色々と落ち着くまでは更新が遅れがちになるかもしれません、どうかお許しを……
そして有難いことに、いつの間にかUAが1500を越え、お気に入りとしおりもたくさん、☆9の高評価までいただきました。
まだまだ未熟な書き手ではありますが、この評価に見合うよう未熟なりに頑張らせていただきます!
「むぅ、これ殆ど全滅してるじゃん。明日あいつと会ったら絶対文句言ってやる……」
どうも、飛び散ってる
あの後仕事してたら奥から店長がすっ飛んできて「ここの掃除をしてから帰って着替えてこい」と言われました。こっちに走ってくる店長の顔を見た瞬間追い出されることを覚悟したから、そうならなかったのは良かったけどさ……
「あーあ、せっかく作ったのにもう着れなくなっちゃった……」
私の力作でありオンリーワンな継ぎ接ぎの服は、現在大量の血が付着して大惨事になってしまっている。それもこれも、全部あのドンファンとかいうバカ男のせい。いくら私が血鬼かどうか確かめたいからって目の前で自分の腕切って血を浴びせるとかどういう神経してるんだろうね。
「あなた、大丈夫?さっきは大変な目にあっていたけど」
「ほぇ?あ、私は大丈夫です!服はこんな有り様だけど……」
「何かあったら遠慮なく言ってね、店長には私から言っておくから」
そうそう、実はこの掃除をしているのは私だけではありません。何と偶然近くを通った検品中の店員さんが、親切にも私のお手伝いを申し出てくれました!おかげで血の拭き取りは大体終わってるし、私が覗き込めないような高い位置の棚が無事かどうかもこの人が見てくれてます。ありがたや、ありがたや……
ただ、何か視線が変というか、さっきからただならぬ決意を宿した目で私を見てくる、なぜ?
「よし、これで殆ど終わりましたね!」
「そうね、最後の確認と片付けは私がやっておくから、帰って着替えてきていいわよ」
「え、良いんですか?何だか申し訳ないですけど……ありがとうございます、すぐに着替えてきます!」
まさか後始末までやってくれるなんて、この人は神か?神だね、崇めます。
おばあさんもそうだったけど、皆優しいし救いの手を差しのべてくれるし、本当に都市の住民なのか疑わしいレベルで善人だらけな気がするよ。まあまだ2日しか経ってないし、出会った人数が少ないから偶然そういう人を避けられてるだけだとは思うけどね。
ていうか、ここまで恵まれてるといつか清算パートに入りそうで怖いなぁ。ずっとこれが続いてくれることを願うばかりです。
てなわけで、私の代わりに色々やってくれてる店員さん………ずっと店員さんだと他と区別つかないし、検品してたからケンピさんにしとくか。
朗らかに微笑みながら手を振るケンピさんに背を向けて、感謝の言葉を口にしつつ自宅へ走り出す。通行人に血みどろな服を見られてギョッとされたけども、どうせ他人なので無視して先を急ぎます。
さてさて、今こうして台無しになった服を何とかするべく自宅に向かっているわけですが、実は帰ったところでどうにもならないんですよねこれ。
だって替えの服なんて持ってないし、新しく作ろうにも全部売っちゃったから素材が無い。最悪古着屋さんに寄って一番安いのを買うつもりだけど、できればお金は温存しておきたいから、他に良い方法が無いかと悩んでおります。
うーむ、うーむ
うーーーーむ………む?
「あ、そうじゃん。これ血なんだから自力で取り除けばいいじゃん!」
これまで一度もやってこなかったから忘れてたけど、血鬼は血液を操作できるっていう特性があったんだった。固めて武器にしたり、上位眷属だと血そのものを意のままに操れたりしちゃうやつ。私も血鬼なんだから、きっとそれくらいはできるはず!問題はやり方が全くわからないって事なんだけど、まあ何とかなるでしょ。
自宅の玄関を開けて、念の為にリビングにある家具を端へと待避、ついでに下には不要なタオルを敷いて、その前に正座して………
さあ、何をどうすればいいんだ?(無知)
「どうやったら動くのかなぁ、にゅーって吸いだすイメージとか?」
原理不明の能力だからどうすりゃいいのかサッパリだけど、こういう時はノリと勢いで何とかすれば大体上手くいく。根拠も何も無いけど、このやり方で私は生きてきたんだ。今回もきっと多分恐らく上手くいくさ!
「よぉーし、唸れ私のハンドパゥワー!!」
シーン…
おかしいな、Mr.マ○ックと同じ雰囲気でやったつもりなんだけども、うんともすんともピクリとも、何にも反応してませぬ。
だいたい血鬼が血を操る時って シュバッ! っと手を振ってる記憶があったからハンドパワー的なものかと思ってたけど、この結果を見るに違ったらしい。
ならば、○トロの植物成長させるあの動きはどうだ!
