もしも孫悟空の娘が伝説の超サイヤ人だったら   作:上司はメロニキがいい

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ナメック星が滅亡したのはクリスマスイブだったってマ?(DBにわか)

???「この俺が星の爆発くらいで死ぬと思っていたのか?」



ナメック星の滅亡

 

 

 滅亡の一途を辿る星は、美しい緑の星からマグマの迸る荒野へと姿を変えていた。

 障害物は無いに等しく、視界はよく開けている。

 

 となれば、やることは1つ。正面衝突である。

 

 先手必勝。ソラは右腕を伸ばし速射性かつ目眩ましを兼ねた気弾を放つ。間髪入れずクウラの背後に回り込んで蹴りを入れる。

 

「うわっ」

 

 硬い!

 

 自分の防御力も上がっているためダメージが跳ね返ってくることはなかったが、これでは相手にもダメージが入っていない。

 すかさずもう片方の足で相手のパンチを相殺しそのまま殴り合いに発展する。一撃が重い。これはあまり食らうことはできない。

 傍から見れば猛烈なスピードのパンチとキックの嵐がソラに振り注いでいるように見えるかもしれないが、超サイヤ人となっているソラに見切れぬ速さではない。

 ソラは避けつつ時折いなして反撃の隙と装甲の薄い部分を見つけようとする。

 

「ここか!」

「なにっ!」

 

 腰部は可動域が広くなければ身体のひねり(・・・)が効かなくなる。ひねりがなければせっかくのパワーは半減してしまう。そんなヘマはしない。ならば動きやすいよう、ガードは薄い。

 

 クウラは荒野に叩きつけられそうになるが空中浮遊で勢いを殺し、荒野に足をつけてロケットのように飛び出す。その勢いにクウラの鈍重な角がソラの睫毛をかするがそれには怯まない。

 ソラもクウラを追って高く飛び今度は攻める。荒々しかったパンチやキックが、回数を重ねるごとに的確になっていく。繰り返される怒涛の攻撃がクウラに着実にダメージを与えていた。

 

 しかしソラは焦りはじめていた。効いていないことはない。だが、あまりに硬い。これでは負けはなくとも勝ちはない。しかもこちらには星の爆発というタイムリミットがあるのだ。

 

 今の私では、決定打に欠ける!

 

 クウラはこの猛攻から脱さなければ、となんとかソラを突き飛ばし距離を取る。

 

 ソラは自身より少し上空に浮かぶクウラを見据えた。

 その後ろ、空には厚い雲の隙間から少しだけ、爆発寸前の星に光が振り注いでいる。

 ソラの頭の中にも、一筋の光が舞い込んだ。

 

 そんな中、クウラは己の力を誇示できないことに怒りを感じつつ疑問を呈する。

 

「くっ……!サイヤ人の伝承は俺も伝え聞いている。だが、こんなものではなかったはずだ。

 きさまらサイヤ人が信奉する『伝説の超サイヤ人』とは、圧倒的な力の塊であったはずだ。そして好き勝手にすべてのモノを壊し尽くす、破壊の神(・・・・)だ、と……

 全く、よりにもよって破壊の神(・・・・)を騙るとは、脳ミソまで猿だと畏れ入るな」

「……圧倒的な、力の塊」

 

 最長老の言葉を思い出す。

 

 

 もしや、惑星ベジータにおいて伝承された『伝説の超サイヤ人』と、今私とお父さんが変身しそう呼んでいる『超サイヤ人』は、別物なのか?

 

 

 考え込み意識を反らしてしまったソラの隙を逃すクウラではない。確実な一発を腹にぶち込まれたソラは岩に突っ込む。

 このままラッシュを叩き込まれては敵わない。ソラは気を全身から放って岩石ごと周りを吹き飛ばし、クウラの勢いを殺す。クウラはあまりの気の大きさに仰け反る。

 

 そんなクウラの動揺の隙を狙い、マグマの海と化した池に叩きつけようとしたソラであったが、想定外に伸びてきた尻尾がソラを捕らえた。

 

「しまったっ」

「墜ちろっ!!」

 

 ヒューーーン……と風を切ってソラの小さな身体がマグマの海に飛び込もうとする。それだけは避けねば、とソラはなんとかして舞空術で軌道を逸らすことには成功した。

 だが、クウラが空から振ってくる。細い首に手をかけ地面に押し付けるとソラの身体がめり込み地は割れ、マグマの海も2つに割れた。

 

