インフィニット・ストラトス ~An Irregular Bound~   作:れみんとぅ

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こんにちは、れみんとぅです。
自分は本を読んだり、ゲームをしたり、何かに集中するとほぼ全く瞬きをしない事に気が付きました。
ノゲノラを読んでいたら突然コンタクトレンズが落ちた時は本当に驚きました。

鈴編(?)終盤に差し掛かりました。次の回で原作1巻分は終了するかと思います。
バトルシーンはとても大事なので、やはり緊張します。まだ上手いとは言えませんが、これから上手くなって行きます。上手くなって(願望)。

では、第7話 予期せぬ侵入者 お楽しみください。


第7話 予期せぬ侵入者

月日は流れ、5月になった。

数週間経っても、鈴の機嫌は直らず、むしろ日増しに悪くなっていっていた。向こうから会いに来ることはない。たまに食堂や廊下で会っても露骨に顔を背ける程だ。

 

「一夏、来週からいよいよクラス対抗戦だ。アリーナは試合用の設定になるから、実質今日が最後の特訓になる」

 

箒が彼へと声をかける。いつも通り特訓のためアリーナへと向かっていた。メンツは一夏、箒、セシリア。

クラウスは後で来ると言って今はいない。一夏に基本操縦や戦闘技術を教え込み、彼の急成長を支えた原動力である。

最後の特訓に遅れなければいけない、と彼は申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「それにしても、2人とも本当にありがとな、特訓に付き合ってくれて」

 

彼だけではない。箒もセシリアも、自分の得意分野を徹底的に一夏に教えていた。

それによって、今の一夏は短期間で代表候補生に勝るとも劣らない実力を身につけている。

 

「お礼には及びませんわ。クラスメイトとして、そして専用機持ちとして当然の事をしたまでです」

 

セシリアはその戦闘スタイルから、射撃武装の特性、弾道予測、回避の技術。

 

「その通りだ。それに、その、私はお前の幼馴染だからな。できることをするのは当然だ」

 

箒は、剣道の稽古で剣術の基礎、近接戦闘の動作。

それぞれがそれぞれにできることで全力でサポートする。そしてクラウスがそれをまとめ、活用し、発展させて一夏に最適な形で定着させる。

現在のメンバーで言えば、間違いなく完璧な体制と言えた。

 

「さて、今日もいっちょやりますか!」

 

話しているうちにアリーナのピット入り口に到着。一夏がドアセンサーに触れると、バシュッと音を立てて開いた。

そして、その先で…

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

なんと鈴が待っていた。

腕を組み、こちらを見据え仁王立ちしている。

 

「鈴!どうしてここに?」

 

今まで露骨に避けていたのに、突然一夏を待っていたというのだから、当然の疑問だろう。

 

「そんなのどうだっていいわ。で、一夏、反省した?」

 

「は?なにが?」

 

「だから!あたしを怒らせて申し訳なかったとか、仲直りしたいとか、あるでしょうが!」

 

「いやそう言われても…鈴の方が俺の事避けてただろ」

 

一夏の答えに、顔を引きつらせる鈴。どうやらまた怒らせたらしい。

 

「アンタねぇ…女の子が放っておいてって言ったら放っておくわけ!?」

 

「おう」

 

当然だとばかりに頷く。更に鈴の顔が怒りに歪んだ。

 

「なんか変か?」

 

「変かって…ああもう!」

 

声を荒げ、鈴はキッと一夏を睨みつける。

 

「謝りなさいよ!」

 

その一方的過ぎる要求には、一夏も従えない。自分が納得いかないまま謝罪するのはお断りだった。

 

「だからなんでだよ。約束覚えてただろうが」

 

「約束の意味が違うのよ意味が!」

 

「説明してくれりゃ謝るっての!」

 

ここで、何故か鈴が言葉を詰まらせた。

 

「せ、説明したくないからこうして来てんでしょうが!」

 

そう言われても、一夏自身には全く意味がわからないので、説明されないことには議論は平行線だった。

と、ここで。少し遅れてくる予定だったクラウスがピットへと入ってきた。

 

「悪い。待たせ」

 

「じゃあこうしましょう!来週のクラス対抗戦、そこで勝った方が負けた方になんでも言うことをひとつ聞かせられる!それでいいわね!?」

 

「おういいぜ。俺が勝ったら説明してもらうからな!」

 

