目が覚めたら血鬼でした   作:角砂糖(おそらく塩)

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申し訳ない、血鬼と都市の要素を盛り込む予定でしたが文字数が増えすぎたので次回に出します。

今回は比較的会話多めの就活回となります。



幼女、職を得るために奮闘す

 

 

 

「おはよーございます!ここでバイトさせてください!」

 

「……悪いな、ウチで子供の教育はやってないんだ」

 

 

 

「どうも!ここってアルバイト募しゅ…」

 

「ガキのくせに何の冗談だ?ここは遊び場じゃないからさっさと消えてくれ」

 

 

 

「ごめんください!仕g「帰れ!!!」

 

 

 

 

 

 やあ、人生何度目かのバイト先探し中の私だよ。どこもかしこも門前払いで参っちゃうね。

 おばあさんは私が子供なことにも何も言わずに話を聞いてくれたから勘違いしてたけど、まあ普通はこうなる。おばあさんが聖母だっただけで、都市はいつだってこんなもんだ。

 しかし、このまま断られ続けると困ってしまうのは本当なので、何故こうも上手く行かないのか原因を考えてみる。

 

 考え始めて真っ先に思い浮かんだのは、やはり私の外見年齢。明らかに学力や体力やらが足りてないし、そんなやつに一部とはいえ仕事を任せる気にならないのは当然っちゃ当然。

 後はこの一目見てわかるみすぼらしい格好かな。今着てるやつは自作の継ぎ接ぎお洋服で、表面はガタガタだし亀裂みたいな継ぎ目も見えてるという言い訳のしようもなくTHE 貧乏人スタイル。そりゃあ見た瞬間に追い払うよね、どこから見ても頭も金も足りない持たざる者なんだもの。

 

 さーて、どうしたもんかなぁ…… まだ服を買う余裕は無いし、手当たり次第に店に突撃しまくっても同じことの繰り返しにしかならない予感がプンプンする。かといって他に良い方法は思い付かないし………

 仕方ない、一旦バイト先を探すのはやめて、先に買い物を済ませよう。その間に良い考えが浮かぶかもしれないし、ダメだったら再度数撃ちゃ当たる作戦続行で。

 

 

 

 

 

 

 私は望む、格安なお得商品を

 

 私は覚えている、あのタイムセールコーナーを

 

 てなわけで到着、金が無くて泣く泣く敗走することとなった因縁のスーパーに!早速中に突入して今日のご飯の素材を買うぞー!

 

「………?」

 

 おお、レジにいる人から怪訝な目を向けられてる。ふっふっふ、今日の私は一味違うぞ、なにせちゃーんと都市で使えるお金を持ってきたからね!!

 

 さてさて、前回買おうとしてたお安い商品は…… あった、もやしくん!まだ朝早いから沢山あるぞ!都市でも変わらず安い多いのご満足セット、丁重に2袋お迎えいたします。

 まだまだ止まらぬ我が進撃、この勢いでお肉コーナーに向かって一番安い鳥むね肉を籠にIN!もやしと一緒に炒めれば、簡単に作れて食べ応えのあるご飯になるんだ~♪

 

 しかし、異様に安いね鳥むね肉。まさかもやしより少し高い程度だとは思わなかったよ。あれかな?K社の無限鶏肉マシーンのおかげかな?あれで大量の鶏肉を都市中に輸出してるんだとしたら納得もいく。

 節約生活を続けるならこの安さは心強いし、もやし+鳥むねコンビには長くお世話になる予感。

 

「あとは何を買おうかなぁ、これで十分ではあるんだけど、飽き対策にもう一つ欲しいし……」

 

 いくら安いからって永遠にもやし鳥むね生活を続けたくはないし、他にも安くて量の多いものは無いものか……とウロウロしていると、レジの横に張られていたポスターがふと目に留まった。

 

「……ん?バイト募集中、どなたでも歓迎します………?」

 

 そこにあったのは、前世でも良く見たごく普通の求人ポスター。書いてある時給は少ないけども特別な条件は何も無い、勤務時間も常識的だし、なかなか悪くないんじゃない?

