仮面ライダーになった   作:ユウタロス

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第十七話 窮地

「……暑いなぁ……」

「……暑いわねぇ……」

 

 夏休みが終わって早数週間。トルネに乗って学校へ行き、授業が終わり次第に帰宅してパンを焼き、襲撃してくるロードを倒し、空いた時間にプリムと遊んで過ごす。俺は、そんな世間様とは一風変わった日常を謳歌していた。

 

「もう9月中頃だと言うのに、なんだってこんなに無駄に暑いのか……」

「異常気象と言うやつね……ここ二十年程は特にキツイわ、昔はこんなに暑くなかったもの。冥界や天界はこんな蒸し暑い気候にはならなかったし、私には特に堪えるわね……」

 

 店が定休日の第二土曜日、俺とプリムは自室のソファーに凭れ掛かり、アイスをシャクシャクしながら虚ろな眼付きで昔のホラー映画を鑑賞していた。少し遅れた納涼デーだ。

 映画の内容は古い呪われた家に入り込んでしまった人達が次々に悪霊の餌食となるもので、中々に評価が高い作品なのだが……今まで悪魔やら天使やら堕天使やら龍やら怪人なんぞの人外と戦ってきた自分には、ちっとも恐ろしさが感じられない。悪霊が襲って来ても、自分ならワンパンで消し飛ばせるとしか思わない。

 プリムに至っては、そもそも悪霊なんて悪魔にとってはハエも同然のため、これまたちっとも怖がらない。

 結果、二人してアラ探しとツッコミと映り込んだ“本物”探しに精を出している始末だ。

 

「……んっ……ショウイチ、もっと深く腰掛けてちょうだい……座り辛いわ……」

「……プリム、暑い……」

 

プリムは現在、俺の股の間に腰掛けて身体をこちらに預ける様に座っている。年齢が(ピー)万歳とは言え、身体自体は幼女なのでプリムの体温は結構高く、このムシムシした気候で密着状態と言うのは少々辛いのだ。

 では、何でわざわざそんな座り方をしているのかと言うと、

 

「……私だって暑いわよ……でも、構造上しょうがないじゃない……」

「……まあ、そうなんだが……」

 

 単純に、自分の部屋にあるソファは一人掛け用のリクライニングタイプだからである。元々プリムが来るまで外神家の子供は姉さんと俺の姉弟二人であったし、姉さんは俺の部屋で遊ぶ時は大体地べたかベッドに寝そべっていたので、これで支障は無かったのだ。流石にこの部屋にはもう二人掛け用のソファを置くスペースは無いし、このリクライニングは親父が書斎で使っていた結構高級品であり、まだ使えるのに捨てるのは勿体無い。

 

「……ねえ、ショウイチ。ソレ、美味しい?」

 

 ボーッと二人して映画を観ていた最中、プリムが振り返り、目で俺の食べていたソーダ味のアイスを指して問いかけてきた。ちなみに、プリムが食べているのはレモン味である。

 

「ん……? まあ、美味いよ……食べるか?」

「ええ、頂くわ」

「ん。ほら、どうぞ……」

「ん~♡」

 

 シャクシャクしていたアイスを口から離してプリムに差し出した所、彼女はアイスの脇を取り過ぎ、そのままこちらの唇に彼女の唇を押し付けてきた。にんまりと楽しそうな表情をしたプリムは、唇の隙間から舌を滑り込ませ、口内に残っていた溶けかけのアイスを舌先で彼女の口の中へと運んで往く。

 

「じゅる……んちゅ……」

「ん……」

 

 向かい合いながらしなだれ掛かってくるプリムの腰に手を回し、起き上がりながら彼女の身体を支える。くちゅくちゅと淫らな水音を響かせながら、雛に餌を与える親鳥の様に、口内のアイスを舌で掬い取ってプリムの口の中に運び、彼女に()渡す。

 プリムはアイスの乗った舌に彼女の舌を被せた。サンドウィッチの様に二人の舌に挟まれアイスは体温によって徐々に溶け出し、唾液と混ざった液状になってプリムの口内を満たしていく。

 

「ん……ゴク……ごっ……ん……」

 

 喉を鳴らしながら口中の液体を飲み干したプリムがうっとりとした表情を浮かべながら、催促する様にこちらの舌を撫でしゃぶりだすが、残っていたアイスはとうに溶け切ってしまっている。苦笑しながら抱き合っているプリムの背をぽんぽんと叩くと、彼女は眉をハの字にして切なそうな表情を浮かべる。