「せ、説明はその…」

 

売り言葉に買い言葉の言い合いの中、突然一夏を指差したまま鈴の顔が真っ赤になる。

ちなみに、クラウスは気付かれる事なく完全にスルーされていた。

 

「なんだ?やめるならやめてもいいぞ?」

 

「誰がやめるのよ!アンタこそ謝る練習しときなさいよ!」

 

「なんでだよ、馬鹿」

 

「馬鹿とは何よ馬鹿とは!この朴念仁!間抜け!アホ!馬鹿はアンタよ!」

 

小学生か。

傍観者のクラウス達はそう思った。だが鈴の言葉で頭に来たのか、一夏が言ったのは、

 

「うるさい、貧乳」

 

核爆弾レベルの禁句だった。

ドゴォッ!!!

爆発音。そして衝撃で部屋が微かに揺れた。前方には右腕が肩から指先までISが部分展開された鈴。

横をちらっと窺うと、ピットの壁に小さいクレーターができていた。

そんな怒髪天を突く鈴の横を人影が通り過ぎ、スタスタと一夏の方へ歩いていく。

 

「…あ、クラウス、もう来たのぉぉぉ!?」

 

クラウスは彼の側まで来ると、右腕と左の襟を掴みそのまま背負い投げた。

ドッ!!と鈍い音が響き、一夏は肺の中の空気が全て無理矢理吐き出されるのがわかった。

 

「っ…!!…かはっ…」

 

「鈴。素手なら1発殴っていいぞ」

 

首根っこを掴み、無理矢理一夏を立たせるクラウス。まだ苦しげに呻く彼の元へ歩み寄り、鈴は笑う。

 

「言ってはいけない事を言ったわね。死になさい」

 

ドッ!!

今度は正面から強烈な衝撃が襲い、一夏は力尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス対抗戦当日。アリーナの観客席には、一夏を一目生で見ようと観客が詰め掛けていた。

皆の視線の先には、2機のIS。一夏と鈴が向かい合って試合開始の合図を待っていた。

 

「今謝るなら、痛めつけるレベルを少し下げてあげるわよ」

 

「雀の涙くらいだろ。そんなもんいらねえよ。本気で来い」

 

「…言っておくけど、絶対防御も完璧じゃないのよ。シールドを突破する攻撃力があれば、死なない程度に痛めつける(・・・・・・・・・・・・)ことは可能なの」

 

代表候補生ともなれば、その辺りの手加減は朝飯前だろう。しかし、一夏は臆する事なく言い返す。

 

「安心しろ。俺だってただ負ける気はない。舐めてかかると痛い目見るぜ」

 

「…そう、わかったわ」

 

話は終わり、と言うように鈴が両刃の青龍刀『双天牙月(そうてんがげつ)』を構える。一夏も雪片弐型を中段に構えた。ただ、まだエネルギー刃は出していない。

 

 

『試合開始!』

 

 

同時に両機突進。得物を振り下ろす。

ガィィィンッ!!!!

耳障りな音が響く。そのまま鍔迫り合いへ。

 

「あたしの双天牙月を正面から防ぐなんて、やるわね。でもっ!」

 

鈴のISの非固定部位(アンロック・ユニット)が光を放つ。その直後。

 

ドゥッ!!

一夏は何かに殴り飛ばされた(・・・・・・・)

 

距離が離れる。まだ鈴の武装は光っている。

 

マズイ。本能的に身をよじる。背中に何かが掠った。

 

反転し地表へ向かう。ランダムに回避運動。なんとか直撃は免れ着地した。

もう一度鈴の方へ向き直る。

 

「くそっ、ゴッソリ持ってかれたな…やっぱり…」

 

「まだよ!今のはジャブだからね!」

 

再び発光。

一夏は雪片を右肩に担ぐように構え、その光を凝視した。

 

砲弾も、砲身すら見えない。撃ち出されるタイミングだってわからない。

だが。それでも。

 

 

「やるっきゃねぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

何もない空間に、一夏は雪片を振り抜いた。

ズアァッ!!!!

