「あ、」
そんな情けない声を出した先には先ほど助けた少女が起きてこちらをその真紅の瞳で見ていた。まさかもう目を覚ましているとは思いもしなかった僕は再び嫌な汗をだしながら勇気を出して少女に声をかけた。
「も、もう起きたんだ身体は大丈夫?一応治療は施したからこれ以上出血はないと思うけど?」
声をかけると少女は目をぱちぱちしながら僕を見た後に部屋の中を見渡していた。そして・・・」
「ここは何処なのだー?さっきまで森の中で寝てたけど貴方が助けてくれたのかー?」
良かった・・・どうやら起きて早々僕を食べるということはなさそうだ。そして少女のその口調は僕もよく知っているルーミアの口調とそっくりであった。
そして僕は少女の質問に答えた。
「そうだよ森の中から光が見えてその光の正体を探していたら木にもたれかかった血だらけの君を見つけてね、びっくりしたけど怪我をしていたから君を担いで急いでここまで運んできてちょっとした治療をしたんだよ。」
「そうなのかーお兄さん助けてくれてありがとうなのだー」
少女はどこか気の抜けるような声で感謝を伝えてきた、僕は少し照れ臭くなり頬を染めてしまったがすぐに気を取り直して僕が気になっていることを少女に質問した。
「君は何者なんだ?こんな深夜にましてや10歳ぐらいの子供が人っこ一人いない山奥の森の中で倒れててそのすぐ近くには何故か頭の消えた巨大な熊の死体があったし到底普通の人とは思えないんだけど・・・」
僕質問に対して少女は少し考えるように腕を組んでその後その質問に少女は答えた。
「私の名前は“ルーミア”なのだー常闇の妖怪とも言われているのだー」
そう答えた少女・・・ルーミアに僕は心の中でやっぱりそうなのかと呟いただがルーミアはこの世界では二次元の存在だどうしてそんな彼女がこの世界のしかもあんな森の中にいたのかが疑問だった。だがその疑問は一旦置いておく。
「なるほど・・・ルーミアねよろしく」
「あれ?妖怪って言っても驚かないのかー?」
「ん?あぁなんだろうなぁ・・・妖怪って言われても今の時代だと迷信扱いだからかなぁ」
「・・・・・・そうなのかー外の世界だと妖怪は幻想の存在なのかー」
「外の世界?」
ここで僕はルーミアが言った外の世界という言葉に引っかかった。
「外の世界というのはなー私たち妖怪と人間が共存して暮らしている幻想郷という幻想の世界の外側にある君たちが生きている世界のことなのだー!」
そう答えた彼女は両腕をピンと左右に伸ばし元気に答えた、うん徐々に回復してそうで良かった・・・そしてルーミアの説明で僕は東方Projectの設定の中にも幻想郷と外の世界について書かれていたなと思い出した。
幻想郷とは日本のどこかにあるとされる妖怪と人間が共存し合う楽園であり幻想郷には幻と実体の境界と博麗大結界という二つの結界により構築されておりそのおかげで外部からは幻想郷の存在を認知できないとされている。だから彼女から見たらここは外の世界ということになるのだろう。
「なるほどじゃあどうして日本・・・君たちで言う外の世界にきたの?」
「それはなー幻想郷にある無縁塚っていう場所でなー不思議な歪んだ空間を見つけたのだーその空間が気になって触ってみたら次の瞬間見覚えのないあの森にいたのだー」
「あの熊を倒したのももしかしなくとも?」
「私なのだー急に知らない森に来て油断していたら後ろから攻撃されて怪我をしたから仕方なく反撃したのだー」
「へぇ・・・」
だからルーミアは背中を怪我していたのかと僕は理解した。
というか妖怪に物理って効くんだなぁと心の中で思った。
しかしどうしたものかこの世界はルーミアが知っている外の世界とは別の世界なのだそれでも“帰れる手段”があるのだろうか?
