現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
俺は只今、教授からアギトのディスクを奪い取った死神と、そいつが召喚したアギトと闘っている。
確か、その死神の名前は……サモナー・ゾロア、だったっけか? 黒いレガシーライダーバックルをしたダークゴーストを倒した後の謎のアナウンスがそう言っていたし、間違いないと思う。
『パタンッ!!』
スプレードモードのウィックスガンソードを振るい、ゾロアの大鎌とぶつかり合って弾かれた後、そのままフォールディングモードに変形させ、連射する。それもそこそこの至近距離で、だ。
だけど、ゾロアはそれを大鎌の刃を前方に出すだけで、盾として全て防いだ。さらには即座にしゃがんでの地面に弧を描きながらの回し蹴りも、軽く跳躍しただけで回避した。
まだだと思いながら、軽く跳躍していたところにもう一度連射するが、それもまた刃の側面で防がれ、立ち上がりながらの勢いで左アッパーをするも、軽く後ろに下がるだけで回避されてしまう。
即座の判断と無駄のない動きで、俺の攻撃を次々と回避するなんて……こいつ、相当の手練れじゃないか……?
「厄介な奴と出会っちまった……って事か。ディスクをたくさん持っていただけはあるなオイ‼︎」
『バサッ!!』
3度目かもしれない愚痴を溢しながら、ウィックスガンソードをスプレードモードへと変形。ゾロアの背後に潜んで飛び出してきたアギトの右ストレートを、刃の側面を盾にする事で防いだ。
「そしてお前は……」
そのままアギトを押し返しながら、袈裟斬りで彼の胸部装甲を斬りつけ、火花を散らさせながら後ろへと蹌踉めかせる。
「教授の動きと比べれば、教授よりも力が弱いな‼︎ 彼の相手、した事ないけど‼︎」
そう高らかな感じに言いながら、俺はカリバーのレガシーディスクを取り出し、それをウィックスガンソードのディスクを入れるスロットに差し込んだ。
『エクストラアタック、オーケー!!』
『ライダースラッシュ・カリバー!!』
するとウィックスガンソードに、赤黒い光の混ざった濃い紫色の炎が宿った。その炎を凝視すれば、唸りを見せている凶暴な龍にも見えなくもなかった。翼の装飾の部分にも巨大な炎がさらに燃え上がっており、それは龍の翼を思わせる形状となっていた。
「ハァァァッ‼︎」
漆黒の世界の龍の力を得たそのウィックスガンソードを、縦一直線に振るった。すると龍を模した炎が、振り下ろされたウィックスガンソードに合わせて巨大な斬撃波と共に飛び出し、アギトの全身を飲み込んでいく。
尋常ではない熱を必要以上に浴びたからなのか、はたまたその威力に押し負けたのかは分からない。だが、アギトは先程までの平常さを保てなかったのか、そのまま炎による巨大な爆発に巻き込まれ、消滅していった。
気がついたかな? ここまでアギトの奴、一瞬のダメージを受けた時の声すら出てないんだぜ? 無言でやられる敵って怖いね。
何はともあれ、召喚されてしまったアギト、撃破‼︎ 1回に3人も増援となるライダーを出してきたのだから、もうライダーを召喚できないはずだし、これでサシで闘えるぜ‼︎
「後はお前だけだ‼︎ 死神野郎‼︎」
『………………何を勘違いしている』
「ん?」
『いつから、俺がライダーを一度しか呼べないと思った?』
考えていた事がバレてる⁉︎ 俺って、考えている事がバレる程の単純な奴だったのか⁉︎ いやでも、これまで闘ってきた奴には、俺がその時に考えていた事がバレてなかった……はず。仮にバレていたとしても少数だよね?
『ライダーは、後1人呼べる』
ゾロアがそう呟きながら、懐から1枚のディスクを取り出した。えっ? まさか……?
