IF〜亡命者   作:名無し名人

7 / 7
IF〜オフレッサー 7章

宇宙暦797年 帝国暦488年十一月十五日、同盟での生活に慣れてきたオフレッサーはヤン提督の要請を受け司令部に出頭した。

 

「オフレッサー、出頭しました」

 

オフレッサーはヤンのデスクの前まで歩くと立ち止まり敬礼した。

 

「突然呼び出して済みません中将、実は頼みたい事がありまして」

 

ヤンも立ち上がり答礼を返してから用件を話す。

 

「頼みたい事……でありますか?」

 

「えぇ、中将に陸戦隊を一つ指揮してもらいたいのです」

 

オフレッサーは予想外の話に少々面食らった。

 

「小官に陸戦隊を……ですか?」

 

「はい、中将のご存じの通り我が軍は先のアムリッツァの戦いで取り返しのつかない損失を被りました。それは陸戦隊も例外では無くて、イゼルローン要塞に詰めている陸戦隊もローゼンリッター以外は言い方が悪いのですが練度は今一つ低い状況なんです」

 

ヤンは自身のベレー帽を外して頭を掻いた。

 

「成る程……閣下、一つ質問して宜しいですか?」

 

「……えぇ、どうぞ」

 

ヤンはベレー帽を被った。

 

「閣下のお陰でこれまで特に我々亡命者に対する不信は表だっておりません。ですが小官が言うのも可笑しな話ですがこれまで私のトマホークが同盟軍兵士の血を吸ってきたのは事実、その様な人物に兵を預けるというのは不満が出てきませんか?」

 

「……そうですね。そういう懸念が出てないかと言えば嘘になります」

 

ヤンは再びベレー帽を外して髪を掻いた。

 

「ですが、それを言ってしまえば私だって多くの帝国軍兵士の命を奪ってきました。私の号令一つで何十万の生命が消し飛びました……それを思えばオフレッサー中将の事を非難する言葉は私にはありません。帝国は帝国の、同盟は同盟の事情があり立場が違えば見えている物が違う……それだけだと思います」

 

「……では閣下は小官を信じると?」

 

「実はまだ私自身この決定に自信がありません」

 

ヤンは苦笑して本音を話す。

 

「ですが私が手本として中将達を信じなければ部下達も中将を何時までも不信を拭えないでしょう……私を頼ってくれたメルカッツ提督やオフレッサー中将には申し訳ないですが」

 

ヤンはそう言ってベレー帽を被り直した。

 

「……閣下は正直な方ですな、普通そこまで本音を言わないでしょう。帝国でも恐らく同盟でも」

 

オフレッサーはニヤリと嗤う。

 

「良いでしょう。このオフレッサー、ローゼンリッターに負けない同盟最強の陸戦隊を育てて見せましょう」

 

オフレッサーはそう言って敬意を込めて敬礼した。

 

後にオフレッサーが育てた陸戦隊はローゼンリッターに負けず劣らずの練度を誇る白兵戦集団になった……

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:15文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

逃げるは敵へ(作者:ジャーマンポテトin納豆)(原作:銀河英雄伝説)

▼門閥貴族の権力争いは熾烈だ。▼それが帝国で最も由緒ある貴族である家でも逃げる事は出来ない。意思が無くとも相手がいるなら争いは起きる。▼


総合評価:680/評価:7.84/連載:26話/更新日時:2026年05月16日(土) 09:31 小説情報

その時歴史がまた動かなかった(作者:dwwyakata@2024)(原作:銀河英雄伝説)

原作にて、ヤンが言っていることがあります。自分がいなかった時のifについてです。▼同じようにラインハルトがいないifも想定できるかと思います。▼どうも原作ファンの一部から露骨に侮られているラインハルトですが、もしも運命のいたずらで早々に命を落とした場合はどうなるのか。▼これはそういう悲劇から生じるifの物語です。▼銀河英雄伝説二次創作短編小説▼その時歴史がま…


総合評価:308/評価:8.5/完結:5話/更新日時:2026年01月24日(土) 19:15 小説情報

その時歴史がまた動いた(作者:dwwyakata@2024)(原作:銀河英雄伝説)

原作においてラインハルトが言っていたことがあります。▼あの運命のとき。アンネローゼが後宮に納められたとき。もう少し年をとっていたら、姉を連れて帝都オーディンを脱出していたと。▼これは歴史が少しずれて、それが実際に行われたifの物語。▼同盟の人間として、ラインハルトが人類を征服する物語。▼銀河英雄伝説二次創作短編小説▼その時歴史がまた動いた(全五話。 序章~第…


総合評価:487/評価:8.55/完結:5話/更新日時:2026年01月20日(火) 19:15 小説情報

深淵の門—銀河英雄伝説異聞(作者:でてこ@子(dc1394))(原作:銀河英雄伝説)

宇宙暦796年、帝国暦487年。▼アスターテ会戦の直後、帝国と同盟の首都を直結する“門”が開いた。▼だがその内部は、火器も長距離センサーも通じない暗黒空間。大艦隊は安全に通れず、両軍は主力を首都防衛に縛りつけられる。しかも均衡は対称ではない。帝国にはなお、イゼルローン回廊という“もう一本の矢”がある。▼ラインハルトはこの異変を帝国再編の好機と見なし、ヤンは新…


総合評価:36/評価:-.--/連載:26話/更新日時:2026年05月25日(月) 18:54 小説情報

銀河英雄伝説 帝国騎士の誉れゴットフリート(作者:猫バロン)(原作:銀河英雄伝説)

21世紀を生きていた男が、銀河英雄伝説の帝国側に転生した。▼その家は青眼帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世により帝国騎士に叙されたマッケンゼン家だった。▼青眼帝と初代の誓い、そして父との約束の為に時には、不条理や危険、困難に阻まれながらも騎士道精神を守ろうとするゴットフリートが、特権階級の腐敗が蔓延る末期のゴールデンバウム朝銀河帝国において帝国軍人を志し「良き騎…


総合評価:425/評価:7.44/連載:11話/更新日時:2026年05月02日(土) 17:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>