超次元なサッカーでドライブシュートを打つ 作:イノウエ・ミウ
ワールドファイターズの予習のため、先日キャプテン翼ワールドユース編を一気読みして参りました。
感想を3文でまとめるとこんな感じです。
・熱い試合(個人的にはウルグアイ戦が一番でした)に終始興奮
・キャプ翼版の『ジャッチスルー』で爆笑
・日向にまさかの○○!?
個人的には日向が一番の衝撃でした。お前は若林と同じタイプだと思ってたのに・・・
フットボールフロンティア地区予選準決勝前日。
辺り一面曇り空で湿った空気が漂う南雲原のグラウンドで、その必殺技は遂に完成した。
「行くよ、桜咲!ぐるぐるシュート!」
来夏の『ぐるぐるシュート』で打たれたボールが螺旋の軌道を描きながら飛び上がり、そこに桜咲がボールの位置まで跳躍した。
「今まで以上の回転だ・・・!だが!」
険しい顔をしながらも、螺旋の軌道に合わせてピンポイントでボールを蹴る桜咲。
「そこだー!」
力強く蹴り下ろされたボールは、地面に落ちて激しい砂塵を撒き散らす。
皆が固唾を呑んで見守っていると、砂塵の中から紫の閃光を纏ったボールが飛び出し、ゴールネットに突き刺さった。
「なにぃ!?」
「入った、のか・・・?」
百人一首で磨いた自身の動体視力でも反応できなかったことに四川堂が目を見開いており、シュートを決めた桜咲本人も困惑しながらゴールに入ったボールを眺めた。
他の皆も唖然としていると、来夏が大声を上げて喜んだ。
「やったー!『春雷』完成!」
来夏の声で我に返った他の部員たちは、『春雷』を完成させた二人の下に駆け寄り、一緒に喜び合った。
「ギリギリ目標達成ね」
「夏休みの宿題と一緒です。最終日でも、終わりよければすべてよし、です」
試合前日に目標としてた連携必殺技を完成させることができ、安堵する香澄崎と雲明。
「後はもう少し練習を続けて、試合に向けた準備を行いたいところですが・・・」
雲明は曇で覆い尽くされた空を見上げると、喜び合っている部員たちに向けて指示を出す。
「この後の天気予報では雨が降るみたいですので、今日はここで練習を終えて、明日の試合に備えましょう。各自、雨が降る前に片付けをお願いします」
雲明の指示に従い、練習を終えて片付けを行う一同。
片付けを終えて、帰る頃には予報通り雨が降り始めていた。
「いやー、一時はどうなることかと思ったけど、なんとか完成できたね!」
「先輩たちの努力の成果の賜物ですね」
「まぁ、あたしに掛かれば楽勝よ。そっちの特訓も順調そう?」
「はい。四川堂先輩も新しい必殺技を身に付けて、更に実力を上げました」
「うんうん、他の皆も順調に実力を上げてるし、これなら北陽も楽勝ね♪明日はきっちり借りを返してやるんだから!」
帰り道が同じということで、翼と来夏は雨で濡れないよう傘を差しながら雨降る道を一緒に歩いていた。
打倒北陽に燃える来夏を翼は微笑ましく見守っていると、あることについて聞いてきた。
「ところで来夏先輩・・・足、大丈夫ですか?」
「え?・・・気づいちゃった?」
一瞬驚いた顔をしつつ、すぐさま困ったように笑いながら聞いてきた来夏に、翼はコクリと頷いた。
「もしかして、春雷の特訓に加えて、
「平気平気!こんなの、少し休んだら良くなるから!それよりも、明日の試合も必ず勝とうね!それじゃあ、あたしはこっちだから・・・また明日!」
心配する翼にそう告げると、来夏は手を振りながら別の道へ向かって走り去った。
その後ろ姿を見ていた翼の胸に、不穏な予感が漂う。その予感は、空を覆い尽くす雨雲のように、晴れることはなかった。
翌日、地区予選準決勝の日となり、スタジアムは賑わっていた。
『さぁ、フットボールフロンティア地区予選九州・沖縄ブロックも遂に準決勝まで来ました!試合前に雨が止んで良かったですね角馬さん』
『はい、選手たちにとっては、絶好のサッカー日よりとなっているでしょう』
『そんな中、本日対戦するのは南雲原中と北陽学園です!角馬さん、今日の試合はどうご覧になられますか?』
『北陽は戦術サッカーを主体としたチームで、個の力より団結を重視しています。これを破るのは容易ではないでしょう。一方の南雲原中も北陽に負けない戦略で西ノ宮と銘蘭を破りました。本日の試合でも、奇想天外のサッカーを見せてくれることに期待です』
