東方万化録 〜変幻自在なこの世界を〜   作:人間の端

28 / 28


神力で荒れる嵐の中心に巨大な妖力が現れる。

「閻羅!?どうしてここに…」

加奈子に鉄の輪を掴まれ、勝ち筋の一つすら失った諏訪子の前に姿を現したのは、閻羅だった。





第二十七話 戦は終わり…

 

「戦争はもう終わっている。」

 

「何言ってんのさ!まだ終われるわけ「決着は着いている。」…。」

 

閻羅にはっきりと言われて戦闘態勢を解いて俯いてしまう。

敗北することが諏訪のみんなへの裏切りとなってしまうという思いが諏訪子の顔を引きつらせる。

 

「諏訪子、おまえまだ勘違いしていたのか?」

 

「…勘違い?」

 

何もわかっていなさそうな諏訪子にため息をついてしまう。

これが本当に神か?

 

「最初からおまえが勝つ必要だなんてないんだぞ。」

 

「え…」

 

閻羅の言葉に動揺を隠せない諏訪子は驚きで固まってしまう。

そして、そのすぐ近くにいた加奈子にも会話は聞こえており、「なに?」と問いただすようにして、閻羅の方へ向き直る。

 

「どういうことだ。この戦いに意味がなかったと?そもそも貴様はスサノオノミコト様と戦っていたはずだ。何故ここにいる?」

 

答えは一つ、

 

「簡単なことだ。俺がスサノオに勝ったのさ。」

 

この戦いの末に欲しい結果は民の信仰の維持だ。

つまり、欲しいのは諏訪子が勝ったこと以上に、

この戦力差でも勝負に勝った者がいるということだ。

重要なのは勝ち負けではなく、

()()()()()()()()()()()ことだ。

 

スサノオは諏訪の者に負けた。

 

「間抜けなものだ。勝った数で勝負などとくだらんことを真に受けていたのか?この世は弱肉強食。」

 

「持ちかけてきたのは貴様だろう、何が目的だ。」

 

「そこの神を試したのさ。俺の予想以上に民を大切にしているみたいで安心した。だがな…」

 

民のためにと力を振り絞ることは素晴らしいことだと思っているのは閻羅も例外ではない。ただ、

 

「思いだけでは何も救えないとしれ、洩矢諏訪子。次に会うときを楽しみにしているぞ。」

 

想いだけでも力だけでも意味はない。本当に何かを変えたいと言うなら、その者は覚悟しなければいけない。未だ誰も知らない荒道を突き進んでいくことになる覚悟を。

 

「次に会うとき?何を言って…」

 

「また会おう。」

 

「「待(っ)て!」」

 

二人の制止も聞かずに飛び去っていく閻羅。

二人の力では到底追いつくことはできない速度で空を駆ける。

諏訪の国の今後を悟っていた閻羅は、少なからず満足したように、されど少しばかり退屈な、そんな感覚を覚えていた。

 

 

「待ってもらって悪かったな、ルーミア。」

 

閻羅の向かった先には、おそらく大和の戦力と思われる者たちが倒れており、その中心にはルーミアがいた。

 

「いいわよ、諏訪ちゃんとはもう遊んだしね。」

 

口元にはわずかに血が付いており、少し食べたのだろうと分かる。

 

「もういいの?」

 

「ああ、あれなら心配はないだろう。」

 

きっとあの国には大きな変化が訪れるだろう。

それでも、あの国には確かに、『不変』であるものがあった。

諏訪の国は良い国だ。国として消えることになっても、その絆はきっと残り続けることになるのだろう。それでこそ『国』だ。

 

いつかは朽ちるようにできているこの世界の中で『不変』。

たとえ小さな国でも、だからこそ見ることができるものもある。

 

 

そしてまた()()()()()()()()()

 





変化とは、ただ身一つに収まるようなものではない。
地球で、宇宙で、世界中で、起こり続けるもの。

果たして本当に、『変化』(全て)を制御しきれているのだろうか?
その実態は、この録の字列にすら現れているのだろう。

そうして、愚かにも小さな世界のなかで生きていく。

どうかこの物語を最後まで綴れますように…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

桜を得た太陽のサイヤ人(作者:森雄)(原作:ドラゴンボール)

孫悟飯には一つ上の兄がいる。▼兄は弟に何かあれば激情するほどに誰よりも弟思いなのだが・・・彼は原作には登場しない筈の存在だ。▼これはそんな兄がいるドラゴンボールの話である。▼ヒロイン:夜桜六美


総合評価:301/評価:8.25/連載:10話/更新日時:2026年05月16日(土) 00:00 小説情報

ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~(作者:ひまなめこ)(原作:崩壊:スターレイル)

スタレと呪術廻戦をこよなく愛する主人公は久しぶりにスタレにログインすると突然次元の壁を越えてきたアッハによってスタレの世界に無理やり連れてこられてしまった。▼超危険な世界で、チートとも言える力をもって転生した主人公は一体どんな人生を送るのか…。


総合評価:442/評価:6.69/連載:46話/更新日時:2026年03月31日(火) 19:19 小説情報

天土楔の憂鬱な教職日誌(作者:金属粘性生命体)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 雄英高校ヒーロー科の片隅に、やる気のない教師がいる。担当教科は地理。名前は天土楔。▼ ジャージ姿で校内を徘徊し、隙あらば地理準備室で惰眠を貪るその男は、生徒たちから「雄英の七不思議」「給料泥棒」と囁かれていた。▼ だが、誰も知らない。彼がかつて、イレイザーヘッドたちの担任であったことを。そして、その「地味な個性」が、一国を単独で防衛しうる戦略級の兵器である…


総合評価:909/評価:7.24/完結:51話/更新日時:2026年02月23日(月) 23:30 小説情報

もしもOFAの4代目が衛宮士郎(転生者)だったら(作者:寝心地)(原作:僕のヒーローアカデミア)

タイトル通りですね。5〜10話前後位の短編でのんびり書いていきます。▼登場人物の口調に違和感があるかも知れませんがご了承下さい。


総合評価:348/評価:5.77/完結:7話/更新日時:2026年03月01日(日) 02:00 小説情報

アストレアファミリアのハーレムクソ野郎(作者:神崎せもぽぬめ)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

▼ オリ主「家族(ファミリア)に迷惑かけたくないので、他派閥の女の子とイチャイチャします」▼ 星乙女たち「許さないけど?????」▼ 女神アストレア「どうしてこうなったの……?」▼ 下半神「ハーレムはいいぞ!」▼ 白兎系弟分「わあ!すごい!!」▼ 静寂魔女「私が育てたさいきょーの冒険者だが何か?」▼ 暴食筋肉「避妊……避妊しろよ……!!!」▼ 的な感じの冒険…


総合評価:5104/評価:8.38/連載:13話/更新日時:2026年02月07日(土) 02:41 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>