ぽっと出マスター、二人三脚で人理修復せざるを得なくなりました 作:4j
こんにちは。お久しぶりです。
ハロウィンのイベントがきますね。
11年目にしてハロウィン霊衣があるとか思ってもみなかった…………。
「………っは────、厳しい戦いだった……」
「君だけ難易度鬼なのはどうかと思うぜ」
顎に伝った汗を手の甲で拭い、やれやれ感を出してみたもののアマデウスにすっぱりざっぱり切られました。
結論。魅了というデバフはキツイ。まさかこんな序盤で私の弱点が発覚するとは。
(情けないことに)私ほどスタンするサーヴァントはいなかった。いちいち食らうのでアマデウスなんかは「まじか君クソチョロいな」とか言ってました。もう面白がってたな。あれは。通信越しに「これは深刻な問題だ」とか「早急に対策しなきゃ。レオナルド、礼装準備とか出来そうかい?」「任せたまえ!腕が鳴るぜ☆」とか聞こえたし。
魅了スキルぶん回してくるファントム自身、効果覿面過ぎて困惑している節があった。
クラックラする度に周りのサーヴァントに気付けられてたので彼からしたら計画通りだったんだろうが、むしろ私にスタンが集中しすぎてギャグ化してたと言わざるを得ない。
悪かったな!!!どうせ魅了耐性レベルEのクソ雑魚マスターですよ私は!!!
しかし冤罪だと声を高らかに言いたい。対女性特化魅了(スキル強化後は範囲広がってたけど)なので性別はドンピシャ、かつ魔力なんてものと無縁だった一般ピーポーが抵抗できるはずもないのだと。
強化済でなかっただけマシなのだと思いたい。多分初期スキルだったよね???それともみんな意思が強くて弾いてただけ??確かにみんな意思も自我も強いメンツだけど。
デコピン食らい続けた額は自分の顔を見れないのでわからないが多分大分赤い。途中こっちの痛みが脳まで行ってこれのせいでスタンかかってるんじゃないかと思った。思考が停止した。
ほとほと呆れきったオルタは「どうにかしろ」とぽーいと私をアマデウスとマリーのところに放り投げ、自身はファントムとタイマンし出す始末。頼もしいけどやっぱ雑。
さらにはアマデウスが「マリア、もう君がベーゼしまくったらいいんじゃないか?」なんて言い出したことでマリーが「まあっ!なんてすてき!!」とキラッキラのノリノリで顔中にちゅーし出すもんで、私のキャパシティは終了を迎えた。
別にほっぺちゅー如きで狼狽える程若くないが、顔中やられるとさすがに脳と感情がバグる。唇はふにっふにでめちゃくそ柔らかいし、可愛いお顔が真近にあり過ぎてまつ毛の長さに絶句したし、私の毛穴全部見られたんじゃないかという違う意味の羞恥が勝った。見ないでくれ。頼む。違う意味で死んでしまいます。
マリーは生前から気分が高まると所構わずベーゼしまくっていたらしいが、この一件で恐らくマリーの生前生後含めベーゼを受けた人トップ帯に躍り出たと思う。多分独走だと思う。
ある意味満身創痍だったことは否めず、ゼーハーしてる間にうちのオルタがファントムを戦闘不能に追い込んでました。うーん強い。さすが私たちにできないことを簡単にやってのける。そこに痺れる憧れる。真面目な話、今の陣営でやってのけるのはあなたしかいないよ。
「……フ、興味深いことだ。私にああも翻弄されながらも打ち倒すとは」
膝を付きつつも顔を上げる。隠れぬ半顔は敗れたというのにもう半顔を覆う仮面のように笑みを携えていた。
「抜かせ。留まるのも厳しい身で何を余裕ぶっていやがる」
「何、お前たちを憂いている。私が斃れたとて、逃れ得ぬ災いが待っているのだから」
「…ほう?」
「【竜殺し】は諦めることだ。逃げれるものなら逃げるがいい。………嗚呼、嘆かわしい。この目で凶変を目撃できぬと…は」
ファントムは消滅した。
直後けたたましく警告音が鳴り響く。現地側ではない。通信機越しだった。ロマニの声が張り詰める。通信の向こう側、カルデア側がにわかに慌ただしくなる。
改めてはっきり言おう。第一部にあたる人理修復の道をコンテンツとして辿ったのは随分前だ。記憶はザルだと思ったほうがいい。ポイントポイントの記憶はあるが、それがどういう経緯を辿りどこで起きたか、出来事しか覚えていない箇所もざらにある。
つまりなにが言いたいかと言うと、このタイミングで来ることを完全に失念していた。
「藤丸くんのいる場所の近くで強い魔力反応だ。…これはまずい。…ファヴニールだ」
* * *
分断しているところを襲撃される強行。まずいとしか言えない。
即座離脱を推奨されたものの、藤丸たちの離脱が難しい以上救援に向かう選択肢はない。こんなところで主人公に脱落されたらそれこそ物語が終了する。そもそもとして見捨てられるほど非情じゃない、というか無理。
オルタに俵担ぎで運ばれるのはもはや恒例になりつつある。慣れろということらしい。文句は言うまい…今のところは。
ロマニは藤丸側にかかりきりになったのでダ・ヴィンチちゃん経由でルート案内と藤丸側の状況を伝えられる。ファヴニールが襲来するも未だ竜殺し発見できず。……ヤバすぎる。
バルムンクしてくれるんじゃなかったっけ?それで撤退するんじゃなかったっけ?確か弱体化はしてたけど、バルムンクれたはずなんだけど。自分の記憶が信用できない。何せガバなんでな!!!