『レガシー・オーズ・ディスク!!』
ゾロアはそのディスクを起動させ、刃の接合部にあるガード部分の側面にある、8つもある丸いスロットの内の、上部4つの内の余った方にそのディスクを嵌め込んだ。
そして、そのスロット達の下にある2つのボタンの内の、『S』と書かれた緑のボタンを押した。
あっ(察し)。これってもしかして……
『プリパレーション・サモニング・コンプリート!!』
『アベア!! 仮面ライダーオーズ!!』
高音の電子作動音と共に、鎌のLEDが一斉に青く輝く。そして死神が柄を強く握り直せば、空間を斬りつける。
白銀の刃が空を切り裂いた軌跡に沿っていたためか、ゾロアの目の前に、空間そのものが削ぎ落とされたかのような黒い『空洞』が線となって生まれていた。
次の瞬間、その空洞が内側から押し開かれるように勢い良く拡大し、内部から赤黒い光の粒子と強烈な衝撃波が溢れ出し……その内側から、何かがゆっくりと出てきた。
そう、空洞から現れた何かこそ……ゾロアの能力によって、アギト達のように召喚されたライダーだった。しかもそいつも主役ライダーだったため、俺は咄嗟にウィックスガンソードを、改めて握りしめながら身構えた。
翠玉の瞳を持つ紅い鷹の頭部に、長い虎の鉤爪がある黄色い腕、バッタの脚部の模様が施されている緑色の脚。それらの動物が描かれている、円形紋章が中央に見える胴体。
そして何より注目すべきなのは、銀を基調に黒のアクセントや青いラインが入っており、正面に円形のスロットが3つ横一列に並んでいる、右下に傾いた横長の箱型のバックル。これがこの人物の1番の象徴──オーズドライバーだ。
仮面ライダー
「4人までなら、好きなタイミングで呼び出せるのかよ……」
好きなタイミングで増援を召喚できるって、まるでディエンドだな……いや、召喚能力を持つ他のライダーでも同じ事が言える……のか? そういう系のライダーは少ないはずだから、基準や仕組みが分からん……
とか考えていたら、オーズは何かを右手に携えた。それは、漆黒の刀身に青白い光の筋が走る、未来的な大剣だった。
未知の金属で鍛えられた鋭い刃は、どんなものでも切り裂く気配を漂わせ、柄には円形の物体を飲み込む暗い口とレバーが備わっている。黒と青を基調に、僅かな黄色が差し色として浮かんでいた。
これが伝統的な刀の姿を残しつつ、精密機械の冷たい美しさを纏った、異様な威圧感を放つオーズの武器——メダジャリバーである。
「来るか……‼︎」
また敵側の強い奴が増えるのは、さすがに厄介だな。上手く闘えばジリ貧狙いでの勝利もできるじゃねェか。
とか考えていたら、ゾロアはまたもや別のディスクを取り出し、それを起動させた。
えっ? もうライダーは呼べないはずじゃないの? まさか、俺がアギトを倒した事でリセットされちまったの?
『レガシー・アギト・ディスク!!』
そしてゾロアは、既に嵌め込んでいたアギトのディスクを取り外したかと思えば、オーズのディスクを嵌め込んたスロットのより下の部分にある、もう1つのスロットにそれを嵌め込んだ。
そこからさらに『S』のボタンの隣にある、『F』と書かれた青いボタンを素早く押した。
『フォース・トランスファー・オーケー!! アギト!! トゥー!! オーズ!!』
するとゾロアが大鎌を振り下ろしたわけでもないのに、赤黒い感じの空洞が出現し、そこから何かが出てきた。だが、今度は人物ではなかった。
深みのある鋼鉄感のある紅い装甲に、黄金のラインが走る車体は前後に長く伸び切っている。何より目を引くのは、本来アスファルトを掴むはずの前後のタイヤが、真横に90度倒れ、反重力の推進器として宙を蹴っている事だ。
空を切り裂く巨大なサーフボードを思わせるそれは、アギトの専用ライダーマシンであるバイク──マシントルネイダー。そしてそのモードの1つ・スライダーモードだ。
そのサドル部分辺りとなる場所に、オーズが飛び込み着地し、何の苦戦もなく立ち上がりながらメダジャリバーを構えた。
体幹スゲェな。さすが、あのドデカい専用ライダーマシンのライドベンダーを乗りこなしただけはある。……あのバイクは、量産型だから最後まで借り物、しかも有償という珍しいケースのヤツだけど。
いやそれよりも目の前の状況。
「これが……昨日俺達を襲ってきたライダー達みたいに、召喚したライダーに別のライダーの力を渡すってヤツか……‼︎」
