インフィニット・ストラトス ~An Irregular Bound~ 作:れみんとぅ
遂に買います。…アコースティックギターを!
憧れのモデルを買うべく貯めに貯めまくった諭吉を!
今こそ!解き放つ時!
というわけで凰鈴音初登場です。言いにくいですね、ふぁんりんいん。
原作1巻分を出来る限り早く終わらせたい。そして早くシャルを。ラウラを。ヒロインズを。
では、第5話 中国代表候補生と、新たな出会い お楽しみください。
「あ、織斑君アマーリア君おはよう。ねえねえ、転校生の噂、聞いた?」
クラウスと一夏がいつも通り教室に入ると、すぐにクラスメイトから話しかけられた。
入学から数週間で、2人は女子ともそれなりに話せるようになっていた。一夏曰く、「『ぼっち』は寂しい」らしい。
「転校生?今の時期に?」
一夏が返事をする。今はまだ4月。
それに加えてこのIS学園は転入の条件がかなり厳しい。試験と、更に国の推薦が必要になる。
それをパスして転入した、という事はつまり…
「そう。なんでも中国の代表候補生なんだって」
「へぇ〜」
ということになる。そして代表候補生と言えば、
「あら、私の存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら」
イギリスの代表候補生、セシリア・オルコットが話の輪の中へ。腰に手を当てたポーズがとても様になっている。
「このクラスに転入してくるわけではないのだろう?騒ぐ程の事でもあるまい」
一夏の幼馴染、篠ノ之箒がいつの間にか側に来ていた。噂には敏感という事なのだろう。
「どんな奴なんだろうな」
一夏がそんな事を言う。しかしそれはちょっとした地雷だった。
「む……気になるのか?」
箒がそう尋ねる。
「ん?ああ、少しは」
「ふん…」
一瞬で箒の機嫌が悪くなる。まさに『ムスッ』とした顔である。
「今のお前に、女子を気にしている余裕があるのか?来月にはクラス対抗戦があるというのに」
「そう!そうですわ一夏さん!クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょう。ああ、お相手ならこの私、セシリア・オルコットが務めさせていただきますわ」
「い、いや、クラウスがいるし手は足りてるんだけど…」
「手は多いに越したことはありませんわ!」
「お前ら2人が組んだら死ぬから!」
現在、1組で専用機を持っているのはクラウス、一夏、セシリアの3人。模擬戦をするのならこの3人で行うのが手っ取り早いのだが、そうなると訓練内容が倍の厳しさになるのだった。
「あまりオーバーワークはさせないほうがいい。無理をさせて本番に力を発揮できなければ本末転倒だ」
「そ、そうだぞ!クラウスの言う通りだぞセシリア!」
「そ、それは…そうですけど…」
一夏へのアピールが上手くいかず、しゅんとなるセシリア。その仕草は間違いなく『可愛い』と言えるものだったが、残念ながら思い人は気付かなかった。
「くっ…この人さえ居なければ…」
「戦ってやってもいいが、タダで済むと思うなよ」
セシリアが悔しげにクラウスを睨む。彼は視線を平然と受け止めた。
和解後に初めて、一夏が師匠などと言うクラウスの事を、セシリアは聞いたのだが、
『特訓中は彼に
しかも
ちなみに、クラウスの使ったISは
「…遠慮しておきますわ」
「それがいい」
触らぬ神に祟りなし。セシリアはこの言葉を知らなかったが、同じような心境だった事は間違いない。
「まあ、クラス対抗戦はやれるだけやってみるか」
一夏の発言に、クラスの皆が反応する。
「やれるだけでは困りますわ!一夏さんには勝って頂きませんと!」
「そうだぞ。男たるもの、そんな弱気でどうする」
「織斑君が勝つとクラスみんなが幸せだよ!」
口々に好きな事を言う。
実のところ、ここ最近一夏は基本操縦でつまずいていて、とてもじゃないが自信に満ちた返事はできなかった。
(最初に動かしたときは凄い馴染んだんだけどなぁ…)
クラウス曰く、『速度が出ていたからそれで誤魔化しが効いていた』だけらしい。
ゆっくり安定して操縦できるようになって初めてその先へ行けるのだそうだ。
「まあ、今のところ専用機を持ってるクラス代表は1組と4組だけだから、大丈夫だよ」
1人がそう言う。皆が同意する中、1人だけ…教室の入り口に立つ少女だけは違った声を上げた。
「その情報、古いよ」
皆が一斉に振り返る。腕を組み、片膝を立て、ドアにもたれて話す少女。
「2組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
彼女を一目見て、一夏には知り合いだとピンと来たようだ。
「鈴?お前、鈴か?」
「そうよ。中国代表候補生、
ツインテールを軽く揺らし、ふっと小さく笑みをこぼす。
一夏が不思議そうな顔をして言った。
「…何格好つけてるんだ?すげぇ似合わないぞ?」
「なっ…!?何台無しにしてんのよアンタは!!」
どうやらこれが素の彼女らしい。
と、ここで鈴の背後に黒い人影が。
「おい」
「なによ!?」
スパァァァンッ!!!