 クウラは嗤う。

 

「ふん、覚醒したとはいえこの程度ではな……

 確かにスピードは認めよう。だが、さっきからこの俺にはほぼダメージが通っていないことに気づいていたか?」

「ぐぅっ……!」

「この星はもうじき爆発する。そうなれば宇宙空間で生きられず、行き場のないきさまらでは生きてはいられまい。

 残念だったなあ?時間をかければ倒せる可能性はあったが、今となってはムリな話だ……フフ、ハッハッハ!!!」

 

 確かにその通りだ。頑強なクウラの装甲を破るには時間が足りない。

 

 だが、ソラには狙いがある。ここまでダメージを負わせるような力を込めず、気弾も放たなかったことには理由がある。

 

 

「ソラ!!!」

 

 来た!!

 

「お父さんっ!!太陽(・・)へ!!!」

「「?!」」

 

 ソラはクウラを睨めつけながら宙を指差し、叫んだ。

 

 ────ナメック星には、夜がない。

 太陽は3つあり、日はずっと照っている。

 

 空は異常気象による雲で覆われているが、そのなかでも薄っすらと見える、小さな光。

 

 ソラはそれを指差していた。

 そして、悟空を見る。

 クウラを突き飛ばした悟空は(そら)を見て、ソラを見て、宇宙を見て、何度か瞬いたあと、に、と笑った。

 

「ソラ、やっぱおめえはすげえよ……

 フリーザは痛めつけておいた。もう悪さはしねえだろう。さあ、次はおめえの番だ」

「何を……?!」

 

 悟空とソラはアイコンタクトをとると同時に飛び出した。二人同時にクウラの顔目掛けてパンチを繰り出し更に上空に飛ばす。

 

 ソラと悟空は並び立った。そして腰を低く構え、両手は腰の辺りに。その両手の間に、最大威力の気を込める。

 

「「か……め……は……め……」」

 

「「波!!!!」」

 

 

 クウラの身体は圧倒的な気の光線で雲を突き抜け、大気圏を突破し、宇宙に飛び出し、そして……

 

「太陽だと?!」

 

 太陽に、直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クウラを太陽まで吹っ飛ばすことで勝利を掴んだソラと悟空。

 しかし、ナメック星の爆発は目前まで迫っている。

 

 急いでフリーザ達が使っていた宇宙船に戻ろうとしたとき、身体が真っ二つに分かれ倒れ伏しているフリーザが顔を上げ、2人を見て嘲笑った。

 

「俺の宇宙船に乗って行こうとしているのだろう?残念だったな、俺の宇宙船は既に故障している!」

「!」

「フハハハハ!惨めだな、戦いに勝利しても死ぬのはきさまらの方とは。超サイヤ人だろうとなんだろうと、所詮は猿だな」

「…………!」

 

 ソラは右腕を構え、気弾を発射してフリーザの脳天を貫こうとした。

 しかし、悟空がその手首を掴む。

 

「ソラ、よすんだ」

「お父さん、でも」

「いいんだ。言わせておけ。弱った奴を痛めつけるようなことはしなくていい」

「でも!フリーザを生かしておいたらまた犠牲者が出るかもしれない!」

「それでも俺は!

 ……オラは、おめぇにそんなことさせたくねえ。分かってくれ」

「…………」

 

 ソラは悟空の青い瞳を見つめる。きりりと吊り上がった眼に対し、瞳の奥には諦念と、哀愁と、懇願とが入り混じっていた。

 ソラは自分の主張を押し通そうと睨みをきかせたが、悟空が折れないと分かるとふう、と溜息をつき、ゆっくりと右腕を降ろした。

 

 

 

 

 

「しかし、フリーザの宇宙船が使えないとなると参ったな。他に宇宙船がないか探すしかねえが、間に合うかどうか……」

「お父さん、あそこに!」

 

 ソラが指差す先には、ベジータ達が使っていたものとよく似た丸い宇宙船があった。ギニュー特戦隊の宇宙ポッドである。マグマの海から運良く逃れていたようだ。

 

 駆け寄ろうとした横から一線の光が奔る。紫色の光は宇宙ポッドを貫いた。振り返れば満身創痍のフリーザがこちらを見上げて「貴様らも道連れだ」とにやりと嘲笑い、そして再び倒れ伏した。