まぁ、これはどっちかというと、力を受け取ったというよりは他のライダーのマシンに乗っているってだけだけど……
だがどちらにせよ、この状況を見過ごせないのは明らかだ。ライダーが他のライダーの力を借りながら闘うってのは、普通に闘うよりも骨が折れる事だしな。それに……
「恩師の……本物に近い仮面ライダーの力を、道具のように扱っているような奴なんかに、負けてたまるかってんだよ……‼︎」
『………………仮面ライダーの力を、道具のように扱っている、か……』
………………ん? なんか引っかかっているような感じの反応をしているんだけど? 召喚可能なライダーの力を武器などに変えれるから、てっきりガリュードみたいに下僕扱いしているのかと……
『 そういう扱いにでもしないと、願いを掛けた闘いを生き抜けない事もあるんだ。誰も彼もが綺麗事を持って闘えると思わないでほしい』
「へっ……?」
なんだ? なんか意味あり気な事を言ってきたぞこいつ? というよりは、まるで長く闘ってきたからこそ……みたいな感じに言ってきたような……
そんな事を考えていたら、マシントルネイダーが
『パタンッ!!』
ウィックスガンソードをフォールディングモードへと変形させてから構え、マシントルネイダーを発進させるオーズを迎え撃つ。
すると構えたタイミングに合わせてか、本当にマシントルネイダーが発進し、俺に向かって突撃してきた。俺と接触寸前の距離でオーズもメダジャリバーを振るってきたため、前転しながら回避する。
そして起き上がったのと同時に、俺は振り返りながらオーズに向かって弾丸を連射する。運転手……いや、アレはどっちかというと搭乗者か? どちらにせよ、オーズをマシントルネイダーから降り落とせば、マシントルネイダーは機動力がダウンするはずだ。
だが、召喚されたといっても仮面ライダーである事には変わりないためか、オーズはマシントルネイダーをUターンさせながら、メダジャリバーで迫り来る光の弾丸を次々と斬り落としていった。
「あっぶねっ⁉︎」
また急接近してきたので、もう一度前転しながら振り向き、今度はゼロワンのディスクを取り出して起動した。
「だったらこいつはどうだ‼︎」
『レガシー・ゼロワン・ディスク!!』
そしてウィックスガンソードに嵌めていたままのカリバーのディスクを取り外し、取り替えるようにゼロワンのディスクを空いたスロットに嵌めた。
『エクストラアタック、オーケー!!』
『ライダーシューティング・ゼロワン!!』
ゼロワンのディスクの力を宿した、ウィックスガンソードの銃口を、再びUターンしたオーズとマシントルネイダーに向けた。銃口に宿る激しい灼熱の炎と、蛍光色に輝く威光を秘めた鮮烈な躍動磁束が交差し、一瞬にして銃身全体を包み込んでいく。
それに対抗してか、オーズもメダジャリバーに銀色のメダル──セルメダルを3枚入れ込み、そこに右腰に付けている金色の縁で囲われた黒いフリスビー状のアイテム──オースキャナーを、スライドさせて読み込ませた。
『トリプルスキャニングチャージ!!』
溢れ出す眩い光が剣身を包み込み、絶対的な切断力を宿す。オーズは踏み込みの一足と共に、視線の先にいる俺へ向けて、地面を削りながら迫っていく一閃を解き放った。
飛ばしてきたその斬撃波に対抗すべく、俺も照準を合わせたオーズに向け、引金を絞り抜いた。
放たれたのは、跳躍するバッタの幻影を纏う巨大な火炎の弾丸。空を薙ぎ払うように、残炎の軌跡を描きながらオーズの斬撃波に迫り……接触した瞬間、それが着火点となって爆発した。
発生した爆煙が周囲に漂い、視界を遮られてしまう。
「クッ……‼︎」
思わず左腕で顔を覆いながらも、俺は周囲を見渡した。爆煙の中から、いつ・何処からゾロアやオーズが飛び出してくるか分からないからな。警戒を怠らず、見逃しのないようにせねば……
とか思っていたら、予想が的中する事態が起きた。前方の爆煙から、両腕のトラクローを展開させたオーズが飛び出してきたため、その爪をしゃがんで回避しながら、隙の見えている胴体に銃口を突きつけゼロ距離で発射。
胴体に激しい火花を散らされたオーズはそのまま怯み、吹っ飛んでコンクリートの壁に強く打ちつけられた。
よし、まずは1人‼︎ 次はゾロアが何処から来るのかを警戒しないと……
………………アレ? なんか、背後から強い風が吹いているような……?
