もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら 作:ガチタン雷電
第9章 アビドスの中心へ:砂漠の街と“観光大使・先生”の歓迎式典
渓谷を抜けた3台の車は、ようやく開けた砂漠地帯へ出た。
遠くに白い建物群が見える。
アビドス中心区域――砂の中のオアシス都市だ。
ジェレミーが目を細める。
「……ほう。思ったよりちゃんと“街”してるじゃないか。」
ホシノが振り返って笑った。
「失礼だなぁ~。アビドスはちゃんとした学園都市なんだよ?
ほら、砂は多いけど!」
「その“けど”が全てなんだよ。」ジェレミーは嘆息する。
その日はアビドスのメンバーと別れると3人はホテルで浴びるように酒を飲み干した。
■ アビドスの出迎え
翌日、3台が市街地の中央広場へ入ると、
すでに生徒会のメンバーが整列していた。
前に立つのはカウンターに肘をついてばかりのホシノ――今日は珍しくシャキッと立っている。
「よく来たね~グランドツアーのみなさん!
アビドスへようこそ!」
ジェレミーが耳打ちする。
「……なんだ、あれは本当にホシノなのか?いつもより真面目に見えるぞ。」
シロコが淡々と答える。
「先生が観光大使になるって話で……珍しく、頑張ってるみたいです。」
ジェレミー「先生ってそんな影響力あるのか……地球からの外交特使兼任でシャーレに所属してると聞いてたがすごいな。」
ホシノは胸を張って続ける。
「それじゃあ、今日は“アビドスの正式な歓迎式典”を用意してるよ~!」
■ 砂漠都市アビドス:街の紹介ツアー
ホシノが案内役となり、一行は徒歩で街を案内される。
建物は白く、日差しの反射が眩しい。
砂漠の風が吹くたびに細かい砂が舞い、古い看板がカタカタ揺れている。
ハモンドがメモを取りながら歩く。
「アビドスって……もっと廃れてると思ってたけど、案外ちゃんとしてるんだね。」
アヤネが苦笑しながら補足する。
「財政は……まあ……“ひどい”ですけど……
でも街の住民はいい人たちですよ。」
ジェームズは静かに周囲を見渡す。
「この砂の量、英国なら“観光地として無理”と判断するレベルかな。
だが、逆に言えば独特で魅力的だ。」
ジェレミー「珍しいな、褒めるなんて。」
ジェームズ「砂を笑うものは砂に泣く……と言ってね。砂漠は侮れないんだ。」
ハモンド「今考えたろそれ!」
■ セレモニー広場:観光大使の就任式……の準備を見る
中央広場には、簡素なステージが組まれ、
“WELCOME THE GRAND TOUR!”
と書かれた横断幕が掲げられていた。
ハモン)が感心する。
「おお……案外ちゃんとしてるじゃないか。」
ホシノが誇らしげに胸を張る。
「先生のためだからね~。
もちろん、ジェレミー達にもアビドスを宣伝してもらうために!」
ジェレミー「俺たちを宣伝に使うのは間違いだぞ。
好きなだけ喋るけど、誰も信用しないぞ?」
ホシノ「それはそれで面白いから大丈夫~!」
ジェレミー「アビドスの広報、雑すぎないか?」
■ クルマの“アビドス式評価”が始まる
ホシノがぱんぱんと手を叩いて言った。
「はいっ!ではここで“アビドス流の車両チェック”をします!」
ジェレミー「……嫌な予感しかしない。」
● パトロール(ジェームズ)
アヤネが真剣に車体を触りながら言う。
「この車……いいです。とても安定してる。
銃撃にも耐えられるし、きっと砂嵐も平気。」
ホシノ「観光ツアーの“送迎車”にぴったりだね~!」
ジェームズ「だから観光バス扱いするなと言ってるだろ!!」
● ランドローバー(ジェレミー)
シロコが淡々とした表情でボンネットを開ける。
「……今日も、なんか壊れてます。」
ジェレミー「今日“も”って言うな!!
昨日は全部壊れてただろ!!」
ホシノ「えっと……ランドローバーは観光には向かないね~」
ジェレミー「それは俺が一番わかってる!!」
● ハマー(リチャード・ハモンド)
ノノミが車体を“指一本で”揺らしながら言う。
「ハマーくん……また部品が緩んでますよ?
あっ、このネジ知らない子ですね!」
ハモンド「それ俺の車じゃない!!知らないネジ勝手に増やすな!!」
ホシノ「でも見た目は強そうだから、観光客ウケはいいよね~!」
ジェレミー「走らない観光車なんて聞いたことないぞ!!」
■ そして、次の“お題”が発表される
ホシノがステージの上に立ち、大きく手を広げた。
「では、アビドス観光計画の一環として!」
「グランドツアーのみなさんには――」
「“アビドス名物・砂漠レース大会”に出場してもらいまーす!!」
ジェレミー「…………は?」
ジェームズ「砂漠……レース……?」
ハモンド「俺のハマーは……そもそも走るのか……?」
ノノミ「大丈夫です!最悪、私が押します!!」
ハモンド「押される車でレースできるか!!」
ホシノは満面の笑みで続けた。
「賞金は豪華!観光大使の宣伝にもなる!
もちろん、コースにはいろんな“アビドス名物ギミック”があるよ~!」
ジェレミー「ギミックという単語の時点で嫌な予感しかしないんだが!」
シロコが静かに言った。
「……アビドスの砂漠レースは、
車よりドライバーのメンタルの方が重要と言われています。」
ジェレミー「なんだその呪われた競技は!!」
こうして――
グランドツアー “アビドス砂漠レース”
の幕が開くのであった。