これが見たいだろ!?俺は見たい!
ということで書いた小説です。
※注意事項※
ネタバレはほぼないですが、終章エンディング後を前提に書いています。エンディングを察せてしまう可能性もあるため終章読了後推奨です。





貴重な体験を損ねて欲しくない為、繰り返します。
終章エンディング後です!終章読了後推奨です!

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注意事項を読みましたか?
では、前提情報を書いておきます。




エンディング最後のアレが2017だとすると、マシュが一人で日本まで来れる年齢ではない気がするので、それよりも少し後のことと解釈。
二人とも大学一年生です。


真白に広がる、次のページへ

東京駅の案内板の前、スマホの地図と案内板を照らし合わせて目的地を確認していた立花は、歩き出そうとしていた足を止めた。

 

(……あれ、外国の人かな?)

 

立花の目の前には、薄い紫色の髪をした少女がきょろきょろと辺りを見回していた。

彼女もスマートフォンは持っているから地図の確認はできるはずだし、普通なら通りすがるところだ。

しかし、何故か目が離せない。

彼女だけは放っておけない、そんな気がした。

 

「……あの──」

「ひゃっ!?は、はい!なんでしょうか?」

 

突然意識の外から声をかけられた少女は、今にも飛び上がりそうなほど驚きながらもなんとか立花の方に向き直る。

 

「えっと、何か困ってる?」

「──あ、はい。そうなんです、ここが目的地で……」

 

紫髪の少女は立花にスマートフォンの画面を見せながら、目的地と現在探しているものを説明した。どうやら彼女の目的地と立花の目的地はほど近いらしい。立花は友人へ約束の時間に少し遅れる旨のメッセージを送ると、彼女を案内することにした。

先ほど見た案内板を思い返しながら電車に乗り込み、事前に調べていた通りに電車を乗り換え数駅、電車から降りて彼女に見せられた地図を思い返しながら道を進む。

そしてたどり着いたのは、綺麗でも小汚くもない、どこにでもありそうなアパートだった。

 

「……ここまでありがとうございます。実は海外から引っ越してきて、今日からここに住むんです」

「そうなんだ。海外の人だろうとは思ってたけど、今日からなんだね。でも、どうして日本に?」

「物心ついた時から、漠然と日本に行きたいという憧れがありまして。それで日本の大学に進学を……」

「そっか、じゃあ私と同じ大学一年生だね。お互いがんばろ!」

「はい!」

「じゃあ、私は人を待たせてるからこれで……」

 

立花はそう言って、後ろ髪を引かれる思いがありながらもその場を去ろうとした。

すると、紫髪の少女は立花の服の裾を掴んだ。

 

────────────

(Side:マシュ)

 

何故だかわからない、だが彼女と出会ったその時に私のこれまでの努力が報われたような気がした。

理由はわからない、でもこの人を信じれば良いと思った。

動機はわからない、しかしこの人とここで別れてはならないと心のどこかが叫んだ。

気がつけば私は、その人の服の裾を掴んで引き留めていた。

 

「……?」

 

目に刺さるような橙色の髪のその人は私の方を振り向いて首を傾げている。

何か、何か言わないと。

 

「あの、れ、連絡先の交換を……!」

 

自分のことながら、ひどく上擦った声が出たなと思う。

これまでにないほどに緊張して、焦って出た言葉がそれだった。

すると、彼女は花開くような笑顔で

 

「もちろん!」

 

そう言って、メッセージアプリを起動すると連絡先を交換してくれた。

そして、それが終わると

 

「私は藤丸立花。あなたは?」

 

あぁ、そういえば自己紹介すらしていなかったな、と今になって思い出す。何故だか、既にお互いをよく知っているような気がして、名前すら聞いた気になっていたけれど、彼女と私は初対面なのだと改めて思い出した。

 

「はい、マシュ・キリエライトと申します。よろしくお願いします、先輩」

 

『先輩』、この呼び方が口に馴染む。

人生において信頼でき、尊敬すべき人。彼女がそうなのだと思ったからそう呼んだ。彼女は首を傾げているけれど、それでもやはり私の心のどこかで何かが救われたような気がした。

 

「……あっ!もうこんな時間!?私はもう行かなきゃ!またね、マシュ。気軽にメールしてね!」

 

先輩は手を振りながら駆けていった。

 

やがて、荷物の整理を終えて夜になる。

持ち込んだのは生活の最低限に必要な物品といくつかの電子機器、そして一冊の日記帳のみ。

まだ眠くはないが、すべきタスクは全てこなした暇な時間。

日記帳に今日のことを記して、することも無くなってベッドに寝転がる。

寝転がって天井を見上げながら、おもむろにスマートフォンを立ち上げてメッセージアプリに追加された名前を見る。

それだけで、やけに口角が吊り上がる。

『藤丸立花』その四文字だけなのに、何故だか胸の奥から懐かしい温かさが込み上げてくる。

そうやってメッセージアプリを開いたり閉じたりしているうちに、突然通知音が鳴り響く。

驚いて取り落としたスマートフォンが顔面に墜落して鼻に甚大なダメージを与えてくるが、私はそれよりもその通知が誰からのものなのかを気にしていた。

メッセージの送信者は藤丸立花。

まるで先ほどまでの私と行動を見透かすようなタイミングだ。

 

『起きてる?』

 

ただ、その一言だけが送られてきた。

 

『はい。まだ起きていますよ』

 

短く送ると、すぐに既読が付く。

 

『なんだか眠れなくて』

『私もです』

『マシュは時差ボケじゃないの?』

『少し前から日本の時間に合わせた生活をしていますので、時差ボケは起こらないはずです』

 

短い文章で、長い会話を続けていく。

他愛無い会話の中で、それは突然のことだった。

 

『なんかさ、初めて会った気がしないよね』

 

ドキリ、と心臓が脈打つ。

彼女が私と同じ気持ちだと思うと、頬が熱くなってくる。

 

『私もです』

 

そう送ると、既読は付いたが返信が来ない。

何か迷っているのだろうか?少し不安になりながら待つと、ようやく短い文が返ってきた。

 

『今度、一緒に出かけよう。青空を見に行こう』

『はい、喜んで』

 

迷う暇なんてなく返信する。

何故だろう、彼女と共に行く場所はどこであっても最後には素晴らしい思い出になると確信ができた。

カレンダーに目をやると、ちょうど明日は祝日だ。

 

『明日はどうでしょうか?』

『明日はどう?』

 

私と先輩、二つのメッセージがほぼ同時に画面上に現れる。

思わず笑いながら、次のメッセージを打ち込む。

あぁ、明日はどんな服を着よう、どんな日になるだろう。

まだ見ぬ明日への期待が膨らんでいく。

ここから私たちの、二人の冒険が始まる。

日記帳の次の真白のページは、綺麗な橙色で彩ることができる。

そんな予感が私の中に満ちていた。




もし需要があれば続きを書きます。
(終わり方とか決めてないので、ぐだマシュほのぼの現代生活になります)
記憶とかは残ってないけど、魂のどこかに足跡が残ってる。そんな感じが良いなと思って書きました

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