インフィニット・ストラトス ~An Irregular Bound~ 作:れみんとぅ
これを書いたのは学校の授業中です。英語とかマジワカンネ。
かなり早く書き上げることができました。新たなモチベーションの力はすごい!頑張ろう!
原作1巻分は恐らく次か、その次で終わるかと思われます。原作2巻分はどれくらいかかるかな…うわぁぁぁぁぁ(壊)
では、第6話 異変 お楽しみください。
「完敗ですわ」
プクゥッと頬を膨らませ、セシリアは言った。額がほんのり赤くなっている。
3人は模擬戦を終え、食堂に来ていた。四人掛けのテーブルに座り、一夏が苦笑を漏らす。
「だから言ったじゃないか…勝てないぞって」
「そうですけど…女性の顔を狙うなんて紳士とは言えませんわ」
一夏の呆れた声に、不機嫌そうに返す。
ヘッドショットの事が気に入らないらしい。
「模擬戦なのだから、ダメージの大きい頭を狙うに決まってるだろう。それとも女性の間では暗黙の了解だったか?」
「…もういいですわ」
もういいとは全く思っていない顔。
正直、クラウスは心底面倒臭く思っていた。一夏もそれを察しているのか、先程から苦笑いが絶えない。
「けど、あの一発の為に拳銃を一丁ダメにするなんてクラウスも思い切った事するもんだな」
そう、あの瞬間、クラウスの拳銃は想定を超過したノックバックに耐え切れず、銃身が砕け散ったのだ。
「ダメになったわけじゃない。パーツを取り寄せて修理すればまた使えるようになる」
自作の弾丸で無理矢理威力を上げたため、バレルが火薬の量に耐えきれなかった。まずそのバレルが破裂、内側から銃身を破壊した。
「私が勝負を挑むとわかっていらしたんですの?」
「俺と一夏について来て、ブルー・ティアーズを展開した時点でそう判断した」
一夏はなんとなく、クラス代表を決める前の事をまだクラウスが根に持っているのではと思い始めた。
セシリアに対する受け答えがやたら素っ気ない。そして容赦なく額を撃った事からもそう考えられる。
(…なあ、もう許してやれよ)
(突然何だ?俺がオルコットに何かされたか?)
こっそり聞いてみてもこの通り、まともに答えない。
どうしたものか。一夏にはどうも手に負えないようだった。
「相席してもかまわないか?」
と、ここでちょうど箒がトレーを持って一夏達3人へ声をかけてきた。
「箒か。ああ、勿論いいぜ」
助かった。と一夏は思った。一瞬箒が女神に見えた。それほどにクラウスとセシリアの醸す雰囲気が悪かったのだ。
(…クラウスとセシリアは何を不機嫌そうにしているんだ?)
(今日、2人が模擬戦をしてからずっとこんな感じなんだ。それがクラウスがさ…)
話を一通り聞いて、箒は思わずクスクスと笑いだした。
(お、おい箒…)
(簡単な事だ。お互い少し気まずいのだろうな)
笑いをかみ殺しながら箒は続ける。
(セシリアは負けて悔しいのだろうし、クラウス自身も少しやり過ぎたと思っているんだろう。そのうち2人とも元に戻るさ)
(そ、そうなのか…本当か箒?)
(ああ。剣道部で何度も経験した私が言うのだから間違いない)
笑顔で箒が答える。経験者が言うのなら間違いないのだろう、と一夏は考えるのをやめた。
だが、この空気はいかんともしがたい。一刻も早く修復しなければ胃がもたなかった。
「…さっきから何をこそこそ話しているんだ?」
ずっと気になっていたらしいクラウスが箒に尋ねた。
「いや、クラウスはいい奴だなと思ってな」
どこか嬉しそうな箒が話す。すると、彼も笑顔でこう言った。
「そうか。…今気が付いたが、箒は笑うと綺麗だな」
「なっ!?き、綺麗って…!!」
ボフッ、と箒が顔を真っ赤にする。
その間にクラウスは一夏へアイコンタクトを送る。受け取った一夏はチャンスとばかりにニヤニヤと笑って流れに乗った。
「そうだな。笑ってる箒はめちゃくちゃ可愛いぞ」
「ひゃっ!?いい一夏っ…!?か、かわっ…!!」
箒は真っ赤な顔でぱくぱくと口を動かす。よほど衝撃的だったのか、言葉になっていない。
悪ノリした一夏もクラウスを見る。互いの顔は悪戯っぽく笑っていた。
ちなみに、側では完全に置いて行かれたセシリアが別の意味で頬を膨らませていた。
学生寮の廊下で、何かを探す少女が1人。
鈴は、一夏を探して寮内を歩き回っていた。
「特訓だって言うからアリーナに行ったのにいないし、本当にどこいったのよアイツは!」
愚痴りながら歩いていると、視線の先に知った顔が。
「あ!ちょっとアンタ!え、え〜っと」
そういえば名前を聞いていなかった。1組で一夏達と話していた、世界でたった2人だけの男のIS操縦者の1人。
スポーツドリンク片手にジャージ姿のその人物に、何とか気付いてもらおうと声を上げる。