暴風が彼の体の横を通り抜ける。

 

観客席からでは、何が起きたのかわからないだろう。

だが、彼女だけは。

砲撃を放った鈴(・・・・・・・)だけは理解していた。

 

 

「嘘でしょ……アンタ、あたしの龍砲を斬った(・・・・・・・・・・)っていうの!?」

 

 

ニィィ、と。

一夏の口の端が吊り上がった。

普段の一夏からは想像できない獰猛な笑みに、鈴は思わず背筋に冷たいものが走るのを感じた。

 

「…ああ、そうだ。だからどうした?」

 

当然のごとく一夏は言う。だが、見えない弾丸を斬るという事がどれだけの事か、わからない者はこのアリーナにはいないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだあれは!」

 

ピットのリアルタイムモニターで観戦していたクラウス達。その中で箒が声を上げた。

 

「…衝撃砲を斬るなんて、可能なんですの?」

 

セシリアも考え込むように顎に手を当てている。

2人の疑問に答えたのは、クラウスだった。

 

「正確には斬ったわけじゃない。ただ単純に、砲弾の衝撃を相殺しただけだ」

 

「相殺…?そんな事ができるのか?」

 

「昔の戦闘機なんかは、音速を超えると低空なら建物の窓を割る程の衝撃波が起きた。それを雪片でやっただけさ」

 

クラウスの話からいけば、衝撃を相殺するには衝撃波が起こるほど高速で雪片を振り抜く必要がある。つまり…

 

音速を超える速さで剣を振るった(・・・・・・・・・・・・・・・)というのか…?」

 

「ありえませんわ!生身の人間が…あっ!」

 

「そう、今の一夏は生身じゃない。強力なパワーアシストがつくISに乗っている」

 

「ですが、それでも音速を超えるなんて…」

 

「そのための箒との稽古だ」

 

「!!」

 

剣道の選手は、高校の全国レベルであれば時速100㎞を超える速度で竹刀を振るう。

生身の人間が時速100㎞を超える速度で振り抜き、更にISのパワーアシストを全開にすれば…

 

「音速を超えることも不可能じゃない、という事ですわね」

 

納得した様子で頷くセシリア。しかし箒は未だ不安を口にする。

 

「しかし、それではそう何度も相殺できないではないか」

 

確かに、速度が足りなければ相殺できない。故に1番速度が出る上段振り下ろしでなければ厳しいはずだ。

 

「一発で充分なんだよ。自分の武装が無効化されるかもしれない(・・・・・・)っていうだけで、安易に連射はできない。砲撃の間は隙だらけだからな」

 

こんな大技すらブラフに使う(・・・・・・・・・・・・・)…その常軌を逸した思考に、箒は言葉を失った。

 

「これで警戒した鈴が突っ込んで格闘戦になる。ここまでくれば、こちらのものだ」

 

断言するクラウス。だが、鈴のISはもともと近接格闘型のパワータイプ。むしろ格闘戦は彼女の得意分野のはずだ。

 

「対戦相手も近接格闘型ですわ。そう簡単にはいかないのでは?」

 

「いや、大丈夫だ。…説明は必要ないな」

 

セシリアの疑問に含み笑いで応え、彼は視線をモニターへと戻す。つられて箒とセシリアもモニターを見る。

試合は、新たな局面に入ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?さっさと来いよ」

 

「っ…!舐めんじゃないわよ!!」

 

双天牙月を両刃から分裂させ、二本の青龍刀を構え鈴は突進。一夏は右肩から下へ切っ先を向けるように構える。

 

ガィンッ!!

再び耳障りな金属音を響かせ、2人の得物が火花を散らす。

 

右から。防ぐ。次は左。弾く。

鈴は二刀流で間髪入れず攻め立てる。一夏は防戦一方、雪片で凌ぐのがやっとだ。

 

キィィィンッ!!

一際高い音を響かせて雪片が宙を舞い、地面に突き刺さった。

 

「もらったぁっ!!!」

 

止めの一撃。鈴が大きく振りかぶり、双天牙月を振り下ろす。

 

だが。

 

ドドドッ!!

