サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!!   作:DestinyImpulse

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セキエイ高原にサヨラバイバイ!

 

「はい、貴方達のポケモンは責任を持って回復させるわ、二人とも素晴らしいバトルだったわよ!」

 

「ありがとうございます、ジョーイさん」

 

「よろしくお願いします」

 

 決勝戦は俺の敗北、リーフの優勝で幕を閉じた。バトルを終えた俺達はポケモンセンターでジョーイさんにポケモンを預け、漸く一息つく事ができた。

 

「……完敗だな」

 

「ああ、リーフのサトシと戦う時の事を想定した策は見事なモノだった」

 

「そうね。たとえリザードンが万全でも厳しかったわよ」

 

 不意に溢れた言葉にタケシとカスミが反応する。ギリギリの勝負だったがリザードンが居たとしても確実に勝てるとは言えない。あのキングドラにリザードンが倒されていた可能性も十分にあるのだ。

 

「リーフの勝ちたいって気持ちが誰よりも強かったんだ」

 

「ああ、認めるしかないよ。リーフの勝利への執念は僕達を上回っていた事にね」

 

「そ、そう言われると恥ずかいな…」

 

 リーフの勝利への執念が誰よりも強かった。それはシゲルも認めており、当のリーフ本人は恥ずかしそうにしている。

 

「うーん、私的には息子が準優勝は誇らしいんですが……サトシを褒めるのは違うんですよね?」

 

「ええ、その通りですよママさん。サトシもリーフもシゲルもヒロシ君も…皆が優勝を真剣に目指してリーグに挑んだ。そんな彼等に取って優勝以外は全て涙を流す敗北に他なりません」

 

 母さんからすれば息子のリーグ準優勝は誇らしいのだろう。しかし、優勝を真剣に目指していた俺には涙を流す敗北だ。

 

「ふん、腑抜けたジジイには消えた感情だと思ったが、言うじゃないか」

 

 オーキド博士が母さんに色々と言っていると、何処からか甲高い声が聞こえてきたので振り返ると、シバ師匠やワタルさんと言った四天王が俺達に歩み寄っていた。

 

「サトシ、良いバトルだった……と師として言いたいが。一人のトレーナーとして慰めの言葉は言えんな」

 

「シバ師匠!」

 

「し、四天王…!それに今サトシはシバ師匠って!?」

 

「実は特訓中にサトシはシバさんに弟子入りしたんだ」

 

「……何の用じゃキクコの婆さん」

 

「嫌そうな顔をするんじゃないよオーキドのジジイ。私は()()()()()()()()を見に来たんだよ」

 

 シバ師匠に俺が挨拶をする様を見て、俺がシバ師匠の弟子だとタケシから聞いて驚愕するシゲル。一方のオーキド博士はキクコさんを見てゲッと良いだけな表情をする。

 

 ん?弟子達?

 何かが引っ掛かった俺達を素通りしてキクコさんはリーフに歩み寄る。

 

「全く、情け無い結果だったら笑ってやる予定だったのに…弟子対決はアンタの勝ちだねワタル」

 

「ええ、俺も鼻が高いですよ」

 

 キクコさんの言葉に俺達は固まりそっとリーフを見ると頬を掻いて苦笑いを浮かべるリーフが口を開く。

 

「……えっと、実は私…ワタルさんに弟子入りしたの」

 

「「「「「ええ〜〜!!!??」」」」」

 

 まさかの真実に驚愕する俺達。ああ、俺がシバ師匠の弟子なのも側から知ればこう言う気持ちなのか…。

 

 話を聞くと、リーグに向けた特訓に入ったリーフは先ずはハクリュウをカイリューに進化させる事に集中した。父親に頼んでシルフカンパニーで特訓しようと向かえば、ロケット団のシルフカンパニー占拠の調査に来ていたワタルさんと再会して、これは幸いとドラゴンマスターのワタルさんにアドバイスを聞く事にした。

 

 確かにカイリューの育成でワタルさん以上に適任は居ない。そうしてワタルさんのアドバイスの下にハクリュウをカイリューに進化させたリーフ。しかし話は此処で終わる事なく…なんとワタルさんに弟子にならないかと誘われたのだ。チャンピオンに弟子入りなど望んでなれるモノでは無いので心良くリーフは弟子入りしたのだ。

 

「じゃあ、カイリューの“しんそく”や“りゅうせいぐん”にキングドラは?」

 

「ワタルさんに直々に教えてもらって、キングドラはワタルさんとの特訓中にゲットしたシードラを進化させてもらって育てたんだ。サトシのリザードンの対策に…」

 

「因みに、君のゲンガーを詰みに追い込んだ策は、俺がキクコさんを倒した時に使ったモノだ」

 

「余計な事を言うんじゃないよ!」

 

 成程な…。世界一のドラゴンマスターが味方してくれるなら、カイリューとキングドラが良く育つのも納得だ。

 