とか思いながら振り向いてみれば、ゾロアがライダーやマシントルネイダーを召喚するのに発生させた、赤黒い空洞が発生しているのが見えた。
は? ちょっと待って? なんで俺の後ろにそんなのができてるの?
………………まさか。嫌な予感を察知し、俺はウィックスガンソードをスプレードモードに変形させようとするが。
『モーメンタリー・パワー・リベレーション!!』
「うあああっ⁉︎」
その寸前、ゾロアがその空洞から飛び出し、赤黒いエネルギーを刃に纏わせた大鎌を振るい、俺の胸部装甲に重い一撃を浴びせた。激しい火花が散り、衝撃と同時に熱をも受けた事で、俺は思わずかなり後退してしまった。
負けじと俺も、フォールディングモードのままのウィックスガンソードの銃口を向けようとするが、今度はその背後をオーズがトラクローで力強く引っ掻いてきた。
「ぐえぇっ⁉︎ ガハッ⁉︎」
怯んだ隙を突かれ、前方でもゾロアの斬撃を受けてしまう。2vs1の闘いでそれは賢い事だけど、同時にズルいじゃねェかこの野郎……‼︎
そしてすぐに、後方にてオーズがトラクローをもう1回振り下ろそうとしてきたため、顔をゾロアの方に向けながら、オーズにウィックスガンソードを向け、弾丸を発射。数発命中した事でオーズは後退していった。
さらにゾロアに向かって右足を突き出したが、ゾロアはそれを右側へと回避。また大鎌を振り回そうとしてきたため、後退しながら回避する。
そこに、オーズがマシントルネイダーに乗りながら接近してきたため、接触寸前までに仰向けに倒れて回避し、側面のボディに向けてトリガーを引きまくった。それによって着弾した弾丸は火花を散らしまくり、バランスを保てなくさせた。
「って危なっ⁉︎」
ただ、マシントルネイダーが、その場で俺を下敷きにしながら落下する可能性も考えられるため、横に転がりながらその場から即座に離れる。マシントルネイダーは落下とまではいかなかったが、案の定バランスを崩したような様子を見せた。
「うおっ⁉︎ また危ねェなオイ‼︎」
転がり終わった瞬間を狙ってか、止まった瞬間にゾロアが大鎌を振り下ろしてきたため、それは起き上がりながら回避した。隙を狙うとか性格悪いなこの野郎……‼︎
『バサッ!!』
もう一度ウィックスガンソードをスプレードモードへと変形させ、大鎌が地面に突き刺さった状態となっているゾロアに向けて突き出した。さっきのヤツのお返しをしてやるぜコラァッ‼︎
「………………えっ?」
あっさりとその攻撃が当たったかと思えば、俺は思わず目を疑うような呆けた声を出してしまった。
何故ならゾロアの身体が、ウィックスガンソードの刃に突き刺さる寸前にて、俺に幻影でも見せていたかのように、ゆっくりと霧の如くブレて消えてしまったのだ。
その瞬間、俺は背後にて、ゾロアとオーズ、2人の斬撃をモロに受けてしまったのだった。
アギトがやられるのが早い、だって? 沸点に触れられたオリジンライダーの怒りのパワー舐めんな。