蒼穹の雪風 - Blue Archive: Stratospheric Phantom -   作:Orpheus@失踪主

3 / 11

デカグラマトンを絶対に殺す。確実に殺す。お前だけは殺さなきゃならないんだ。(殺意)


空に潜む『城』、地に降りる『影』

 

高度30,000フィート。成層圏。

そこは、キヴォトスの住人たちが誰も知らない、青よりも濃い「藍」の世界だ。

強烈な紫外線と、氷点下50度の極寒。そして、地上とは比較にならない絶対的な静寂。

薄い大気を切り裂き、漆黒の機体――スーパーシルフが飛翔する。

そのコックピットの中で、レイは小さく息を吐いた。

 

「……腹が減ったな」

 

独り言は、ヘルメットのマイクを通じて自分の耳に虚しく返ってくるだけだ。

『雪風』の動力炉は核融合にも匹敵する未知のエネルギー機関であり、理論上は無尽蔵に稼働し続けることができる。

だが、搭乗している生身の人間(パイロット)の肉体はそうはいかない。

あのミレニアムからの派手な出奔(しゅっぽん)から数時間が経過し、アドレナリンが引いていくと共に、どうしようもない空腹感と疲労が押し寄せてきていた。

 

「雪風……『家』へ帰ろう」

 

その言葉に対し、HUD(ヘッドアップディスプレイ)に即座に反応が表示される。

 

COPY.

RETURN TO BASE MODE.

GUIDANCE BEAM: CAPTURED.

DISTANCE TO TARGET: 40km

 

レイが機首を向けた先。

雲海(うんかい)を抜け、さらにその遥か上空に、それは浮かんでいた。

一見すると、ただの巨大な積乱雲にしか見えない。

ヴェリタスの光学迷彩技術と、特殊な雲散布システムによって、その姿は完全に空へと溶け込んでいる。

キヴォトスの気象衛星ですら、これをただの「異常気象」として処理するだろう。

だが、雪風のデータリンクを持つレイの目には、その真の姿がワイヤーフレームとして鮮明に見えていた。

 

全長、約900メートル。

全幅、1000メートル以上。

通常の航空機の常識を嘲笑うかのような、超巨大全翼機(ぜんよくき)

レイがミレニアム在籍時、ヴェリタスの裏予算とヒマリの技術協力、そして技術的変態共(エンジニア部)が「面白そうだから」と引き連れてきた部員たちを極秘裏に動員して建造し、誰にも気づかれぬよう成層圏へ打ち上げておいた、彼だけの絶対領域。

 

WARNING: PROXIMITY ALERT

AAC-X "AIGAION"

 

「相変わらず、デカいな」

 

開発コード、AAC-X。

FAFの原子力空中空母「バンシー級」の動力炉設計をベースにしつつも、その船体構造はレイが独自に再設計した、規格外の代物だ。

レイは、かつて好んでプレイしていたフライトシューティングゲームに登場する架空兵器の名を、この愛城に与えていた。

 

重巡航管制機『アイガイオン』。

その背中は広大な滑走路となり、腹部には無数のドローンとミサイルサイロを抱え込んだ、空飛ぶ要塞。

レイの操縦により、スーパーシルフは偽装された雲の中へと突入する。

視界が白一色に染まった次の瞬間、眼前に現れたのは、整然と並ぶ誘導灯の輝きだった。

 

ポォォォォン……ポォォォォン……

 

コックピット内に、誘導ビーコンの音が優しく、規則正しく響く。

スーパーシルフは速度を落とし、巨体の背中へと滑るようにアプローチを開始した。

眼下には、豆粒のようなキヴォトスの大地。

ここは誰にも邪魔されない、レイだけの王国だ。

 

「……ただいま」

 

ドンッ、という着艦フックがワイヤーを捉える衝撃。

ジェットエンジンの回転数が落ち、キーンという甲高い音が、低い唸りへと変わっていく。

漆黒の機体は、白亜の巨艦へとその身を預け、ゆっくりと停止した。

巨大なハンガーの床に、カツンとブーツの音が響く。

スーパーシルフから降りたレイは、ヘルメットを小脇に抱え、大きく伸びをした。

 

「……広いな」

 

全幅1000メートルを超える『アイガイオン』の艦内は、あまりにも広大で、そして静かだった。

本来なら数百人のクルーによって運用されるべきこの巨艦に、人間の乗員は彼一人。

他にあるのは、整備用の自律ドローンたちが忙しなく動き回るモーター音と、艦の制御を司るAIの無機質な電子音だけ。

レイはハンガーを後にし、長い廊下を歩いて居住ブロックへと向かった。

壁も床も白一色で統一された通路は、どこか病院や研究所を思わせる清潔感がある――いや、ありすぎる。

 

