ご指摘感謝です、ありがとうございました!
……そして、今回はクリスマス当日と言うことで、ロリ血鬼ちゃんにちょっとしたサプライズをプレゼントしました。
社会的死を回避できたと思ったら、今度は餓死の危険性が出てきた私です。クソガッ
あの後レジからUターンして、周囲の客の視線を浴びながら籠に入れていた商品を1つずつ棚に戻す作業をする羽目になりましたよ。「なにやってんのあいつ」って感じの目線が集中してて凄く息苦しかったです。
ぜーんぶ戻し終わる頃には、余計に体力を使ったせいで疲労が蓄積+空腹状態になったズタボロ幼女の出来上がり☆
いやーもう、何なんですかねこの惨状は、やってられないですよ。何かやろうとする度、目の前に困難が1ニョッキしてくるんですもん。私の人生スペランカーかよ。
はぁ………
家賃以前に今日を生きるための食費が無いとは想像もしてなかったので、脳内で組み立てていた今後の予定は全て撤去、急ぎ都市の通貨を手に入れて食料を確保しなければ私は飢え死にしてしまう。
と、嘆いていても仕方がないので、まずは家に帰って腹ごしらえを…… 卵しかないけど。
こんな事になるならチキンラーメンでも買い溜めておけば良かったなぁと後悔しつつ、キッチンの前に到着。色々と疲れたし、適当に目玉焼きでも作ろうかな。
「………キッチン、こんなに高かったっけ」
そうだった、体が幼女サイズになってるからほぼ全てのものに手が届かないんだった。限界まで背伸びしても流し台を覗くことすらできないや。うーん、詰みかな。
……あ、押し入れに沢山ある謎の箱や段ボール達を使えば簡単な踏み台になるかもしれない。お腹空いてる時に作業するのは面倒だけど、やらねば飢える。頑張ろうわたし!
よし、踏み台かんせー!これでロリな私でも余裕でキッチンに手が届いちゃうぜ!
代償として更に体力を使っちゃったから、腹の虫が大合唱しておられます。この後の調理で更にお腹を空かせるのは確定しているのでカロリー収支が大赤字ですありがとうございました。
正直もう寝転んでいたいくらい疲れてるんだけど、ここまで頑張ったんだから目玉焼きだけでも食べておきたい。味付けとかしなくていいから、とにかく口に食べ物を入れたいんだ!
てなわけで、ワクワクドキドキ!都市でのはじめてのお料理こーなーの時間だよ!
今回使う材料は卵1つ、それだけ!何だか虚しくなってきたけど私の心情は一旦無視しまして、調理開始です。
まずは油を敷いたフライパンに卵を割って落として………落とし……… あっ、殻入っちゃった。
ま、まぁ、取り除けばいいし!調理再開!
卵がこびりつかないようにフライパンをシャカシャカ動かして、良い感じに火が通ったら用意しておいた皿に入れて……… あっ、変に落としたせいで黄身が破裂した。
た、食べれば一緒だし、見た目は関係無いから……
ほらほら、白身が光を反射してツヤツヤ光ってるよ!これは食べれば活力がみなぎること間違いなしだね!それじゃ、いただきまーす!
あ、殻残ってた……
すごいジャリジャリする………
………ぐすん
疲れてても後始末はしっかりやります、皿とフライパンを洗ってる私です。原因は不明だけど、ご飯を食べたはずなのにお腹から響き渡る演奏会が全然終わりません。誰だよ私の腹部に静かなオーケストラ収容したやつは。
そんな冗談を言っている間に諸々を洗い終わったので床にごろん。私は疲れたよパトラッシュ……
わかってる、わかってるんだよ、こんな事してる暇あったらお金を得られる手段を考えるべきだって。
でも朝起きてからずーっと、ずーーーっと胃が痛くなるような出来事ばっかりでさ?道は見えてるけど道の先が地獄に直結してるようにしか思えなくなってるんだよね。つまり
あー、いっそのこと家にあるもの全部片付けてしまおうかな。一旦リセットすれば心も落ち着くでしょ、例えばもう着ることすらできなくなったお洋服とか―――
………服?
そうだっ、服なら売れば金になる!!
さあやって来ました、古着屋さん!スーパーに行く途中でそれっぽいもの見かけたから、もしやと思って見に来てみればドンピシャでした!さすが私、でかした私!まだ諦めるような時じゃない!!
