もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら 作:ガチタン雷電
第8章 外部勢力との遭遇
~銃声よりエンジン音のほうがうるさい~
アビドス遺跡(石柱の先端1個)の発掘ごっこで疲れ果てた一行の前に、
砂丘の向こうから黒い影がいくつも現れた。
ゆっくり、だが確実にこちらへ向かってくる。
ハモンドが双眼鏡を構える。
「ん?……ああ~、これは良くない。全然良くないぞ。」
「どう見ても観光客じゃないよな」ジェレミーが渋い顔で言う。
ヘルメットにタクティカルベスト、武装。
アビドスでもキヴォトスでもない“無印”の連中だ。
「……ヘルメット団だね、よくいる“武装集団”だね」
ホシノが淡々と告げる。
「武装集団!!その単語、この世界で一番嫌だぞ!?」
ハモンドが叫ぶ。
■反応が早いのはジェームズのパトロール
ジェームズはすでにパトロールへ飛び乗り、
キーを回すとエンジンが一発で目覚めた。
「おお……頼もしい……!」
セリカが感動の声を漏らす。
「こういう状況でこそ、日産の信頼性が輝くんだよ」
ジェームズが誇らしげに言った。
「いや、平常時から輝いてくれよ!」
ジェレミーが日産の経営陣の愚痴をランドローバーの前で叫ぶ。
■ハマーは逃げたいのに逃げられない
一方のハモンドとノノミ、ホシノのハマーは――
ブォォォォォォ……ゴゴゴ……
(砂に食われてる)
「なんで昨日より沈んでるんだ!?」
ハモンドが絶叫する。
ノノミが少し困った声で言う。
「ハモンドさん……サスペンションがまた下がってます」
「勝手に下がるな!!」
ホシノも後ろから覗き込み、
「ほらほら~、ハマーは砂のベッドで寝たいんだよ~」
「寝るな!!起きろ!!働け!!」
■ランドローバーは“今日の不調”を発揮
ジェレミーは急いでランドローバーのスターターボタンを押す。
――ピッ
“DOOR AJAR”
――ピッ
“BONNET AJAR”
――ピッ
“EVERYTHING AJAR”
「全部開いてないわ!!」
ジェレミーが絶叫する。
シロコが首をかしげる。
「ん……ジェレミー、これは……今日のトラブル?」
「そうだよ!!ランドローバーは毎日壊れ方が変わるんだよ!!」
「ん…英国車って、すごい……」
シロコが素で驚く。
■武装集団、ついに発砲
砂丘の向こうから、乾いた銃声が響いた。
パンッ!パンパンッ!
アヤネが即座に反応。
「銃撃。距離400……3、……2、……縮まってます」
「時間経過早すぎない!?」
ハモンドが叫ぶ。
「撤収!!」
ホシノの声で各車が慌てて発進する。
■逃走開始!
■先頭:日産パトロール
“砂漠の皇帝”
アヤネが揺れの少なさに驚く。
「安定してます……砂の上なのに……」
「これがパトロールだよ」
ジェームズが胸を張る。
「バス並みに乗り心地いいね」
セリカが言う。
「この車は観光バスじゃないよ!!」
(ちょっと怒ってる)
■中列:ランドローバー
“砂に嫌われた英国車”
シロコ「ジェレミー、また右のテールランプが点滅してる」
ジェレミー「知ってる!!私も見てる!!」
突然、メーターが虹色に光った。
シロコ「……今のは?」
ジェレミー「俺が聞きたい!!」
■最後尾:ハマー
“部品が置いていかれる車”
ハモンド『おい!!今なんか落ちた!!』
ノノミ『大丈夫です、さっき追加した予備ネジです!』
ハモンド『ネジに予備とかあるの!?』
ホシノ「無くても走るから大丈夫!」
ハモンド「俺のハマーを“走るかもしれない何か”みたいに言うな!!」
■武装トラックが急接近
アヤネ「後方、150m! 武装トラックが追ってきてます!」
セリカが射撃姿勢に入り、
「ホシノ先輩、接近されると危険です!牽制します!」
バン!バン!バン!バン!