鈴に痛烈な出席簿アタック。つまり、鬼教官こと織斑千冬の登場である。
「もうSHRだ。教室に戻れ」
「ち、千冬さん…」
「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ。そしてどけ入り口を塞ぐな。邪魔だ」
「す、すみません…」
ドアからどく鈴。その態度は、傍目から見ても、初見でもわかるほどにビビっている。
「また後で来るからね!逃げないでよ一夏!」
そう言い残して、彼女は教室へ戻っていった。
「待ってたわよ一夏!」
再び登場凰鈴音。手には盆を持ち、ラーメンが鎮座している。それを見て一夏が一言。
「のびるぞ」
「わ、わかってるわよ!大体、アンタを待ってたんでしょうが!なんで早く来ないのよ!」
エスパーか。その言葉を、一夏は寸前で飲み込んだ。
「それにしても久しぶりだな。ちょうど丸1年ぶりになるのか。元気だったか?」
「も、もちろん元気だったわよ。アンタこそ、たまには怪我病気でもしたらどう?」
「どういう提案だよそりゃ…」
自分の周りに、やけにアグレッシブな女性ばかりが集まって来る事に一夏は疑問を感じつつも、まあぼっちよりはなと思い直した。
「んんっ!」
「い、一夏さん?もうお料理が来てましてよ」
箒の咳払いとセシリアの声で一夏は自分のトレーに気付く。持ち上げると鈴を促して空いた席へ。
「中学の時の友達にもう連絡したのか?きっと喜ぶぞ」
「あー…そのうちね。それより一夏、アンタこそ突然じゃない。いきなりテレビで観たときは驚いたわよ」
言うまでもない、ISを動かしたことについてだ。鈴の問いに一夏は苦笑いしながら答える。
「ま、まあ、色々あってだな…。それよりも、店はどうなったんだ?またやるのか?」
彼にとっては何の変哲も無い世間話のつもりだったのだが、その言葉が鈴の表情をピシッと固めた。
「え?えーっと、それは…」
「…一夏。そろそろ説明して欲しいのだが」
ちょうど、箒が一夏へと声をかけた。鈴にとっては不本意ながら助かるタイミングではあった。だが…
「そうですわ!お2人はその、つ、つつつ付き合っていますの!?」
「ひぇっ!?」
セシリアの言葉でもう一度固まる事になった。
「えっ、えっとそれは…」
「いや、そういうのじゃないな。ただの幼馴染だ」
「……」
更に一夏の言葉で不機嫌になるのだった。
「幼馴染?幼馴染は私だろう!?」
箒が一夏へ詰め寄る。気圧されながらも一夏。
「い、いや、どっちも幼馴染なんだって。箒がファースト幼馴染で、鈴がセカンド幼馴染」
「ふ、ファースト…そうか。私が最初か」
何故か箒の機嫌が直った。そして一夏の隣で鈴が不機嫌になった。会話に入れないセシリアも不機嫌になった。
ギスギスした空気を察した一夏は心の中で唯一の男友達を思い出す。
(クラウス…助けてくれ…)
「…くしゃみが出そうで出なかった。誰か噂しているな」
IS学園、第1整備室。クラウスはそこで、バランス栄養食を咥えて自機の調整をしていた。
「…スラスターの作動はいい。点火タイミングを早めるか…ピーキーになるが、そこは俺が何とかすれば問題ない」
これから行う作業を小さく呟きながら、てきぱきと手を動かしていく。が、ふとその手が止まり、振り返った。
「…気になるなら、隠れていないで間近で見たらいい」
入り口へと声をかけ、返事を待つ。すると、1人の生徒が遠慮がちに姿を現した。
「…いつから、気がついてたの…?」
「今日は、君が来た時から、だな」
水色のロングヘア。癖っ毛なのか、毛先が内側に巻いている。眼鏡の向こう側に覗く赤い瞳が、絶えず細かく泳いでいた。
「あの…ごめんなさい…」
「別に謝る事ないよ。専用機は大なり小なり気になるだろうからな」
少女は俯いたままだ。クラウスは作業に戻りながら続ける。
「俺はクラウスだ。クラウス・アマーリア」
「うん…知ってる…有名、だから…」
「ははは、学園にたった2人しかいない男子の片割れだから当然か」
苦笑しながら作業を続ける。今度は少女から口を開く。
「あ…あの、私の名前は、
「更識さん、だな。よろしく」
「うん…」
自己紹介を終えると、沈黙が整備室を支配した。音といえば、時折、カタカタとクラウスがキーボードを叩く音が聞こえるのみ。
それを破ったのは、クラウスだった。
「…よし。これでいい」
ぐぐっと伸びをして、使った装置を手早く片付けた。
そして、それまで黙って機体を見つめていた簪が彼の方へ顔を向ける。
「もういいの…?」
「ああ、今日は微調整だったから、あまり時間はかからなかった。よければ、俺の機体のデータ、見てみるか?」
「えっ…?」
機体のデータを見せるのは、時として国の機密に触れる。だが、代表候補生ではないクラウスにとっては当てはまらない事だった。
