とある科学の存在証明   作:かさねtyann

34 / 52
妹達

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい! 大丈夫か!? おい!」

「……う……」

 

 

 

 

 

 

 誰かに、体を揺さぶられている。

 木寺一桁は、重い瞼を開けた。

 

 

 眩しい。強力なLEDライトの光が、顔を照らしている。

 

 

「……あ、れ……」

 

 

()()()()()()。俺は、何をしていた。

 公園。アイス。路地裏。

 

 

 

 

 

 

 そして、()()()

 

 

 

 

 

 

「……ッ!!」

 

 

 

 木寺は弾かれたように跳ね起きた。

 

 

 

「うわあああぁああっ!?」

 

 

 

 木寺は絶叫し、後ずさった。

 背中が冷たい壁にぶつかる。

 

 

「落ち着け! 大丈夫か!」

 

 

 呼びかける声と、体を揺さぶる感触。

 木寺は、鉛のように重い頭を必死にふって、辺りを見ようとした。視界が白い。ライトの光の束が、闇を切り裂いて交錯している。

 

 

「……う、あ……」

 喉が貼り付いて、音が出ない。全身が冷たい。泥と自分の吐瀉物にまみれ、硬い地面に転がっている感覚が戻ってくる。

 

 

「怪我は……ないみたいだな。良かった」

 

 目の前にいたのは、ヘルメットを被った男たちだった。黒い制服。防護ベスト。手にはライトと、特殊警棒。

 

 

 警備員(アンチスキル)だ。

 彼らは緊張した面持ちで周囲を警戒しながら、木寺を取り囲んでいた。

 

「……あ、警備員……?」

「そうだ。ついさっき倒れている君を見つけたんだ。怪我はないか? 何があった?」

 

 警備員の一人が、心配そうに木寺の顔を覗き込む。

 助かったのか? 

 俺は、気絶していたのか? 

 

 木寺は、荒い息を吐きながら、また周囲を見回した。

 ようやく、目が慣れてくる。

 そこは、やはりさっきの路地裏だった。コンクリの壁。黒い吹き溜まりのような空間。

 一人の警備員が、木寺の体を抱き起こそうとする。その手つきは乱暴ではないが、現場の緊迫感が伝わってくる雑さがあった。

 

 

「……通報があったんだ……君か? 君が通報者か?」

 

 ふと、木寺は自分の手元に、ケータイがしっかり握られている事に気付いた。記憶はない。しかし、あまりの恐怖に、生存本能で、自分は無意識に電話をかけていたのか。

 

 

 

「『この路地裏で、人が死んでいる』という通報は君か?」

 

 意識チェックもかねて繰り返す警備員。

 殺害現場。

 その単語を聞いた瞬間、木寺の脳内で何かが爆発した。記憶が、鮮烈な映像と共によみがえる。ねじ曲がった手足。飛び散る脳漿。こちらを見ていた、潰れた顔と生気のない瞳。

 

 

 

「……し、死体ぃ……!」

 

 木寺は悲鳴を上げ、警備員の手を振り払って後ずさった。

 

「あ、あそこに……女の子が……! ぐちゃぐちゃになって、死んで……!」

 

 木寺は震える指で、路地の奥を指さした。そうだ、あそこだ。あそこに彼女が転がっていたんだ。警備員たちが、一斉にライトをその方向へ向ける。

 

「確認する」

 

 数名の隊員が、油断なく構えながら、光の先へと踏み込む。木寺は、顔を覆いながらその様子を見ていた。見たくない。あんなもの、二度と見たくない。

 

 だが。

 

 

 

 

 

「……隊長。何もありません」

 隊員の声。木寺は、指の隙間から恐る恐る前を見た。

「……は?」

 

 

 

 

 そこには。()()()()()()

 ひび割れた壁。薄汚れた地面。それだけだ。さっきまでそこに転がっていたはずの、無惨な肉塊が消えている。

 

 

 それどころか、おびただしい量の血だまりさえも、跡形もなく消え失せていた。

 

 

 

「な、ない……?」

 木寺は呆然と呟いた。

 嘘だ。幻覚じゃない。

 足元を見れば、俺の吐瀉物は残っている。俺が落としたアイスの染みも、ドロドロに溶けて広がっている。

 

 なのに、あるべき痕跡が。

 

 あの圧倒的な質量の赤だけが、綺麗さっぱり消滅している。

 

 

「……? ?」

 

 そして、その先には。

 

 肝心の少女の遺体が、()()()()()()()()()()()()。血痕すらも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「……おい、君」

 

 隊長らしき男が、木寺の顔を覗き込んだ。その表情は厳しい。

 

「何を見たって? もう一度言ってくれ」

「……し、死体……」

「死体?」

「女の子が……ここに、死んでたんです……! ぐちゃぐちゃになって、血まみれで……!」

 