 腰から回した手でプリムの髪を梳きながら彼女の口から舌を抜こうとすると、彼女の舌は引き下がっていたこちらの舌を絡め取り、背中に回った彼女の腕が身体を強く抱きしめる。

 舌を引っ張られながらの突然の圧迫に、軽く呼気が漏れ、残っていた溶けたアイスが彼女の口の中に流れ込んだ。

 

「……ぷぁっ」

「……ぷはっ」

 

 口から溢れたアイスをごくんと飲み干して、プリムは漸くこちらの舌を解放してくれた。舌を引き抜きながら口を離すと、じゅぷりと水音響かせながらお互いの口元につぅーっとアイスと唾液の混ざりあった糸が引く。

 

「はぁ、はぁ……はぁ……」

 

 酸素を求めて開いた彼女の口から甘い吐息がこぼれ落ち、ぶわりと辺りに漂う。こんなに長い間キスをしたのは久々の事であり、乱れた呼吸を整える為に大きく息を吸い込んだ瞬間、むせ返る程甘ったるいプリムの呼気が大量に肺に流れ込んできて咳き込みそうになる。失礼極まりないので堪えたが。

 

「……ご馳走様でした♡」

「……お粗末様でした」

「貰いっぱなしは、失礼よね……ん」

 

 今度は上気した顔のプリムが口にアイスを頬張って唇をこちらに差し出してきた。

 

ほうぉ(どうぞ)♡」

 

 ――敢えて言う。

 

「……いただきます」

 

 ――俺の婚約者(フィアンセ)が可愛くて仕方ない。

 

 

 

Α-Ω

 

 

 

 翌週、月曜日。

 

「……高三にもなって、素行不良で呼び出されるとは……」

 

 度重なるロード襲撃による授業の途中退席の結果、とうとう摩耶先生と学年主任を交えた三者面談に駆り出されてしまった今日この頃。

 あまり友人の権力に頼るのもどうかと思い控えていたのだが、流石に“これ以上の欠席はそろそろ卒業に響く”と言われてしまえば背に腹は代えられず。出席率関係を何とかしてもらう為に、

気が進まずに重い足取りでオカルト研究会の部室へとやって来たところであった。

 

「……ハァ……失礼する」

 

 気が重い。が、流石に留年する訳にはいかないので意を決し、ノックして部室へと立ち入る。

 

「あら、外神くん……?」

「ん? おお、ショウイチじゃねぇか。ここ(オカ研)に来るなんて珍しいな、どうしたんだ?」

 

 部室内に入ると、グレモリーの眷属各員とアザゼル、いつぞやの茶髪の悪魔祓い(エクソシスト)の少女が居た。名前はなんと言ったか……確か、俺が壊してしまったエクスカリバーの持ち主だったはず。

 

「あ、ああ、ああああああああああ……!」

 

 茶髪少女がこちらを指差しながらワナワナと震えている。どうしよう、エクスカリバー弁償しろとか言われたらどうしよう。いや、一応あれは正当防衛だったし、ミカエルにも何も言われてないから大丈夫なはず……。

 

「あー、その……」

「申し訳ありませんでしたああああああああああッ!!!!」

「イリナ!?」

 

 さてどう切り出したものかと頭を悩ませていた所、茶髪少女は俺の眼前に躍り出たかと思うと、そのままスライディングしながら綺麗な土下座を決めた……っと、そうだ、確かこの茶髪少女の名前はイリナだった。

 突然の土下座に驚いた兵藤が彼女に駆け寄る。

 

「申し訳ありません! 申し訳ありません! まさか魔人……あ、いや、アギトに聖人のお方がいらっしゃるとはつゆ程にも思っていなかったんです! いきなり襲いかかってごめんなさいいいいいいいいいい!」

「あ、ちょ……別に怒ってないから……おい、止めろって……!」

 

 イリナ少女が土下座のまま半泣きで頭をガンガン地面に叩きつけながら、謝罪してくる。何とか宥めようにもイリナ少女は一向にヘッドバンキングを止めない。たまらずグレモリー達の方を見ると、慌てて側に居た兵藤とゼノヴィアがイリナ少女を羽交い締めにし、アルジェントが掌から緑色の光を放ってイリナ少女の赤くなった額を癒やし始めた。

 