 

「クソッ、どうすりゃいいんだ!このままじゃソラも、オラも……!」

「………」

 

 サイヤ人といえども、宇宙空間では生きられない。

 しかし、ソラにはなぜか予感があった。自分であれば宇宙空間をも生き延びることができるという、根拠のない予感が。

 

「おとうさん、私の手を取って」

「ソラ、どうした?」

「私……できる気がする」

 

 気を集中させる。私達が爆発する星から逃れる方法。それは……

 

 一瞬、目のくらむような光がソラから発されたと思うと、悟空とソラは緑色の(・・・)バリアに包まれていた。ソラはそのまま舞空術を使う感覚で丸いバリアを飛ばした。

 ぐんぐん登るそれは空を超え、大気圏を超え、そして宇宙にまで到達した。

 

「ソラおめえ……すげえな!!こんなこと出来たのか」

「うまく行ってよかった……

 ごめん、おとうさん、バリアはしばらく持つと思うから……もう、限界」

「!ソラ!」

 

 ソラは悟空の胸の中でくたりと力を失い倒れた。慌てる悟空だったが、すうすうと寝息の音を聞き大きな溜息をついた。

 小さく華奢な身体を抱きしめる。すん、と首元を嗅ぐと、戦いの余韻とともに幼児特有の甘い香りがした。こんなにも小さい身体は悟空以上の闘いの才能を秘め、こんな器用なことまでできるのだ。

 

「ありがとう、ソラ」

 

 悟空は娘をもう一度ぎゅっと抱きしめて、自らも眠りについた。

 

 

 

 

 

 気がつけば、悟空はソラを抱えたまま、どこかに倒れていた。

 薄く目を空けて見れば空が見えた。息もできている。どうやら生活できる環境の星にいつの間にか到着していたらしい。ソラの力に謎は多いが、とにかく助かった。

 

 そしてよく見れば、見知らぬ顔がこちらを覗き込んでいる。この星の住人だろうか。なんとか会話を試みたいが、どうにも身体が動かない。あの力(超サイヤ人)は身体に負担が大きいようだ。

 

「お騒がせしてしまったようだな……悪いが、この子だけでも……頼む」

 

 そう言い残して、悟空は再び眠りについた。

 

 

 

 

 

 ここは、ヤードラット星という星らしい。

 

 次に目覚めたとき、悟空とソラはベッドに寝かされていた。世話役に子供のヤードラット星人がついていてくれて、この家もくれるらしい。

 どうしてそこまで、と思ったが、どうやらヤードラット星人は超能力の使い手が何人かいるらしく、悟空とソラの記憶を読み取り2人が『宇宙の帝王』として悪名高いフリーザとクウラを倒したことを知ったらしい。ヤードラット星人は宇宙の脅威を消し去ってくれた2人に深く感謝しており、2人を快く受け入れているのだとか。

 

 その話を聞き運が良かった、と思っていた悟空だが、ヤードラット星人の子供にソラの様子を聞くと、彼は眉をひそめてしまった。

 

 何かあったのか、と訝しんでいると、隣で寝ているソラが苦しげに呻きはじめた。

 

「う……あ……っ」

「ソラ、ソラ!どうしたんだ!」

 

 額を触ってみれば熱もある。ソラは無意識に掛け布団を引っ張り、嫌な汗を流している。

 ヤードラット星人の子供が口を開いた。

 

「その子、自分の中のパワーがうまく制御できてないみたいなんだ」

「!超サイヤ人の影響か」

「スーパーなんたらとかいうのは分からないけど、そうなのかも。パワーが不自然に高まっていて、熱という症状で現れてるみたいなんだ。

 僕らも色々考えてみたんだけど、僕らにはパワーを上げるような技術はないから分からなくて……

 なんとかゆっくり、少しだけパワーを吸ってあげることはできないのかな」

 

 確かに先ほどからソラの髪が金色に輝いたと思えば黒く染まり、金色になっては黒くなり……をチカチカと不規則に繰り返している。

 ソラがうっすらと目を開けた。

 

「おとう……さん」

「ソラ!大丈夫か?!」

「うん……生きてて、よかった……」

「おめえのおかげさ。ありがとうな。

 しかしだいぶ苦しそうだ……どうすりゃいいんだ」

 

 ふう、ふうと荒く息をする口を見つめていると、悟空の中にあることが浮かんだ。

 

 食べてあげたい。

 

 自分は何を、と悟空は首を傾げた。たべる?何を?

