ルーミアと出会ってから数時間後真っ暗闇だった空は曙色に染まり始めていた。
「結局朝まで起きちゃったかー・・・まぁ眠気も特にないし朝飯を作ってからルーミアを起こすか」
あの後疲労もあるのだろうけど泣き疲れてしまったルーミアは眠ってしまい、そんな彼女をベットに寝かせた後は運転席に座っていまだに緊張している自分の心を落ち着かせていた。さっきまではルーミアの現状に寄り添って助けてあげようという考えしかなかったが落ち着きを取り戻してからは本物のルーミアがそこにいるということに緊張してしまっていた。
そりゃあ今までゲームや二次創作漫画、イラストなどでしか見ることのできなかった架空のキャラクターが本物となって現実に存在しこうして目の前に現れたら誰だって緊張するであろう?逆にさっきまでの僕はよく落ち着いてルーミアと会話することができたな!?と過去の自分を讃えたくなってしまうほどだった。
そんなことを考えながら僕は運転席を降りて再び後ろの部屋へと移動し簡易的なキッチンの前に立つ下の戸棚にある冷蔵庫から卵を二つ取り出してコンロにセットしといたフライパンを温め始めるうちのコンロはIHだからガスを節約できてとても楽である。そうこうしているうちにフライパンに熱が入って来たのでオリーブオイルを少し引き卵を割ってその上に投下するパチパチと音が鳴り次第に卵の白身の色が薄黄色から白色に変わっていき黄身も固まってきた。僕は半熟の目玉焼きも好きではあるがこういったキャンピングカーだと皿洗いが大変になってしまうので今回は半熟は諦めた。目玉焼きを焼いている間にトースターにパンを二枚セットして焼き上げる、トースターの中からパンの焼ける匂いが鼻の中を通って行き気分が良くなる。目玉焼きができるのとほぼ同時にパンも焼けてパンの上に目玉焼きを乗せて皿に盛り付けてから別の皿にサラダを乗せて朝食は完成した。
「おーいルーミア朝食できたからそろそろ起きてくれ〜」
「ん・・・うん?あ、お兄ーさんおはようなのだー」
出来上がった朝食を机に置き寝ているルーミアに声をかけるそうすると眠気のある声でルーミアが挨拶をしてくる。
うん・・・かわいい!
「わはーごはん美味しそうなのだー」
「あったかいうちに食べるか」
「わかったのだーいただきますなのだー」
そういうとルーミアは早速パンを手に取り食べ始める、パンは出来立てなので噛んだ瞬間にサクッという良い音が鳴り響いた。
「パンがサクサクで美味しいのだーお兄ーさんは料理が上手なのだー」
「ありがとうそう言ってもらえると作った甲斐があるってもんだよ」
その後朝食を食べ終わって皿を洗ったらまだ朝日が山肌に隠れている朝の風景を見るために外に降りた。そしたら後ろからルーミアが「私も行くのだー」と言いながら一緒に降りてきた。
こうして見ていたら普通の人間にしか見えないだよなーと思っているとルーミアが外の風景を見て目を輝かせているのが見えた。
「わー!おっきな湖と富士の山が見えるのだー!」
「そっか昨日は真っ暗で何も見えなかったからね。ここは本栖湖っていう場所で富士山がよく見えるスポットなんだ」
ここは山梨県の本栖湖という場所でかの有名な千円札にもある逆さ富士が撮られた場所でも有名だ。昨日は新月であり月明かりも何もなかったから富士山はほとんど見えなかったが朝になりその雄大な姿をあらわにしていた。
今日は平日ということもありほとんど人はおらずいても僕と同じで夜の星空を撮りにきた人たちがほとんどだったのでその大半が途中で帰っておりこの景色を見ているのは僕とルーミアしかいなかった。
「わはー風が気持ちいいのだー」
「そうだねでも一旦車に戻ろっか」
「わかったのだー」
そうして湖を眺めていたルーミアがこっちに手を広げながら走りながらこちらに戻ってきてそのままキャンピングカーに戻りルーミアが部屋へと続く扉を開けようとした時。
「おっとルーミア、今回はこの扉じゃなくてこっちの前の方にある扉を開けて入ってくれないか?」
「どうしてなのだ〜?」
「日も登ってきてたからそろそろ僕の家の方に帰ろうかなって思ってね。そのために移動しなくちゃいけないからルーミアには前にある椅子に座ってもらおうと思ったんだよ」
「え?この建物が家じゃなかったのかー?」
「うーん・・・ルーミアこれは家じゃなくてねーキャンピングカーっていう移動する乗り物なんだよ幻想郷で身近なやつだと牛車とかに近いかな?」
「そうなのかーこの牛さんはすごいのだー!」
