スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた   作:木村スバル

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9、コンティニュー

シミュレーション仮説は二次元世界においては定説であるという、私の予感はかなり実感に近いのではないかと思う。

良き友よ。

ああ、私はわかっている。

この戦は負け戦である、と。

始まる前から悪い予感はしていた。

どこかの記事で、イージス艦は、零戦百機に勝てるか? みたいなのを読んだのを今更思い出した。

もうわかる。勝てるわけがないというのが結論で。

目の当たりにすればわかる。

武蔵対曙って感じ。(いや、艦娘の話ではなく……)

あの電波ホーミング誘導(?)の強いこと強いこと。

他の鎮守府からも、艦隊が二つほど集まってきていたが、航空戦力がバカバカしいほどに破られていくのが恐ろしかった。

航空戦艦が二つほど轟沈した。それから、駆逐艦が八隻ほど、海に沈んだ。

それから、大和の土手っ腹に、敵の主砲の砲撃が当たる。

怖いほど、当たる。

大和の主砲を撃つまでの時間が鬱陶しい。魚雷を撃つも、精度が低すぎる。

やっぱり、戦艦なんて使うんじゃなかったなぁ……。

私の戦艦嫌いは根っからだ。

 

ぽつりと、雨が振ってきた。

悪天候、天気の具合は次第に悪くなり、眼前が曇って見えなくなるような、雨脚をともなって、甲板を叩いた。

雨は、静かに……、海上を濡らした。

爆音が、私の乗っている船体を直撃した。

そして、艦橋の硝子の破片が飛び散り、右腕が赤に染まった。

 

〈コンティニューしますか?〉

▶はい

いいえ

 

(なんだこれ?)

 

〈コンティニューしますか?〉

はい

▶いいえ

 

〈ちょっと待ちなさい。本当にそれでいいのですか?〉

(――あなたは誰ですか、私は、まだ生きていていいのでしょうか?)

 

〈コンティニューしますか?〉

▶はい

いいえ

 

押しが強いなぁ……。

まぁ、しょうがない。行けるところまで、やってみるか。。

点滅する、やじるし。

私は、息を吸った。

そして、吐いた。

目まぐるしく、外界が変わる。

目を開けると床の間に居た。

困惑気味の、日めくりカレンダーは九月六日。

出港した時は九月八日の未明だった。

今は……、昼の十二時半である。

私は佐世保鎮守府の茶の間で、憤りを隠せなかった。

そして、大本営に怒りの電話をかけた。

「自衛隊のイージス艦など、勝てようはずがない! 大体、あいつらはこちらが侵攻しなければ、攻撃してこないだろうが!」

 

◆◆◆

雪がちらついていた。シロエは付与術師(エンチャンター)である。

白いマントをはためかせながら、雪中戦の厳しさを痛感していた。

吹雪いている。

風で飛んでくる雪化粧には、全くと行っていいほど人間への慈悲などは存在しなかった。

眉毛に氷雪がつく。

自然の凄まじい猛威にさらされ、数分と目を開けていられない。

フードを深く被る陸軍兵士たちの目には、その尋常ならざる意志がみなぎっていた。

第七師団、第二旅団、第一歩兵連隊は、戦車をともなって進軍を開始した。

雪は、戦車のキャタピラの音をも、静かに吸い取ったが、さすがに砲撃の音までは隠せず、その熱に戦車に積もった雪片が、水のように溶けた。

その溶けた雪が、車体を滴って薄く煤けた斜面に一筋の線を作った。

涙のようである。

外套に深く顔を隠した陸軍の男たちが、あとからあとから、身を低くして、九五式歩兵銃を手に敵兵に狙いをつけるともなく、「斉射!」の声とともに発砲を始める。

シロエは、戦場が戦慄いている音を聞いていた。

展開する魔法は、攻撃魔法一択。

なぜならば、このワールドの異世界人にHP、MPという概念はなく、ただ人の肉体のみで戦っているからだ。マナコントローラーであるシロエは、局地的な戦い方を必然として迫られる。

 

「ソーンバインド・ホステージ!」

 

彼は虚無感を覚えていた。

戦場というものに立つことが、悲惨である理由。

楽しいはずがない。こんなものが楽しいと嬉しそうにしていた、ダイホンエイのあいつらは。

まともな精神であるならばこんな場所には、二度と立っていたくない、と彼は思う。

――PvPというのならば、まだマシだが。

高官たちが馬上から斬り下ろしたサーベルは、氷の刀のように、人を蔑ろにした。

白の中を血の色がぱっと花咲くように散った。

シロエは思わず、目をつぶった。

雪原は誰をも許容しなかった。

そこに立つ付与術士ですら、それは例外ではなかった。

シラカンバの木々が、この夏の日に目を突き刺すように立っている。

その、木々木々の中で、敵――同じ人間であるというのに――、はやはりこちらと同じように、同じように銃を向けてくるのだ。

シロエが〈思慮する木菟の杖〉を掲げる。

銀色の霧が、眼前を覆う。それには敵の注意を逸らす意図があったが、結局のところ彼はその目で戦場を確認したくはなかった。

人が死ぬのをもう見たくはなかった。

流れ弾にあたって、横で人が死ぬのだけは勘弁してほしかった。

だが、完璧な戦争など存在しない。

そんなものが存在するのなら、きっと脇方はそれは全滅だと言うだろうし、私であればこの戦いに意味はないというだろう。

 

(人が死ぬ。守りきれない、とは言えない……)

 

この一個大隊の数五百名を、MPの尽き果てるまで、彼は守り抜くと決めた。

少しの焦りがあった。

敵は、鏡面のように存在していた。

どこか違和感があった。

それは、代わり映えしない日常がそこに存在しているように、どこかふと我に返ると気づく。

この戦場で、戦場を俯瞰することができる者など、彼を置いて存在しなかった。

この敵は、幻術だ。

 

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