鈍い音が響く。鈴が腹の辺りを押さえて数メートル下がる。

 

「…ゲホッ…まさか、格闘技を使うなんて」

 

対する一夏は、右の掌底打ちの形で止まっていた。構えを解いて彼は口を開く。

 

「機体へのダメージはほぼないが、操縦者自身へのダメージはそれなりに通る」

 

獰猛な笑みを崩さない。後ろの地面に刺さっている雪片を蹴り上げ、右手で掴むと、そのまま半身で中段に。

 

「今度は俺が攻める番だ」

 

突進。鈴は一夏の切り上げを右の振り下ろしで受ける。三度目の金属音。

 

右。左。切り上げ。振り下ろし。

今度は鈴が反撃の隙を見つけられない。

 

左から右へ切り払い。鈴の左手の青龍刀が弾き飛ばされる。

 

さらに切り上げ。ギリギリで受けた鈴の二本目の青龍刀も飛ばされた。

 

次はない。鈴は前へスラスターを全開にして距離を取る。

 

一夏はその場で体を回し、右脚を振りかぶった。

だが脚では届かない距離。

 

そこで鈴は驚愕する。

 

一夏の脚に続いて(・・・・・・・・)雪片が現れた(・・・・・・)

その切っ先からエネルギーの刃を展開して(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

避けられない。直撃する。鈴はそう直感した。

 

その時。

 

ドォォォォォンッ…!!!!!

 

何かがアリーナのバリアを突き破り、2人の間に落下した。

爆風に2人は吹き飛ばされる。

 

「なんだ!?」

 

土煙で何も見えない。しかし、白式がアラームを発した。

 

『所属不明機出現。ロックされています』

 

「なっ!?くそっ!!」

 

慌てて右へ回避。直前までいた場所を、土煙を貫いてレーザーが通過していった。一夏は鈴の無事を確認する。

 

「鈴!無事か!?」

 

『あたしは大丈夫!でもどうすんのよこいつ!』

 

「戦うしかない!観客席の皆が避難するまで時間を稼がないと!」

 

『はぁ!?アンタ正気!?』

 

「今俺が逃げたら、あいつの狙いが観客に向かう!そうなったら、皆には身を守る術がない!」

 

鈴からの返事はない。一夏は続ける。

 

「ISに乗ってる俺なら、まだ可能性はある!鈴、お前は早くピットに戻って避難しろ!」

 

鈴から帰ってきた返事はかなり焦ったものだった。

 

『な、何言ってんのよ!私だって戦う!私は代表候補生で、専用機持ちなんだから!』

 

「代表候補生だとか、専用機持ちだとか、そんなもん俺には関係ねぇ!!」

 

『っ!』

 

鈴が言葉に詰まる。一夏は思いの丈を全て乗せ、叫んだ。

 

 

「お前は、俺にとっては幼馴染で、かけがえのない大切な友達だ!!だから早く逃げろ!!」

 

 

少し間をおいて、鈴から返事が来る。

 

『…わかったわよ!アンタも怪我したら承知しないから!』

 

「大丈夫だ。俺を信じろ」

 

再び間が空く。帰ってきた声は、ゴニョゴニョと小さいものだった。

 

『…このままじゃアンタにやられちゃいそうね』

 

「どうした?」

 

『なっ、なんでもないわよ!!』

 

白式が鈴のISの反応が無くなったことを知らせる。一夏はそれを見て、大きく息を吸い、吐いた。

 

「…つっても、1人じゃろくに持たないよな…」

 

『織斑、鈴がピットに戻った。お前も早く戻れ』

 

通信が入った。声の主は千冬。心なしか焦っているように聞こえた。

 

「いえ、皆が避難するまで、俺が残って時間を稼ぎます」

 

『…本気か?』

 

「今あいつは俺をロックしています。俺が逃げたら、観客に被害が出るかもしれません」

 

『…わかった。現在、緊急用のシャッターが下りて、避難はおろか教員部隊も突入できない状況だ』

 

口惜しげな千冬の声を、一夏は黙って聞いていた。

 

『…今はお前だけが頼りだ。頼んだぞ、一夏』

 

「任せろ、千冬姉。それに…」

 

敵ISがレーザーを発射した。白式がアラームを鳴らす。

だが、一夏は避けなかった。

 

ドァァァァッ!!

 

一夏に命中する直前、レーザーが敵の攻撃を薙ぎ払う。

 

「俺には、相棒がいるからな」

 

『…そのようだな』

 

上空には、レーザーカノンを構えるクラウスがいた。




グリザイアシリーズ、原作ゲームを買おうかどうか迷っていたのですが、全て揃えると2万円近くなるということを知って諦めました。今は無理です。

次回で原作1巻分はなんとか終わりそうです。一夏のイケメンっぷりを上手いこと再現できるように、やたら彼のセリフだけ考え込んでます。時間の無駄かな?だったら悲しい。

では、次回もよろしくお付き合いください。
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