 確かに腹は減っているが、胃の訴えとはまた違うところから発されている感覚だった。尤もそこが何処なのかは分からないが。

 

 もう一度ソラの顔を見つめる。肌は上気してピンク色に染まり、汗の玉で額が光っている。汗を拭ってやろうと指でさすると眉間の皺が少し和らぎ、頬に手を添えれば擦り寄ってくる。なんとなしに親指の腹で唇を触るとぷにりとした感触が伝わってきて、爪の先に熱い息を感じる。

 

 そうだ、息だ。この息を食べてあげたい。

 

 それに気づいた悟空はすかさず小さな口にかぶりつき息の出入り口を塞ぐ。出てくる息を全て吸い取るかのように舌を入れて掻き出すように咥内に這わせる。ソラの舌の上を舐めてやるとぴくりと反応があり、おずおずと舌を擦り付けてきた。

 

「んっ、ん……」

 

 小さな身体をぎゅっと抱き締めてより深く舌を入れる。自分の唾液とソラの息が混ざりあって、なんだかとてもおいしい。もっと欲しい、と舌を掻き混ぜて味わっていると、突然胸をトントンと叩かれた。我に返り口を離すと、ぷはあっ!という声と共にソラが思い切り空気を吸い込んだ。

 

「はあっ、はあっ……おとうさん、くるしいっ!」

「わ、わりぃ、やりすぎた」 

 

 ソラは呼吸を奪われたことで浅い呼吸を繰り返しているが、先程のような苦しみを感じているわけではないようだ。その証拠に髪の色は元の黒色から変わることはなく、自ら上体を起こした。ソラは自分の身体を見下ろし、そして悟空の顔をまじまじと見た。

 

「すごい、自分の中で暴れてた何かが吸い取られちゃったみたい……ありがとう、お父さん」

「ああ。余分なパワーを取れたみてえだな。その証拠に、オラもなんか元気になっちまったよ。

 オラは大人だから身体も大きいけど、おめえはこんな小せえのにすげえパワーに目覚めちまったから、負担が大きかったのかもな」

「なるほど……」

「ん、まだ辛いか?」

 

 よろりと崩れそうになった身体を悟空はすかさず受け止め上半身を支えた。ソラは嬉しそうに薄く笑った。

 

「うん……まだ、体力が戻ってないみたい」

「あのクウラとかいうやつと戦ったと思ったら、今度は自分と戦ってたんだもんな、しょうがねえよ。

 ちゃんと傍にいるから、な?」

「ふふ、そうだね……もう少し、寝る。

 おやすみなさい、お父さん」

 

 ソラは悟空の腕に凭れ掛かり寝入った。悟空ももう一眠りしようとソラを抱え直し、夢の世界へ旅立った。

 

 

 





悟空をデレデレさせるために娘にしたまである。
悟空とは一線は越えないので安心してください。解釈違い感もあるけど、見たかったんだからね、しょうがないね。
正直この要素削ろうかな、削らないと読者を選ぶ作品になるな、と思ったんですが……進みます!!!(悔いなき選択)(負けイベ)



「惑星ベジータにおいて伝承された『伝説の超サイヤ人』と、ソラと悟空が変身しそう呼んでいる『超サイヤ人』は別物」設定はオリジナルです。多分ゲーム等の派生作品でもそのような扱いだと思うので、違和感はないかと。
ここではそう定義付け、劇中では前者(ブロリーのやつ)を『悪魔の力』、後者(いわゆる超サイヤ人)を『金色の力』として分けて呼称することとします。

劇中の呼称とゲームシステムや商品展開用に付けた呼称が違うと分かりにくいかもしれないけど、劇中の人物が彼らの人格で考えていることが明確になっているかのようで私は好きです。クウガとかね。
よく考えたら『金色の力』ってもろクウガやんけ……


追記(懺悔)
ヤードラット星についてのご指摘がありました。おそらく『ドラゴンボール超』で出てきた設定と合わない部分があったようで……申し訳ないです。アニメしか見てないもので、気付きませんでした。
いつか読んで直せそうなら直します。ここではそういうヤードラット星だったということで勘弁してください(正直ここはイチャついてるところ書きたかっただけなので……)。
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