東部シ協会の制服に着替えて弓刀と刀のメンテナンスを行いながらメフィストフェレスに揺られる望、昼間に出発してから気が付けば夕方……日が完全に落ち始めており夜が目前に迫っていた
「ヴェル、神野区に入った」
「ご苦労カロン……サンチョ、準備はいいな?」
「準備万端です、認識阻害の外套も持ってきましたしシ協会なりのやり方で爆豪くんの救出をします」
「わかってると思うが無茶だけは禁物だ、無理と判断したらすぐさまヒーローに任せろ……いいな?」
「了解です」
席から立ち上がりながら弓刀と刀、レーヴァテインを腰に付けた四角上の弓筒に収納し認識阻害の外套を羽織り準備が終わったことを伝えると人混みが少ない所で停車、そのまま下車してメフィストフェレスを見送った
「(……さて、ここからは私の仕事ね。ヤオモモから貰った発信機の受信先は……廃工場?こんな所に爆豪くんが?いや確か脳無に取り付けたらしいからそうなったのでしょうけど文句は言ってられないわね)」
外套のフードを被りながら発信機の座標を確認しながら夜の繁華街を歩いていく、夜ということもあって帰宅ラッシュだったり夜の街を楽しむ人達で溢れかえっていた……ここが後ほど地獄に早変わりするのはこの時この場にいた人達は分からないだろう
「(?あれは……緑谷くん達?もしかして爆豪くんの救出に来たのかしら?声は……掛けた方がいいかしら?ていうか何あの格好変装?)」
暫く歩いていると某激安の殿堂ならぬ激安の王道のドンキオオテにてカツラやらなんやらで変装をしていた緑谷達を発見した……ちなみにこの時の望、普通に笑いそうになってるのを堪えてます
「オッラァ!コッラァ!」
「緑谷もうちょい顎引いてみろって」
「パイオツカイデチャンネーイルヨ!」
「……飯田お前そんなんでいいのか?」
「ンブフゥ!?……クックク……」
望……緑谷、切島、八百万、轟までは耐えれたものの飯田の物議を醸す普段絶対言わない事を言わされているのを目撃して吹き出した。わかるよ普段真面目なやつが演技とはいえぶっ飛んだこと言うと面白いもんね
「(流石にあれに声かけるの勇気いるなぁ!?……でも言っとかないと何があるか分からないし)スゥーハァー……失礼、少し良いかしら?」
「な、なんでしょう?」
「えっと……どちら様で?」
「パイオツカイデチャンネーイルヨ!」
「ングッフフフ……まさか貴方達が来てるなんて予想してなかったわ、色々と予定は組みたいからちょっと裏路地まで同行お願い出来るかしら?」
「「「き……鬼血さん(君)!?」」」
笑いを堪えつつも外套のフードを外しながら裏路地に同行を促しながら5人を連れていく、互いに事情を説明しあいどうするかの話し合いになった
「鬼血くんも爆豪くんの救出に来たのかい?」
「そんなところ、正確にはとある人からの指令でね」
「指令……ですの?」
「誰からの指令かは詳しくは言えないけれど【シ協会フィクサーとして神野に連れ去られた爆豪勝己を救出せよ、手段は問わない】っていう指令が来てね、どうやってあの馬鹿を連れ出すか悩んでたのよ」
「随分と行き当たりばったりじゃねぇかそんなんで良いのか?」
「普段からこんなんよ?取り敢えず私は弓の狙撃ポイントに向かうけど皆は発信機の所まで向かって欲しいの」
「その後はどうするんだ?全員でカチコミか?」
「私はフィクサーとしての依頼で個性の使用は認可されてるけど皆は戦闘許可が解除されているでしょ?私がどこかしらのタイミングで爆豪くんをぶん投げるからそれをキャッチして逃げて欲しいの」
「手段は問わないと仰られてましたがそういう事ですの?」
