もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら 作:ガチタン雷電
第2章 “砂に沈む者たち”
アビドス砂漠の地平線は揺れ、まるで空気そのものが熱で溶けているようだった。
そんな中、ジェレミーのディスカバリー、ジェームズのパトロール、そしてハモンドの黄色いハマー H3 が、砂の上へと次々と踏み出していく。
砂漠の試走は、いわば“公開処刑”だった。
■ジェレミーのランドローバー:最初の挑戦
「さあ諸君、これがイギリスの誇りだ。」
ジェレミーがアクセルを踏み込む。
ディスカバリーは砂丘へ優雅に乗り上げ――
わずか30メートルで沈んだ。
「……なんだこれは?」
タイヤは砂にめり込み、車体はまるで巨大な船が座礁したように傾いている。
ハモンドが爆笑しながら言う。
「砂漠で英国車乗る方が悪い!砂は“水”と同じなんだぞ!お前はレンジローバーに乗って学ばなかったのか?」
ジェレミーは真っ赤になりつつ反論する。
「このディスカバリーはちゃんと整備されていた!ただ……砂の量が想定外だっただけだ!」
ジェームズが冷静に言う。
「ここは砂漠だよ、ジェレミー。」
■ジェームズのパトロール:圧倒的安定
ジェームズはゆっくりとパトロールを砂丘へ走らせる。
エンジンは低く唸り、重量はあるものの、タイヤは適切に砂を掘り、
まるで家族を乗せた観光バスのように安定して走っていく。
「……なんか腹が立つな。」
ジェレミーがぼそっと言う。
ハモンドが肩をすくめる。
「そりゃあ、アラブで売れまくったモンスターSUVだからな。ゴーンの件で値下がりしただけで、中身は普通に優秀なんだよ。」
ジェレミーが皮肉っぽく言う。
「つまり“スキャンダル割引”か。」
ジェームズは無視して走り続けた。
■ハモンドのハマー:想像通りの結末
「さあ見てろよ!これがアメリカの力だ!」
ハモンドは黄色いハマーを発進。
最初の20メートルは順調だった。
その後――
ガラガラガラガラッ……!
左後ろから例の不穏な音が鳴り響き、
ハマーは急に右へ傾いた。
「え!?え、ちょ、なに!?なにこれ!」
ジェレミーが叫ぶ。
「タイヤが砂に負けたんだろ!!」
ジェームズは冷静すぎる答えを返す。
「いやたぶん……サスペンションのブッシュが死んでる。」
ハモンドは半泣きになりながらアクセルを踏むが、
黄色いハマーは砂に完全に沈み、
砂漠のレモンケーキのようになってしまった。
■救助作戦(物理)
ジェレミーがシャベルを持ちながら文句を言う。
「なぜ私がハモンドの車を掘り出さなきゃいけないんだ!」
ハモンドも砂を払いながら言い返す。
「お前のディスカバリーも埋まってるだろうが!!」
ジェームズはパトロールを砂漠の上に並べ、静かに言った。
「君たち、早く掘らないと日が沈むよ。
ここは夜になると寒くなる。」
ジェレミーとハモンドが同時に叫ぶ。
「お前が言うな!一番余裕そうにしやがって!」
ジェームズは無言でテールゲートを閉めた。
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■砂漠に響くエンジンと無線
なんとか2台を砂から掘り出した頃、
夕陽が赤く砂を染めていた。
その時、ジェレミーの無線にノイズ混じりの声が届く。
『……こちらアビドス廃校対策委員会……聞こえますか?』
ジェレミーが眉をひそめる。
「なんだこれは?この学校の子たち、なんで砂漠で無線通信やってるのか?」
ハモンドが地図を見ながら言う。
「ここ、アビドスの学生が管理してる土地らしい。
俺たち、勝手に砂丘に侵入してるらしいぞ。」
ジェームズが理由を付け足す。
「いや大丈夫だ……シャーレの先生が“アビドスの観光を広めよう”と言ったとかなんとか。」
全員が同時に固まりジェレミーが口を開いた。
「あのシャーレの....地球からの外交特使がそう言ったのか?」
「らしいぞ。」
「観光のために、我々を……?」
砂漠の風が吹き抜け、
3人の嫌な予感をかき消すように砂を巻き上げた。
■そして、アビドスの少女たちがやってくる
遠くに、砂煙とともに
複数の小さなシルエット が現れ始める。
ジェレミーはつぶやく。
「……おい。あれは銃を持ってないか?」
ジェームズが目を細めて言った。
「いや、普通に持ってるね。」
ハモンドは青ざめた。
「観光誘致って、こういう意味……?」
誘拐による身代金が頭によぎる
そして砂漠の向こうから、アビドスの生徒たちがこちらへ向かってくる。