 まだ他の案は思い浮かんでなかったし、ダメでもともと、店員さんを見かけたら声をかけてみようか。

 

 

 

 

 

「よし、買うのはここまでで良いかな。これ以上は重量的に持てないし」

 

 籠の半分程度まで商品を入れて、腕の疲労をかなり感じ始めたところで今回の買い物は終了とした。まだ残金に余裕はあるけど非常時のために残しておきたいし、これより重くなると持ち帰ることが不可能になりかねないのでね。

 

「これくらいならまだ持てるし、一度帰ってまたここに……お?」

 

 レジに向かうべく籠を持ち上げようとしたところで、視界の端に検品中と思われる店員さんを発見。これ、今が声をかけるチャンスなのでは!?

 籠をその場に置い……ておこうと思ったけど盗られたら嫌なので持ったまま全力ダッシュ、私に気付いてギョッとしてる店員さんの前で急ブレーキをかけ、息を急いで整えて顔を見上げた。

 あとは、これまでのように断られるかどうか……!

 

「すみません!お願いがあるんです!」

 

「ど、どうされました?親御さんとはぐれたのでしたら、探すのを手伝いますが」

 

「いえ、親はいないです…… それより、店長さんはどこにいらっしゃいますか?」

 

「は、はぁ……?」

 

 私の質問の意図が理解できない様子で、店員さんには困惑の色が見えている。まあそうでしょうよ、でもそんなのは想定内。この勢いに任せて私の要望をぶちまけてやる!

 

「私、ここで働きたいんです!無茶なのはわかっています、それでも…… 1人で生きるためにはやるしかないんです!」

 

「お、落ち着いてください!いきなりそんな事を言われても…… 大変な状況なのはわかりますが、子供ができる仕事じゃありませんよ」

 

「お願いします!もう、もう後が無いんです!せめて話だけでも……!」

 

 頭を下げ、悲鳴のような声で必死に懇願した。半分は演技だけど、もう半分は私の本心をのせた心の叫び。そのおかげか、目の前の店員さんからため息が聞こえて暫くした後、私と目線を合わせるように屈みこんで……

 

「わかりました。店長に聞いてみますから、少し待ってください」

 

 よし、断られずに事が進んでくれた!だけど、問題なのはここからだ。こんなチャンスはそうそう無い、必ず掴んでみせるよ……!

 

 

 

 

 

「それで、ここで働きたいって?」

 

「はい、そうです。私のような子供がと思うでしょうが、おふざけなどではなく本気で勤めたいと思っています」

 

 店員さんに連れられて、スーパーの店長と対面することができた。目の前から向けられる懐疑的な視線を浴びせられて、緊張から心臓がバクバクと脈打っている。けど、だからって折れるつもりはない。私が働けるということを何としてでも証明するんだ!

 

「自分が幾つかわかってるのか?俺は冗談を聞いてる暇は無いんだよ。……悪ふざけのつもりなら、今すぐに出ていってくれ」

 

「そう思われるのは当然です。ですが、私の言ったことに嘘偽りはありません。必ず皆様の役に立ってみせると約束します」

 

「それなら聞くけど、お前はこの店で何ができるんだ?社会経験を碌に積んでないただの子供が、大人の真似事をやろうとしても上手くやれるわけないだろ?」

 

 ……よし、まずは成功だ。ここでいきなり突き返されるのが最悪のパターンだったけど、私の話に応じてくれたのなら問題ない。後は私に()()()を見出だしてもらえるよう、あらゆる手を尽くすだけだ。

 社畜版コ○ンとなった私の力、見せてあげよう。

 

