スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた 作:木村スバル
――大本営。
「なぁ……、脇方。この戦い、なぜ私の作者は出てこないと思う?」
嫌に老成した声だった。というのも、それは幼女そのものであったのだが、なぜだろうか、その顔ははつらつとしていた。
幾たびの戦場を越えて不敗。
そんな老兵じみた、不発弾のような危なっかしさを持て余す、司令室。
「はっ、ターニャ・デグレチャフ元帥閣下! 存じ上げません」
「笑うところではないぞ、笑うところでは……」
脇方は薄く笑っていた。
「はっ、失礼をば!」
「実に真剣に構えていないな、君という愛国者は」
脇方、応えて
「真実味のある本当など、戦争にはいらない。戦争についての嘘は大本営も御存知の通り、真実味を持った嘘。それのみがまかり通るのです」
「戦争という言葉が、正義を交えて語られる時、その言葉は極端に真実味をなくす。よろしい。ここで一興、神について論じてみるか。存在Xが、失楽園に沈んだ男であるのならば、エンターテインメントの神でもやっていると思うのだが……」
「それはそのとおりでしょうね」
ターニャから聞いた、神からの啓示について、脇方は一通り知っていた。
一個師団を両手で動かす、元帥閣下に曰く、
「有神論的エンターテインメントも、無神論的エンターテインメントはもとより、結局は神の有りや無しやとも言えず、人間力の破壊へと収束するのは、視点のすり替えではないかね?」
「本質的に神の前では、やはり三人称だ……と?」
「そ、そうかな。だが、私はただ。この状況に、不信感を覚えている。私達が試されているという機会は幾度もあったのだ……。それが、作者という者の意図であるのならば、それは人道に反するのではないかね?」
「いかにもです。閣下」
内心、脇方は思っていた。この人が人道主義を語るかと。
元帥閣下の口を通して語られるのは、幼女が語る夢などでは一切なかった。
「失礼致します、シロエと申します。この戦いにおいて、最重要な点は、すすき野であると判断し、やって来ました」
「こちらは?」
「ようこそいらっしゃい、シロエ君。ターニャ・デグレチャフ元帥だ」
幼女は笑顔を取り繕って言った。
「第四師団、第七師団がこちらに駐屯していると、耳にして」
「雪中戦になる。作者との戦争だ。一人相手に強いものがいると聞いている、君も出るかね?」
シロエは「はい」とうなずいた。
雪中戦とは、雪の中の戦争のことだ。
すすき野は北海道の歓楽街である。
雪深いすすき野の郊外に、戦車が並ぶことを垣間見て、シロエは武者震いがした。