目が覚めたら血鬼でした   作:角砂糖(おそらく塩)

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思い付いたものをアッ良いじゃんい~れ~た~ろ~♪してたら文字数が前回のだいたい3倍になっちまったです。要した時間も3倍、逆赤い彗星か…?

それから、今回は不足していた都市要素を補うべく、殆どの人が知っているであろうあの人をぶちこんでみました。



終わりが過ぎればどうなるか?新しい終わりが来る

 

 

「誰だこの美少女、私か」

 

 はい、私です。今は洗面台の鏡の前で劇的ビフォーアフターを遂げた自分の姿をまじまじと見つめています。

 

 具体的に何が変わったかというと、茶髪のショートが真っ白なふわふわロングになり、目はカラコンでも入れたみたいに真っ赤っか。ちいちゃいお手々にぷにもち肌まで完備されたパーフェクト幼女になっていました。

 

 ここだけ見てれば若くて可愛い幼女になれたぞヤッターで終われたんだけども、1つだけ気になるものがあって、ね。

 

「これ、どう見ても歯じゃなくて牙だよね」

 

 鏡を見てポカーンとしてたら目に入ったんだけど、犬歯がやけに鋭く尖ってたんだよね。まるで吸血鬼みたいな感じでさ。

 試しに触ってみたらしっかり硬い感触がしたし、先端は針みたいに鋭くて痛かったから、コスプレグッズとかじゃない本物の牙ってことで間違い無い。

 

 つまり私は幼女になっただけでなく、ファンタジー世界の住人にもなってしまったわけだ。どちらか片方だけでも非常識なのに、どうしてこうも属性てんこ盛りになってしまったのか。

 というかこれ、これからは水の代わりに血を飲んで、牛肉ステーキじゃなくて人肉ステーキを食べなきゃいけなかったりする……?

 

 確か吸血鬼は水がだめって設定があった気がするし、そうなるとシャワーも、洗顔も、トイレのウォシュレットすらも駄目になってしまうのではないだろうか。

 くっ…… このファンタジー、不衛生すぎる……!

 

 さてさて、朝から容赦の無い非常識の連打で頭がごっちゃごちゃですが、それでもやる事はやっておきましょうか。

 こういう時こそ冷静に、脳のキャパがオーバーしたからって雑に動き回ると大抵ろくでもない事になるからね。深呼吸しつつ毎日繰り返していることを思い返して、一つ一つ着実に進めていくのが吉だよ。

 それじゃあ……目を覚ましてスッキリしておきたいし、とりあえず顔でも洗おうか。

 

 ノブをひねって冷水を出して、それを両手に満たして一気に顔に浴びせかけるっ! これ、コーヒー以上に目が覚めるし気分も切り替わるから欠かせないんだよね。

 ある程度やったらタオルでふきふき、床に飛び散ったやつも拭いて籠にシュート、さあ次は歯磨きを―――

 

 

「………水、平気じゃん」

 

 

 

 

 

 水は別に駄目じゃなかったことが判明して、驚きつつも歯磨きも終えた。あとは着替えて出勤するだけなんだけども、ここでとんでもない大問題が発覚した。

 

「着る服が…… ないっ!!!」

 

 考えてみれば当然なんだけど、背が縮んだってことは以前の体格に合わせて選んでいた服全てが合わなくなるって事で。

 クローゼットに仕舞っていたシャツやスーツは悉くオーバーサイズ、持ってきた下着すらぶかぶかでストンッと床に落ちるばかり。全然気付いてなかったけどさっきまで着てたパジャマも、床に引き摺りまくってたから埃パラダイスになっていた。

 

 つまるところ、今この家に私が着れる服は1つたりとも存在しない。どうしても外出したいならデカすぎる服を落ちないように押さえながら出歩くか、誰にも見つからない事を祈りつつマッパダッシュをするしかないわけだ。

 

 ははっ、終わってる。

 

 しかし、このままじっとしている訳にもいかない。働かなければ金が無くなるし、冷蔵庫はすっからかんだから買い物にも行かなきゃならない。

 私はヒキニートではなく、立派な社会人の端くれなのだ。たかが服の1つや2つ、ぜんぶ失ったところで止まるわけにはいかない!!*1

 

 ……視界の端に充電中のスマホが一瞬移ったけど、使ったところで恐らく意味は無いのでスルーします。うちに来る電話なんて罵詈雑言かクレームだけだからね、繋がった直後に切られて終わりだよ。

 

 善は急げ、適当にスーツを着こんで玄関へ突撃。職を失うかどうかなんだ、やってみる価値はありますぜ……!

 

 

「ん? なんだ、ただの子供じゃないk……」

 

 

―――バタンッ!