シーン…
これもダメか…… 血で観葉植物作れたら面白そうだったのに。
「血鬼は全員当たり前みたいにやってたのに、何でこんなに難しいんだろ」
どうにも上手くいかないし、他に良い方法も思い付かない。早く帰らないと店長に怒られちゃうのに………
もう、早く消えてよぉ
………グチャッ
「……お、お?動いた?いま動いたよね!?」
聞き間違いじゃない!確かにグチャッていった!私の服から血の蠢く音が聞こえた!!めっっちゃ気色悪い!!
何で急にできたのかわかんないけど、でもようやく使えたよ血鬼らしい能力!この調子で服の血をぜーんぶ吸い取っちゃうぞー!
あれから4分くらい経ったけど、服の血はまだ全て消せていない。薄めることはできたんだけど、奥の方まで取りきれてないっていうか、表面のわかりやすい部分だけが動かせるって感じ?
一応動かすコツはわかってきてて、血を自分で動かそうとするんじゃなく、血に自分の意識を送り込んで「こっち行ってね」ってお願いするイメージ。分かりやすく例えるなら人力ラジコンだね、私がコントローラーで血が動かす対象、電波をびびーって送信したら操作できるよ。
ただ、私のイメージ力が低いのか、それとも血鬼としての能力が弱いからなのか、目を凝らすとうっすらシミが見える程度までしか血を取り出すことができていない。
これでも十分なくらいではあるんだけど、どうせなら全部取りきりたかったな…… 何か、敗北したみたいで悔しい。
「まあ良いや、これ以上戻るのが遅れたら今度こそクビになるかもだし。そろそろスーパーに行かないと」
店長に良い印象を抱いてもらうためにも、初日から職務怠慢っていうのは絶対に回避なきゃいけない。血抜き作業に思ったより時間かかっちゃったし、また頑張って走らなきゃね。
……自転車、欲しいなぁ
そんなこんなで再びスーパーに舞い戻り、遅れた分働かねばと意気込んでいた私でしたが……
「全部私が終わらせておきましたよ」
「え?終わらせたって……ど、どういう……」
「あなたにやらせる予定だった仕事を店長から聞いて、先に終わらせておきました」
「あ、あの、それじゃあ私の仕事は……」
「もうないわね♪」
血鬼として進歩できたと思ったら、人としての進歩を潰されてました。何してくれてんですかこいつ、ケンピ神と崇めた私の信心を返せ!!
ていうかこれ、私に対する店長の好感度マイナス突き抜けてる可能性あるのでは?だって、現時点での私の所業を店長視点で見ると『1級フィクサーと揉め事起こして商品血塗れにした挙げ句、服を取りに行くだけなのに妙に時間をかけて帰ってきて自分の仕事を他人にやらせてた』っていうトチ狂ったクソ野郎ですし。
……うむ、並べてみると救いようのないゴミですね!蹴り飛ばされても文句言えない!最後の一つだけでも店長に伝わってない事を祈るけど、どっちにしろ評価は地の底でしょこれ。
「おーい、アイツは帰ってきたか?」
「あ、店長。いま帰ってきたところですよ」
げっ、よりにもよってこのタイミングで!?
どうする、とりあえず謝って、その後はどうすれば良いの!?何をどうやったら挽回できるの!?ここから入れる保険が見当たらないっ
「ご、ごめんなさい!あんなに偉そうな事を言ったのに役に立てなくて……」
「あ?あー……大体はコイツから話聞いてるけど」
「え、聞いた?それってどこまで……」
「さっきの騒ぎについてと、お前に任せた仕事を代わりにやったって事は聞いたな」
お、終わったぁぁぁぁ!!絶対サボってたと思われてる!嫌気がさして逃げたと思われてる!!!
何故、どうしてそれを言ってしまったんだケンピさん!ちょっと前までは気遣いの達人だったのに、一気に上げて叩き落とされたから私の身体はボドボドだよ!
「………?」ニコッ
笑顔が綺麗だねケンピさん、じゃないんだよ!どうしてくれんのこれ、ほぼ詰みなんですけど!?
いや、上司に報告するのは当然のことだと思うけどさ?職場のほうれんそうは大事だし……でも少しくらい温情かけてくれてもいいじゃないっ
どうにか、どうにかできないのか、この現状から……!
「何か、他に仕事は……できることは……?」
「良いのよ、あまり無理して働こうとしなくても。あの男のせいで疲れてしまったでしょうし、他の業務のやり方を教えて今日は終わりにしましょう。良いですよね?」
「いや、まださっきの話が本当か確かめ―――」
「良 い で す よ ね ?」
「………そう、だな」
あのー店長さん?隣のケンピさんの様子がおかしいんですけど何があったんです?ていうか上下関係おかしくない?なに、実は夫婦で尻に敷かれてるタイプの方だったりする?
