AION REAGALIA(アイオン・レガリア) 作:ネネカ大神
エテルナ帝国の空は、もはや「青」という概念を喪失していた。復活したアル・ゼノンが都を黄金の光で包み込み、要塞『ゴリアテ』を植物へと作り変えたその直後、宇宙の根源的な死を象徴する「虚無の渦」は、その限界を突破した。空間そのものが、乾燥した古い羊皮紙が火に焼かれるように、端から黒く焦げ、剥がれ落ちていく。剥落した世界の「裏側」には、星も、光も、そして物理的な広がりさえもない真の無が広がっていた。
「……クハッ、ハハハハ!! 素晴らしいよ、ゼノン!! 君が本気を出すたびに、この脆弱な『器』は軋みを上げ、壊れていく!!」
空間の裂け目、虚無の淵に立つ少年――ゼノビアの王、アヌ・ビス。彼の黄金の瞳には、狂気的なまでの愉悦が宿っていた。彼は手にした黄金の笛を口元に寄せ、全宇宙の喉元を掻き切るような、不吉な旋律を奏で始めた。エテルナの時計塔が刻む「1から12」の日常、そしてゼノンが強引に付け加えた「13」の奇跡。そのすべてを、宇宙の初期化(フォーマット)という絶対的な権限で否定する禁忌の調べ。
「――『第十四の刻(ザ・フォーティーンス)』。それが僕たちの、神代の法典だ」
笛の音が響いた瞬間、空から「黒い雪」が降り注いだ。それは冷たい氷の粒ではない。触れたものの「情報の定義」を根底から消去する概念の塵。
「……あ。……あぁ……」
都の広場で、王の復活に歓喜していた民たちが、次々とその姿を消していく。破壊されるのではない。最初から「いなかった」ことにされる。彼らが持っていた家族の記憶、彼らが愛した食べ物の味、彼らがそこに生きていたという「事実」そのものが、世界という法典から一行ずつ削り取られていく。
「……バシュタール! 盾を……盾を張れ!!」
辰(たつ)のバラムが、槍を振り回しながら叫ぶ。だが、金剛のバシュタールの黄金の盾『ヴァジュラ・イージス』さえも、黒い雪に触れた場所から「透明な空白」へと変換され、穴が開いていく。
「……だめだ、バラム。……俺の『不変』は、この世界に実在するものを守る力だ。……『最初からないもの』として定義された攻撃には、俺の力は届かねぇ……!!」
二十八人の翼たちが、初めての「真の絶望」に直面していた。王が復活した。最強の主君が隣にいる。それでも、相手は「世界そのものを記述から抹消する」という、論理の根幹を突いてきているのだ。
アル・ゼノンは、その光景を黙って見つめていた。彼の右目の黄金の時計は、カチ……、カチ……と、一秒ごとに宇宙の鼓動を刻むような重厚な音を立てていた。その表情には、もはや怒りも、悲しみもなかった。あるのは、ただ絶対的な管理者としての、冷徹なまでの「決意」。
「……アヌ・ビス。貴公は、余がなぜこれまで、この宇宙の全権限を行使して法典を書き換えなかったか、その理由を知っているか?」
ゼノンが、ゆっくりと王権具『万劫の針』の柄に手をかけた。これまで一度も抜かれたことのない、その「深奥」を。
「……君が人間でありたかったからだろう? ……自分の力が強すぎて、すべてを書き換えれば、自分自身という『人間』さえも消えてしまうのが怖かった……。そうだろう?」
アヌ・ビスが嘲笑う。だが、ゼノンは薄く、冷酷な笑みを浮かべた。
「……否。……余が恐れていたのは、余が本気を出せば、この宇宙に『不確定な要素(自由)』が一つも残らなくなってしまうからだ。……余という『完璧な正解』がある限り、人は間違えることさえ許されなくなる。……それは、あまりに退屈な庭園だ」