 

 木寺は必死に訴えた。声が裏返る。だが、警備員たちは顔を見合わせた。困惑の色。

 

「ここまでの道も何もなかったぞ。我々が来た時には、君が倒れていただけだ」

「嘘だ! 確かにいたんです! 常盤台の制服着た、あいつが……!」

「夢でも見たんじゃないのか? 君、かなり顔色が悪いぞ。熱中症か?」

 

「本当にここに死体があったのか? 血液反応すら出ないぞ」

「なんなんだ、まったく」

 

 口々に脱力する警備員たち。

 

 木寺は這うようにして、さっき死体があった場所へ近づいた。ここだ。確かにここに倒れていた。……だが。

 

 

 

 

(綺麗、()()()……)

 

 

 

 

 まさか、ルミノール反応すら出ないのではないかと思えるほど、徹底的に、不自然なほど完璧に清掃されている。……俺が気絶している間に? 誰が? どうやって? あれだけの血と肉片を、せいぜい数十分で消し去るなんて可能なのか? 

 

 

 

「……夢でも見たんじゃないのか? 君、かなり錯乱しているようだ」

 

 警備員たちの視線が変わっていく。被害者を心配する目から、不審な薬物中毒者や、精神に異常をきたした者を見る目へ。

 

「ち、違います……! 本当に……!!」

 

 木寺は首を振った。

 違う。俺は一切狂ってない。

 狂っているのは、この世界の方だ。あいつは、あんなに残酷な死に方をしたのに。誰にも知られずに、なかったことにされるのか? 

 

 

「……とりあえず、保護しよう。署で話を聞く」

 警備員が木寺の肩に手を置いた。その感触が、木寺には、捕獲の手に見えた。

 

 連れて行かれたら終わりだ。「頭のおかしい学生」として処理される。

 あの子の死は闇に葬られる。そして、もしこの死体消失が、もっと大きな力による隠蔽工作だとしたら? 

 

 目撃者である俺も、消されるんじゃないのか? 

 

 

 

 

 

 警備員たちが、彼を取り囲む。保護しようとしているのか、拘束しようとしているのか。その手が、木寺には口を塞ごうとしている様に思えた。

 

「離せ! あの子が……あの子がどこかに……!」

 

 木寺は暴れた。だが、恐怖と混乱で力が入らない。

 

 俺の記憶がおかしいのか? 俺が狂っているのか? 

 

「……嫌だ!」

「君、落ち着きなさい」

「離せッ!!」

 

 木寺は叫び、警備員の手を振り払った。火事場の馬鹿力で突き飛ばし、包囲の隙間を縫って走り出す。

 

「おい、待て!」

「確保しろ!!」

 

 背後で怒号が上がるが、木寺は振り返らなかった。走る。無我夢中で。この狂った場所から逃げ出すために。

 

 迷路のような路地裏を駆け抜け、フェンスを乗り越え、資材置き場の影を這うように進む。

 心臓が破裂しそうだ。

 足がもつれる。

 でも、止まったら殺される。社会的に、あるいは物理的に。闇の一番奥で、何かがこちらを見て嗤っているような気がした。

 

 

 

 

 

 :

 

 

 

 

 

 どれくらい走っただろうか。

 サイレンの音も、追っ手の足音も、いつしか聞こえなくなっていた。たどり着いたのは、人気の全くない裏路地のさらに奥だった。

 

 錆びついた鉄塔が遠くに見える。廃棄された資材が転がっている。

 木寺は壁に手をつき、崩れ落ちるように膝をついた。

 

「……はぁ、はぁ、……ぐ、ぇ……」

 胃液を吐く。もう中身はない。苦い汁だけが出る。涙と鼻水で顔がおかしくなっている。

 

 

 悔しい。怖い。情けない。結局、俺は何もできなかった。助けることも、見送ることも、その死を証明することさえ、できなかった。

 

 

 世界は、あの子の死を「なかったこと」にした。俺という目撃者を狂人にすることで。

 

 

 

「……にゃ」

 

 ……ふと。

 足元で、か細い鳴き声がした。黒い子猫だ。いつの間にか、木寺の後を追ってきていたらしい。それか、木寺の方が、猫の方を探すように走り回っていたのか……

 

 黒猫は、汚れた体で、心配そうに木寺の足に擦り寄ってくる。

 

 

「……お前……なんで」

 木寺は猫を抱き上げた。温かい。この温もりだけが、今の木寺を現実に繋ぎ止める唯一のものだった。

 

 

 

「……ん?」

 その時。

 ふと、前方の暗闇に、人影が見えた。

 

 

 

 警備員か? 追いつかれたのか? 木寺は身構え、黒猫を庇うように後ずさった。

 