これも設計に関わった「彼女」の趣味だろうか。

自動ドアが開き、レイは居住エリアへと足を踏み入れた。

そこは、無機質な外観とは裏腹に、妙に生活感のある……いや、「欲望に忠実な」空間だった。

最新鋭のシステムキッチン、ふかふかのキングサイズベッド、壁一面の巨大モニター、そして山のように積まれたゲームソフトと漫画本。

エンジニア部の部員たちが「どうせなら最高の秘密基地(シークレットベース)にしよう!」とノリノリで持ち込んだ娯楽の数々だ。

さらに言えば、床は完全なバリアフリー仕様になっており、車椅子でも快適に移動できるようスロープまで設置されている。

 

「……ヒマリの奴、最初から自分が住むつもりだったんじゃないか?」

 

レイは苦笑しながら、冷蔵庫を開けた。

中には、ドローンが地上の無人配送センターからこっそりと回収してきた(もちろん代金は自らの代金から支払われている)食料が詰まっている。

 

カップ麺を取り出し、お湯を注ぐ。

3分。

 

ただお湯が出来上がるのを待つだけの時間が、恐ろしく長く感じられた。

窓の外を見る。

そこには、どこまでも続く紺碧の空と、眼下に広がる雲海だけ。

鳥の姿さえない。

 

「_____ああ」

 

地上での喧騒――学園の授業、試験、食堂での争奪戦、C&Cのメンバーたちが騒ぐ声、そしてネルの怒声――が、今はもう、遠い世界の出来事のようだ。

 

「いただきます」

 

ズルズルと麺を啜る音が、広い部屋に寂しく響く。

味は悪くない。むしろ、地上で食べるより美味い気さえする。

誰にも邪魔されず、誰の機嫌も伺わず、ただ好きなように生きる。

それは彼が望んだ自由そのものだった。

だが、その自由の味は、どこか少しだけ、塩辛かった。

ここから、レイの長い「待機」の日々が始まった。

 

SYSTEM LOG: CHRONOLOGICAL RECORD

[LOG] DATE: 20XX.05.14 - STATUS: NORMAL

MAINTENANCE: SUPER SYLPH ENGINE TUNING COMPLETE.

[LOG] DATE: 20XX.06.20 - STATUS: RAINY

MONITORING: KIVOTOS RAINY SEASON DATALINK.

ACTION: INTERCEPTED KAISER PMC TRANSPORT DRONE.

RESULT: SUPPLY (COLA & CHIPS) ACQUIRED.

[LOG] DATE: 20XX.08.05 - STATUS: HOT

WARNING: HIGH TEMPERATURE IN SECTOR 4.

ACTION: A/C POWER MAX. PLAYING "SWIMSUIT EVENT" GAME.

[LOG] DATE: 20XX.11.11 - STATUS: NORMAL

MESSAGE RECEIVED: FROM "HIMARI" (SUBJECT: POCKY?)

CONTENT: "Are you lonely? I can send you a virtual hug."

REPLY: "NO THANKS."

[LOG] DATE: 20XX.12.24 - STATUS: SNOW

EVENT: CHRISTMAS. NO VISITORS.

DINNER: FRIED CHICKEN (FROZEN).

[LOG] DATE: 20XX.01.01 - STATUS: CLEAR

HAPPY NEW YEAR.

[LOG] DATE: 20XX.03.XX - STATUS: CAUTION

 

 

季節が巡る。

アイガイオンは成層圏の気流に乗り、キヴォトス全土の上空を優雅に回遊し続けた。

 

ある日の午後。まだ昼頃だ。

レイはアイガイオンの展望デッキから、超高解像度の望遠カメラで地上を覗いていた。

モニターに映し出されるのは、ミレニアムサイエンススクールの校舎。

その中庭を、オレンジ色の髪をした小柄な少女が、メイド服の裾を翻して走り回っているのが見えた。

何かトラブルがあったのだろうか、彼女は怒り心頭の様子で、周囲の生徒を蹴散らしている。

 

「……元気そうだな」

 

レイは小さく呟き、モニターの電源を落とした。

会いたいと思えば、すぐにでも降りていける。

だが、まだその時ではない。

自分は「生徒」という枠組みを外れた存在として、もっと大きな脅威に備えなければならないのだ。

 

