レオンがバイオハザード2のあと、そのまま警察官をやっている世界線。女子大生クレアとの甘々、アメリカ青春ドラマを目指しました。
ラクーンシティは、あの悪夢のような事件から立ち直り、平穏を取り戻していた。
焼けた路面電車は撤去され、破損した建物は修復され、人々は以前のように活気を取り戻していた。
それでも、夜になると時折、遠くの森から不気味な動物の鳴き声が聞こえることがあったが、誰もがその恐怖を過去のものとして心にしまい込んでいた。
ラクーン市警の新米警官、レオン・S・ケネディは、今日も市内のパトロールを終え、非番の時間を迎えていた。
最近、彼の気になるコは、近くの街の大学に通う女子大生、クレア・レッドフィールドだ。
彼女は兄であるクリス・レッドフィールドと同じ警察署で働くレオンに会いに、たびたび週末にラクーンシティを訪れていた。
二人はまだ親しくなり始めたばかりで、お互いに少しだけよそよそしかったが、電話では徐々に打ち解けて話せるようになっていた。
今日も電話で
「え、レオンってバイクに乗るの?」
「ああ、大好きだよ。自慢の愛車もあって、君に見せたいくらいだ!」
「私も!自分でエンジンのチューンアップまでしちゃうのよ!」
「そりゃすごいね!!」
共通の趣味であるバイクを通じて、二人の距離は少しずつ縮まりつつあった。
エンジンの轟音と、風を切る感覚が、二人の心を解放した。
「レオン、明日、どこか行かない?」
いつものように電話でクレアが尋ねた。
彼女の瞳は、これからの冒険に胸を躍らせている。
「アークレイ山地はどう? 最近、いい道を見つけたんだ。景色も最高だし、空気が澄んでて気持ちいいぞ。?」
レオンの提案に、クレアは少し驚いたように沈黙し、そして嬉しそうに笑った。
アークレイ山地は、かつて恐ろしい事件の舞台となった場所だったが、今はただの美しい自然として存在している。
「お弁当持って行くわ。楽しみにしててね!」
電話を切った後、レオンは自分の部屋で力いっぱいガッツポーズをした。
[newpage]
翌朝、二人は愛車に跨った。
レオンの青いバイクと、クレアの赤いバイクが、朝日に照らされて輝く。
エンジンが唸り、二人の期待を乗せて走り出した。
ラクーンシティを抜け、山道へと入ると、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
道は緩やかなカーブを描きながら、鬱蒼とした木々の間を縫うように伸びていた。
鳥のさえずりが響き、時折、小動物が脇道を横切る。
「気持ちいいね!」
クレアがヘルメット越しに、少し興奮したように叫んだ。
レオンもまた、この解放感に酔いしれていた。
彼らはスピードを上げたり、減速して景色を楽しんだりしながら、山道を登っていった。
しばらく走ると、目的地の湖が見えてきた。
木々に囲まれた静かな湖面は、太陽の光を反射してきらきらと輝いている。
二人は湖畔の開けた場所にバイクを停めた。
クレアはバイクを降りると、ヘルメットを脱いで大きく伸びをした。
長い髪が風に揺れる。
レオンはバイクから降りて、クレアの方をちらりと見た。
「ここで、お昼にしようか。」
クレアがそう言うと、レオンは「ああ、そうだな」と頷いた。
クレアはバイクの荷台からピクニックシートとバスケットを取り出した。
湖のほとりにピクニックシートを広げると、クレアはバスケットから手作りのサンドイッチとコーヒーを取り出す。
「がんばって作ってきたんだ。レオン、どうぞ。」
クレアが少し照れたようにサンドイッチを差し出すと、レオンは「ありがとう」と言ってそれを受け取った。
レオンがサンドイッチを一口食べると、クレアは不安そうに彼を見た。
