぎ出し、ミリムちゃんと言い争いをする。

 幸せな光景だ。クレイマンの処理は楽しかったが、こっちの光景のほうが見ていて幸せだ。比べるまでもない。

 そんな事を考えていると、他の魔王たちもリムルを認める旨の発言を述べ始めた。

 

「まあ良いんじゃないの?」とディーノさん、

「フッ、私は誰が魔王になろうが興味はない。好きにすればいい」とレオンちゃん。

 

 そしてロイが魔王ヴァレンタインとして口を開いた。

 

「フンッ。余としては下賤なスライムが魔王など、断じて認めたくはな────

「グア〜ハハハッッ! 下郎、我が友を侮辱するか? おいミルスよ、従者の躾がなっておらんぞ! 我が教育してやろうか?」

 

 ・・・・・クソトカゲめ、面倒なことを。

 

「何の話でしょう? 私は魔王ヴァレンタイン様の忠実なる侍女ですが」

 

 クソトカゲがルミナス様に変なことを言うせいでルミナス様がそう言って誤魔化す羽目になった。つうかミルスって誰だよ、ルミナス様だよ覚えろ鳥頭のクソトカゲ。

 

「おいダメだぞ! バレンタインはメイドに化けて正体を隠しているつもりなのだ! ヴェルドラよ、それを言ってはダメなのだ!」

 

 ミリムちゃん!? 

 最悪だ。ミリムちゃんが全部バラした。お陰でルミナス様は結構お冠だし・・・・・・これは帰ったら面倒だ。というかミリムちゃんは何かを誤魔化そうとするときに口笛を吹くのをやめたほうが良いと思う。余計バレバレだし相手を挑発するだけだ。

 まあ、確かにルミナス様の変装は正体を隠す気があるのかって思うくらいには分かりやすかったけど。オーラの制御が主人と云う事になっているロイより明らかに上手かったし。

 

「・・・・・・チッ。忌々しい邪竜め、妾の名まで忘れたか?」

「ミルスじゃなかったか? え〜っとスミス、それともイルス・・・・・」

「本当に人をイライラさせるのが上手いものよ。もうよい、妾のことはバレンタインと呼ぶがよい!」

 

 ルミナス様が【魔法換装(ドレスチェンジ)】を使い、メイド服から何時もの黒いゴスロリ衣装へと着替えた。

 もう正体を隠す気は無いらしい。

 というか、お揃いでなくなる事に一抹の寂しさがあるので、そちらの方が私としては重大事項だ。

 

「ロイよ、貴様は先に戻っておれ」

「しかしルミナス様・・・」

「ハア・・・・これだけの者を前に正体をバラされてしまっては、もはや隠しておく意味など無い」

 

 そう言ってクソトカゲをキッと睨むルミナス様はその後、少し諦めたようにロイにルベリオスの警備を厳重にするように伝えている。

 正体は知らずともユウキくんの手勢の侵入を警戒してのことだ。万が一、クロエの聖櫃に入られでもしたらたまったもんじゃない。

 

 その後、カザリームと復活の協力者についての話しもしていた。というかミリムちゃん、カザリームのこと完全に忘れるってどうなの? 育て方ちょっと間違えたかな? 

 後、フレイさんとカリオンがミリムちゃんに仕える事になった。正直あ(・)の(・)時(・)のこともあってフレイさんはあまりミリムちゃんに近付いてほしくないのだが・・・・・ミリムちゃんが良いのなら良いだろう。

 

 私がそんなことを考えていた丁度その時、リムルが恐ろしい一言を呟いた。

 私とルミナス様が行っていない魔王達の宴(ワルプルギス)から帰って来るたびに、ロイが疲れ切っていた原因である、あの恐ろしい事についての一言を。

 

「そうか、十大魔王じゃなくて8人になったんだな」

 

 そう、魔王たちの名称付けである。

 

「困ったのう。威厳的な問題として、また新たな名称を考えねばなるまいよ」とダグリュール、

「幸いにも今は魔王達の宴の真っ只中、全魔王が揃っておるのだし、良い知恵も浮かぼうというものよな」とルミナス様、

「前回は散々だったからねえ。名称を決めるために何度も魔王達の宴を開催する羽目になったもんね」とディーノさんが言うと、

「そんなつまんない用件で魔王達の宴って開催されるものなの!?」とリムルが驚き、声を上げた。

 

 協調性など欠片もない唯我独尊の塊のような奴らの集まり、それが魔王なのだ。

 そんな奴らがまともな名など考えられよう筈もない。

 また何度も魔王達の宴を開催する羽目になろうかという瀬戸際に私達は立たされていた。

 

 しかしそこで、光明が差し込んだのだ。

 

 

 

 

 

 ************

 

 

 

 

 

(あいつらやりやがった!?)