笑えない。
そのため向かいながらサーヴァント反応を探索中。
アマデウスは心音とかそういうのでも感知できるので(音楽家ってだけなのに変態だろ)そちら方面の探知を任せ、彷徨くエネミーをぶっ刺し、蹴散らしながら進む。とても忙しい。
どこにいるのジークフリート!!!頼むから場所を教えてくれ!
応えてくれるわけはなかった。焦りで気が逸る。
探索範囲に引っ掛からない。そんなはずはない。特異点、異聞帯、エトセトラ、必ず対抗し得る存在が召喚されていた。
魔力反応が大きすぎて、感知を阻害されているのか。
いないなんてことはない、はず。でも、それを裏付ける証拠も確証もない。
「……おい、落ち着け」
耳に届いた低い声。誰かなんて言わないでもすぐわかる。傍らのサーヴァントは、周囲の敵を蹴散らしながらこちらの様子も手に取るようにわかるらしい。その余裕が少し悔しい。これが戦場慣れなのか。
「キリがねえ、どうする。別の手を考えるのも一考だと思うが?」
「…そうだね、私としても一度藤丸くんたちと合流するべきだ」
こともなさげに紅い槍がワイバーンを刺し貫いた。マリーの馬が周囲を駆ける。
既にファヴニールは姿を現した。ことは急を要する。
「……浅い呼吸音。いたよ」
「ああ、サーヴァント反応だ!」
アマデウス、そしてダ・ヴィンチの声が上がる。
その報せに息を飲み叫んだ。
「どこ!アマデウス、どこにいる!!」
「藤丸くんのいるあたり、街の中心部だ。」
「行こう、アマデウス先導、ダ・ヴィンチちゃんナビゲートして!」
マリーの馬が嘶き街を駆ける。その後をオルタが追従する。
ようやくの朗報に祈る思いだ。今までずっと察知できなかった。だからこそ当然の疑問が浮かぶ
「なんで、今になって?」
「……ついさっきエミヤが宝具を解放したんだ。」
「エミヤの宝具……固有結界が状況を変えた?」
「ああ、私たちもそう見ているよ」
ファヴニールの出現により周囲の魔力探知がバグった。強大な魔力反応に竜殺しの魔力反応が食われ、正確な位置の探知が難しくなった。
ファヴニール自体が強力な個体でこのまま戦闘を続けてもジリ貧になり消耗戦を強いられるのは必定。魔力消費を避けられないのなら、別の使い道。そのために取られたのが、エミヤの宝具解放による固有結界への隔離だった。
固有結界は術者の心象風景を現実に侵食させる。その結界内の世界法則を捻じ曲げ塗り潰す。そこに認識阻害の要因を一時的でも隔離出来れば、魔力探知は機能を取り戻す。
「ナイスすぎるなあ……!固有結界!!」
「まったくだ。彼の知名度は無きに等しいが、なぜ知られていないのか疑問に思うくらいにはね」
Fateシリーズ主人公の未来の姿だからね、かつ守護者だからね、記録に残るわけないね……というのをこの世界で知るのは数少ない。その疑問には当然沈黙を返した。
街の中心部まで来た。ファヴニールおよび藤丸たちの姿はない。漏れなく無限の剣製内に連れ込んだと見ていい。とはいえそう長く維持できないと見ておく。
反応は崩れた城から出ていた。酷く微弱なそれに気が逸る。反応はあるので現界はできているはず。時間の問題だ。
瓦礫をどかし城の内部へと進む。先を行けば案外簡単にその姿を視認できた。
「…………ああ、やっと見つけた…」
「……敵が、次から次へと、」
「違います。あなたの力を借りたく探していました。……竜に、ファヴニールに襲われているのです」
どうか助力いただけませんか。姿を見せた男にそう嘆願した。
白銀の長髪に、特徴的な胸元の模様。血に濡れ満身創痍の姿であっても、その姿は記憶にあるものと変わらなかった。
ニーベルンゲンの英雄、ジークフリート。
強い魔力反応が再び現れた。
先程まで消失していた魔力。それが戻ってきたということは──
「……なるほど、あなたたちの尽力によるものだったということか」