「イリナ、ちょっと落ち着けって! 外神先輩ドン引きしてるから!」

「イリナさん、そんな事したらケガしちゃいますよ!?」

「おいイリナ、迷惑だから止めろ」

「う、うぅ~。だって、だって……」

「いや、だから。俺は気にしてないからだな……」

 

 ぐずぐずと半泣き気味のイリナ少女をあやす事15分。いい加減面倒になってきたので軽く催眠術をかけてソファに寝かした事で漸く自体の収拾がついた。

 

「はぁ……」

「あの、なんかすいません、ウチのイリナが……」

「いや、まあ、気にしなくていい」

 

 漏れるため息を聞いた兵藤が肩身が狭そうに頭を下げるが、そもそも事前に連絡もせずにここを訪れた自分が悪いのでそう恐縮されると若干の罪悪感が……。

 

「えっと……それで、外神君。今日は一体どうしたのかしら? 何か用があって来たのでしょう?」

 

 グレモリーが切り出してくれたので漸く本題に入れる、のだが……。アザゼルまで居ると言う事は、恐らく何かしら悪魔関連の用事があるのでは無かろうか? こちらも割りと切実に何とか対処して欲しい要件ではあるのだが、流石に他人の予定を押し退けてまで頼むのは……。

 

「あー、ショウイチ。別に2、30分位平気だぞ? こっちは教員(ルール)側だしな、下校時刻程度無視して構わん」

「……そうか。ではグレモリー、済まないが少々時間をくれ。10分もあれば終わる話だ」

「ええ、まあ、構わないわよ……それで、内容は?」

 

 グレモリーからの認可も出たし、切り出すか……情けないから話したくねーなー……。

 

「……グレモリーと姫島は、俺が頻繁に授業を途中で抜け出しているのを知っているな?」

「え、ええ、まあ」

「ですわね……」

「へ~……外神先輩って案外ワルなんですね」

 

 意外そうな表情で兵藤が言うが、別に好き好んでサボっている訳ではない。が、これが詳細を知らない人から見た俺の現状の評価なのだ。話を聞いていたアザゼルは何となく察した様子で苦笑している。

 

「……まあ、実はこれは、駒王町近郊に現れたロードを倒しに行ってる訳なんだが……実は今日、担任と学年主任に呼び出されてな」

「「……あっ」」

 

 ゼノヴィア少女と兵藤が察したらしい、こいつら悪ガキっぽいもんな。アザゼルに至っては確実に俺が話そうとしている内容を確信してるな、目が笑っているし。逆に、この三人以外は話がよく見えていない様だ、みんな利発そうだしな。三年生の二人は俺がロードと戦う為に学校を抜け出している事に目を丸くしていたが、それだけらしい。

 ――回りくどく言っても仕方が無い、単刀直入に言おう。

 

「――ロードと戦う為に学校抜け出し過ぎて授業の出席率がヤバい。ぶっちゃけこのままだと留年しそうだ。グレモリー、助けてくれ」

「「「「「「「……あっ」」」」」」」

 

 察してくれたようで何よりです。

 

 

 

 

 

 

 






外神翔一(ロリコン)
主人公。危うく留年しそうになったロリコン野郎。
最近は場所さえ弁えていれば遠慮なくヒロインその1とイチャイチャパラダイスを建てる様になったロリコン野郎。
家族の視線も生暖かくなった。


>プリム・レディ
ヒロインその1。昨今の異常気象に、昔を思い出しながらウンザリする(ピー)歳のロリBBA。
最近は場所さえ弁えていれば遠慮なくロリコンとイチャイチャ出来るのでごかなりご機嫌。
高温多湿な気候は苦手な模様。



はい、と言う訳で第十七話でした。

僅か五文字の表現に二日悩んだりする遅筆野郎はどこのどいつだ〜い?
――――私だよ!(白目)


いかんなぁ……前も遅筆だったが、最近輪をかけて遅筆気味になっとる。たかが四千字に二週間て……。

なんか最近中途半端に書きたいネタばっかり思いついちゃってしょうがないんですよねぇ……シンフォギアでギルス(アギト無し)物とか響鬼物とかダン間違でクウガ物とか黒弾でシンさん物とかアクセルワールドで1号物とか……ライダーばっかだなオイ。

オリジナル物とかもやってみたいしガンプラも作りたいしFGOやアイギスやお花……一日が40時間位あったらいいのになぁ……。


次回もなるべく早く更新させて頂きます。御読了ありがとうございました!!
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