19XX年、突如として飛来した火星人達による地球大侵略作戦が始まった…!!
圧倒的な技術格差によりたった5年で絶滅寸前まで追い込まれた人類は一致団結し、とあるスーパー(リアル系)ロボットを完成させた…
ありとあらゆる部門から寄せ集められたマッドサイエンティストのお歴々を筆頭に、シャーマン、祈祷師、神父、そしてお坊さんと神主の方々多数の協力により結実したその名もッ

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地球防衛軍の勝利確定bgmが常に流れてる感じです。
超展開注意


前編

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨今、地球は火星人の猛烈な攻勢により壊滅的な様相を呈していた……

 

 人類の勢力圏がチリトリで取り切れないゴミ程度にまで縮小しているのはもちろんのこと、

 

 地球自体の地軸が歪み、自転もズレ、他の惑星との距離すらも変わったことにより、真昼間にカエルの大合唱が発生し、極限の静寂が横たわる深夜3時に真昼のような陽光が降り注ぐ始末であった。

 

 

 "もはやこれまでか…ッ"

 

 

 ……絶望論が残された知識階層の間を席巻するのも時間の問題かと思われた。

 

 だが、人類は諦めていなかったッ…!!!

 

 それも、まったく…ぜんぜん…これっぽっちも………!!

 

 なぜなら、こんな状況で生き残るヤツらがまともなはずが無かったから…!

 

 具体的にはベンチプレス150kgを平気で上げ下げし、おやつ代わりに500gの牛肉ステーキを早朝からペロリと平らげるような変態しか残っていなかった。

 

 無論どいつもこいつも脳筋の筋肉モリモリマッチョマンという訳ではないが、各自が持つ異常性の傾向はだいたいそんな感じであった。

 

 ということで世界各地から選ばれし生き残り達をホウキでかき集め、物凄く高度な2時間半の会議の結果、"ソレ"はこの世に産まれ落ちることとなる……

 

 

 "戦士を、地球最強の戦士を作るのだ……"

 

 

 会議の行われた1965年当時の技術の粋を極めた究極の到達点。

 

 220MBもの超大容量を誇り、情報読み出し速度が3.5MB/sに達することもあるとされる、人類史上最高性能の地球奪還用磁気ドラム式メモリ機を、贅沢にも2台。

 

 テレビのリモコンの電池のように背中へ搭載し、圧倒的な計算速度を獲得。

 

 さらに、そのドラムを互いに逆方向へ同回転速度で回転させることにより全体の角運動量を相殺しながら反作用トルクを打ち消し、ついでにその運動量を任意で調節することによる方向転換への積極的活用も実現。

 

 ウンタラカンタラやかましいが、つまり超すごい回転式記憶装置………

 

 そしてもちろん、そんな超高性能モンスター記憶装置を司るものも存在している。

 

 その名も…

 

 

 "パンチカード・コマンドプロセッサ"

 

 

 要は打ち込み、読み込み、エトセトラ。その全てを先述の二連磁気ドラムとの二人羽織でエレガントかつスマートにこなす圧倒的頭脳。

 

 その場で機体への指示を紙に打ち込み、すぐに自分で読み込み、実行。まさに現代のウロボロス。

 

 

 …そんな2つの超技術が融合した結果、この世に1つの超兵器が産み落とされた。

 

 その名も………

 

 

 "カードマトロン"

 

 

 …神の御業が、危機に瀕した人々自らの手によって実現したのだ。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ディ テクテッド」

 

 

 廃墟すら消え去った地平線の真ん中にて、抑揚のない機械的なダミ声、良く言えばボイスチェンジャーがかかったような低音の合成音声が、虚しく響き渡る。

 

 detected、意味を「発見」。

 

 我らが勇者のカードマトロン(ここで名前の意味を補足させていただくが、カード式のオートマトンなのでカードマトロンである。)が、敵性宇宙人のコロニーを発見したのだ。

 

 機体前方下部、赤茶けた砂岩の穴蔵の中からタコ型エイリアンの群れが現れる。

 

 孵化したばかりの卵から昆虫が無数に溢れ出るように、1~4メートルの赤い化け物がこちらに向かってきたのだ。

 

 つまりは火星人だが、そんな侵略者の群れは6本の触手のうち1番右の1本を一様にして我らが勇者に向けていた。

 

 そう、やつらは奇怪な怪光線をその一本より撃ち放ち、あらゆる人民や家々を破壊してきたのだ。

 

 

 "ずびびびび………!!!"

 

 

 容赦なく第一射が我らがカードマトロンに向けて放たれた。

 

 しかしカードマトロンは悠長なことにも未だ計算を終わらせることができていなかったため、甘んじて装甲表面の塗装を半径5cm程度ずつ剥がされてゆく。

 

 

 "ガシャシャシャシャ………!!!"