実際問題フィクサーって思ってた以上に行き当たりばったりなことが多いし割と雑でも実力さえあればどうとでもなるのよねこういう状況って……取り敢えず動きがあるまで望は狙撃ポイントへ移動、残り5人もなるべく見つからない様に隙間に入って待機することにした
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5人と別れた後望は程よい狙撃ポイント……行ってしまえばそこそこ距離の離れたビルの上に陣取りつつポイントの廃工場が良く見える位置に移動していた
「到着っと……この位置なら弓で狙撃も出来るし見つかりにくいでしょ、そういやヤオモモからインカム創造して貰ったけどちゃんと報告来るのかな?」
『あの……鬼血さん……聞こえますか?』
「ばっちしよヤオモモ、どうしたの?」
『あ……えと、切島さんに変わります』
『……鬼血、あの工場の中……工場の中に……』
「切島くん?どうしたの?ハッキリ言って!」
突然変わると言って変わった切島だったがその声は異様に震えていた……まるで見てはいけないような何かを見たかのようなそんな声を出していた
『工場の中に……脳無を……作って……』
「まさか……脳無の製造工場?廃工場を隠れ蓑にしてそんな物を作ってただなんて(もしかしてヴィラン連合はラグドールさんの誘拐も視野に入れていた?でもなんの為に?)」
ヴィラン連合側の真意は分からない……しかしながら別の視野角で見ると大元を叩けるチャンスでもあると思った望だが裏を返せばその工場付近にいる5人の命も危ないとも取れる、そう頭を回転させているのも束の間……突如として工場が爆発した
「っ!?なんで急に!?切島くん応答して!」
『こ……こっちは全員大丈夫だ!運良く壁も残ってくれた』
「(向こうの安全確認が取れた……それに射角が取れる様になったし構えなきゃ)」
矢は勿体ない、ということでいつも通り硬血で矢を生成し構えを取りながら破壊された工場を見てみると中心部に黒いマスクを付けたスーツ姿の大柄な男が立っていた……が望は心の奥底に覚えていた、あの時街を壊し同族を虐殺した男の特徴を
「……は?なんで……あいつがいるの?」
一種のトラウマ……そう読み取れるような感情が望の中で渦巻いていた、向こうは恐らく覚えている所か望の存在を知りはしないだろう……然しながら望だけは確かに覚えていたのだ
少しすると爆豪が泥の中から現れた、恐らく無理やりワープさせられてきたのだろうと推測するや否や望は弓刀を構えて射貫く体勢に入った……雑念を振り払うように頭を1度振るい件の男に向けて照準を合わせ……望も1つ重ねて放つ、当たるかどうかではなく気を逸らせれるかどうかに賭けて次のポイントへと移動していく
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脳無製造工場制圧に対して差し向けられたMt.レディ、ベストジーニスト、ギャングオルカ、虎を退け自身の持つ泥ワープを利用してヴィラン連合並びに爆豪を自身の元へ連れてきた謎の男……オールフォーワンは悠々自適とヴィラン連合と爆豪を迎え入れていた
「すまないね爆豪くん」
「ゲホッゲホッ……あぁ!?」
「弔……また失敗したっ!?」
会話をいざ始めようとした矢先、オールフォーワンの右腕肘関節部……そこに金色の輪と深紅の矢が貫かれたのだ、望の矢は気をそらす所か直撃させる事に成功したのだ
「一体……何処からの……ぐっ!?」
「先生!?」
「何が起きてやがる?」
「今度は足……着実に僕の身体にダメージを入れながらの狙撃とはね……しかも僕の探知系個性フル活用でも見えない位置からとは、ここは一度逃げた方が良いよ弔」
損傷した腕と足を再生させながら指先から赤い発光ラインを迸らせる黒い何かを伸ばし黒霧に差し込み無理やり個性を起動、爆豪を連れて逃げるよう打診する