 

 リムルはかつて無い危機感を抱いていた。

 魔王の名称を考える場、そこでヴェルドラを筆頭としたやつらが自分が名付けを得意としていると口々に騒ぎ立て始めたのだ。

 そして、視界の端で嫌な予感そのものが立ち上がっているのが見えた。

 

「今日新たな魔王として立つリムルよ、君に素晴らしい特権を与えたい」

「あっ要らないんで遠慮しときます」

 

 リムルは即座にそう断ったがそれも虚しく、ギィが笑顔で円卓を叩き割り、リムルの元に歩み寄る。

 

「そうだとも。我らの新たなる呼び名を付ける権利、それを君に進呈する。これは大変、名誉なことだから当然引き受けてくれるよな? ・・・・というかよぉ、お前が魔王の人数を減らしたのがこの問題の原因なんだぜ? もちろん、責任取って名前くらい考えるよな?」

 

 リムルの顎を持ち、ギィは優しく言葉をリムルの耳元に落とす。

 面食いであれば喜びそうなシチュエーションだったが、しかしそれはリムルにとっては単なる脅迫でしか無かった。

 

「わ、分かったよ。全く、気に食わなくても文句を言うなよ」

「よし」

 

(8人の魔王だから八大魔王でも良いんじゃないかな? いや、やっぱ安直すぎるか・・・・)

 

 リムルは心の中で多くを考えた。しかし良い名前は浮かばない。

 だが、ふと星空のようになっている天井を見上げた時に八つ星が浮かんでいるのが見えた。

 

 だから、リムルこう名付けた。

 

 

 

 

 

「────『八星魔王 オクタグラム』なんてどうだ?」

 

 

 

 

 

 魔王たちがそれを次々に認めていった。

 

 そして遂にはギィも────

 

「ふむ・・・・良かろう。八星魔王 オクタグラム」

 

 魔王たちが立ち、締めの掛け声が入る。

 

 

「それでは改めまして、八星魔王 オクタグラムの皆さまをご紹介いたします。

 

 悪魔族(デーモン)『暗黒皇帝(ロード・オブ・ダークネス)』ギィ・クリムゾン様

 妖精族(ピクシー)『迷宮妖精(ラビリンス)』ラミリス様

 竜魔人(ドラゴノイド)『破壊の暴君(デストロイ)』ミリム・ナーヴァ様

 巨人族(ジャイアント)『大地の怒り(アースクエイク)』ダグリュール様

 吸血鬼族(ヴァンパイア)『夜魔の女王(クイーン・オブ・ナイトメア)』ルミナス・バレンタイン様

 堕天族(フォールン)『眠る支配者(スリーピング・ルーラー)』ディーノ様

 人魔族(デモンノイド)『白金の剣王(プラチナムセイバー)』レオン・クロムウェル様

 妖魔族(スライム)『新星(ニュービー)』リムル=テンペスト様

 

 以上でございます」

 

 

 青髪の悪魔族(メイド)がそう告げ終わると同時、世界の言葉が響く。

 

 

《告。全生命体へ通達します。今ここに、新たなる魔王『八星魔王(オクタグラム)』が成されました》

《繰り返します。全生命体へ通達します。今ここに、新たなる魔王『八星魔王(オクタグラム)』が成されました》

 

 

「なんだこれ!?」

「俺の古い知り合いが出したものだ。心配はねえぜ」

(いや世界の言葉を出すってどういうことだよ!? そっちのほうが気になるわ!!)

 

 リムルの驚きにギィがそう言い、リムルが更に混乱する。

 

 そんなリムルの混乱を他所にして、『八星魔王(オクタグラム)』の名は世界に刻まれ、新たな魔王の時代が幕を開けたのだ。

 

 

 

 

 

 **********

 

 

 

 

 

「八星魔王(オクタグラム)・・・八芒星から・・・・・【尾裂の術】にも引っかかってないし──────

 

 

 

 魔王とその配下たちが新たな時代の到来に湧く中、ノウェムは一人結論を出した。

 

 

 

 ──────そっか、リムルは私と同じように転生したのか」

 

 

 

 

 

 




九曜のルビがグラハっていう作者も忘れていた設定を出しました。

前回投稿した時は総合評価3400だったのにこれ投稿した時には総合評価3600以上になってる、、、、こわっ

ノウェムは自由学園の教師だけど、アニメ一期OADの校外学習の話書く?たぶんリムルやティス先生と少し話すだけで殆ど変わらない

  • 書け
  • どうでも良いから本編書け
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