ゼノンが、漆黒のマントを脱ぎ捨てた。その背中には、宇宙の全事象を記述する膨大な魔導回路が、刺青のように黄金色に脈打っていた。彼の周囲の大気が、熱を失い、音を失い、ただ「絶対的な意思」だけが充満する高密度な空間へと変貌していく。
「……だが、背に腹は代えられん。……余の民たちが消えるというなら、余は『神』としての全権を以て、この宇宙を余の意のままに再構築させてもらおう。……不完全な自由よりも、完璧な静止の方が、今はまだ価値がある」
ゼノンが、ついに剣を引き抜いた。その瞬間。全宇宙の星韻(せいいん)が、一瞬だけ「停止」した。
ゼノンの身体から、眩いばかりの、太陽すらも黒点に見えるほどの黄金の光が溢れ出した。彼の右目の時計が激しく回転し、ついには「針」そのものが消失し、ただの「光の穴(特異点)」へと変じた。
「神理昇華・最終権限解放――【万劫なる法典:零地点(アイオン・レガリア・ゼロ)】」
ゼノンが剣を一振りした。衝撃波は起きない。光も飛ばない。だが、空から降り注いでいた「黒い雪」のすべてが、空中で一瞬にして『黄金の砂時計の砂』へと変換された。
「……なっ!? 貴様の理屈(ロジック)を、僕の『消去』が食えないだと……!?」
「……アヌ・ビスよ。貴公の『消去』は、この世界の既存の法典に基づいている。……だが、今この瞬間、余は『世界の外側の法典(アウトサイド・コード)』を、この宇宙に直接書き込んでいる」
ゼノンが虚空に左手をかざした。すると、彼の指先から数兆もの黄金の数式が溢れ出し、崩壊していたエテルナの街並みを、文字通り「一文字ずつ」再定義していった。
Existence = Absolute (∀p ε Citizen)
Void → Fixed Matter
「……見ていろ。……これが、余の『本気』だ」
ゼノンが指を鳴らす。瞬間、アヌ・ビスが従えていた数万の影獣たちが、悲鳴を上げる暇もなく、その存在を『ただの空気』へと再定義され、消滅した。戦うのではない。相手の存在を「最初からいなかった」ことにする敵に対し、王は「お前の攻撃こそが最初からないものだ」という、さらに上位の否定を突きつけたのである。
「……皆、感じますか。……王の、この圧倒的な星韻を」
午(うま)の翼将、アル・ザヒドが、自らの槍『ロンギヌス』が王の力と共鳴し、純金の色に染まっていくのを見つめていた。ゼノンが「本気」を出したことで、彼に繋がる二十八人の翼たちもまた、人間の限界を超えた、真なる「神の具現」へと変貌していた。彼らの魂は、王の巨大な演算装置の一部としてリンクされ、個々の能力が宇宙の法則そのものを書き換える権能へと昇格したのである。
「……余の翼たちよ。……これから貴公らに、この宇宙の『一部』を託す。……好きなように振るうが良い。……その反動は、すべて余が引き受けよう」
ゼノンの言葉と共に、二十八人にそれぞれ、宇宙の特定の法則を司る「究極の命令(コマンド)」が授けられた。
「――午の翼、アル・ザヒド。貴公には『因果の否定(ノン・コーザリティ)』を授ける」
アル・ザヒドの槍が、突いた瞬間に「敵が死んだ」という結果のみを確定させ、回避や防御というプロセスをスキップする因果の刃となった。
「――辰のバラム。貴公には『熱力学の破綻(インフィニティ・ヒート)』を授ける」
バラムの槍が、一振りで恒星の寿命を使い果たすほどの爆発的なエネルギーを、質量無視で一点に集中させる破壊の極致となった。
「――虚無のゼロス。貴公には……『余の不在』という名の、真の虚無を授けよう」
ゼロス自身が、王の視界から外れた存在を「存在したことさえ忘れさせる」究極の抹消概念へと化した。
「……行くぞ、野郎ども!! 王様が『本気』なんだ! 俺たちが手加減してちゃあ、お釣りも返せねぇぜ!!」