「まぁ・・・そういうことにしておくか・・・さぁ!乗った乗ったそろそろ移動するぞー」
そう言ってルーミアを助手席に乗せてから反対側に回って僕も運転席に乗り込みしっかりとシートベルトをつけてからエンジンをかけた。エンジンがかかると駆動音と共に座席が小刻みに揺れてとても心地よい振動がが伝わってくる。
「わはー少し揺れるけど気持ちいのだー」
隣ではエンジンがかかったキャンピングカーに興奮しているルーミアの姿が見えた。こうしてこの世界を楽しんでいってくれたらいいなと思いながら僕はハンドルを握り・・・
「よーし・・・出発だー!」
「おー!なのだー」
出発と言いながらアクセルに力を込めると今まで地面に固定されているように見えたキャンピングカーのタイヤがゆっくりと動き出していった。そのままキャンプ場を後にして国道に移るために坂道を駆け上がる。そして国道に出たらさらにアクセルを踏んでスピードを上げて行く。
「わー!早いのだー!景色がどんどん過ぎて行くのだー!」
ルーミアは今までに感じたことのないような感覚で早く動くキャンピングカーから景色が過ぎて行くのを眺めて楽しんでいた。
「フッフッフこの後乗る高速道路というところに入ったらもっと早くなるぞ〜?」
「本当なのかー!?凄いのだー!」
そう言って楽しんでいるルーミアを見ているとまるで初めて車に乗って長旅をすることに興奮している子供と親の関係のようにも見えてなんだか心が温まるような気がした。その後そんなルーミアの楽しそうな声を聞きながら車を走らせて行きそのまま高速道路のインターチェンジを潜って高速道路に入った。
高速道路に入ってからは急なカーブもなくなるのでさらにスピードを上げて行き外の流れて行く景色がさらに早くなりルーミアは外を見るのに夢中になっていた。そんな彼女に僕は今まで気にはなっていたけど置いておいた質問をルーミアにしてみることにした。
「そういえばルーミアひとつ気になることがあるんだが言いたくなかったら言わなくていいから聞いてくれないか?」
「ん?なんなのだー?」
「気分が悪くなってしまうかもだけどこっちの世界ではまぁ・・・ルーミアたちは想像上のキャラクターとして色々な設定とかが入っているんだけどその中の設定で有名なのでルーミアは人喰い妖怪であるっていう設定があるんだけどそこのところはどうなのかなぁ?って思っちゃって・・・僕がみる限りだと決してそんな風には見えないから実際のところどうなのか気になっちゃってね」
そんな言葉を言うとルーミアは少し首を下げてどこか懐かしいようなものを聞いたという表情をしており少し不思議に思ってしまった。そんなことを気にしていたらルーミアが口を開いて先ほどの質問に答えてくれた。
「確かに私は昔人喰い妖怪と言われてはいたのだーその頃の私には人間はただの餌としか思っていなかったのだー」
そんな言葉を言い僕はルーミアのことを信じてはいるけどどこか怖くなってしまい冷や汗が出てしまった。しかし何やら言っていること的に昔の自分を言っているように聞こえて僕は疑問に思った。
「ということは今は違うってこと?」
「そうなのだー昔の暴れていた頃の私に新しい感情をくれた巫女さんのおかげで今の私がいるのだー」
「だからお兄ーさんは心配しなくていいのだー今の私は人喰い妖怪としてのルーミアじゃなくて“人喰いをやめた”ただの常闇妖怪のルーミアなのだー」
そういったルーミアの言葉に僕はホッと息を撫で下ろした本当に人喰い妖怪ではあったけれど今は人喰いをやめたときいてとても安心した。ただルーミアの話に出てきた感情を与えてくれた巫女って誰のことなのだろうか?博麗霊夢は多分この感じだと原作どうり15、16歳あたりの年齢だと思うけどそうだとしたらルーミアの言っている巫女さんというのは霊夢の先代にあたる人なのだろうか?
そんなことを考えていると次はルーミアが僕に質問をしてきた。
「次は私がお兄ーさんに質問するのだー」
「お?なんだなんだー?できるだけ答えてやるぞー?」
「今から帰るっていうお兄ーさんの家はどこら辺にあるのだー?」
「なるほどー僕の家ね?えっとね僕の家は千葉県っていう昔でいう下総があった場所にあるんだ」
「えっとー下総だから江戸のお隣さんなのかー?」
「そうそう江戸はね今は東京って名前でたくさんの人がいるんだよー」
「そうなのかー?楽しみなのだー」
そんな他愛のない話をしながら僕達は帰路についた。