弾丸がトラックのタイヤに命中してパンクさせる。
「……セリカ、すごい」
ジェームズが感心する。
『セリカって、キレると怖いんだよね~』
無線越しにホシノが言う。
「酷いよそれ!?」
セリカがちょっと涙目になる。
■ランドローバー、余計な機能が起動
ポーン。
“OBSTACLE WARNING:砂漠は障害物です”
「知ってるわ!!!」
ジェレミーの叫びが砂漠に響いた。
そのままアクセルを踏むと――
ズボッ。
「埋まったあああああ!!」
ジェレミーが頭を抱える。
シロコ「ん……日本車に乗り換えたら?」
ジェレミー「トヨタ貸してくれ!!」
追いかけてきたトラックはアビドスのメンバーにより全部片付けてジェレミーのランドローバーを掘り出して再び逃げ出した。
砂の渓谷に差しかかった頃だった。
細い一本道、左右は切り立った岩壁。視界は悪く、風が吹くたびに砂が巻き上がる。
その中を、3台の車が縦に並んで慎重に進んでいた。
■ 先頭:ハモンドのハマー
搭乗者:ハモンド、ノノミ、ホシノ
「いやーな感じがするな……」とハモンド。
助手席のホシノは頬杖をつきながら、
「先生を観光大使にしようって話が出てるんだから、こういう危険区域はちゃんと整備してほしいんだけどねぇ……」
と、眠たげな声でぼやく。
ノノミは後部座席でガトリングガンを整備しながら
「でもでも、こういうところで“敵っぽいモノ”が出てくると……テンション上がりますよねっ!」
とにこーっと笑った。
ハモンドの背筋が凍る。
「ノノミ、絶対に撃つなよ。道が崩れるからな!」
「はーい……」
■ 中央:ジェレミーのランドローバー
搭乗者:ジェレミー、シロコ
ジェレミーは険しい表情でハマーを見つめる。
「前の車、明らかに危ない子が乗ってるんだが。あれ本当に大丈夫なのか?」
シロコは淡々と返す。
「ノノミ先輩は……まあ、“戦闘力”が高いので。もし何かあれば守ってくれますよ。」
「守るというか、破壊するというか……」
ジェレミーは遠い目をした。
■ 後方:ジェームズのNISSANパトロール
搭乗者:ジェームズ、アヤネ、セリカ
ジェームズは地図を確認しながら、
「この先は特に何もないはずだ。観光ルートとしては“退屈”と言われている場所だしな。」
アヤネが後ろを向いて耳を澄ませる。
「……先生、さっきから嫌な音がします。何か、こっちを追ってきてる感じが……」
セリカは眉をひそめた。
「アヤネちゃんの勘は当たるから……気をつけた方がいいかも。」
ジェームズは笑った。
「大丈夫だろう、我々は慎重に進んで――」
そこで、渓谷に不気味な反響音が鳴り響いた。
ゴォォォォォン……!
■ ヘルメット団、登場
渓谷の両側の崖の上に、黒いヘルメットを被った集団が現れた。
黒のセーラー服、そして無表情なヘルメット。
まるで工事現場で反逆でも起こしたような、妙にチープで怪しい軍勢。
ハモンドが目を丸くする。
「……なにあれ。工事現場の新人研修でもやってるの?」
ジェレミーは青ざめた。
「どう見ても敵だ!なんでヘルメットを被ってるんだ!?黄色のチョッキじゃないのか!!」
ノノミは嬉しそうにガトリングを構え始める。
「わぁ……ヘルメット団です!撃っても頭守ってるから安心安全ですねっ!」
「安心じゃない!!」
ハモンドの叫びが響いた。
■伏兵、奇襲開始
上から一斉にロープで滑り降りてくるヘルメット団。
武器は……ショットガン、アサルトライフル、なぜかマキタの電動工具まで混じっていた。
ジェレミー「いや、武装が統一されてないんだが!?
しかもドリル持ってる奴いるぞ!!」
アヤネは落ち着いて
「ここはアビドスの外縁区域なので……変な連中がよく出るんです。」
ジェレミー「変な連中ってレベルじゃないだろ!!」
■ ノノミ、ついに始動
ハマーの左右にヘルメット団が迫る。
近距離戦はさすがに危険。
ノノミはハモンドを見て言った。
「ハモンドさん。すぐに終わらせちゃいますね?」
「やめ――」
ゴオオオオオオオオ!!!!!
ガトリングが火を噴いた。
ホシノ「おおー……道の両側が掃除されていく……」
ジェレミー「掃除っていうか削り取ってるぞ!!岩壁ごと吹っ飛ばしてる!!」
アヤネはうっすらと感心していた。
「……ノノミ先輩、やっぱり“重火器運用の天才”です。」
■ ジェームズ隊、反撃
後方ではパトロールに迫るヘルメット団が、セリカの牽制射撃とシロコのドローン攻撃で足止めされていた。
ジェームズは呆れ顔で言う。
「この世界、本当に免許制なんだよな……?」
アヤネは真剣な顔で返す。
「はい。だから先生が“車は危険だから絶対に気をつけて”って……」
セリカが肩をすくめた。
「でも敵の方がよっぽど危険だよね、これ。」
◆ 退避:谷を突破する
ノノミのガトリングによって道に迫る敵は“安全に消し飛び”、
3台は砂煙をあげて全速で渓谷を突破した。
ヘルメット団は遠くで
「ウオオオオオ!!!」
と叫んでいたが、戦意は完全に削られている。
ハモンドは肩で息をしながら叫んだ。
「ノノミ!!次の町まで絶対に撃つな!!
もう地形が変わるレベルなんだぞ!!」
ノノミは満面の笑みで
「はいっ!次はもっと効率よくやりますね!」
「そういう意味じゃなーーーーい!!」