バラムの咆哮と共に、二十八人の翼たちが、ゼノビアの邪神軍勢へと突撃した。それはもはや戦闘ではない。宇宙の法則そのものが、アヌ・ビスたちを「バグ」として排除するための、巨大なシステム・クリーニングであった。ラージャンの雷が、敵の魔防を無視して神経系を直接焼き、シリウスの冷気が、魂の振動そのものを停止させる。フィオナの空間断層は、敵の座標を「0」へと収束させて押し潰し、ギガスの重力は、敵を構成する情報の重みに耐えきれず自壊させる。
「……ははは! 気持ちいいぜ! 世界が、俺の思い通りに動くみたいだ!!」
バラムが笑いながら、邪神の一柱を一突きで消滅させる。最強の主君から授けられた「無敵」の力。彼らは今、この宇宙で最も自由で、最も残酷な「神の代行者」となっていた。
「……嘘だ……。こんなことが、あっていいはずがない……!!」
アヌ・ビスは、自らが放った『第十四の刻』が、ゼノンの作り出した新しい法則によって、紙細工のように破り捨てられていくのを呆然と見ていた。彼が召喚した古代の神々も、神話の化け物たちも、二十八人の翼たちの前では、ただの「書き損じの文字」として処理され、消えていく。
「……アヌ・ビス。……貴公は、神を気取っていたが。……真の神とは、奇跡を起こす者のことではない。……『当たり前の明日』を、不変の理として維持し続ける者のことだ」
ゼノンがアヌ・ビスの目の前に、瞬きする間もなく立っていた。アヌ・ビスは笛を構えようとしたが、指が動かない。
「……あれ? ……僕の指……消えている……?」
「……余の視界に入るもの、すべては余の許可なく存在することを許されない。……今、貴公の身体の『存在許可』を、余が取り消した。……貴公という物語は、ここで完結だ」
「……あ……あああああああ!!」
アヌ・ビスの身体が、足元から黄金の数式となって崩れていく。彼は必死に自らの「消去」の力を自分自身にかけて保とうとするが、ゼノンの放つ「定義」の重圧は、それを遥かに凌駕していた。
「……おのれ……アル・ゼノン……!! だが、忘れるな……。……僕を消しても、この宇宙の『寿命』は変わらない……。……君が世界そのものになれば、君は永遠に、自分自身の死を……この世界の終わりを……感じ続けることになるんだぞ!!」
「……構わん。……それが王という名の、最高の退屈しのぎだ」
ゼノンが剣を下ろした。黄金の閃光がアヌ・ビスを貫き、彼という「神代の呪い」を、この宇宙の記述から完全に抹消した。笛の音は途絶え、空を覆っていた虚無の渦が、王の意思によって無理やり閉じられていく。
アヌ・ビスが黄金の数式となって霧散し、神代の呪いが消滅した瞬間、エテルナを飲み込もうとしていた「虚無の渦」は、その飢餓感を剥き出しにして膨れ上がった。宇宙の排出口たるそれは、もはや「王が石となって栓をする」程度の小手先の処置では止まらない。だが、今のアル・ゼノンに、自らを犠牲にするという発想は微塵もなかった。
「……栓をすると言ったな。……訂正しよう。……余はこの虚無そのものを、余の国の『燃料』として再定義する」
ゼノンが、虚空に浮かぶ漆黒の渦に向かって歩み出す。彼が指を鳴らすと、王権具『万劫の針』から数億の光の鎖が解き放たれ、渦の深淵を雁字搦めに縛り上げた。
「法典強制変換(トランスミューテーション)――【虚無の再利用(リサイクル・オブ・ヴォイド)】」
∲【∂Ω】 Void・dS = ∭【Ω】∇・Regalia Energy dV
信じがたい光景が展開された。世界を滅ぼすはずの負のエネルギーが、ゼノンの数式に触れた瞬間、まばゆい黄金の「星韻(せいいん)」へと反転し、逆にエテルナの街並みを修復し、人々の生命力を底上げする潤沢な源泉へと変貌したのである。