お、良いタイミングで店主っぽいおばあさんが店の前で何かしてるね。これは声をかける絶好のチャンス、社会人生活で培った話術を今こそ発揮する時だ!
「あ、あの……!」
「おや、どうして子供が1人で歩いてるんだい?いくら昼間でも1人でいるのは危ないから、早くお母さんのところに戻りなさいな」
「し、心配してくれてありがとうございます。でも、そうする事はできないんです」
「できない?それはどういう……」
よし、おばあさんの興味を引くことには成功した。後は私がどう困っているかをなるべく簡潔に、尚且つ正確に伝えればいいだけ。体が幼女であることも最大限活用して、おばあさんの同情を誘うのも狙ってみる。
「私、どうしてもお金が必要で…… お母さんの服を売ったら今日のご飯くらいなら買えるかなって思って、ここまで来ました」
「あんた、いくらお金が必要だからって母親のものを勝手に売ろうとしたらダメだろう。事情は知らないけど、お断りだよ」
「お母さんは…… もう、いないんです。家には私1人だけで、食べ物ももう無くなったから、このままじゃ、私………」
ここでお腹のオーケストラが即興コンサートを開演。ナイスタイミングだ、褒めてつかわす。
私の事情を察したおばあさんが何かを悩むように顔をしかめて、口をもごもご動かしている。一応嘘は言ってないけど、人の善意を利用するのは心が痛む……
しかし許せ、私は飢えるかどうかの瀬戸際に立たされているんだ。生きるためならばこれくらいはさせてもらうよ。
「はぁ、わかったよ。買い取ってやるから服をここに持っておいで」
「あ、ありがとうございます!よかった……これで………」
やったぁ!これでやっとお買い物ができる!この空腹ともおさらばだ!!
あぁ…… この都市に来て、初めて明確に前進できたような気がするよ…… もう諦めるしかないのかなって思い始めてたから、嬉しくてつい涙が……
「………」
あ、おばあさんが何とも言えない表情で私の事をじっと見てた。そうだよね、店の前で泣かれたら普通に邪魔だよね、今すぐ帰りますごめんさい。
「そ、それじゃあ…… 本当に、本当にありがとうございました!」
ささっと涙を拭って、最後に手を振って感謝の言葉を伝えながら我が家へと猛ダッシュ。あの服達がいったい幾らになるのか楽しみだ!
「……あんな小さな子供が、たった1人で生きなきゃいけないなんてねぇ」
我が家に帰還して直ぐに、クローゼットの服を1つずつ畳んでは段ボールに詰めこむ作業を開始。
前の職場、初任給だけは良かったから調子に乗って服を沢山買っちゃったんだけど、その時の失敗が今の私を救ってくれていると思うと感慨深いものがある。
私の苦い思い出達よ、私の糧となってくれ。できれば食費1ヶ月分くらいになってくれ!
「よし、これで全部詰め込めた。後は運べば……」
んー、全部入れたら割とパンパンになってしまったけど、果たしてこれを古着屋さんまで持っていけるんだろうか?いやまあ、できなきゃバッドエンドだからやるしかないんだけどさ。
一度深呼吸をして…… よし、気合いも覚悟もバッチリ決まった。では……… いざっ!
「ふん、にゅぅぅぅぅぅぅ………」
あ、あれぇ?気合いは足りてるはずなのにうんともすんとも言わないよ?
クッ、想いだけでは足りぬと申すか。ならば想いと力のダブルパワーで!
「んにぃぃぃぃぃ……!」
フルパワーを発揮して腕が千切れんばかりの力を込めた結果、2センチくらい段ボールが前進しました。
………詰んだか?
それから暫く経ち、私は息を切らしながらも古着屋まであと1歩という所まで来ました。どうやってここまで運んだのかって?余ってた段ボールを折り畳んで、穴を開けて紐を通したものを簡易的なソリにしたのです!
これなら非力な私でも運べたよ!ギリッッギリだけども!
「ふう、ふう…… もうちょっとで、お金……!」
もう腕の感覚がほぼ残ってないけど、感覚が消えた状態で仕事をするのには慣れてるからね。私の生き意地を舐めてもらっちゃこまりますよ……!