「ん…?確か転入生の…凰鈴音」
気がついたらしい。鈴の側まで歩いてくる。
日課のランニングからちょうど帰ってきたクラウスが、鈴を見て思い出したように言った。
「そうよ、凰鈴音。だけど面倒だし鈴でいいわ。ちょっと聞きたいんだけど、一夏どこにいるか知らない?」
「一夏なら、もう部屋にいるはずだが」
「何号室?」
「そこの1025号室だ」
鈴の真横にある部屋だった。どことなく脱力感を味わいながら、鈴は一夏がいるであろう部屋の扉を睨む。
「へぇ〜…自分だけさっさと帰ったわけ」
「何か約束でもしていたのか?」
「へっ?いや、そういうわけじゃないけど…」
言葉につまり、目が泳ぐ。クラウスは気にせず続ける。
「まだ寝ていないと思うが、篠ノ之もいる。一応ノックはしたほうがいいと思うぞ」
そして聞き捨てならない事を言った。
「なに…アイツ、女子と同室なの!?」
「ああ。初日に無理矢理ねじ込んだからどうしようもないそうだ。未だに部屋割りの調整はしてるらしいがな」
「…信じらんない」
「俺も最初はそう思った」
クラウスの声は届いていないようだ。鈴は踵を返し、ただ黙って走り去っていった。
「……」
クラウスも静かに見送る。そして何事もなかったように自分の部屋へと入った。
ルームメイト、静寐はまだ部屋に戻っていない。今日は先にシャワーを浴びてしまう事にする。
着替えを取り出し、脱衣所に入る。程なくして水音が微かに聞こえるようになった。
着替えて脱衣所から出ると、クラウスは机の引き出しからピルケースを取り出し、一錠手に振り落とす。
だが、そこで視界が歪み始めた。急激に意識が遠のいていく。
フラフラとベッドへ倒れこみ、そのまま気を失った。
「最低よ!!犬に噛まれて死ね!!」
「なっ!?お、おい鈴!?」
バァンッ!!
扉を乱暴に開け、鈴は一夏の部屋から出て行ってしまった。
何が鈴を怒らせたのか、一夏には皆目見当もつかない。
「…一夏」
と、ここで箒が何やら不機嫌そうに話しかけてくる。
「どうした箒?」
「馬に蹴られて死ね」
「お前までっ!?」
どうやら、女子からすると全員一致で一夏が悪いらしい。
何故なのか。自分は鈴との約束をちゃんと覚えていたはずなのに。
『料理が上手くなったら、毎日私の酢豚を食べてくれる?』
どう考えてもタダ飯を食わしてくれるとしか言っていない。何故なのか。
これは自分だけでは考えるだけ無駄だと、早々に諦め助けを求めることにした。
箒はさっさとシャワーを浴びに行ってしまったので無理。セシリアは…まず部屋を知らなかった。
そうなるとあとはクラウスということになるのだが…男にはわからない問題かもしれないため、あまり期待しないほうがいいかもしれない。
「まだ起きてるよな…」
彼の部屋の前まで行くと、3度ノック。そして待つ。
出てこない。もう寝てしまっているのか。
ドアノブに手を掛ける。鍵が開いていた。
「クラウス…?」
なんとなく嫌な予感がする。歩調を速めて部屋へと入る。
彼はベッドに横になっていた。取り敢えず胸を撫で下ろす。
彼は布団をかけていなかった。
暖かくなって来たとはいえ、まだ夜は肌寒い。このままでは風邪を引くかもしれないと、一旦起こす事にした。
「おい、ちゃんと布団掛けないと風邪引くぞ」
身体を揺すって呼びかける。すると、小さく呻き声が聞こえ、クラウスが身体を起こす。
その時。
一夏は、何故か彼に対して言いようのない違和感を感じた。思わず数歩後ろへ後ずさる。
クラウスの顔がゆっくりとこちらへ向く。そして、彼は笑顔でこう言った。
「…やあ。
「…は…?」
「久しぶりに
一人称が違う。それだけじゃない、口調も声音も、雰囲気でさえも別人だった。
「お…おい…何言ってんだ…キャラが変わってんぞ…」
自分の声が震えているのがわかった。対してクラウスは飄々と笑っている。
「はっはー、まあ、驚くのはわからないでもないけれど、
「ふざけんな!!クラウスに何をしやがった!!」
思わず感情的になって怒鳴る。かなりの剣幕だったが、全く動じていない。彼が笑顔を崩すことはなかった。
「おいおい、僕は何もしちゃいないよ。ただ彼が気を失ったから、その間に少し体を借りただけだ」
「借りた?」
「ああそうだよ。だから心配はいらない。そのうち目を覚ますさ。そして僕はまた眠る事になる」
全く理解が追いついてこない。
そもそもこいつは誰なのか。
「意味がわからないって顔だね。無理もない。僕だってもう少しちゃんと登場したかったけれど、もう出会ってしまっているわけだし、どうしようもないね」
「…お前は…誰なんだ…」
「だからさっきも言っただろう?