「信じられないかもしれませんが、私はかつて、大人と一緒に働いていました。同じ労働時間で、少ない給料のために毎日身を粉にして働き続けました。ここで働けるだけの社会経験なら、もう十分に積んでいます」

 

「それを……どう信じろって?」

 

「私の口から説明しても証拠としては弱いでしょうから、それは実際に見ていただければと思います。レジ打ちでも、検品や品出しでも、何でも構いません」

 

 おおよそ子供とは思えない口調、態度に混乱しているのか、店長は少し前までの態度とは明らかに違う様子で疑い深く私を見つめている。うん、いい調子だね、ここまでは理想的だ。

 

「やはり無茶だと、そう思われますか?」

 

「あ、当たり前だ、そもそも信じられるわけないだろ?どうして子供が俺たちと同じところで働けると思うんだ?さっき言ったことも、どうせ全部でっち上げなんだろ?」

 

「それが事実であると証明する為にも、私に一つ、仕事をさせてもらえませんか?勿論、皆さんがしている事と同じ内容のものを」

 

「だからッ、試すまでもなく出来ないに決まってるだろ!?いい加減―――」

 

 

「できます」

 

 

 語気を強め、真っ直ぐに目を見つめ返しながらはっきりとそう伝えた。その発言に更に混乱が深まっている店長に畳み掛けるようにして、続け様に言葉を連ねる。

 

 

「毎日のように繰り返されるサービス残業、増えることのない給料、当然の如く言い渡される休日出勤、自由は無く未来の見えない毎日」

 

「1つミスをすれば豪雨のように叩きつけられる罵詈雑言、八つ当たり気味に押し付けられる仕事の数々……… 出勤する度に、まるで自ら監獄の中へ入りにいくような気分を味わっていました」

 

 

 過去の記憶を掘り返し、それを矢継ぎ早に店長へと投げつける。止めどなく溢れる苦しい記憶たち、けれど今はそれが私の持ちうる最大の武器だ。

 

 

「それに比べれば、常識的な業務内容しかないここでの仕事は私にとって天国のようなものです。何の問題もなくこなせると、そう断言できます」

 

 

 信じられないものを見ているかのように引き吊った顔の店長が、黙り込んだまま私を見ている。

 ふふ、ここまで来れば勝ち確だ。最後の一手を決めようじゃないか!

 

「店長さん、まずは見て、それから判断をしてはいただけないでしょうか。私を追い出すかどうかはその後決めても遅くはないかと思います。どうか、よろしくお願い致します」

 

 私の言葉を聞いて「はぁぁぁ………」と何かを吐き出すように長く息を吐いた後、店長は下げていた視線を私に向け直して、ゆっくりと口を開いた。

 

「………そこまで言うなら一通りやってもらう。俺がダメだと判断したら、直ぐに出ていってもらうからな」

 

 

 ………やっ

 

 やったぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 勝ち取った!勝ち取れたんだ!わたしは!!!

 

 

 まだ正式に雇われた訳ではないけど、これは余りにも大きな進歩!かつての生活を取り戻し、やがてフィクサーになる為の道を歩み出せたんだ!

 

「ありがとうございます、ご期待を裏切らぬよう全力を尽くします」

 

「子供用の服なんて無いから、そのままやるぞ。まずは………」

 

 

「あ、すみません。買い物の途中だったので会計を済ませて持ち帰ってからでも良いですか?」

 

 

 

 店長の長い長いため息が、再び室内に木霊した

 

 





K社が鶏肉輸出してる設定は勝手に生やしました。都市における鶏肉の値段とかわからないですが、あれだけ生産してるなら輸出もできるんじゃないか?なら安いでしょ!と思いましたので……

次回からはロリ血鬼ちゃんと他人物との絡みが増えてくるので、展開も今より動きやすくなるかと思います。
基本1人だったから表出しなかった問題とか、そういうのをやりやすくなるので!

やっと、やっとここまでこれたよぉ……
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