もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら 作:ガチタン雷電
第6章 砂嵐テスト走行:アビドスの地獄ロード
アビドス砂漠の入り口。
空は晴れているのに、地平線の向こうには茶色い帯のような砂煙が広がり始めていた。
シロコは双眼鏡を静かに下ろし、淡々と言った。
「ん……少し風が強くなってきた。
でも、今ならまだ走れる。」
その落ち着いた声に対し、3人は同時に叫んだ。
「「「いや無理だろ!!」」」
ホシノはいつも通りの笑顔で手を叩く。
「大丈夫だって~。これぐらい“アビドスの平常運転”だから!」
ジェレミー「お前らの平常運転の基準がおかしいんだよ!!」
■テスト走行スタート
3台は列を組んで砂漠の中へ進む。
先頭:ジェームズの NISSAN パトロール(6代目)
アヤネ、セリカ同乗
中列:ジェレミーのランドローバー
シロコ同乗
殿(しんがり):ハモンドのハマー
ホシノ、ノノミ同乗
■パトロール:“教科書のような理想の走り”
アヤネが助手席でメモを取りながら言った。
「……揺れが安定しています。吸気も正常。
パワーの出方も、砂には丁度いい感じです。」
ジェームズは穏やかに微笑んだ。
「僕のパトロールはね、砂漠生まれなんだ。
こういう環境じゃ無敵なんだよ。」
セリカ「というか、まんま“観光ツアー車”って感じね。」
ジェームズ「それはやめてくれ。」
■ランドローバー:
“電気系統がアマゾンの精霊レベルで気まぐれ”
シロコが助手席で冷静に言った。
「ん……ジェレミー、また右のテールランプが点滅してる。」
ジェレミー「わかってる!!俺も見えてる!!
なんで砂漠に来てまで電気が暴走するんだ!!」
シロコ「ん……英国製だから?」
ジェレミー「そうだよ!!誉め言葉ではないけど正しい!!」
突然、計器盤のバックライトが一瞬だけ強く光った。
シロコ「……今のは?」
ジェレミー「俺が聞きたいわ!!」
●ハマー:“走っているだけで部品が落ちるミステリー”
後方からハモンドが叫ぶ声が無線に入る。
『おい!!また何か落ちた!!なんかネジみたいなの落ちた!!』
ノノミの声が返る。
『大丈夫です、そのへんのは予備で付いてたやつなので。』
『え、予備!?』
ホシノが笑いながら補足した。
『内装の固定ネジ、全部違う種類だったんだよね~。』
ジェレミー「それ中古車として犯罪レベルだろ!!」
ジェームズ『君のハマーは“形を保っているだけで奇跡”のカテゴリーだね。』
ハモンド『黙れ!!』
■アビドス流テスト項目
そして阿鼻叫喚の中テストコースと言う名の砂の海に着くとアヤネが読み上げる。
「テスト項目は、
1:砂丘登坂性能
2:急制動
3:急旋回
4:砂嵐時の耐久走行
以上です。」
ジェレミー「最後のだけ重すぎる!!」
ホシノは満面の笑み。
「だって〜観光ツアーの途中で砂嵐に巻き込まれることもあるからね~。」
ジェームズ「改善すべきは観光ツアーのほうだよ!!」
■そして本物の砂嵐が来た
地平線の茶色い帯は、気づけば巨大な壁のようになっていた。
アヤネが眉を寄せた。
「……来ます。
本格的な砂嵐です。視界ゼロになる前に、避難してください。」
だが、その瞬間。
ドオオオオオオッ!!!!!!!
暴風が横殴りに来た。
砂は顔に当たると痛いほどで、視界は一気に茶色の霧に覆われていく。
■車たちの反応
●パトロール
踏ん張って安定。
ジェームズ「素晴らしい……まるで自分の家に帰ったみたいだ!」
アヤネ「揺れも少ないです。やっぱり強いです。」
●ランドローバー
計器盤が謎の赤点滅を始める。
ジェレミー「ええ!?何の警告だこれ!?“UK SPECIAL”って何だ!!」
シロコ「ん……そんな表示、整備マニュアルになかった。」
ジェレミー「俺のランドローバーが独自の言語を生み出している!!!」
●ハマー
ドアの内張りが風圧で“バコンッ”と外れる。
ハモンド「やめてえええええ!!俺のドアがあああああ!!」
ホシノ「まあまあ、あとで部品ひろえば大丈夫だよ~。」
ハモンド「その“あとで拾えば大丈夫”文化やめろ!!」
■避難ポイントへ、必死の走行
アヤネ『……皆さん、あと 600m で避難壕です。
そのまま、まっすぐ進んでください。』
ジェレミー「視界ゼロだぞ!!本当にまっすぐか!?」
シロコ「ん大丈夫。私が誘導する。」
ジェレミー「……お前だけは信頼してるよ!!」
ホシノ『え~、わたしは?』
ジェレミー「君は信頼じゃなくて“危険察知の警報”なんだよ!!」
■到着
3台は砂に埋まりかけながらも、何とか避難壕へ滑り込んだ。
風の轟音が外を覆う。
ハモンドはドアを押さえながら叫んだ。
「……俺のハマー、外に置いといたら飛んでくんじゃないか……?」
ジェームズ「むしろ外の方が自然に分解されて掃除されるかもしれないよ。」
ハモンド「バカにしてるだろ!!」
ジェレミーは深いため息をついた。
「ジェームズ……パトロールは本当に強いな。」
ジェームズ「うん。
ゴーンいじり以外は完璧だよ。」
ホシノが小さく笑った。
「じゃあ、次は“観光ガイド実地訓練”だね~。」
ジェレミー・ハモンド・ジェームズ
「やる前に一回休ませろ!!」
夜の闇の中
砂嵐の轟音だけが響く避難壕の中、
アビドス流グランドツアーは、まだ始まったばかりだった。
なお、未成年者がいるため酒はお預けである。