「あ、あんた、こんなに沢山持ってきたのかい!?」
おー、恐らく店主のおばあさんが迎えに来てくれた。ハローハロー!さっきぶりだね!死にかけながらも全部持って来れたよ!腕と肩と腰が悲鳴上げ続けてるけど!
「なんて無茶を…… あとは私がやっておくから、店の中で休んできなさい」
「あ……ありがとう…… ございます……」
まさかこんな量を持ってくるとは思ってなかったんだろうね、おばあさんがすっごいドン引きしてる。そりゃそうだ、こんな幼女が自分でソリ作ってミッチミチの段ボール持ってくるなんて誰も想像できないわ。
ともかく目的は達成できたし、おばあさんのお言葉に甘えさせてもらって、早く中に入って休んでこよう。もう歩くことさえ困難になってきたし、空腹極まって虚脱感もすごいしね。
そうしてふらつきながらも店内に入ると、大量に並べられた服の奥に少し大きめのソファがあった。見るからにふかふかで柔らかそうで、それを見た私は飢えた獣のようにソファに突進。直前で体をターンさせて背中から思いっきりダイブした。
「ふあぁ…… きもちぃぃ………」
飛び込んだ瞬間、ベッドとは違う包容力が背中を優しく包み込んでくれて、溜まっていた疲れが解きほぐされていくのを感じる。ソファと1つになるレベルでぐでーっと溶け始めた私の意識はしだいに暗転していって、座ってから程なくして深い眠りに落ちていった。
どれだけ眠っていたのかはわからないけど、ふと美味しそうな香りがして、その方向に顔を傾けながらゆっくりと目を開けた。久々に心からリラックスして眠れたからか、普段より体が軽く感じる。よっぽど疲れてたんだろうね、私………
「んぇ…… おはよぅございまぅ」
「おや、悪かったね。途中で起こすつもりじゃなかったんだが」
目の前には、何かを乗せた板?を手に持ったおばあさんの姿。何だろう、頑張った私へのプレゼントかな。
「えっと、それは何ですか?なんだか良い匂いがしますけど」
「晩飯を多く作りすぎたのさ、勿体無いからあんたに食わせてやろうと思ってね」
「……ふぇ!?」
い、いまの、私の聞き間違いじゃないよね?寝ぼけて聴覚がバグってるとかじゃないよね?晩御飯って、ごはんって聞こえた!!
え、うそ、なんで、ほんとに!?本当にいいの!?私なにもしてないよ!?ただ服を売りつけにきただけだし、何なら勝手に爆睡してたんだよ!!?
「あ、な、なん、で…… 私、お金を貰いに来ただけで……」
「あんなに腹をぐぅぐぅ鳴らしてたもんだから、気になって仕方がなかったのさ。……それとも、いらないのかい?」
「ほ、ほしいですっ、ください!」
私が反射的にそう言うと、おばあさんは優しく微笑んで目の前に出来立ての料理を差し出してくれた。たくさんの野菜が入ったスープみたいで、湯気と一緒に立ち上る香りが私の食欲を強烈に刺激してくる。隣のお茶碗にはこんもりと白米が盛り付けられていて、こっちもとても美味しそうだ。
「最初から素直に言えばいいんだ。ほら、冷めないうちにお食べ」
ああ、暖かいご飯だ…… レトルトでもインスタントでもない、人が作ってくれた暖かいご飯だぁ……!
「うっ……ぐす…… おい、ひい……よぉ…!」
ああ、だめだ。お礼言わなきゃいけないのに、食べる手が止まらない。ただお金が欲しいだけだったのに、勝手に押しかけて迷惑にしか思われてないって思ってたのに、こんなに優しくされるなんて……
「泣きながら食うなんて、器用なやつだね」
そう言いながら頭をぽんぽん叩かれて、どうしてか余計に涙が溢れてきた。おばあさんの優しさがまるで本当に私へのご褒美みたいで、諦めずに頑張って良かったって、心からそう思えた。
どうして見ず知らずの私にここまでしてくれたのかはわからない。でも、疑ったりする必要はないと思う。
まだ都市にやって来てから1日目、わからない事だらけで右も左もわからない現状だけど―――
この暖かさだけは、きっと本物だから
少し遅れたけど、メリークリスマス、血鬼ちゃん。