「一つ言っておこうサトシ。この欲張りなドラゴンマスターはお前の事も弟子にする気だったぞ」

 

「え?」

 

「リーフ君がチャンピオンリーグの出場権を手に入れたら本格的に修行を付けるべくスパーリング相手としてお前を参加させて、弟子に囲い込む腹積りだったのだ」

 

「シバ!余計な事を言うな!」

 

 シバ師匠の意外な言葉に俺は思わずワタルさんを見るが当のワタルさんは焦った様にシバ師匠に問い詰めていた。

 

「でも、なんで…」

 

「まぁ、お前さん達に光る物が有るのは確かで、私達からすればアンタ達の様な有望な若者に期待してるって事さ」

 

 何でそれ程までに俺達に期待しているのか疑問が湧いたが顔に出ていたのだろうキクコさんが答えてくれる。

 

 曰く今のカントーは人材不足との事で、ホウエンとかシンオウの様な他の地方に比べて四天王の穴が多く空いているのだ。本来なら四天王が四人で上にチャンピオンが一人なのだが、シバ師匠がカントーとお隣のジョウトの四天王を兼任しており。ワタルさんに至ってはカントー&ジョウト・チャンピオンという役職の多さだ。

 

 今度、セキチクジムのキョウがジョウトの四天王に昇格するが、人がまだまだ足りない。故に有望な若者を探していた所に俺とリーフを見つけたとの事…

 

「と、言う訳だよ。アンタ達には強くなって空きっぱなしの椅子に収まってほしいんだよ」

 

「な、成程…」

 

「何が、収まってほしいじゃ。お前さんも何時までも現役気取ってないで若者に道を譲らんかい妖怪婆さん」

 

「やかましい!!その若者が居ないんだよ!!」

 

 オーキド博士と言い合いしながらキクコさんは黙って俯くシゲルに近づく。俺とリーフがシバ師匠やワタルさんの弟子と聞いた時から俯くシゲル、その身体は震えていた。

 

「悔しいかい?オーキドの孫?アンタの同期が四天王やチャンピオンに認められて」

 

「ッ!」

 

「あの二人が結果を残せたのは、師匠の存在が大きい。対等な条件なら負けないと、二人はズルいって思うかい?」

 

 キクコさんの言葉にシゲルは反応する。確かに俺とリーフが勝ち進められたのは師匠の存在も大きい。それをズルと言われても俺達は反論する気は無い。

 

「………その気持ちが無い訳じゃ無いんです。でも、二人がシバさんやワタルさんの弟子になれたのは、弟子になるに相応しい実力を示したからで、決して後ろめたい何かが有る訳じゃない!」

 

「どうやら腐ってる訳じゃないそうだ。どうだいオーキドの孫?私の弟子にならないかい?」

 

 しかし、シゲルは確かに嫉妬する気持ちは持てどそれも、チャンスを引き寄せる事も強さの一つと吐き捨てる。そんなシゲルに笑みを浮かべたキクコさんは笑みを浮かべて弟子にならないかと提案する。

 

「っ、いいんですか?」

 

「ああ、弟子が活躍する度に若造二人がデカイ顔するのも気分が悪いしね。だけど私は若造共と違って優しくないよ、むしろオーキドの分まで揉んでやるよ」

 

 キクコさんの言葉に一同、目を見開く。オーキド博士なんか「マジで!?」と言いたげな表情だ。

 

「……貴女はかつてトレーナーだったお爺様と鎬を削り合い、今も尚…現役に立ち続ける偉大な先人だ。そんな人を師にできるチャンスを逃す程に僕は無欲じゃない!お願いしますキクコさん!僕を弟子にしてください!!」

 

「と、言う訳さオーキドのジジイ。アンタの孫は貰っとくよ」

 

「………………」

 

「オーキド博士のあんな嫌そうな顔を初めて見たぞ俺…」

 

「私も…」

 

「キクコさんはオーキド博士のライバルで何度も凌ぎを削り合った間がらでね。オーキド博士がバトルを引退して研究に没頭した時は大騒ぎだったと聞いた事がある……所謂、腐れ縁ってヤツだね」

 

「余計な事を言うんじゃないよ!ワタル!」

 

 実の孫が腐れ縁のライバルの弟子になったオーキド博士が、凄く嫌そうな顔をしている。……確かに、もし俺に孫ができて、その子がシゲルの弟子になったらスゲー嫌だな…

 

「あら、皆んなして弟子を作って私だけ除け者はないんじゃない?」

 

 そんな馬鹿な事を考えていると、先程からカスミと会話していた女性が会話に入ってくる。赤い髪に眼鏡、スタイル抜群な身体の美女…四天王の最後の一人であるカンナさんだ。

 

 氷と水のエキスパートであり多くのカントートレーナーの憧れの的で多くのファンを持ち、ウチのカスミもカンナさんの大ファンだ。

 当然、そんな大人の美女が居ればタケシが暴走しそうになるので釘を刺して大人しくさせる。カスミも「カンナ様の前で馬鹿な真似をするじゃないわよ!」と言いたげな視線を向けているので暴走はしないだろう。