そう言ってジークフリートは剣を支えに立ち上がる。目は死んでいなかった。
生前ファヴニールと対峙した人物だ。その特有の気配を分からぬわけがない。相対するものがいることも理解していただろう。
「今の俺は万全ではない。それでもできる手助けはしよう」
真の英雄というのは、こういうものなのだろうか。
自身の状態をさて置き、助けを求めるものに対し手を差し伸べ献身する。本来であれば手当をし介抱して然るべき。酷使するその精神性に胸を打たれ安堵すると同時に頭に過ぎるものもある。
──彼のこういうところを、かのクリームヒルトは愛し憎んだのだろうか。
思考したその場で、過ぎったそれを消し去った。
考えても仕方がない。だからどうした。今からあやかろうとしている人間が、図々しい。
ジークフリートに肩を貸した。鎧を纏う筋肉質な成人男性は、思っていた以上に重たい。
オルタはスっと目を細めたが何を言うこともなく背を向け、アマデウスはヒョロガリな僕が力を貸してもなどと言いながら速やかに反対側を固めてくれた。マリーは傍らから声を掛けてくれる。
戦闘音が次第に近づいてくる。
ダ・ヴィンチちゃん曰くどうにか食い止めているようだが、消耗が激しい。先を急いで早く合流しなければ。
外の光が見えると同時にその大きな影が視界を覆い尽くした。ファヴニール。この間近で見ると正直身が竦む。
眼前では先程まで姿のなかった藤丸一行の背があった。
「あらあら、お仲間も駆け付けたのですか。ファヴニールを前に随分保っていることは認めますが所詮ただの英霊たち、数を増やしたところで取るに足りません」
竜の影からジャンヌの姿が見えた。高みの見物らしい。他にも影が見える。英霊だろう。遠くて特定ができない。一騎のみが竜の足元で剣を携えている。頭から足元まで黒の甲冑に身を包む男。推定、サー・ランスロット。
こちらに気がついた藤丸が安堵したように笑顔を溢す。顔は疲労を帯びている。
「お待たせ藤丸。本当に待たせた、ごめん。選手交代だ。彼を頼むよ」
「分かりました!彼が竜殺し?」
「……の、はず」
「はずゥ!?」
「確認する時間がなかった」
「違ったらどうするのお!?」
「き、きっと大丈夫です、先輩。ただならぬ雰囲気をお持ちですから」
「マシュ、あなた意外とアバウトなのですね」
そん時はそん時と投げやりに返して任せたが恐らく問題ないだろう……とは思っている。
ガワだけで中身違うとかままあることだが、(スルトとか最たるものだし、レジライも冥界の船渡しだった)戦力であることを頼みにする他ない。今弱ってるとはいえ選択肢すらないからな。
功労者たるエミヤと言えば涼しげな顔をしてはいるが楽だったわけはないので労いの言葉をかけたのだが、務めを果たしたまでだとか真面目なのか皮肉なのかわからん回答があった。こいつめ。素直に受け取りたまえ。
「さあて、やりますか!やるの私じゃないが!」
「まったくだ。戦闘力がないのに駆り出される僕の身にもなってくれたまえ!」
「アマデウスならダイジョーブ」
「雑すぎないかい?」
「けれどアマデウス、今が頑張りどきだと思うのよ?」
「そうは言ってもマリア、僕はただの音楽家だぜ?」
「あら、私だってフランス王妃だわ?」
「くだらん」
それぞれが眼前のファヴニールと敵サーヴァントたちを見やる。
目標は前線の維持および離脱または撃破。求められる最低限が既に重いがやれることをやるしかない。どちらにせよできなければ全滅なので非常にシビアな環境だ。
「ああ、ああ!……見間違えるはずがない。……マリー……!」
そんななか降り立った銀髪のサーヴァントは恍惚とした顔でマリーに濁った視線を向けた。
こちらとしてはその姿を見ただけで真名看破が済んでいる。