 

 

「…………?」

 だが、その人影は小さかった。そして、自分の体ほどもある大きな荷物を、軽々と担いでいるようだった。

 

 木寺は目を凝らした。街灯の逆光で顔が見えない。だが、そのシルエット、その制服の形は……。

 

「……お、い」

 

 木寺は声をかけた。声が震える。人影が立ち止まる。ゆっくりと、機械的な動作でこちらを振り向く。

 

 そこにいたのは。

 

 

 

 

 

 

「……、」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 傷一つない。制服も綺麗だ。ゴーグルもつけている。そして、背中には、大きな寝袋のようなものを担いでいる。

 

 

 

 

 

 

 

「……み、御坂ァ……!?」

 

 木寺は呆然と呟いた。生きていたのか? 見間違いだったのか? あの惨状は、本当に……俺の幻覚だったのか? 

 

 

「あ……よかった……生きてたんだな……!!!」

 

 

 訳の分からない多幸感が、彼の全身を貫いた。

 なんだこれは。どういうことだ。

 

 

 

 木寺は安堵のあまり、膝から力が抜けた。よかった。本当によかった。俺がおかしくなったんじゃなかった。こいつは無事だったんだ。じゃあさっきのは……白昼夢か、何かだったんだな。

 

 

 木寺はふらふらと彼女に近づいた。

 

「お前、心配させんなよ……! 急にいなくなるから、俺、変な幻覚見ちまって……!!」

 

 

 はは、と笑いながら、彼女の肩に手を伸ばす。だが、彼女の反応は冷たかった。

 

 

「……あなたは、個体識別名キデラ。ここで何をしているのですか? とミサカは質問します」

 

 

 少女の声は、いつも通り無機質だった。だが、どこか他人行儀だ。さっきまでの、少しだけ距離が縮まった感じがない。まるで、初めて会った相手に、対するような。

 

「……何してるって……お前を、探してたんだよ。……てか、その荷物、なんだ?」

 

 木寺は、彼女が抱えている寝袋を指差した。ずしりと重そうだ。中身がぎっしりと詰まっているような、生々しい重量感。そして、微かに漂う……薬品臭い臭い。

 

「……これは、回収対象です、とミサカは答えます」

「回収対象?」

「はい。実験終了に伴い、機材及び……損壊した個体を回収しています、とミサカは業務内容を説明します」

 

 

 

 

 

 損壊した個体。その言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。

 

 

 

 

「……損壊した、個体?」

 

 

 

 

 木寺の動きが止まる。嫌な予感がする。さっきの光景。ぐにゃりと歪んた手足。壊された顔。あれは、幻覚じゃなかったとしたら。じゃあ、目の前にいる、こいつは? 

 

 

「……お前、さっき俺と一緒にいたよな? 猫に餌やって……」

「いいえ。当該個体は、一時間前に実験により死亡しました、とミサカは事実を報告します」

「……は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 時も。止まった。世界から音が消えた。

 

 

 

 

 

 

 死亡した。

 

 

 

 

 

 

 こいつは、今、()()()()()()? 

 

 

 

 

 

 

 

「……死んだ?」

 

「はい。一○○三一号は、一方通行(アクセラレータ)との戦闘実験において、全壊判定を受けました。現在、その残骸を搬送中です、とミサカは……」

「待て!!」

 

 木寺は叫んだ。理解が追いつかない。脳が拒絶している。

 

 

 

 

 

「何、言ってるんだよ……わけ、わかんねえよ…………」

 

 

 一○○三一号? 番号? なんだそれ。

 

 こいつらは、自分が()()()()()()()()言うつもりか? 

 

 美琴は「いとこ」だと言った。御坂妹は「妹たちはたくさんいます」と言った。双子や三つ子レベルの話じゃない。もっと、たくさん、いるとでも…… 

 

 

 

「じゃあ、お前は……誰なんだよ」

 

 木寺が震える声で問うと、少女は無表情のまま答えた。

 

「ミサカはミサカ一○○三二号です、とミサカは個体識別番号を提示します。ミサカは先日あなたの部屋にジュースを運んだ個体と同一個体です」

「……、」

 

 

 

 

 わけが、分からない。

 

 

 

 

 一○○三二号。万の単位。そんなに、お前がいるって? 