「どう? 変じゃない?」
「いや、美味いよ。すごく美味い。」
クレアもハムとレタスのサンドイッチを手に取り、大きく一口頬張った。
「こういう場所で食べるのは、格別に感じるわね」
湖面を渡る風が心地よく、鳥のさえずりがBGMのように聞こえる。
二人は他愛のない会話をしながら、ゆっくりとランチを楽しんだ。
クレアは湖面を眺めながら、ぽつりぽつりと話し始めた。仕事のこと、最近あった面白い出来事、そして幼い頃の思い出。
レオンは相槌を打ちながら、ただ静かに耳を傾ける。
クレアが気兼ねなく話してくれることが、レオンにとっては嬉しかった。
「レオンはどうして警察官になろうと思ったの?」
クレアが尋ねると、レオンは少し遠い目をした。
「…そうだな。小さいころ両親が事件に巻き込まれて亡くなって…。俺みたいな子供を増やさないためにも何かできることはないかと思ったんだ。もちろん、たいへんな仕事だとは思ってたんだけど。」
レオンの言葉に、クレアは静かに耳を傾けた。
「クリスも、そう言ってた。人のために何かしたいって。」
クレアの言葉に、レオンは微笑んだ。
二人の間には、ゆっくりと、しかし確実に温かい空気が流れ始めていた。
湖に反射する陽光が、彼らの初々しい時間をそっと照らしているようだった。
ランチを終え、穏やかな湖畔の空気に包まれながら、二人はサンドイッチの包みを片付けた。
レオンが飲み終えたコーヒーのカップを受け取ろうとすると、クレアははにかんだように言った。
「ね、レオン。ここ、泳いでもいいかな?」
レオンは少し驚いた顔をした。
クレアはバイクに積んでいた小さなバッグから、鮮やかな柄のワンピースタイプの水着を取り出した。
その大胆なデザインに、レオンの視線は思わず釘付けになる。
「あ、俺、水着持ってきてないんだ。」
レオンが少し申し訳なさそうに言うと、クレアはにこりと笑った。
「いいよ、レオン。上半身だけでも脱げば大丈夫だよ。ジーンズならすぐに乾くし。気持ちよさそうだし泳ごうよ!」
クレアはそう言うと、少し離れた木陰で着替え始めた。
レオンは湖畔に座って、その姿を目で追わないように、しかし意識せずにはいられなかった。
やがて、水着に着替えたクレアが戻ってくる。
引き締まったウエスト、しなやかな手足、そして健康的な肌の色が、周囲の緑に鮮やかに映えるようだ。
レオンは思わず、その完璧なプロポーションに息を呑んだ。
都会で見るのとは違う、自然の中での彼女の姿は、一層魅力的で、レオンの心臓を不規則に打ち鳴らす。
一方、レオンもTシャツを脱ぎ、ジーンズだけの姿になる。
均整の取れた筋肉質な体は、日頃の鍛錬の賜物だろう。
無駄のない引き締まった腹筋、たくましい腕、そして広い肩幅。
クレアは、レオンの力強くも洗練された体に、思わず視線を奪われた。
彼が振り返った瞬間、クレアは慌てて目を逸らしたが、顔に熱が集まるのを感じた。
「入るか?」
レオンの声に、クレアはドキドキしながら頷いた。
レオンが先に湖へと足を踏み入れた。
ひんやりとした水が心地よい。
クレアも続いて湖に入ってきた。
「冷たいけど、気持ちいいね!」
クレアが楽しそうに水を蹴る。
レオンはそんなクレアの笑顔を見つめ、心が温かくなるのを感じた。
最初はゆっくりと、やがてはしゃぐように水をかけ合う。
澄んだ湖の水が、二人の体を包み込む。
クレアの大胆な水着姿と、レオンの引き締まった上半身が、互いの目に鮮烈に映った。
お互いの体がとても綺麗で、若々しく、ついつい意識してしまう。
視線が合うたびに、二人の間には、まだ言葉にはできない、甘酸っぱい感情が芽生えていくのが分かった。