予選準決勝ということもあって、会場が一段と盛り上がる中、南雲原のベンチでは、雲明から衝撃の指示が下された。
「春雷を使わないだと!?」
「はい、こちらで使うタイミングを指示します。それまで、春雷は打たないでください」
まさかの北陽戦の切り札として作り上げて必殺技を使わないという指示に、ベンチにいる全員が困惑していた。
そんな中、翼は真剣な表情で雲明に聞いた。
「雲明君・・・それが、今の南雲原が勝つために必要な作戦なんだよね?」
「冗談でこんなことは言いませんよ」
「・・・分かった。皆も雲明君を信じよう。今までの試合で、彼の作戦が間違っていたことは一つも無かった。今日も雲明君を信じて、いつも通り南雲原のサッカーをしよう!」
翼に言われて、他の者達も渋々だが納得した。
「ところで、北陽のキャプテン空宮征は、雲明君の幼馴染みなんだよね?」
「うん・・・空宮征、小さい頃に何度か対戦して、ライバルみたいな存在でした」
「ライバルか・・・そんな相手と戦うんだ。負けられないね」
静かに闘志を燃やしながら、翼は相手チームのベンチを見る。
先日、南雲原と戦い、圧倒的な実力を見せた空宮。戦う前に彼の姿を一目見ようと翼が空宮に視線を向けると・・・
「うおおおおおお!!」
「(なんで泣いてるんだ・・・?)」
なんか号泣してた。
まだ試合は始まっていないのに、既に敗北したかのように泣いている空宮を見て、困惑する翼であった。
そんな一悶着もありつつ、試合開始の時間となり、両選手が各ポジションに配置する。
【南雲原中】
FW:桜咲、来夏
MF:妖士乃、木曽路、翼、柳生
DF:古手打、幕下、亀雄、未理科
GK:四川堂
【北陽学園】
FW:友部、空宮
MF:騎士部、屯田、品乃、保平、新狩
DF:矢倉、城壁、槍崎
GK:陣内
両チーム配置に付く中、翼はフィールドの地面を手で触っていた。
「今日のフィールドは、昨日の雨のせいで少し濡れているな。後半までに乾くかな・・・」
フィールドの状況によるプレイへの影響を冷静に考えながらピッチに立つ翼。
ピー!
試合開始の笛が鳴り、北陽ボールのスタートで友部から空宮にボールが渡った瞬間、彼は走り出しながら大声で叫んだ。
「タクティクス・ストリーム!『トライダイブ』、『ザ・グレイモア』、『サイドラインスピア』」
空宮の掛け声に合わせて、北陽は複数の必殺タクティクスで次々と陣形を変えていきながら南雲原のゴールに迫る。
「いきなり仕掛けてきた!?」
「あの時以上の連携だ。複数のタクティクスを瞬時に切り替えて攻めてやがる・・・!」
ミニサッカーで戦った時とは違う複数の必殺タクティクスで攻める北陽のサッカーに圧倒される来夏と桜咲。
複数のタクティクスを切り替えて、相手を翻弄する。北陽学園のエース、空宮征の俊敏さと切り替えの早さから成り立つ北陽ならではの戦術だ。
「だけど、こっちも対策をしてないわけじゃない!亀雄君!ソジ君!柳生先輩!空宮に『ブロック・ザ・キーマン』を!」
「おう!任せろ!」
翼の力強い声に導かれ、柳生たち3人の選手が空宮を囲むように立った。
これにより北陽は空宮にパスを出しても通らず、空宮もボールを持ってもパスができない状態になった。
「北陽のデータと君たちとのミニサッカーで分かったよ。北陽の弱点・・・それは、どの必殺タクティクスも中心で動いているのが君であること。だから、君を封じれば北陽は大半の必殺タクティクスが機能しなくなる」
「・・・確かに、読みは間違ってないな」
翼の呟きに対して感心するも、空宮は笑みを浮かべたままだ。
「けど、北陽は俺だけを中心としたチームじゃないぜ!品乃先輩!」
「了解だ!必殺タクティクス『シナノフォーム』!」
品乃が叫んだ瞬間、北陽の選手全員が陣形を組んで、南雲原に攻め込んだ。
「こんな攻め方もあるのかよ!?」
幕下が驚きながらも彼を初めとしたDF陣が止めようとするも、品乃を中心とした的確なパス回しに翻弄され、ボールを奪うことができない。
DF陣を突破した品乃は四川堂と1対1の状況に持ち込むと、ボールを高く蹴り上げた。
「パトリオットシュート!」
技名を叫びながらゴールに手を向けた瞬間、上に飛んでたボールがジャット噴射し、不規則な弾道を描きながら勢いよくゴールに向かって飛んでいった。
迫るボールに対して、四川堂は強気で叫んだ。