「ところで話は変わるんだけどいいかな?」
「ん?なんなのだー?」
「君のこれからのことなんだけど君は幻想郷に帰れる手段を持っているの?」
「多分大丈夫なのだー幻想郷の妖怪の賢者が私が消えたことに反応して探してくれていると思うのだー」
確かにかの妖怪の賢者である八雲紫ならば外の世界に出てしまった妖怪の一人や二人簡単に見つけることができるであろうしかし・・・
「もし、この世界が君たちの知っている幻想郷のある外の世界とは別の世界だったらどうする?」
「え?」
ルーミアは僕の言った言葉を聞き固まってしまった。だけど覚悟を決めて僕はルーミアに対してこの世界のことを話すことにした。
「すまないルーミア!僕は君のことを知らない子だと言うふうにして振る舞っていたけど実は全部知っているんだ!幻想郷のこともルーミアのことも!」
「え?え?どういうことなのだー?」
そう言った僕の言葉にルーミアは混乱した様子であたふたしていた、その後落ち着いた彼女にルーミアが今いるこの世界のことについて話し始めた。この世界には幻想郷という場所はなく彼女たちはとあるゲーム作品の中に登場する架空の人物であること、その中にルーミアというキャラクターが含まれているということも洗いざらい話した。
話をした後ルーミアはまだ完全に理解できていないのかベットに座り込み固まってしまっていた。仕方がないであろういきなり見ず知らずの人間から自分のことを一方的に知っていると言われ、自分は架空の存在であり自分の生きてきた世界はここでは人間の想像で作られたゲーム作品や数々の二次創作であることなどを聞かされて理解しろなどというのが無茶なのだから。
そして固まっていたルーミアはようやく口を動かした。
「私は帰れないのかー・・・?」
「わからない八雲紫なら並行世界にいる君のことも見つけられるかもしれないけれどそれが明日なのか数ヶ月後なのかもしかしたら年単位でかかるかもしれない」
先ほどまでの元気な声とは変わり不安のあるか細い声で聞いてきた、僕自身がさっき言った通り八雲紫ならば見つけだしてくれることも不可能ではないだろうが僕自身並行世界というのがどう言ったものなのかもわからないが、無数にあると言われる並行世界のたった一つのたった一人を見つけ出すのは途方もなく難しいことであるということは僕でもわかる。
だからなのだろう今目の前で戻れる手段もわからないままたった一人で知らない世界に投げ出されてしまったルーミアを見ていると罪悪感と同時に偽善でもいいからこの不幸な少女を助けてあげたいと思ってしまうのだ。
「チルノたちにももう会えないのかー・・・?」
「うぅ・・・嫌だよぅ・・・そんなの私耐えられない・・・」
ルーミアはもう二度と会えないかもしれない勇逸無二の親友の名前を言った後今まで耐えていた涙が溢れ出そうとしていた。そんな姿を見て見て見ぬふりをする事は僕にはできなかった。
「ルーミア!」
ビクッ!
僕は泣きそうな彼女の名前を大きく叫びこちらに目線を向かせた。声が大きすぎたのか少し驚いている様子が見えてしまい少し申し訳なさが出てしまう。
「あ、ごめん驚かせるつもりじゃなかったんだ、だけど君に言いたいことがあるんだ」
僕の謝罪を聞いて少し落ち着きを取り戻したルーミアは僕の言葉に耳を傾けるそれを見た僕は彼女に僕の考えていることを伝えた。
「ルーミア帰る手段がつくまででいいからさ僕のとこに来ないか?」
「え?」
「君の方の外の世界がどうなっているかはわからないけどこの世界はそのほとんどが開拓された土地で身を潜められる場所がほとんどないんだだから君が幻想郷に帰れる目処がつくまで僕のところに居候すれば良いんじゃないかって思ったんだ。」
「い、良いのかー?私この世界の常識を知らないからもしかしたらお兄ーさんにたくさん迷惑をかけてしまうかもしれないのだー」
ルーミアは恐る恐るそんなことを僕に聞いてきたそれに対して僕は・・・
「良いってそんなこと!そんな暗いこと考えるよりも幻想郷に帰るまでにどれだけ楽しめるかを考えた方が前向きになれるだろ?」
と、そんな言葉を言うと彼女は再び泣きそうな目になってしまっていた、だがそれは決して悲しみの涙などではなく喜びや安心などで出てきそうな涙だった。
「よく頑張ったなこれからは君が幻想郷に帰れるまでは僕が責任持って面倒見てやるよ!」
「ぅ・・・ぅ・・・うあぁぁぁあぁ!ありがとうなのだぁぁぁあぁ!」
「うぉ!?ちょっと!?」
ルーミアは大粒の涙を溢れさせ感謝の言葉を言いながらこちらに向かって突進してきた。僕はなんとかそんなルーミアを抱き抱えることができた。
ルーミアはまだ大きな声で泣いているがここまでの不安や悲しみなどの感情が溢れ出してしまったのだろう今は落ち着くまでこうしてあげようと僕は思った。
「いきなり泣きながら抱きついてごめんなさいなのだー!」
数分後泣き止んだルーミアは僕から離れまだ目の周りが赤い状態で僕に謝ってきたもちろん僕は全然気にしてないわけだが。
「さて、これから一緒に暮らすわけだしいろいろ教えたい事はあるけれどまだやっていなかったことがあったから先に言っておく」
「やっていなかったことなのかー?」
「僕の名前だよ一方的に君の名前だけを聞いちゃってたから改めて自己紹介させてほしい」
「あ、そうだったのだーまだ私お兄ーさんの名前知らないのだー」
そんな会話をし僕は一呼吸して改めて自己紹介をした。
「僕の名前は佐々木真(ささきまこと)よろしくルーミア」
「私は常闇の妖怪のルーミアなのだーこれからよろしくなのだー真お兄ーさん!」
こうして僕とルーミアの不思議な生活が始まったのである。