白い髪に赤い瞳、華奢な体、女性にも男性にも見える中性的な童顔。
俺が壁を突き破り、最初にあったのは何処か白い兎を幻視させる原住民だった。
体がデカいからか最初は怯えさせてしまったが、どうやらモンスターとしか呼べないような生き物共に追われていたらしくそれを追い払ってあげたら簡単に仲良くなることができた。
しかもお礼にご飯を奢ってくれると言う。
自分でも気づいてなかったがどうやら俺は腹が減っていたらしい。さっきもかっこよく去ろうとしたら腹が鳴ったし・・・・・・
はっ!?もしかしてさっき腹が鳴ったからそれで同情されたのか!?
そんなことを考えて俺が内心恥ずかしがっているとベル(自分から自己紹介してくれた)は急に動きを止めた。
どうしたのだろうと思ったら前に筋骨隆々の人の肉体に牛の頭をしたモンスターがいた。
「ミノタウロス・・・!?何でこんな上層に・・・」
どうやらあのモンスターの名前はミノタウロスというらしい。
しかもベルの反応を見るに本来ここにいるはずのないモンスターのようだ。
「ブモォォオオオォ!」
ミノタウロスはこちらを見るなり雄叫びをあげ、全力疾走で走ってくる。俺はそれに反撃しようと手に持っている斧剣を振り上げる。
そして振り下ろそうとして、前にベルがいるのを思い出し振り下ろせないことに気づいた。
気づいた時は遅くミノタウロスはもう眼前まで迫っており、仕方なく俺は受け止める方法にシフトした。
しかし、次の瞬間ピッという空気を裂く音と共にミノタウロスの後ろから細い剣が振り下ろされ、ミノタウロスの体をまるで豆腐でも切るかのように縦に真っ二つにした。
いい腕だ。
なかなか硬そうだったミノタウロスを骨も無視して真っ二つにしたのは装備の力だとしても、振り下ろしの鋭さ、スピード、正確さは訓練の賜物だろう。
切れ味が良すぎるがあまり、一切の減速なくミノタウロスの死体が突っ込んでくる。俺はそれがベルに当たらないように斧剣を持っている方とは逆の手で受け止める。
血飛沫までは防げなかったのでベルが真っ赤に染め上がり、俺の腰巻きにも少し血がかかってしまったが・・・・・・まあ危険な香りはしないし大丈夫だろう。
そんなことよりも俺はこれを成した者が気になった。
その姿を拝んでやろうとミノタウロスの死体を横に放る。
「ッ!」
そこには腰ほどにまである長い金髪に宝石のような金の瞳を持った女神かと見間違うほどに美しい少女がいた。この少女が今のを成したかと思うと俺は拍手の一つでも贈りたい気分だった。
しかしどうやらこちらを警戒しているようで目は細まり、得物であろう細剣をこちらに向けている。
「う」
俺がピクリと腕を動かすと更に警戒してか、少しづつ戦闘体制に入っていっている。
「うわ」
足に力を込めているのを見るに大きく踏み込んできて斬るつもりらしい。
「うわあ」
話し合いができるような状況ではない。
そう考え、俺は脱力し攻撃に備える。
「うわああ」
・・・さっきからうるさいよベルくん。
何? どうしたの? ビビっちゃったの? ちびっちゃったの?
俺がそんなことを思いながらチラリとベルを見ると、熱に侵されたような瞳をしていた。
え? もしかしてベルさん・・・・・・恋、しちゃいましたか?
「うわああああぁぁああああぁ!」
うわっ!? びっくりした! なになに、急にどうした!?
ベルは叫び声を上げながら静止する間もなく金髪美少女の横を通り過ぎ、走り去っていく。・・・・・・俺を置いて。
いや!? ちょ、待てよ!
俺もベルを追うため走り出す。
一人残されたアイズ・ヴァレンシュタインは、ええ・・・という困惑の声を漏らすのであった。
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