「特訓の成果、今こそ見せる時だ!」
そう叫んだ瞬間、彼の来ているユニフォームが水色の着物に代わり、四川堂は優雅に舞うと彼の周りの雪の結晶が舞い落ちる。
「氷結の舞!」
次の瞬間、四川堂は手刀でボールを弾くと、ボールは氷に包まれて、四川堂の手に収まった。
「なにぃ!?」
『と、止めた!四川堂!品乃のパトリオットシュートを見事止めました!』
『なんと美しい技でしょう。素晴らしい必殺技です!』
四川堂の新必殺技にスタジアムが盛り上がる。
品乃も自身の必殺シュートが止められたことに驚き、その隙に四川堂はパントキックでボールを高く蹴り上げる。
そのボールをセンターサークルで受け取った翼はドリブルを開始する。
「空宮を封じたら戦術を変えてくることも予測済みだ。例え、シュートを打たれても、空宮以外のシュートなら四川堂先輩の必殺技で止められる」
「そして、全員で攻めたということは、こっちのカウンターが決めやすくなるということだ!」
北陽は先程『シナノフォーム』で攻めたことで、ディフェンスは薄くなっていた。
このカウンターのチャンスを逃さず、翼はドリブルで北陽に迫る。
どうにか追いついた北陽の選手も翼からボールを奪おうとするが、彼の南米式ドリブルで突破されてしまう。
「くっ、早い!」
「このドリブルテクニック、まるで円堂ハルじゃねぇか!」
翼の高いドリブルテクニックに圧倒される騎士部と矢倉。
翼はドリブルを続けて、ゴール近くまで来たタイミングでシュートの体勢になる。
「行くぞ!ドライブシュートだ!」
北陽ゴールに向けて『ドライブシュート』を放つ翼。
「前回は遅れを取ったが・・・貴様のドライブシュートは既に見切っているぞ!」
対する北陽キーパー陣内は、先日全く反応できずにゴールを奪われた時とは違って、威厳ある様子で迎え撃つ。
「グラビティデザート!」
陣内の両手から巻き上げられた砂がドライブ回転しているボールを飲み込む。
ゴール全体が砂嵐に包まれ、砂が晴れた瞬間、陣内の手にはボールが収まっていた。
『と、止めたー!陣内選手、無敵と思われた青空選手のドライブシュートを止めました!』
『相性的にグラビティデザートが有利とはいえ、まさか止めてしまうとは・・・』
「そんな!翼君のドライブシュートが・・・!」
これまでいくつものゴールを奪ってきた翼の『ドライブシュート』が止められ、ショックを受ける来夏。
「やはり真正面だと止められるか・・・(となると、次は向こうの意表を付いて打ってみるか?それとも・・・)」
しかし、シュートを止められた翼本人は、一切動揺することなく、シュートを決める方法について冷静に分析していた。
その後、試合は膠着状態が続いた。
北陽は空宮という司令塔兼エースストライカーが封じられたことで攻撃の手段が限られてしまい、他の選手がゴールを狙うも、四川堂が全て止める。
一方の南雲原もカウンターで攻めていき、翼を初めとしたFW陣が何度もシュートを打つが、陣内の『グラビティデザート』がゴールを許さない。
両者1点も取れない状態で試合が続く中、前半終了間近で遂に試合が動いた。
「シナノフォーム!今度こそ決めるぞ!」
「また来るぞ!皆、相手の動きをよく見ながら止めるんだ!」
品乃を中心に攻めてくる北陽に、翼は各選手に声を掛けながら止める。
北陽は陣形を崩さず、正確なパスワークでボールを繋げながらゴールを目指す。
しかし、『シナノフォーム』を何回も見せたことで、ある程度の動きを予測できるようになった翼が前に出る。
「(よし!この位置ならパスカットできる!)」
翼は品乃から騎士部へパスされるコースを読んで、パスカットしようとした瞬間、翼の姿を見た品乃が笑った。
「かかったな」
品乃は高くボールを蹴り上げた。蹴られたボールは翼の頭上を超えて飛んでいった。
そのパスは騎士部ではなく奥にいた友部に渡ろうとしていた。
「くっ!四川堂先輩!相手の
翼に言われて、四川堂はいつシュートが来ても止めれるよう、友部の動きを観察する。
しかし、友部はそのパスをスルーした。
「なにぃ!?」
「パスミスか!」
翼と四川堂を初め、南雲原の面々は受け取る選手を失い、フィールドの外に出ようとしてるボールに視線を向ける。
そして、そのボールは空宮をマークしてた3人にも目が向けられた。