「……バカな。……宇宙の死を、ただのエネルギー源として扱うなんて……」
蒼穹のイシュタルが、震える声で呟いた。これこそが、アル・ゼノンが「本気」を出した真の意味。彼は世界を守るのではない。世界を構成する「理不尽」さえも、自らの支配下に置く「全能の管理者」として君臨したのだ。
「……全翼へ告ぐ。……掃除を再開せよ。……余がこの宇宙の出力を最大化した。……貴公らの魂に宿る権能、余さず振るうが良い」
ゼノンの宣言と共に、二十八人の翼たちの肉体が、黄金の光を帯びて巨大化した。物理的な大きさではない。「存在の密度」が、神の次元へと跳ね上がったのだ。
「……ハッ! 身体が軽いなんてもんじゃねぇ! 宇宙の果てまで、俺の槍が届く気がするぜ!!」
辰(たつ)のバラムが、炎を纏う龍槍を振り下ろした。ただの一振り。それだけで、未だ都に群がっていた数万の邪神の影が、一瞬で原子レベルまで焼却され、消滅した。
「……私の槍は、もはや距離を必要としません」
午(うま)のアル・ザヒドが、視界の端に映る敵を「見た」だけで貫いた。彼の槍は「突き、刺さる」というプロセスを完全に無視し、「敵に穴が開いている」という結果だけを世界に確定させる、因果の超越者へと至っていた。
「……フィオナ、空間を広げろ。……敵が逃げる暇もないほど、この戦場を拡大する」戌(いぬ)のシリウスが、足元の空間を絶対零度の氷で凍てつかせる。
「……了解、シリウス! ――【無限の鏡界(インフィニティ・ミラー)】!!」
卯(うさぎ)のフィオナが指先を弾くと、都の周囲数千キロメートルが、多層的な位相空間へと変貌し、敵軍を逃げ場のない「処刑場」へと閉じ込めた。二十八人の翼たちは、もはや防衛などしていなかった。彼らは、ゼノンという絶対的な動力源を得た、破壊と創造の嵐。彼らが動くたびに、宇宙の古い法則が砕け散り、新しい「王の法」が上書きされていく。
アヌ・ビスを消し去り、虚無を燃料に変え、エテルナの圧勝が確定したかに見えたその時。黄金に輝く空に、巨大な「ヒビ」が入った。それは、ゼノビアの裂け目などよりも遥かに深く、冷徹な一線。宇宙そのものが、アル・ゼノンという「不当な全能者」を排除するために、その免疫システムを起動させたのである。
「――『アル・ゼノンよ。……貴公の力は、この宇宙の許容範囲を逸脱した。……貴公はもはや、守護者ではない。……調和を乱す「癌」である』」
無機質な、しかし絶対的な重圧を伴う声。空を割って現れたのは、巨大な、あまりに巨大な「透明な歯車」の群れであった。それは、宇宙の始まりから存在し、すべての命の寿命を管理する『原初の時計・クロノス』。
「……ほう。……ようやく、この宇宙の『大家』が直々にお出ましか」
ゼノンが、初めて愉悦に満ちた笑みを浮かべた。
「……イシュタル、翼たちを下がらせろ。……これより先は、人間が、そして神代の残滓が触れて良い領域ではない」
「……王よ。……まさか、宇宙の摂理そのものを相手にするおつもりですか?」
「摂理だと? ……笑わせるな。……余の国を『癌』と呼び、民の命を『端数』として切り捨てようとする法則など、余には不要だ。……余が、新しい『時計』を刻んでやろう」
ゼノンが、王権具『万劫の針』を両手で構えた。彼の背後に、直径数百キロメートルに及ぶ、黄金の魔法陣が二十八重に展開される。その一つひとつが、二十八人の翼たちの力を増幅し、王の元へと収束させる、究極の「王権回路」。
「神理昇華・最終権限――【アイオン・レガリア・マキシマム:創世の秒針】」