 

 

 恐るべき謎光線攻撃に対抗するように圧倒的超高速打刻能力を遺憾無く発揮し、機体各部位へ送るための指令を超絶スピードでパンチカードに打ち込む我らがカードマトロン

 

 背中の磁気ドラムメモリ・打ち込み装置・読み取り装置が、朝の忙しい駅中トイレにて絶え間なく繰り返される便所紙の巻き取りのように全力稼働を行う。

 

 背負い物上部の打ち込み装置からFAXのように放たれた(切り取り線付き)パンチカードが、下部の読み取り装置にギッコンギッコンと吸い込まれていく様子は、まさに芸術的である。

 

 

「コントロール」

 

 

 …しかし突如ガタピシと背負い物の稼働を止め、何やら目の前の火星人に対して何かしらの宣告を行う我らがカードマトロン。

 

 計算終了であると、自慢げに紙粉を排出ノズルからスチームのように噴き上げながら、彼女はそう告げた。

 

 自慢の光線が全く効かぬ5メートルの鉄の巨人に対し臆し始めていた火星人達も、その異様な様子に息を飲む。

 

 次の瞬間、破城槌のような鉛玉の塊が一定の間隔を持って彼らに逆襲を始めた。

 

 ヴウゥンと油圧及びモーターが唸りを上げて照準が定められると、片腕代わりに搭載された大口径チェーンガンが彼らに向かって放たれたのだ。

 

 

 "ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ……"

 

 

 control、意味を「制圧」

 

 彼らは文字通り弾け飛んだ…………

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 "みょんみょんみょんみょん………"

 

 

 

 火星人の円盤型宇宙船が、ふざけた飛行音を立てながら飛行している。

 

 ここはとある蒸し暑い港の上空。つい数年前まで人類の生活圏であった。

 

 多数のボロ漁船が放棄され、今や火星人によるテラフォーミングを待つのみのこの場所は、本来であれば人々の生活の場そのもの。

 

 だが、今となっては肩を並べて浮かび立つ伽藍堂の船達が並に揺られてぶつかり合い、時たまシップベルを寂しげに鳴らすのみである。

 

 そんな状況を打破しようと参上したのが我らが地球最高のスーパーロボット、カードマトロン号。

 

 シンプルに自立行動という名の徒歩で数ヶ月ほどかけ大陸を横断し、今ここに参上した理由の全てはあれらをブチ殺し、ブチ壊し、ブチ穴だらけにしてやること。

 

 長い長い移動の中で、既にありとあらゆる行動パターンを想定、算出、磁気ドラムへ打ち込み済みである。

 

 カードマトロンは事前に準備さえ出来ればより一層無敵であった。

 

 なぜなら、最初に極限まで簡略した判断ルーチンさえ読み込めば、後はその事前に用意した完璧な行動パターンをなぞれば良いだけなのだから。

 

 逆に言えば用意した行動をなぞることしかできないのだが、そこは我らが人類の雄。そのような低レベルの弱点は気合と根性とガッツと、極限まで練り込まれた人類魂で克服できる。

 

 よって勇者カードマトロン、地球最高の戦士は……正真正銘無敵であった。

 

 

「デストロイ」

 

 

 説明不要の宣言の後、例によって情報を読み込み(今回は作成済みの行動パターンを読み出すだけなので短時間)、カードマトロンは頭部の仰角を45度程上げた。

 

 そして所在無さげにどこかを目指す銀色の円盤のおケツに何かの狙いを付け、何らかの飛翔体を射出。

 

 その正体は「有線ミサイル」

 

 文字通り物理的な線の付いたミサイルを飛ばすもの。

 

 ジャパニーズトラディショナルカルチャーの一つであるイトデンワでもないのに、なぜ線なぞが付いているのか。

 

 その理由を君が知ってしまえば、その騒ぎはオドロキモモノキサンショノキどころではなくなるだろう。

 

 もしかすれば、腰が抜けてしまうかもしれない。

 

 だが教えてやろう。

 

 その理由は、なんと…………

 

 

 "このミサイルは目標へ自主的に誘導する"

 

 

 つまり、従来の噴進砲のように撃ちっぱなしではなく、指示に従って自分から敵機に当たりに行くのだ………

 

 人類の叡智の結晶として、人類史上最悪の悪魔的兵器として、自信を持って表現出来てしまう恐るべき破壊兵器である。

 

 無論、運用する上での制約はしっかりある。

 

 例えば、射出後は完全に静止……棒立ちで誘導に集中しなければならず、擬似的なベクタースキャンの様相を呈しているパンチカード紙の数々が、3FPSほどで読み取り側にギッタンギッタンと飲み込まれ続ける。

 

 また、当然ながら線ことワイヤーの長さがイコール射程限界となる。

 

 カードマトロンに搭載されたものの場合は4kmであった。

 

 しかし4km、されど4km。

 

 …いささか十分すぎると表現せざるを得ない。

 

 射出装置底部に蛇腹状に押し込められたワイヤーが物凄い勢いで引き出され、共に弾頭に牽引される形で飛翔する。

 

 穴の空いたガス缶のような音を立てながら、四つの噴射口を持つ独特な形状の飛翔体が空を舞った。

 

 …数秒後、それは超頭脳による超高精度な誘導行為の甲斐あって円盤を撃ち落とすことに成功。

 

 爆音がはるか遠方に響くと、海藻や生活ゴミの浮かぶ緑褐色のお湯のような海水に、新たに1つ粗大ゴミが追加された………

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 "ズシーン…!!!"