「緩んだね」
故に一瞬だけ空宮から意識が外れ、その一瞬の隙を付いた空宮が『ブロック・ザ・キーマン』を抜け出し、フィールドの外に出るかと思われた品乃のパスを受け取った。
『空宮!南雲原のマークを抜けて、品乃のパスを受け取った!』
「しまった!」
柳生たちが慌てて空宮を止めようとするが、既に空宮は四川堂と1対1の状況になっていた。
「貰ったぜ。サンシャインブレード!」
「氷結の舞!」
空宮の『サンシャインブレード』に対して、四川堂は『氷結の舞』で対抗する。
手刀で弾かれたボールは一瞬凍ったかのように見えたが、炎を纏うボールが氷の檻を破壊した。
「なにぃ!?うわっ!」
檻を破ったボールは四川堂をふっとばして、ゴールネットに突き刺さった。
『入ったー!先制点は北陽学園!空宮選手の必殺シュートが見事決まりました!』
『南雲原は不意を付かれましたね。品乃選手のパスを友部選手が受けると思いきや、それをスルーして本命は空宮選手に。空宮選手をマークしていた3人も咄嗟のことで判断が遅れて、その隙に僅かの間自由になった空宮選手がゴールを決める。実に見事な連携でした』
『流石は『パーフェクトサッカーの北陽』と言ったところですね!そして、ここで前半が終了!最後に北陽が決めて得点は0対1!南雲原はどうにか後半巻き返しを狙っていきたいところです!』
空宮のゴールと同時に前半が終了した。
北陽の選手がベンチに戻る中、空宮は点を決められて呆然としている翼に言った。
「まさか、いつまでも同じ戦術が通じるなんて思ってないよな?相手がこっちの戦術に対策を取るのなら、それを破るためのプレイをするのは当然だぜ」
挑発するように言いながら空宮は北陽のベンチに戻った。
翼は悔しそうな顔で先程のプレイを反省する。
「(くっ、やられた・・・!パスを受け取る相手がシュートすると思って、その裏をかかれた。あのパスも最初から空宮へのパスだった)」
「(そして、一瞬の隙を逃さず、ブロック・ザ・キーマンを抜けてゴールを決めた・・・空宮征、手強い選手だ。それに・・・)」
空宮の強さに警戒しながら、翼はもう一つの懸念に目を向ける。
視線の先には『ブロック・ザ・キーマン』を仕掛けた柳生、木曽路、亀雄の3人が激しく汗をかいて疲れている様子を見せる。
「「「ハァ、ハァ、ハァ」」」
「(3人共、かなり消耗している・・・当然か。ブロック・ザ・キーマンは相手のキーマンとなる選手を封じる技。そのために、対象となる選手を常に全力でマークし続ける必要がある)」
故にそこからくる疲労も激しい。このままでは試合が終わるよりも先にスタミナ切れを起こしてしまう恐れがある。
「(この調子だと、後半までには持たない。そうなる前に何か策を立てたいところだけど・・・)」
翼はベンチにいるキャプテンの雲明に目を向ける。
この試合、切り札である『春雷』を指示があるまで使うなと彼は言ったが、翼にはその意図が理解できなかった。
「(雲明君、君は何を考えている?君にはいったい何が見えているんだ・・・)」
ベンチにいる彼にはこの試合でいったい何が見えているのか。その疑問を浮かべたまま翼は南雲原のベンチに戻った。
今日の『燃えてヒーロー』:青空翼、空宮征
この世界戦の翼は、フィールドの状態でサッカーのプレイに影響を及ぼす点は理解していますが、特定の必殺技で起こるフィールドの影響については、まだまだ未熟なところがあります。
ですので、雲明の作戦にはまだ気づいてないです(ヴィクロの二次創作では、大半のオリ主がこの時点で雲明の狙いに気づきますが、翼には瞳子監督や久遠監督のような具体的な説明のない指示の翻訳に頭を悩ませる鬼道の気持ちを味わっていただこうと思います)。
次に見たいキャプ翼のキャラ(オリキャラ)は?
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岬太郎
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若林源三
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三杉淳
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松山光