ゼノンが剣を一閃させた。透明な歯車――宇宙の法則そのものと、王の意志が激突する。衝突の衝撃だけで、周辺の次元が数千回書き換えられ、物質と概念が激しく入れ替わる。本来なら存在できないはずの「第十四時」の輝きが、透明な歯車を強引に黄金へと染め変えていく。
「――『無駄だ、アル・ゼノン。……貴公が抗えば抗うほど、因果の反動は、貴公が愛する民たちへと向けられる』」
クロノスが、黄金の針を放つ。それは、対象の「寿命」を一瞬でゼロにする、絶対的な死の宣告。
「……言ったはずだ。……反動など、すべて余が引き受けると」
ゼノンは、自らの身体に数億の呪いを直接受け止めながら、さらに出力を上げた。彼の身体の一部が、透明な結晶へと変わり、存在が消えかかる。だが、その瞳に宿る黄金の光は、一ミリの揺らぎもなかった。
「……翼たちよ! 見ていろ! これが、貴公らが連れ戻した男の、真の我儘(わがまま)だ!!」
ゼノンの剣が、原初の歯車の一枚を、真っ二つに叩き割った。宇宙の絶対的な法則が、一人の男の「執着」の前に、初めて屈した瞬間であった。
歯車が砕け、空が眩い白光に包まれる。ゼノンは、崩れ去るクロノスの残骸の中で、見えない「法典」に向けて、最後の一撃ではなく、一つの「制約」を突きつけた。
「……クロノスよ。……貴公に、最後の取引(条約)を申し出る。……余が、余の存在すべてを賭けて、この宇宙の『寿命の減少(エントロピー)』を肩代わりしよう。……その代わり、この国に、この民に、自由な『時間』を返せ」
「――『……自らを、永久の生贄にするというのか。……全能の力を得てなお、一時の安らぎさえも捨てるというのか』」
「……安らぎなど、茶を飲む時間があれば十分だ。……余は、彼らが笑い、泣き、間違え、そして明日を夢見る姿が見たい。……それこそが、余にとっての真の全能だ」
光が、エテルナを優しく包み込んだ。クロノスの歯車は、ゼノンの「意志」という名の新しい軸を得て、再び回り始めた。だがそれは、以前のような冷徹な機械仕掛けではない。人々の想いや、翼たちの絆を、新しい星韻として取り込む、「生きた時計」への変革であった。
空は、見たこともないほどに深い、そして輝かしい黄金の朝焼けに染まっていた。都の至る所で、人々が目を覚まし、互いの無事を確認し、歓喜の声を上げ始めた。虚無は消え、邪神は去り、そして「不変の静止」もまた、王の手によって「流動する未来」へと解放された。ゼノンは、ボロボロになった身体を引きずり、アイオン宮殿のテラスへと戻ってきた。彼の身体は、まだ半分ほどが透明な結晶のままである。それは、宇宙を支え続けるための、消えない代償。だが、彼は満足そうに微笑んだ。
「……王様!」
アル・ザヒド、バラム、イシュタル……二十八人の翼たちが、王の元へと駆け寄る。彼らの顔には、死闘を終えた疲労と、それ以上の、何物にも代えがたい「生」の充実感が溢れていた。
「……騒がしいな。……余は、少し疲れ……」
ゼノンが言葉を終える前に、アル・ザヒドがそっと、新しい、湯気の立つティーカップを差し出した。
「……王様。……最高の、アッサムが入りました。……お代わりを、どうぞ」
ゼノンはそれを受け取り、ゆっくりと一口飲んだ。
「……あぁ。……今日のお茶は、いつになく……温かいな」
黄金の光の中で、王と部下たちは、初めて同じ「明日」を見据えていた。だが、物語の終焉には、まだ一つの「約束」が残されている。王が「一人の人間」として、最後に下す決断。それが、エテルナの、そしてすべての翼たちの運命を、真の完結へと導くことになる。
第二十四章:【黄金の戴冠、そして永遠に続く朝焼け】