シャルル・アンリ・サンソン。マリーやシャルロット・コルデーの処刑を担当したフランスの処刑人。彼の顔は上気しその視線はかのマリーを熱くみつめていた。
「……あら。忘れもしないわ、……あなたサンソン?」
柔らかく微笑みを返したマリーにサンソンの顔が輝く。蕩けた瞳が熱心にマリーを射貫く。その瞳の熱に違和感を覚える程に。
アマデウスが不愉快そうに鼻を鳴らした。
「……ああ、覚えていてくれたのかい。……こんなに光栄なことはない。やはり僕らは再び出逢う運命だったんだ。白雪の如き、白いうなじの君。再び君の首に僕の刃を届けられるなんて」
「……おいおい、正気か?生前だけに留まらず、サーヴァントになってからも処刑だって?狂っているとしか思えないね」
「…ああ、お前にはわかるまい非人間。人間を愛せぬクズには彼女の尊さが理解できるはずもない。死を目前にして枯れぬ気高さ。罵詈雑言、敵意を受けてなお憎しみを抱くことなく微笑みを携えた貴女。滑り落ちていく刃がうなじに吸い込まれるその直前まで、他者を慈しむあの顔!どれだけ僕が感銘を受けたか!忘れもしまい!あの歓喜を、あの輝きを!首を絶たれた後すら表情が曇ることはなかった。そして僕は確信したんだ。…………嗚呼、僕は貴女に絶頂に至る
恋する乙女のように、恍惚とした表情でサンソンは口ずさむように告げた。
最初はマリーを讃えるものであったはずが、それはいつの間にか違う色に変わっていた。
「刃の角度、速度、その磨きにおいても、持てる技術を全て費やして僕はあの日を迎えた。死も痛みも、苦しみも感じずに逝けるよう。シルクのように滑らかな素肌を如何に傷付けず。死ぬほどの快楽に歓喜し、嬌声もあげられぬほど身悶えし、意識が飛ぶような絶頂を。……気持ちよかったかい?あまりの気持ちよさに覚えていないかもしれない。
なにせ結果表情はおろか断面すら綺麗なままだった!……さぞ最高な瞬間だっただろう。……教えてくれ。僕の愛は君を最高の終わりに導けたかい?」
朗々とした、しかしどこか蕩けた甘い声での告白に空気が凍った。
絶句が正しい。より詳細に言えばドン引きだ。
え、本編でもキショかった気はするがここまでだった?
考えてもみて欲しい。発言内容は言うまでもなくアウト。そしてそのセクハラ発言をした声帯はかの宮〇〇守だ。今まで携わられた変態や奇人変人キャラを上げれば枚挙に遑がない。慣れている、はずだ。むしろこのキャラならこの人じゃね?などとファンの中でイコールになるほど馴染んでいるはずだ。絶賛も甚だしいほどに。
しかし想像して欲しい。教祖兼敵組織ナンバー2*1のようなまろやかな声に、グルメな人外*2がハンカチスーハーするテンションを上乗せ、それを恍惚とした表情で眼前からお出しされたとしたら。
えげつない。とんでもねえ。色んな意味で。レッドカードの一発退場レベルである。超絶キショく悪い。
「……へえ、思ってた以上にキチガイ野郎らしい。」
「……あまりのことで二の句が継げなかった。激しく同意するよアマデウス、精神衛生上非常によろしくない。多分狂化受けてるけどとはいえ酷い。ドセクハラだ」
「気が合うじゃないか。マリアの眼前に立たせたくもない」
「……あのふたりとも?心配してくださるのはありがたいわ?確かに倒錯的なことを言われたけれど、」
「いいや、まともに取り合っては駄目だ。足元を見られる。例え相手がサンソンであろうとも、ライン越えだこれは」
「微妙に人柄擁護しているのは謎だけれども同意だ、こういうのは放っておくと後が怖いんだ」
「そういうこと。というわけでオルタ頼む。ぶち殺してくれ」
「……フ、珍しいこともあるもんだ。了解した、抉り殺す」
ここで退場だったかどうかは正直覚えてない。だが狂化入ってても女の子に対して言っていいことじゃないね!最悪だ!
悪いなサンソン、本来のあなたの名誉のため、そしてとんでもねえセクハラと鳥肌の代償を払っていけ!!