 

 

 今、我らがオートマトロンは圧倒的危機に瀕していた。

 

 あれから数十年もの間絶対エイリアン殺すマンとしての活動を続けた結果、とうとう火星側のエイリアン軍本体に存在が露見し、彼らにとってのスーパーロボット軍団を対カードマトロン専用兵器として送り込まれてしまったのだ…

 

 そう、今まで我らがカードマトロンが相手にしていたのは、ただの地球入植者集団………!

 

 分かりやすく例えるならば、トヨタ・ハイラックスと散弾銃1丁で全てを解決する気の農家のおじさん……

 

 つまりは戦闘力たったの5である。

 

 今カードマトロンが相対しているのは、地球の半分ぐらいを真の意味での更地にし、惑星の位置やらなんやらを地元風に整えてくれちゃった方のガチ戦闘員の中でも親玉………

 

 要するに火星人のめっちゃつよい巨大ロボ達であった……!!

 

 ………とはいえ流石のカードマトロン。

 

 短距離テレポートや念動力破壊などの多少のサイキック能力を操り、地面を50×50mの正方形に切り出して投げてくる程度の雑魚達は、ちょっとした永遠とも思える死闘の末に一蹴済み………

 

 そして今はただ、最後に残りしたった一機の火星の戦士と睨み合っている。

 

 …なお、当然その敵は大きく強く、そしてタフなやつであった。

 

 そのため、暇な火星人の若者集団が勝手に乗っ取っている上空の宇宙ステーションからもその威容はハッキリと目視でき、人類にとっての死の領域と化した赤茶けた大地に著しいアクセントを加えている。

 

 当然、4人組の火星人は狂喜していた。

 

 頭頂高5キロの巨大タコ足鉄クラゲが我ら火星人の憎き敵を粉微塵に粉砕する様子を特等席で楽しめるのだから。

 

 ソファに座り、窓に向かって触手を突きだし、勝手に備品のお好み焼き宇宙食とビールをやりながら。彼らは声援を送る…

 

 我らの最強戦士に対し、かたや5m以下の痩せっぽちの異常に頑丈な鉄クズ。

 

 妙に強い。というより、少女漫画の付録レベルの稚拙極まりない技術水準にしてはおかしすぎる性能とはいえ、流石に…ね?

 

 という心持ちであった。

 

 …それが人類33億匹全ての感情、全ての怨念を背負った禍々しくも神々しい超兵器であるとも知らずに。

 

 現代では意思や感情として誤認されているそのメカニズムは、名付けた当人たちが死してなお誰にも理解されることは無かった。

 

 火星人の使うサイキックパワーに近しいが、より人類流に呼ぶならば、それは神性を帯びた状態に近く。

 

 不可能、不可説、不可説転。

 

 人類がついぞ発見出来なかったはずの夥しい量の超自然的科学エネルギーが1つの軍用機械に束ねられ、結実。

 

 矢折れ刀尽き。

 

 道理は覆らなければならなかった。

 

 カードマトロンのドラムメモリより説明不能の記憶の奔流が溢れ出す。

 

 …主任研究員と共に巨大な鉄ゲタを履いて高尾山40回連続縦走の修行をした記憶が、

 

 …オートマトロン専用特注クソデカおかもち付きスーパーカブを朝から晩まで転がしながら年越しそばを届ける修行をした記憶が、

 

 ………冬のある晩、寒々しくうす暗いガレージにて、物言わぬ人型軍用機器相手に恋愛の相談をする研究員がいた記憶が。

 

 

 システム再起動。

 

 カードマトロンは爆砕ボルトを起動し、デッドウェイトと化したかつての戦友達を眠らせた。

 

 告別を告げる重苦しい爆発音の後、ごとりと音がし、赤茶けた死の砂岩に油臭い銃身が転がる。

 

 すると、頭部側面の2連ニキシーランプへ点滅異常サインが出力され、パンチカード機から専用紙が花吹雪のように噴き出し、二対のドラムメモリより正体不明の高エネルギーがオーラとして迸り出した。

 

 死んでいった全ての人類に敬礼を、悪逆非道の怨敵に報いを。

 

 

 "あれ、なんかヤバくね"

 

 

 …4人組火星人の食べカスを零す手が止まり、視認さえ出来ないちっぽけな敵性メカから発せられた異常な圧が空間を支配する。

 

 

 ………そう、なんだか小難しいことが書いてあるが、とどのつまり、

 

 めちゃくちゃ超すごい圧倒的な力を持つ我らがスーパーロボットが今………

 

 主の消えた地球のために、再度立ち上がろうとしているのだ……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 










感想や評価を頂けるとモチベが爆上がりします。
後半は更に超展開になる予定です。
メカ度はACと同程度です。ロボ同士の百合っていいよね。

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