二人は水しぶきを上げながらはしゃぎ、まるで子供のように水遊びを楽しんだ。
湖水の冷たさが、火照った体に心地よい。
時に、お互いの肌が水中で触れ合うたびに、微かな電流が走るような感覚に、二人は密かにドキドキしていた。
ひとしきり泳いだ後、二人は岸辺に戻り、持参したタオルで簡単に水気を拭った。
「気持ちよかったね、レオン」
クレアがにこやかに言うと、レオンも嬉しそうに頷く。
「ああ。こんなに開放的な気分になったのは久しぶりだ」
持ってきたシートを広げ、二人は木陰に腰を下ろした。
クレアは湖面を眺めながら、ぽつりぽつりと話し始めた。
学校のこと、最近あった面白い出来事、そして幼い頃の思い出。
レオンは相槌を打ちながら、ただ静かに耳を傾ける。
クレアが気兼ねなく話してくれることが、レオンにとっては嬉しかった。
しばらくそうして過ごした後、心地よい疲労感に包まれ、クレアはうとうとし始めた。
レオンはそっと自分の上着を肩にかけ、彼女が穏やかに眠れるように見守る。
クレアの寝顔は、普段のしっかりとした印象とは違い、あどけなく無防備で、レオンは思わず目を細めた。
レオンは、クレアの規則正しい寝息を聞きながら、ゆっくりと彼女の顔に顔を近づけた。
そっと、まるで触れてはいけないものに触れるかのように。
あと少しで、その柔らかな唇に届く。
甘い誘惑がレオンの心を満たす。
しかし、その寸前で、レオンははっと我に返った。
一度デートしただけの関係で、まだ親しくもないのに、寝ている相手にキスをするのは、あまりにも失礼だ。
それに、もしこの瞬間にクレアが目覚めてしまったら……。
レオンは、胸に押し寄せる衝動を必死で抑え込んだ。
「……っ」
小さく息を漏らし、レオンはゆっくりと顔を上げた。
そのまま、クレアの寝顔をただじっと見つめる。
静かな時間が流れる中で、レオンは今後のことを考え始めた。
クレアが喜ぶような次のデートはどんなものだろう?
今日は自然の中でアクティブに過ごしたが、次はもう少し落ち着いた場所がいいかもしれない。
彼女は美術館が好きだと言っていたか?
それとも、話題のレストランで食事をするのはどうだろう。
しかし、レオンはクレアに気を遣い、自分が色々してあげたい気持ちでいっぱいだ。
彼女が何をしたら心から喜ぶか、じっくりと考えたい。
まだ一度デートしただけだから、焦らず、しかし着実に距離を縮めていきたいとレオンは思った。
どのくらいそうしていただろうか。クレアが目を覚ます
すでに空は茜色に染まり始めていた。
「もうこんな時間か…」
クレアが呟くと、レオンは立ち上がり、準備してきた薪を積み始めた。
器用に組まれた薪に火が灯ると、パチパチと音を立てながら炎が揺らめき、あたりを暖かな光で照らす。
簡単なキャンプファイヤーだ。
焚き火の周りに座り、レオンが淹れてくれた温かいコーヒーを飲みながら、二人は他愛のない話をした。
昼間の賑やかさとは打って変わって、静かで穏やかな時間が流れる。
炎の揺らめきが、二人の顔を赤く染める。
焚き火の音だけが、静寂を破る。
ムードが最高潮に達したその時、レオンはそっとクレアの手に触れた。
クレアもそれに応えるように、ぎゅっとレオンの手を握り返す。
レオンはもう片方の腕で、クレアの腰をそっと抱き寄せた。
クレアは抵抗することなく、レオンの胸にそっと頭を預ける。
心臓の音が、静かに響き合う。
その時、パチッという大きな音を立てて、薪がはねた。
その音で、二人は現実に引き戻される。
「そ、そろそろ、下山しないと日が完全に暮れちゃうね」
クレアが少し残念そうに、しかしきっぱりとした声で言った。
レオンも名残惜しさはあったが、クレアの言葉に同意する。