 

「んー…ね、サトシ君」

 

「え、な、何ですか?」

 

 タケシの暴走に一安心しているとカンナさんが俺に近づいて目を合わせてくる。流石にタケシの様に暴走はしないが、こんなセクシーで美人な大人のお姉さんに近づかれては俺もドキドキする。

 

 タケシが羨ましそうに俺を見て、カスミとリーフが何故が鋭い視線を俺に向けて困惑していると……

 

「貴方、私の弟子にならない?」

 

「え?」

 

 カンナさんからの一言に固まる事に…。とは言え、俺はシバ師匠の弟子で流石に黙ってられないとシバ師匠が物申す。

 

「どう言うつもりだカンナ?」

 

「あら、四天王みんなが有望なルーキーを弟子にしたのに私だけ居ないのは収まりが悪いでしょう?それに、リーフちゃんがチャンピオンの弟子、シゲル君が大御所の弟子なんだから、名前負けしない様にと思って」

 

「ふ、俺はポケモンバトルだけでなくサトシの武の師でもある。お前とは合わん」

 

「ふふ、彼のバトルは決して貴方の様に武一筋ではないわ。“エレキネット”に自分から突っ込み弾かれる事で擬似的な“しんそく”を生み出し、“りゅうせいぐん”を弾いて登り…正に何が起こるか分からない手探りなルーキー故に起きる“未知”こそがサトシ君の本質よ」

 

「ほう、言うではないか?」

 

「別に貴方を追い出そうって訳じゃないわ。サトシ君の作り出す“未知”に貴方の武だけじゃなくて私の技も入れたいのよ」

 

 うーん、何だが空気が重くなったな。

 言葉を交わす二人に皆が冷や汗を流している。タケシが「シバ先生だけじゃなくて、カンナさんの様な大人のお姉さんの弟子に……羨ましい!」と嫉妬の籠った言葉を、カスミが「わ、私もカンナ様の弟子になりたいー!サトシ、私も入れる様に交渉して!」と無茶振りを言ってくる。

 

「……これ以上の言葉は不要か」

 

「ええ、続きはバトルでしましょう」

 

 どうやら話の決着はバトルで付ける様だ。モンスターボールを手に取って外に向かう二人。四天王同士のバトルなんて見なきゃ損なのだが……おっかないので止めておこう。

 

「サトシ、しっかりと身体を休めておけ」

 

「サトシ君、また会いましょう」

 

「あ、はい」

 

 最後に振り向いて俺に笑みを浮かべて声を掛ける二人に俺は乾いた笑みを浮かべるしかなかった。そうして二人がポケモンセンターを去るとワタルさんがヤレヤレと言わんばかり表情をしつつリーフに声を掛ける。

 

「言うのが遅れたが、優勝おめでとうリーフ君。とりあえず今は身体を休めると良い。チャンピオンリーグに向けた本格的な修行は後で君のお父さんに伝えるから準備して待っていてくれ」

 

「はい!ありがとうございますワタルさん!」

 

「それじゃ私も行くとしようかね。アンタは直ぐにでも修行を始めるからね孫、準備を急ぐんだよ!」

 

「は、はい!」

 

 其々の弟子に今後の予定を言いつつワタルさんとキクコさんもポケモンセンターを去っていく。

 

「………何だか嵐が過ぎ去ったみたいだな」

 

 四天王達が過ぎ去った場が静かになった様を見て思わず言葉が漏れた。何にせよ、ポケモンリーグは閉幕。夜になって閉会式が行われてタマランゼ会長から俺は銀メダルを、リーフは金メダルと優勝トロフィーを受け取り鮮やかな花火を眺めつつポケモンリーグは幕を閉じた。

 

「………ピカチュウ。負けた事は悔しいが、手応えは確かに感じた。次こそは絶対に優勝するぞ」

 

「ピッカ!」

 

 翌日、ポケモンセンターに預けていたポケモン達が元気なって帰ってきたので俺はピカチュウに胸の内を明かす。負けた事は悔しいが、永遠に落ち込んでいてはいられない。

 

 今回の確かな手応えを糧に次は優勝するぞと言えば、相棒は笑みを浮かべて答えてくれた。

 

 

 





・ワタルの弟子だったリーフ

 実はワタルの弟子だったリーフ。カイリューが強かったのもワタルの教えが大きい。

・キクノに弟子入りしたシゲル

 幼馴染二人が四天王に認められる程に強くなっている事に脱帽するが、折れる事なくキクノに弟子入りした次に戦う時は一皮も二皮も向けているだろう。

・カンナに気に入られたサトシ

 コレについはオレンジ諸島編で…

・カントー四天王について

 ワタルがカントー&ジョウトのチャンピオン。
 シバがジョウトと兼任して、そこにカンナとキクコなので枠が空いており、サトシ達が強くなって収まる事を期待している。


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