ある日の夜。

カイザーPMCの違法輸送機編隊が、誰にも気づかれずに空域を通過しようとしていた。目指す先はアビドス、雪風のハッキング技術により、この世界の9割、電子の海を掌握して、情報を一つ一つすくい上げていくと見つかった極秘事項、胡散臭いことはさっさと消し去った方がいい。

 

そう感じたレイは雪風を出撃させ、警告なしでその編隊の真横を音速で通過した。雪風を守るように展開された小型UAV達は獲物を捉え、その隅へと飛んでいく。

レイと、雪風もその小さき雲のようなUAVに隠れ、作戦エリアに入った瞬間にスロットルを全開に弾き、衝撃波(ソニックブーム)だけで輸送機のバランスを崩し、パニックに陥った彼らが積み荷を投棄して逃げ帰る様を、冷ややかに見送った。

投棄されたコンテナから回収したのは、大量の菓子と最新の雑誌。

弾薬や兵器ではないのかとガックリしてしまった。

 

こうして彼は、「空の幽霊(ゴースト)」としての悪名を少しずつ高めていった。

レイはただ怠惰に過ごしていたわけではない。

地上のあらゆる通信網を傍受し、ニュースをチェックし、キヴォトスの情勢を分析し続けていた。

 

カイザーコーポレーションの不穏な動き。

 

各学園の勢力図の変化。

 

そして、連邦生徒会長の失踪という、キヴォトス全体を揺るがす衝撃的なニュース。

 

世界は少しずつ、しかし確実にきな臭くなっていた。

平穏な日常の皮一枚下で、何かが蠢いている。

そして、一年が過ぎた。

春の陽気が、再びキヴォトスを包み込み始めた頃。

 

「……そろそろか」

 

居住区のソファで端末を操作していたレイの手が止まる。

傍受した連邦生徒会、そしてシャーレ(連邦捜査部)関連の暗号データ。

そこにある、一人の「先生」と呼ばれる人物の着任情報と、サンクトゥムタワー周辺での戦闘発生のアラート。

 

それが、全ての始まりの合図だった。

レイは立ち上がり、飲みかけのコーヒーを置く。

一年間、研ぎ澄まし続けた牙を、ようやく剥く時が来たのだ。

長い休暇(バカンス)は終わりだ。

 

彼はハンガーへと続く廊下を、カツカツと足音を鳴らして歩き出した。

その顔つきは、もう暇を持て余した少年のものではない。

獲物を見つけた、狩人の目だった。

 

「雪風……散歩の時間だ」

 

格納庫に入ると同時に、スーパーシルフのエンジンに火が入る。

待ちわびていた相棒が、歓喜の咆哮を上げた。

 

ALERT: MISSION START

 

天空の妖精が、再び地上へとその影を落とす。

 


 

キヴォトス行政区、サンクトゥムタワー周辺。

連邦生徒会長の失踪により機能不全に陥った統治機構の隙を突き、この聖域は今、硝煙と怒号に包まれていた。

 

「くっ……! 数が多いわね!」

 

遮蔽物の影で、早瀬ユウカはサブマシンガンの弾倉を交換しながら悪態をついた。街は何時も以上に大荒れし、至る所では爆発音が聞こえる。

 

そんな、彼女の周りには、他校から駆けつけた生徒たちの姿もある。

トリニティの自警団、スズミ。正義実現委員会のハスミ。そしてゲヘナ風紀委員会のチナツ。

普段ならいがみ合うはずの彼女たちが、今は背中を預け合っていた。

守るべき対象は、今日着任したばかりの『先生』と呼ばれる女性と、シャーレの庁舎だ。

 

だが、状況は絶望的だった。

「ヘルメット団」の腕章をつけた暴徒たちに加え、出所不明の戦車部隊までもが、重装備で包囲網を狭めている。

 

「閃光弾の数が足りませんね!!くっ、この数は止められません……!」

 

「ええ、キリがありませんね。……先生、下がっていてください」

 

スズミが悔しげに唇を噛み、チナツが冷静ながらも焦りを含んだ声で警告する。

ハスミも愛用の大型銃を構え続けるが、その表情は険しい。

 

「くっ……! あの戦車の装甲、流石に私の銃撃でも……!!」

 

「だ、大丈夫! なんとかなる……はず!ハスミ!!同じ所を狙い続けて!!必ず装甲に穴が空くから!!戦車の砲弾に当たらないように固いコンクリートを遮蔽に撃ち続けて!」

 

彼女たちの背後で、黒いスーツに身を包んだ女性――先生が、タブレットを抱きしめて声を震わせていた。

彼女はまだ、キヴォトスの「銃撃戦が日常」という常識に慣れていない。

だが、その瞳は恐怖に支配されてはいなかった。

震える手でタブレットを操作し、戦況を打破しようと必死に思考を巡らせている。

 

ズドンッ!!