 こんな顔をした少女たちが。そして、さっきのあの子は、そのうちの一体で……死んだ? あの、黒猫の飼い主を、一緒に探した、ミサカが。

 

 

 

 

 

「いや……嘘、だろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木寺は後ずさった。謎の笑みが浮かぶ。口角がひきつる。

 寝袋を見やる。じゃあ、その中に入っているのは……。

 

 

 

 

 

「……見せろ」

「推奨されません。一般人の精神衛生上有害な視覚情報が含まれています、とミサカは警告します」

「見せろって言ってんだよ!!」

 

 

 

 木寺は怒鳴り、強引に寝袋のファスナーに手をかけた。ミサカ一○○三二号は抵抗しなかった。ただ、静かにそれを見ていた。

 

 ジジジッ……とファスナーが開く。隙間から見えたのは。茶色の髪。そして、血に塗れた、見覚えのある制服の一部。

 

 

 

 

 

 

 

 さらに開くと、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぅ、あ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 間違いなかった。さっき路地裏で見た、あの無惨な死体だ。それが、無造作に袋に詰め込まれている。まるで燃えるゴミのように。ただの物品のように。

 

「……あ、ああああ……」

 

 木寺はその場にへたり込んだ。猫が、寝袋の匂いを嗅ぎ、悲しげに鳴いた。この猫にはわかるのだ。これが、さっきまで自分に優しくしてくれた少女の成れの果てだと。

 

 

 

 

 

「……なん、で……」

 

 

 

 

 

 

 木寺は涙を流しながら、目の前の少女──一○○三二号を見上げた。

 

 

「なんで、てめえは、平気、なんだよ……」

「……、」

「仲間だろ……! 家族みたいなもんだろ……! それが!! なんで、こんな……荷物みたいに……!」

 

「ミサカたちは単価18万円の実験動物です。在庫はまだ9000体以上あります。個体の損耗は想定内であり、悲しむべき事象ではありません、とミサカは合理的思考に基づき回答します」

 

 

 単価18万円。

 在庫。

 損耗。

 

 人間に対して使う言葉じゃない。

 

 

 狂っている。この少女も。この状況も。この学園都市も。

 

 

 

 

 全てが狂っている。

 

 

 

 

「……ひッ」

 木寺は立ち上がった。恐怖が、怒りを上回った。

 もはや、目の前の少女が人ではない、何か悍ましいもののように見えた。

 冷たくて、感情のない、ただ動くだけの人形。

 こんなの、もう……俺が関わっていい領域じゃない。レベル0の俺が踏み込んだら、確実に、一瞬ですり潰される。

 

 いや……もう、()()()()()()()()()

 

 巨大なシステムの一部として、この子達は消費されているのだ。それを止める力なんて、俺にはないのに。

 

 

 

 

「……逃げる」

 

 木寺は呟いた。

 

「俺は……関係、ない……」

 

 

 

 そう自分に言い聞かせるように。黒猫を抱き直し、木寺は背を向けた。

 

「……待ってください、とミサカは呼び止めます」

「来るなッ!」

 

 木寺は絶叫した。

 

 

「俺に話しかけるな! 近づくな! 俺は何も見てない! 何も知らない……!!」

 

 木寺は発狂した。

 

 

 

 

 その、刹那だった。

 

 

 

「──あ……?」

 

 彼の理性の隙間に、無数の乾いた音が、滑り込んできた。

 

 軍靴ではない。この学園都市ならどこででも耳にする、女子学生の履くローファーが、地面を叩く音だ。

 

 

 

 だが、異常だった。

 

 

 

 

 一人や二人ではない。十、いや、もっと多いだろうか。

 

 

 

 

 闇の向こう側から響いてくるその足音は、まるで巨大な一匹のムカデが這い寄ってくるかのように、恐ろしいほど均一なリズムで統率されていた。

 

 ズレがない。歩幅も、着地のタイミングも、完全に同期している。

 人間が集団で歩けば、そこには必ずズレが混じるはずだ。だが、この音にはそれがない。ただ、工業製品がベルトコンベアの上を流れるような、規則性だけがあった。

 

 

(……なんだ、これ……?)

 

 木寺の全身の毛穴が、一斉に泡立った。

 「在庫は9000体」。さっきの言葉が、物理的な質量を持って迫ってくるような錯覚。

 

 暗闇の奥に、同じ顔、同じ無表情、同じ制服を着た少女の群れが、無限に列をなして蠢いている光景を、想起する。

 

(……ほんとに、いるのか。あんな死体の山になる『御坂』が、あと何千人も……うじゃうじゃと……ッ!)

 

 嘔吐感。

 生理的な嫌悪と、底知れない恐怖が、残っていた理性の堤防を完全に決壊させた。

 ここにいてはいけない。飲み込まれる。

 

 

 

 もう、振り返ってはいけない。

 

 

 

 そして彼は全力疾走した。偽りの光の中へ。

 

 日常へ戻るために。

 

 

 この悪夢から覚めるために。背後で、ミサカ一○○三二号が何かを言った気がしたが、自分の足音にかき消されて聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、その無機質な瞳が、逃げる自分の背中を静かに見つめている気配だけが、いつまでも、いつまでも、じっとりと──

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。