「そうだな。安全に下山しよう」
レオンは焚き火の始末をすると、二人は立ち上がった。
[newpage]
山を下りると、街灯が瞬き始めた道を二人は走る。
昼間の賑やかさとは違う、夜の街の静けさが心地よい。
クリスのマンションの下に着くと、レオンはエンジンを切った。
静寂が二人を包み込む。
「今日は本当にありがとう、レオン。すごく楽しかった」
クレアがバイクから降りながら、感謝の気持ちを伝える。
その声は、いつもより少し甘く響いた。
「俺もだよ、クレア。君といると、本当に心が安らぐ」
レオンはクレアの目を見つめ、率直な気持ちを口にした。
クレアの頬が、わずかに赤くなる。
二人の視線が絡み合い、言葉にならない想いが空間を満たす。
ゆっくりと、レオンの顔がクレアに近づく。
クレアもまた、それに引き寄せられるように、そっと目を閉じた。
あと、ほんの少し。唇が触れ合う寸前だった。
その瞬間、一台の車が勢いよくマンション前の道を通り過ぎていった。
ヘッドライトの光が二人を照らし、エンジン音が静寂を破る。
ハッとして顔を離した二人には、少しばかりの気まずさと、そして残念そうな表情が浮かんだ。
「…それじゃあ、またな」
レオンは少し掠れた声で言った。
「うん。またね、レオン」
クレアは小さく頷くと、マンションのエントランスへと向かった。
彼女の背中が見えなくなるまで、レオンはバイクに乗ったままその場を動かなかった。
マンションのオートロックを解除し、クレアが部屋のドアを開けると、リビングから不機嫌そうなクリスの声が聞こえた。
「クレア! 今、何時だと思ってるんだ!」
クリスは腕を組み、仁王立ちでクレアを睨んでいた。
その表情には、心配と、そして隠しきれない嫉妬の色がにじんでいる。
「ごめん、クリス。ちょっと遅くなっちゃった」
クレアは苦笑いしながら靴を脱いだ。
今日の楽しい時間の余韻が、クリスの剣幕で少しだけ薄れていく。
「一体どこで何をしていたんだ? 連絡もつかなかったぞ!」
「ごめんね。山の方に行ってて、電波が悪かったみたいで。今日はね、湖に行って、ちょっと水遊びしたり、のんびり過ごしてたんだ。レオンが焚き火をしてくれて、コーヒーを飲んだりもして…」
クレアは、水遊びではしゃいだことや、焚き火を囲んで語らったことなど、差し障りのない範囲で今日の出来事を掻い摘んで話した。
キス寸前だったことや、レオンと手をつないだこと、腰を抱かれたことなどは、もちろん伏せる。
クリスに余計な心配をかけたくなかったし、なにより、あの甘い時間は自分だけの秘密にしておきたかった。
しかし、クリスの不機嫌は晴れない。
むしろ、レオンの名前が出たことで、さらに眉間の皺が深くなったように見える。
「まさか、二人きりだったのか? お前は本当に…無防備すぎるぞ」
クリスの声には、苛立ちと同時に、クレアを案じる気持ちが強く感じられた。
クレアは、そんなクリスの気持ちを察して、そっと彼に近づく。
「大丈夫だよ、クリス。心配かけてごめんね。でも、本当に何にもなかったから」
クレアはクリスの腕にそっと触れ、できるだけ安心させるように微笑んだ。
クリスはまだ納得いかない顔をしていたが、クレアの優しい視線に、それ以上追及する言葉を失ったようだった。
「もう疲れたから、今日はもう寝るね。クリスも、あんまり夜更かししないように」
クレアはそう言って、クリスの返事を待たずに自分の部屋へと向かった。
部屋のドアが閉まる音を聞きながら、クリスはふぅ、と大きなため息をついた。
クレアの言葉を信じたい気持ちと、レオンに対する複雑な感情が入り混じり、彼はしばらくその場に立ち尽くしていた。