「俺は代表候補生じゃないからな。機体も個人から借り受けたものだ」
そう言って、彼はタブレット端末で機体のデータを呼び出し、そして簪へ差し出す。
簪はそっと受け取り、表示された情報を読んでいく。その表情がすぐさま変わった。
「すごい…計算値と計測値の誤差がない…」
「調整したばかりだからな」
「これを…全部1人で…?」
ばっと顔を上げ、真っ直ぐにクラウスを見る簪。突然の変化に少し驚きつつも、答える。
「もちろん、クラスメイトや整備科の先輩に聞いて回ったが、機体自体は俺しか弄ってないよ」
「…もしかして、クラスメイトって…本音…?」
「ん?ああ、布仏にも色々聞いたな。夕飯を奢らされたが、わかりやすくて助かった」
「…本音、からも…聞いてた」
「知り合いなのか?」
「うん…幼馴染…」
「…そうか」
『幼馴染』という言葉に、僅かにクラウスの表情が曇る。
「…?」
「…ああ、すまない。なんでもないんだ」
それを聞くと、簪は再び夢中になって機体データを読み始めた。左から右へと絶え間なく視線が動いていく。それを見て、思わずクラウスの口からふっと笑いが溢れる。
「…いま、笑った…」
少し避難の念が篭った目を向けられ、苦笑しながら弁明する。
「いや、悪い。あんまりかじりつくように読むからちょっと嬉しくなってな」
「嬉しい?」
かじりつくように、と言われ頬を染める簪。クラウスの言葉は続く。
「うちのクラスの専用機持ちは、調整にあまり興味がない。つまりは話し相手がいないのさ」
がっかりしたように言うクラウス。だがその姿に今度は簪が笑った。
「…笑ったな」
「ごめんなさい、つい…」
笑った事で場が和む。クラウスは簪へ、少し突っ込んだ質問を投げかけた。
「更識さん…名前を聞いて思ったんだが、4組のクラス代表で、日本の代表候補生、だったよな」
ぴくっ、と肩を跳ねさせたのを、彼は見逃さなかった。失敗したと撤回するべく口を開きかけた。だが、
「…うん…専用機は、まだない、けど…」
簪の答えの方が早かった。あまり聞かれたくない事なのは、表情を見るからに明らかだ。
「…もしかして、1人で組んでいるのか?専用機を」
返事はない。だが視線がクラウスから逸れた。
「そして俺の機体のように『打鉄』ベース、か」
「…うん」
絞り出すような声。完全に失敗したとクラウスは内心後悔していた。
「…『打鉄』ベースなら俺の機体の稼働データも役に立つ事があるかもしれない。持っていくといい」
簪が驚いてクラウスを見る。代表候補生からしてみればかなりの出来事なのだろう、返事がたじたじになってしまった。
「えっ、いや、それは」
「言っただろう、この機体は借り受けたものだ。機密も何も関係ない、『好きに使え』と言われているんだ」
「でも…」
「いいんだ。それに俺のためでもある。更識さんがどんなISを組むのか興味があるんだ」
その言葉が止めになったのか。
そっとクラウスのIS稼働データを受け取る簪。
恥ずかしそうにはにかみながら、彼女は言葉を紡いだ。
「…ありがとう」
「何か手が必要な時は呼んでくれ。力仕事は男の仕事だ」
「うんっ」
クラウスの言葉に、簪は満面の笑みで応えた。
その日の放課後。クラウスと一夏はアリーナで操縦訓練をしていた。ここまではいつも通りだったが、今日は少し違っていた。
「クラウスさん!私と模擬戦をして頂けませんか!」
セシリアがいるのである。しかもブルー・ティアーズを纏って。つまりはやる気満々。
「……」
「あからさまに面倒そうな顔をしないでください!今日は私自身の力で一夏さんを奪い取ってみせますわ!」
「いや奪うってなんだセシリア!?」
『奪い取る』と言われて驚く一夏。構わずセシリアはクラウスを見据える。
はぁぁぁぁぁ……、と。
長い長いため息が聞こえる。
「…わかった。受けて立とう」
クラウスの表情が変わった。鋭い眼光がセシリアを射抜く。怯まずセシリアも彼を見返す。
「…行きますっ!」
「え!お、おい!」
一夏の素っ頓狂な声を置き去りにして、4基のビットがクラウスを四方から囲む。
4方向からレーザー。逃げ道も塞いだ。確実に当たる。
ギリギリをレーザーが通過し、土煙を上げる。
クラウスが右腕を上げる。手には拳銃。
ダァァァァンッ…!!
拳銃とは思えない重い破裂音を響かせて、弾丸が発射された。
セシリアが大きく仰け反って吹き飛ぶ。
完璧な。一撃で終わらせるヘッドショットだった。
今日気が付きました。というか今さっき見ました。
お気に入り登録数が2桁に…!!
ありがとうございます。励みになります。本当に。
やる気が出てきました。これはかなり捗ります。
次の目標はお気に入り登録数20です。頑張ります!!
では、次回もよろしくお付き合いください。