 

敵の戦車が主砲を放つ。

近くのコンクリート柱が粉砕され、瓦礫が雨のように降り注ぐ。

 

「きゃあっ!?」

 

「先生!!」

 

ユウカが先生に覆いかぶさる。コンクリートの破片が吹き飛び、

遮蔽物は限界だ。次の砲撃が来れば、間違いなく吹き飛ばされる。

敵の戦車が、無慈悲に砲塔を旋回させた。

黒い砲口が、彼女たちを捉える。

 

(な、何とか先生だけでも……!!)

 

ユウカが奥歯を噛み締めた、その時だった。

 

キィィィィィィィィィン…………

 

戦場の爆音とは明らかに異質な、鼓膜を突き刺すような高周波音が、空の上から降り注いできた。

ヘリのローター音ではない。

ミサイルの飛翔音でもない。

もっと鋭く、もっと速い、何かの「悲鳴」のような金属音。

 

「な、なに……この音?」

 

先生が空を見上げる。

上空には、不自然なほど巨大な積乱雲が一つ浮かんでいるだけ。

だが、音はその「雲」の方角から急速に接近していた。

 

「上空に熱源感知! 急速接近! ……速すぎる!?」

 

戦車のキューポラから顔を出したヘルメット団の幹部が叫ぶが、それはあまりにも遅すぎた。

 

ズガァァァァンッ!!

 

音よりも速く、黒い影が戦場を駆け抜けた。

衝撃波(ソニックブーム)が地上のガラスを一斉に砕き割る。ビル群を突き抜けたその音は世界を変える。

認識できたのは、黒い残像だけ。

だが、その一閃が通り過ぎた後。狙いを定めていた敵戦車の砲塔が、まるで神の見えざる手によって叩き潰されたかのようにひしゃげ、内部から爆発四散した。中にいたヘルメット団の団員達は吹き飛び、ビルへと突き刺さるように吹き飛ばされてしまった。

 

「え……?」

 

敵も味方も、動きを止める。

全員の視線が、飛び去った「それ」を追う。

ビルの谷間を縫うように上昇し、重力など存在しないかのような機動で反転する、漆黒の翼。

独特の前進翼(フォワード・スウェプト・ウイング)を持ったその機体は、太陽を背にしてギラリと黒光りしていた。

 

「な……何ですか、あれは……?」

 

ハスミが呆然と呟く。

 

「ヘリコプターを遥かに超える速度……そしてあの火力……トリニティの兵器ではありません」

 

「ゲヘナのデータベースにも該当なし……」

 

チナツが豪風で崩れた眼鏡の位置を直し、冷静さを取り繕いながらも声を震わせる。

 

「あれは生物的な動きではありません……完全な、戦闘機械です」

 

「め、目にも止まりませんでした……」

 

スズミもまた、空を見上げたまま動けない。

 

「あんな物が……このキヴォトスに……」

 

TARGET: DESTROYED.

THREAT LEVEL: UPDATING...

NEXT TARGET: HELMET GANG GROUND UNIT.

MASTER ARM: ON.

 

コクピットの中で、レイは冷徹にHUDを見つめていた。

これは挨拶だ。

このキヴォトスに、管理者のいない「空の王」が帰ってきたことを告げる、号砲だ。

かの円卓の鬼神も、リボン付きも、ラーズグリーズの悪魔も、三本線も、自らのエゴを持ってその空へと恐怖と希望を与えてきた。

その姿は正しくエゴイストだった。

 

「か……」

 

先生の目が、キラキラと輝き出す。

遮蔽物の後ろから出ていき、空を見る。流れ行く飛行機雲、そしてその先を飛び行く黒い飛行機。

恐怖はどこへやら、彼女は身を乗り出して叫んだ。

 

「かっこいいぃぃぃぃぃ!! なにあれ!? 戦闘機!? 可変翼!? いや前進翼だ!! すごいすごい!!なんかバーニアの光り方が違う!! あの機動、推力偏向ノズル!?すごい!すごいよユウカちゃん!!流石キヴォトス!!」

 

完全にメカオタクの反応だった。

未知の兵器への警戒心よりも、その洗練されたフォルムへの感動が勝ってしまっている。

その様子に、ユウカは呆気にとられながらも、空を睨みつけた。

 