「ふっ!」
「ぐっ!?」
しかしそれを許さないかのように望の刀がオールフォーワンの片腕を切り落としながら爆豪の元に着地しながら勢いを付け爆豪を遠目に放り投げる、それと共に緑谷、切島、飯田が轟の作った氷のジャンプ台で回収し離脱していった
「うっそだろ!?」
「まだ追えるわよ!」
「行かせると思いで?」
望は刀を納刀し抜刀の構えを取りマグネに向け深紅の炎で作られた斬撃波を放ち牽制、回避した所に後頭部を鞘で殴り付けダウンさせた
「逃がしたか……ん?」
「全てを返してもらうぞ!オールフォーワン!」
「また僕から奪う気か?オールマイト!」
望の圧倒的なまでの電撃戦による時間稼ぎが幸をそうしたのかオールマイトが到着、その隙と言わんばかりにグラントリノが数名ダウンさせるがオールフォーワンの力によってマグネの個性を強制起動させられ撤退を余儀なくさせられた
「君は……一体」
「ラ・マンチャランド所属一級フィクサーのサンチョです、依頼に伴い爆豪くんの救出を行いました」
「鬼血少女か!爆豪少年は!?」
「私が着いた時点で緑谷くん達と協力して逃がしましたよ……後はそいつをぶっ倒すだけです」
外套とフードを外しながら説明を行い再度臨戦態勢に入る望、揺らぎ続ける己の心を律しながらオールフォーワンを常に捉え続ける
「……なるほどあの矢の持ち主は君か……どうりで鋭い訳だ、そして何よりこの速さは流石は一級フィクサーと言ったところだ」
「推定都市の星……いいえ【不純物】オールフォーワン、フィクサーの名において貴様をここで殺す」
「随分と物騒なことを言うね……それに【不純物】か、話を聞いていた限り都市の星が最上位だと思っていたのだがね」
「貴様に話す道理などない、多くの人命を奪い続けたツケを払って貰うわよ!」
心を発現し懐に潜り込み首筋に対して爆発的な熱量を発する刀で焼き切ろうとするが運悪く避けられた挙句首筋にすら届かなかった……がそこに
「デトロイトスマッシュ!」
オールマイトの追撃が刺さり頭部の仮面を叩き割った……が
「ふふふふ……えらく感情的じゃないかオールマイト……何か不都合なことでも?ああそうか君たちは多いものなぁ?護るべきものが」
「効いてない?」
「俊典!やつの言葉に耳を貸すな!」
オールフォーワンがオールマイトを弾き立ち上がる、それに対してグラントリノが追撃するが避けられオールマイトが二撃目を入れようとするが先の泥ワープによってグラントリノが転送、盾にされた挙句衝撃が反転したのかオールマイトの片腕がぶらついた
「オールマイト!?」
「っぐぅ!?デトロイトスマッシュ!」
「ふふふふふ……相変わらず力任せだねぇ?」
それに対して退くこともなくオールフォーワンが追撃を入れようとするがそれに対しグラントリノを回収しながらオールフォーワンの攻撃を相殺した
「はぁ……はぁ……鬼血少女、すまないが後は我々ヒーローに任せて欲しい」
「ですが!」
「はぁ……はぁ……ぬうぅぅあぁぁぁぁぁ!!!!」
「ちょっと!?オールマイト!オールマイト!」
一度バックステップを挟んだオールマイトは望の胸倉を掴み無理やり遠方へと投げつけた……これ以上は巻き込みたくないというオールマイトなりの気遣いなのだろうか……望は為す術もなくその場から離脱させられていったのだった
本来はこの後オールマイトとオールフォーワンとの決着のもようを書く必要があるんですが基本望視点の為カットとなります、申し訳ない……そのため次回は諸々の後処理と入寮になります
【TIPS】サンチョ専用シ協会用太刀
望がシ協会にて使用している刀、特別製でムク工房とスティグマ工房との合作となっており頑丈で取り回しが良く血炎を利用することによって斬撃波を放てれるように設計されている