ていうかあの男って、ドンファンに対する当たりがやけにキツくない?血をぶっかけられた以外は特になにも……… いや、その一点で全部台無しだわ。店にも私にも被害及ぼしやがってあの1級野郎……
いやそれは良いんだけどさ、それよりも私の置かれてる状況についてだよ。ケンピさんは何故か寛容に受け入れてくれてるっぽいけど、店長さんは私を信用してないのが態度から見え透いてる。
どうにかしてまともに仕事を任せて貰えるくらいの信用を得ないといけないんだけど、その為には働くしかないわけで。しかし私にできる仕事はケンピさんが片付けてしまったので何もやることが無い。
やることが無いなら帰るしかないんだけど、それだと上司からの印象が初日から最悪っていう、社会人として絶対に避けなければならない事態になってしまう。
アイツは仕事ができないし、やる気も無いお荷物、そんなレッテルが貼られてしまえば終わりだ。ここから追い出されるだけでなく、今後のキャリアにも大きな傷がついてしまう。それだけは、それだけは嫌だ…… 私よ、頭を燃やせ、動かせ!生き残る道筋を探すんだッ!!
仕事はさっき言った通り残されていない。ならこのスーパーで他にできることは何がある?私にも可能で、尚且つ店長からの印象を回復できる可能性のあるものは………
……そういえば、このスーパーって微妙に汚れが目立ってるよね。大雑把に掃除されてる感があるというか、パッと見は綺麗だけど細かいところはガッツリ汚れが残ってた。
この規模のスーパーで清掃員がいないって事は無いだろうけど、掃除が行き届いていないって事は1人か2人程度しかいないんじゃ?
「あの、すみません、ここって掃除する人はどれくらいいますか」
「清掃員はいるにはいるんだが、一人しかいないな。あの爺さんももう歳だし………」
……あった、見つけたぞ!私の生存経路!!
か細く頼りないながらも、地の底から抜け出せるたった1本の蜘蛛の糸、必ず掴んでみせる!!
「な、なら!掃除!私がやります!!」
「は、はぁ?やってくれるなら助かるけど、いきなりどうした?」
「そうよ?子供のうちから無理をしていたら、身体を壊してしまうわ。だから今日はもう……」
「私なら背も低いし、棚の下までしっかり掃除できます!やらせてください!お願いします!!」
頭を床に打ち付けそうなくらいの勢いで下げて、本日2度目の全力懇願。しかし何も反応が帰ってこない、ならば奥の手を出すしかあるまい。
「おい!?何してるんだ!?」
「あ、あなた……!」
頭を下げた姿勢から速やかにフォームチェンジ、一瞬身体を浮かせて足を折り畳みつつ、両手を床につけながら着地する。そうして完成するのは、人類が持つ最高度の謝罪にして懇願の形……
そう、DO GE ZA だぁぁぁぁぁ!!!
短時間かつ無駄の無い動きで繰り出されるこのフォームは、前世の私が自宅で何度も練習を重ねた結果会得した必殺技。これが通じなければ私にできる事はもう無い、お願い、どうか………!
「わ、わかった、わかったから!掃除したいなら勝手にやってくれ!ほら、ここに道具があるから!」
私が地に伏せるやいなや、店長がこれまでに無いくらい慌てふためきながら掃除用具がしまわれているロッカーを指し示した。
顔を上げて2人の様子を見ると、店長は顔を青ざめさせながら私とケンピさんを交互に見ていて……何故?
一方のケンピさんは何とも言えない表情で私を見つめたまま微動だにしていない、呆れ果ててるのかな。
私の土下座を発端にして一気にカオスになったけど、でも確定した事が一つだけ。
私、生存……!首の皮一枚で生存……!
一時はどうなるかと思ったけど、崖際ギリギリで踏ん張れたぞぉぉぉ!!
「あ、ありがとうございます!すぐに始めますね!」
店長が指差した先のロッカーに駆け寄って、中から箒と塵取りを手に取って、改めて2人に礼をしてから店内の端の方へと向かった。
きっと過酷な掃除になるだろう、腰も悲鳴をあげるし腕はプルプル震え続けるだろう。しかし、安定した生活を手にするため、今は苦しみ喘ぐ時、死ぬ気で頑張ってみせましょう……!
「なあ、本当にここで働かせるのか?アイツは絶対に普通の子供じゃないぞ?」
「大人しそうで礼儀正しくて、その上で可愛いなんて、そんな子を疑うなんて事、私にはできません」
「1級フィクサーと問題起こしたやつが大人しいって……?」
「まだそんな事を言っているの?あの子は武器を見せつけられて脅されていたのよ。逃げられないように追い詰めて……」
「絶対違うと思うんだけどな、それ……」
「とにかく、私はあの子の面倒を見ます。ちょうど人手も足りてなかったし、悪いことではないでしょう?」
「はぁ…… もういいよ、そう言うならお前に任せるからな」
信じられます?8話も使ってまだ2日目なんですよこれ。
文章の圧縮が下手くそすぎるッ
流石に時間かかりすぎなので、ここからはペースアップして省けるところは省略していこうと思います。このままだと書きたいネタに一生辿り着けない気がするのでね……