「嘘……でしょ……?」

 

ミレニアムのデータベースにも存在しない、所属不明機。

だが、彼女は知っている。

セミナーに提出された1枚のブループリント、その姿を彼女は記憶していたのだ。ただ興味は無い、セミナーとしての仕事をしていた際に見たその変態的技術力の塊を記憶せざる終えなかったあの機体を。

 

あの無駄のない、しかしどこか人間味を排除した冷徹なフォルム。

そして何より、常識外れの機動。

かつてミレニアムの格納庫で、唯一無二である一人の男子生徒が没頭していた設計図。

『シルフ』と名付けられていた、異界の妖精。

 

「……レイ……? 」

 

スーパーシルフは、挨拶代わりの低空パスを一回行っただけで、追加攻撃を加えることなく急上昇を開始した。

その翼の下には、まだ無傷のミサイルが満載されているのが見えた。

「いつでも殺せる」という無言のメッセージ。

アフターバーナーの蒼い炎を曳き、機体は雲海(うんかい)の中に隠れていた巨大な「雲」(アイガイオン)へと吸い込まれるように消えていった。

 

「行っちゃった……」

 

先生は残念そうに肩を落としたが、すぐにユウカの方を向いた。

 

「ねえユウカちゃん! 今の見た!? キヴォトスってあんなすごい飛行機も飛んでるの!? どこの学校の機体!?」

 

「……いえ。あんなの、登録データにはありません」

 

ユウカは複雑な表情で、まだ轟音が残る空を見上げていた。

退学届を出して消えた、あのクラスメイトなのか分からない。だけどユウカは安堵した。

あの機械を作り上げ、乗りこなすことが出来る存在は彼しかいないと。

彼は確かにこの空にいる、そう確信した。

 

「でも……1人あの機械を作っていた子はいました」

 

「!?ほんと!?ならユウカちゃんの所で作られたの!!」

 

先生はまだ興奮を押さえきれないようだ。

ただ3人はあの空に消えていった存在に圧巻して、ただユウカの言葉を聞いていた。

 

「いいえ……もううち(ミレニアム)から去ってしまった、1人の天才が作り上げた物ですね……」

 

「確か……名を『雪風』__と、呼んだはずです」

 

先生は、その曇り無き眼で空の上を見据えた。

『雪風』と呼ばれた戦闘機、キヴォトスの不思議な空へ浮かぶその雲を見つつ、彼女達に号令を出した。

 

「『雪風』、いい名だね…気になるけど…よし!もうすぐで目的地だよ!みんな行こう!」

 

その日を境に。

キヴォトスの生徒たちのSNSや掲示板で、一つの噂が爆発的に拡散されることになった。

 

 

【急募】D.U.上空に現れた黒いUFOについて【拡散希望】


匿名希望

さっき見た!? 戦車を一撃で壊して飛んでった黒い飛行機!

あれ絶対ヘリじゃないって! 速すぎてスクショ撮れなかった……。

匿名希望

私も見ました。天使の翼……とは違う、もっと禍々しい形でした。

悪魔の使いでしょうか?

匿名希望

たまに砂漠の上でも見るぞ。すげー高いところ飛んでるやつ。

>>1

誰か正体知らない? 連邦生徒会の秘密兵器とか?

>>4

いや、連邦生徒会も混乱してたっぽい。

正体不明(Unknown)だから、とりあえず『アンノウン』とか『黒い幽霊(ゴースト)』って呼ばれ始めてるらしいよ。

 

 

誰にも属さない、空の支配者。妖精の噂は広まる事となる

 





ちょこっと紹介コーナー

・AAC-X アイガイオン(バンシー)
名前は「アイガイオン」と着いているが見た目は完璧にバンシー級である超巨大空中空母。
エンジニア部、美少女病弱天才ハッカー野郎などなどの力を貰い、完成させた存在であり、全キヴォトス中1番大きな兵器と言っては過言では無い程大きい。資金面に関しては、黒いスーツの方の力を借りたらしい……。
どうやって作ったのかは、彼らのみ知る。

こいつを作り上げた主人公、こいつヘイロー無いよな?バケモノだろ()
レイの居住区だけでは無く、様々な施設が整っておりミレニアムの面々の欲望ががん乗りしている。

武装には、エンジニア部の試作兵器であるスーパーノヴァ:プロトタイプだけでは無く、レイがちょこっとずつ作り上げてきた試作兵器が搭載されており、クラスターミサイルから小型UAV、雲と偽装させる為に作成したドローン達が周回し、隠蔽等を行っている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。