ついていけない。頭がパンクしてしまいそうになる。
一夏は思わず頭を押さえた。
「ところで、ずっと気になっていたんだけれど、聞いてもいいかい?」
「…なんだよ」
彼は不気味に笑う。全て見透かしたような顔。一夏は困惑と同時に恐怖を覚えていた。
「君は随分とモテるみたいだね。どうやって女の子を落とすのか、その技を是非ご教授願いたいな」
「……」
その顔でこうやってふざけた事を言ってくる。もう答える気になれない。
「ははは、冗談だよ。…さて、そろそろ時間も無くなってきたし、本題に入ろうか」
「…本題?どうせまたふざけた事言うんだろ」
「いいや、これは本当に真面目な話さ。
「俺に…?」
信用なんてしていない。だが、やけに含みを持たせてくるこの不愉快な声に、少しだけ耳を傾ける事にした。
「君は周りの人達をとても大切にしているようだね。昔
「…お前に答える気はない」
「はは、そうかい。いや、僕は構わないよ。君が
忘れている…
「忘れてる…?お前、一体何を…うっ…」
ズキン、と。
突然一夏を頭痛が襲った。だがその痛みは一瞬で消える。
「…そろそろ時間だ。僕はこの辺で失礼するよ。君とはまた話せる気がするな…それじゃ、
「お、おい待てまだ話は…」
またいつか。そう言い残して、彼は目を閉じた。
すぐにゆっくりと目が開けられ、クラウスが口を開く。
「…一夏、いたのか。すまない、少しうとうとしていたようだ」
「く、クラウス…大丈夫なのか!?」
「大丈夫?なんの事だ。別に模擬戦で怪我をしたわけじゃないだろう」
元に戻っている。まだ確証はないが、取り敢えず警戒は解いても良さそうだった。全身の緊張が解け、猛烈な疲労感が一夏を襲う。
「…いや、やっぱりなんでもないよ。ちょっと聞きたいことがあっただけなんだ」
「聞きたいこと?」
「鈴と昔、料理が上手くなったら、毎日鈴が飯を食わせてくれるって約束をしたんだけど、どうもその話になったら鈴が怒り出しちまって」
クラウスは顎に手を当て考え込む。そしてすぐに一夏に尋ねた。
「その約束の時の鈴の言葉、覚えているか?」
「ん?ああ。『料理が上手くなったら、毎日私の酢豚を食べてくれる?』だったかな」
「…一夏…」
クラウスが呆れて大きなため息をついた。
「な、なんだよ」
「お前は銃で撃たれて死んだほうがいい」
「クラウスもかよっ!?」
クラウスには鈴の言葉の本当の意味がわかったらしい。そして鈴や箒と同じ結論に達したようだった。
「『毎日女の飯を食う』って事の意味をよく考えてみるんだな」
「お、おう…」
タダ飯以外の意味があるのか。一夏はまずその事に驚いた。
(…毎日って事は、まあ同じとこに住んでないと厳しいよな…。…ん?
何か大切な事が自分の考えから抜けている気がする。だが抜けているのでピンとこない。
一夏はなんだかモヤモヤした感覚を覚えた。ちょうど、漢字をど忘れした時のような。
「…おい。嘘だろう一夏、本当にわからないのか?」
「…正直」
「……。はぁぁぁぁぁ…」
心の底からの、長い長いため息。クラウスは完全に、一夏に対して失望した顔をしている。
「お、おい、なんだよその顔は」
「いや…お前はつくづくラノベの主人公だと思ってな」
「…なんだそれ?」
またため息。苦笑いしながらクラウスが言う。
「わからないならいい。さっさと撃たれて死ね」
「扱いがヒデェ」
どうやら、クラウスは本当に元に戻ったようだった。
密かに一夏が安心していると、クラウスは欠伸を噛み殺して言う。
「…悪い、中途半端に寝てしまったから、もう眠くなってきた。今日はもう眠らせてもらう」
「ああ、わかった。それじゃ、また明日な」
挨拶をして部屋から出ると、すぐに鍵が閉まる音が聞こえた。もう心配する必要もないだろう。
そして、一夏はクラウスが目覚める前の事を思い出す。
『昔悲しい事でもあったのかい?』
『君が忘れているならそれでいいんだ』
『君とはまた話せる気がするな』
飄々とした顔が思い出され、無性に苛立ちが募る。
息を吐いて落ち着けると、彼は自分の部屋へと戻っていった。
最近、アニメ『グリザイアの果実』を一気見しました。
そして…ものの見事にハマりました。主人公のチートっぷりが大好きです。今年の春に続編もやるということで、今からウッキウキしております。いわゆる全裸待機というやつですね。
次回はクライマックス、バトルシーンです。ど緊張。
ちょっと龍砲の仕組みが頭の中でまとまっていないので、支離滅裂にならないか心配です。大丈夫かな…大丈夫か。
では、次回もよろしくお付き合いください。