『スーツ』と『デッキ』と『未来予想図』   作:河童の皿箱

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 「…なるほど、な」。核唯がテーブル上のカードを眺め終えて呟いた一言に、汎用カードの遣い方をレクチャーしていたアニマとトバル、そしてレクチャーされていた朋克は顔を上げた。

 まず、核唯は3枚のカードを並べた。「これは魔法、これは罠を手札に持ってこれる。こういうのはサーチっていうんだが、サーチ先が安定して強いな、これ」。その言葉を聞いて、朋克は顔をぱっと明るくした。「強いのか?」と。核唯が次に見せたのは、永続魔法カード2枚だった。「特に、この《ワイルド・ピッキング》ってのが強い。こいつらは全員攻撃力が低いが、これさえ持ってきて戦闘すれば、なんでも破壊できる。こっちの《クラッシュ・ビート》って魔法は…ちょっと条件が厳しいかな。どっちかっていうと、守り寄りだ」。ふむふむと、朋克は話を聞きながら、テキスト欄に目を通してみる。…なんとなく、言っていることがわかる気がする。

 「次。これが持ってこれる罠が…この《ナシワリ・サプライズ》ってやつと、《デンジャラス・ガブ》ってやつ。こっちが相手のカードの破壊で、こっちが効果の無効とライフの回復。どっちもかなり扱いやすい罠だと思うから、このデッキを組むんならたくさん入れて問題ないぜ」。……ライフの回復もできるのは、多分すごくいいことなんだろう。破壊、というのも、相手を追い詰めるのに役立ちそうだ。ふと、朋克は核唯へ、気になることを尋ねた。

 「こっちの…ゆーけー……違う、ウキヨエ…パンク…しゃ、しゃらく…さい? …《娑楽斎》は、何ができるんだ?」。すると、核唯は若干目をそらした。「ひとつ目の効果は、エクストラデッキから【P.U.N.K.】って名前の付いた融合モンスターの、融合召喚ができる。融合召喚ってのは、基本的に《融合》ってカードを使わないといけないから、相当変わった効果はしてるんだ。んで、ふたつ目の効果。エクストラデッキから【P.U.N.K.】って名前の付いたシンクロモンスターの、シンクロ召喚ができる。シンクロ召喚は…こいつらってここにチューナーって書いてあるだろ? このチューナーモンスターと、別のモンスターのレベルの合計を、シンクロモンスターってやつのレベルに合わせるんだ。シンクロは、融合みたいなカードはいらないんだが、相手ターンにはできない。珍しい効果だ。ただ、その。肝心の、【P.U.N.K.】って名前が付いた融合モンスターも、シンクロモンスターも、居ないんだよな」。

 

 …効果に書かれているのに、その効果を使う先が存在しないとは、これ如何に。朋克は首を傾げた。「普通、そういうカードって一緒にあるもんじゃないのか?」。核唯は応える。「確かにそうかもしれないが、仮にこんなカードが増えたら強すぎるんじゃないか?」。そうして核唯が見せてきたスマートフォンの画面には、【P.U.N.K.】と名の付くカードの一覧が載っていた。《ワゴン》と、《ワゴン》がサーチできる永続魔法2種類。《スパイダー》と、《スパイダー》がサーチできる通常罠2種類。最後に、《娑楽斎》。この7種類で、【P.U.N.K.】は全て、と。

 「…ええ?」。朋克はさらに、首をかしげるしかなかった。不思議が過ぎる。なんでそんな。けれど、アニマとトバルはうんうん頷いて、自分のデッキからお気に入りのカードを見せた。「トモ、これ。オレのデッキのリーダー、《リブロマンサー・ファイア》っていうんだけど。こいつは別の【リブロマンサー】モンスターカードをサーチできる…んだが、こっちの《Gボーイ》ってカードと、《ファイアスターター》ってカードしかないぜ。しかも、この《ファイアスターター》は儀式モンスターなんだが、これを召喚できる儀式魔法がないんだ」。「オレのほうがトモに近いかもしれない。《魔を刻むデモンスミス》は【デモンスミス】と名の付く魔法罠をサーチできるんだが、これ以外に【デモンスミス】カードがないんだ。…つっても、こいつ自身強いしな」、と。

 ……そういうものなのか。納得できるような、できないような。ともかく不思議だ、という感想は捨てきれず、けれど飲み込むしかないんだろう。

 

 今の話を含めて、ついでに《緊急テレポート》の使い道も聞いてみて。これでメインデッキが20枚。あと、もう20枚、カードを入れなくては。ふと、朋克は呟いた。「効果を使うのにライフポイントを使うけど、《ガブ》が回復してくれるから、こっちはそんなに気にしなくていいか。《ピッキング》で相手の攻撃力が高いのは倒せるだろうけど、全体的に攻撃力が低いから、ちゃんとライフを削るための、攻撃力の高いモンスターは入れたいよな。あと、魔法と罠をどかさないとだから…《サイクロン》、《コズミック・サイクロン》は入れて……」。

 

 ひとりでに、手元のカードでデッキをいじり始めた朋克の姿に、仲間たちは笑う。よし、うまく行った、と。誰も言葉にはしなかったが、まず朋克が自分のデッキを自分でいじるかどうかが、このデッキ作りのカギだった。今日の目的のほとんどは、これで達成できたというもの。あとは、朋克の思う、入れたいカードを入れたり、いらないなと思ったカードを抜いたり、対戦してみたりで調整すれば、完成する。

 

 これなら冬休み明けの進級試験も問題ないはずだ。

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