もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら 作:ガチタン雷電
第11章・最終幕
エピローグ 砂漠の向こう、エンジンの余韻
夕暮れのアビドス砂漠。
昼間の熱を残した砂が、赤く染まりながら静かに冷えていく。
3台の車は観光案内所跡の前に並び、
どれも砂まみれ、傷だらけ、そして——なぜか誇らしげだった。
ハマー H3 の横で、ハモンドがしゃがみ込みながらため息をつく。
ハモンド「……ネジ、何本落ちたと思う?」
ノノミ「数えるのやめました。」
ホシノ「でもちゃんと帰ってこれたし、優秀優秀~。」
ハモンド「評価基準が甘すぎるだろ……」
ジェレミーはランドローバーのボンネットにもたれ、空を見上げる。
ジェレミー「結局、何が壊れたのか分からないまま走り切ったな。」
シロコ「ん……全部、少しずつ壊れてる。」
ジェレミー「最悪の報告だそれ!!」
シロコは小さく首を傾げた。
シロコ「でも……走った。」
ジェレミー「……ああ、走ったな。」
パトロールのそばでは、ジェームズが砂を払っている。
ジェームズ「砂漠というのはね……
車の本質が、全部出る場所なんだ。」
セリカ「それで、今日の感想は?」
ジェームズ「“過積載は敵”だ。」
少し離れた砂丘の上。
ホシノは夕日を眺めながら、のんびりと言った。
ホシノ「ねえ、こういうの……悪くないでしょ?」
ノノミ「はい。
観光っていうより、実地耐久訓練でしたけど。」
ホシノ「アビドスの観光なんて、だいたいそんなもんだよ~。」
風が吹き、砂がさらさらと音を立てる。
エンジンは止まり、
銃声も爆発もない。
ただ、砂漠と車と、人だけが残っていた。
ジェレミーがふと口を開く。
ジェレミー「……またやるか?」
ハモンド「次はもっとマシな道でな!!」
ジェームズ「次は競争じゃなく、普通に走ろう。」
ホシノ「え~? じゃあつまんないよ~。」
シロコは静かに頷いた。
シロコ「ん……でも、またやりたい。」
夕日が沈み、
アビドスの砂漠に夜が訪れる。
壊れかけの車たちと、
無茶をした大人と、
それを当たり前のように受け入れる生徒たち。
グランドツアーinアビドスは、
何事もなかったかのように、静かに終わる。
——少なくとも、
次にエンジンをかけるその時までは。
「FIN.
となるのが普通の番組だが私は許せないことがあった」
ジェレミーはカメラに向きこう言い放った
「英国車に必要なのは、整備ではなく火力だった」
砂漠レースが終わり、
粉塵とエンジン音だけが残ったアビドスの平原。
沈黙。
その沈黙を破ったのは――
ドアを開ける音だった。
ギィ……。
ランドローバー・ディスカバリーの運転席から
ジェレミー・クラークソンが降りてくる。
手に持っているのは――
ショットガン。
シロコが一瞬だけ目を瞬かせる。
「……ん。予想通り。」
ジェレミーは無言でディスカバリーを見上げた。
ボンネットは歪み、
配線は見え、
警告灯はまだ点いている。
ジェレミーは静かに言った。
「……君は、もう十分やった。」
次の瞬間。
バンッ!!
ショットガンが火を噴いた。
フロントグリルが吹き飛ぶ。
■ハモンド、便乗
「おお、それやるなら俺もだ!!」
ハモンドがハマーH3の後部ドアを開け、
AKを引っ張り出す。
さらに――
「そういえばな!」
ゴトン、ゴトン。
手榴弾コンテナを2つ、地面に下ろす。
ノノミが目を輝かせる。
「わぁ……いっぱい……!」
ハモンドは胸を張った。
「だから俺のハマー、
荷物が逼迫してたんだよ!!
シロコが次々と武器積み込むし
武器優先だったんだ!!」
ジェームズが即座にツッコむ。
「なぜ“優先順位”がそうなるんだ!?」
■ジェームズ、理性を捨てる
ジェームズはため息をつき、
パトロールのリアからライフルを取り出す。
「……僕はね、暴力は好まない。」
そう言いながら、
照準をディスカバリーに合わせる。
「だが――
これは例外だ。」
パンッ!
ドアパネルに穴が開く。
■連鎖反応
それを合図に――
ジェレミー:ショットガン連射
ハモンド:AKを乱射
ジェームズ:無言で的確に撃つ
アビドスの少女たちも――
セリカ「ちょっとだけね!!」
ノノミ「安全確認、よしっ!」
ホシノ「うんうん、綺麗に壊れてきた~」
全員参加。
ディスカバリーは、
もはや“車”ではなく
怒りの対象物になっていた。
■手榴弾という解決策
ハモンドが手榴弾を一つ手に取る。
「最後は……これだな?」
ジェレミーが即答する。
「投げろ。」
ジェームズも頷く。
「投げろ。」
シロコ「……ん。投げたほうが静かになる。」
ハモンドはニヤリと笑い、
ディスカバリーの車内へ放り投げた。
――カラン。
一拍。
大爆発
ドォォォォン!!!!!!
砂漠に巨大な火球が咲く。
衝撃波。
舞い上がる砂。
黒煙。
ディスカバリーは、
完全に消滅した。
■爆発後
沈黙。
燃え残る金属片を見ながら、
ジェレミーが一言。
「……素晴らしい。」
ハモンドが頷く。
「最高の修理だったな。」
ジェームズは眼鏡を直して言う。
「……これで、
もう警告灯は点かない。」
ホシノがにっこり笑った。
「じゃあ次は、
何を壊す?」
砂漠の風が吹き抜ける中――
アビドス流グランドツアーは、
最高に英国的な結末を迎えた。
エピローグ:砂が落ち着いたあとで
夕暮れのアビドス
砂丘の上。
シロコは沈黙したまま、地平線を見ている。
「ん……彼らはまた来ると思う。」
ノノミ
「観光ですか?」
シロコ
「たぶん……違う。」
ホシノは笑う。
「でもさ、悪くなかったでしょ?」
誰も否定しない。
■最後のカット
夕日が沈む。
砂漠に残るタイヤ痕。
まっすぐではなく、
なぜか全部、微妙に曲がっている。
ナレーション(ジェレミー)
「我々は何も解決しなかった。
何も改善しなかった。
そして、確実に何かを壊した。」
間。
「――だが、素晴らしい旅だった。」
そしてパトロールの助手席のドアを開けて乗りこむジェレミー
END
(遠くでエンジンが一瞬かかり、すぐ止まる音)
ジェレミー
「ハモンド!!また君か」