 

 

 意気揚々と扉を開いたら、その、何というか、もの凄く見覚えのある人がいた。

 具体的には、とても絶妙そうでしたたかな人っていうか…… いかにも悪の巣窟(図書館)に一人で乗り込んできそうな雰囲気の人とばっちり目が合った。

 

 

 いや、いやいや、いやいやいや……!

 

 

「ど、どういうこと!?何で()()が私の家の前にいるの!?」

 

 私がロリ吸血鬼になった時点で十分おかしいのに、なんか更におかしい状況になってない!?我が家の玄関前は都市じゃないんだぞ!ルイナのコスプレイヤーはさっさとお帰りくださいっ!

 

 コンコンッ

 

 再度混乱してたら、誰かがドアをノックしてきた。いや、1人しかいないんだけどね、候補者は。

 

「おーい、ちょっと話聞かせてくれないか?この妙な家についてなんだが」

 

 しれっと人の家を妙とか言うんじゃない!苦労して手に入れたマイホームなんだぞ!口にゴミ詰め込んでやろうかッ

 

「チッ、反応が無いな。こうなったらドアを壊して……」

 

 わー!?わぁーーーっ!?開けますっ、開けますから!!

 

 

 

 

 

 ガン無視を決め込もうとしたら強硬突入されかけたので、大慌てでドアを開いて()()とご対面した。色んな人にオモチャ扱いされて、軽くミームにもなってる1級……… あのドンファンそっくりな誰かさんと。

 

「ようやく開けてくれたな? 単刀直入に聞くが、この家は何なんだ?」

 

「なにっていわれても…… 私の家、です」

 

「それは見ればわかる。俺が知りたいのは、何でこの家が巣のど真ん中に突然現れたのか、だ。何の前触れもなくこんなものが出てくるなんて、おかしいだろ?」

 

「そ、そんなこと……私にも……」

 

「お前はここに住んでるんだろ?だったら何かしら知ってるはずだ。これ以上騒ぎが大きくなる前に、素直に言った方が良いと思うけどな」

 

 えーっと、とりあえずその武器しまってくれませんかね。さっきから切っ先がギラギラ光ってて滅茶苦茶怖いんですが。

 今何がどうなってるかというと、まず目の前のドンファンさんは『巣の中心部で正体不明の現象が起きた』って情報を仕入れて、たまたま近くにいたから直ぐ様直行。そこにあった私の家の前で様子を伺っていたらしい。

 

 で、そんな所に何も知らない私が出てきたものだから、容疑者として問い詰めにきた……と。

 

 私が幼女だからって全く油断してないらしく、構えてはいないけど武器を手にして、いつでも斬りかかれるようにしてらっしゃる。

 容赦無さすぎるよしたたかさん。そんなだから皆のおもちゃになるんだぞ!

 

「それで?いつになったら話してくれるんだ?子供だから優しくしてくれる……なんて思ってないよな?」

 

 ごめんなさい怖いから睨まないでくださいネタにしてすみませんでした許してください。

 

 

 

 

 

 それから色々と話して、ドンファンはやっと私を解放してくれた。ずーっと睨み付けられてたけど、害のある存在ではないと判断したらしい。最後には武器をしまって謝ってくれたよ。

 

 なんだ、意外と優しいとこあるじゃん。したたかのくせに。

 

「一時はどうなるかと思ったけど、何とかなってよかったぁ……」

 

 流石の私も、命の危機を感じた直後に外へ出ようとは思わない。安堵のため息を吐きながらソファに身体を埋めて、ごろんと横になった。

 本日は人生初の無断欠勤となることが確定してしまったけれど、命あっての物種だから仕方ない。死と無職の二択ってのはかなり理不尽だけども。

 

 そうして横になったまま、したたかさんとの話を思い返す。お前はどこから来たんだーとか、何の目的があるんだーとか、全部堀り尽くす勢いで質問責めにあったから凄く疲れたけど、そんな事がどうでもよくなるくらい重要な事実を知れた。

 

 さっきのあの人はルイナのコスプレイヤーではなく、たまたま容姿が似ていただけでもない。正真正銘、本物のドンファンだった。

 私がベッドの次に愛する作品、プロジェクトムーンの作り出した世界に生きている人間そのもの。

 

 そう、つまり私は……

 

 

「私、本当に都市に来ちゃったんだなぁ………」

 

 

 彼らが生きる世界に、数多の苦痛で塗り固められたあの都市にやって来てしまったのだった。

 

 

*1
止まりなさい





というわけで、特別ゲストは1級フィクサーのドンファンさんでしたー!
いやぁ、丁度いい人がいて助かりましたよ。だってこの人定住してる場所が不明だし、一か所にとどまってるのかどうかも不明で、しかも実力はしっかりあるからどこに入れても違和感ないんだもの(多分)

ちなみにこの時の社畜ちゃんはスーツとシャツを羽織っただけの半露出狂スタイルだったので、一歩間違えればドンファンはツヴァイにドナドナされていました
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