スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた 作:木村スバル
「この戦は、負け戦にはしない」
と、大本営の脇方から連絡が来たのは、呉に来てしばらくしてからのことだった。
「サハリンの雪中戦は見事勝利を収めた」
「報道で見たが、戦意高揚が過ぎるぞ」
「そうか?」
と、とぼけた顔で言う友を、俺は真面目くさった顔で電話口から見つめるより他なかった。
電話口であるのだから、盗聴されてもいいような会話をしているのだが。その思惑とは裏腹に、二次元戦争は、ある二つの点に収束していっていると言っても過言ではなかった。
一つは私、もう一つは脇方にである。
二人の男は、笑いを浮かべると、他愛もない戦時会話を続けるのであった。
何を隠すことがあろう、サハリンでの戦争は三次元民が関わっていると言っていた。
それは、大本営のニセの報道であった
。
「ターニャ・デグレチャフ元帥閣下によると、俺は特進だそうだ」
「それは、確かにめでたい」
この頃の俺は、自ずから情報将校のようであったために、艦娘を一人、特派員として大本営に送りたかった。
「脇方、加古を送ろう」
「今日乗船だ。いらない」
「な、何故だ?」
「防戦一方の高橋くんにはわかるまい」
「愛していないのか、加古を」
「まさか」
「大本営発表では……」
「くどい。が、笑えるな、その手妻」
「証がいるんだよ……」
高橋が、後手をとることは稀であるが、後手を取ると弱いのが高橋である。
このざまかと高橋は思った。また、同時にそれを脇方も思っていた。
「恐縮している」
「恐慌しているの間違いではないか?」
「ターニャ・デグレチャフは……?」
「死んだ」
開放感にあふれる言葉を聞いたと思った。もはや二次元では、興味関心の薄いものは、廃れるとも言える。だが、高橋はこのとき、恐怖していた。恐慌と言ってもよかったが、それは認めたくなかったのだ。
「俺は、静かに、世を儚んでいるのだ……!! コンティニューの後だし」
「コンテイニューが、なんだって?」
「……は。お前、裏切ったな! 脇方!」
「裏切らずして、なんだというのだ。悲しみは知らず、あの御子の心は深い」
「御子」
「それすら、知らないのか……」
高橋は、知っていた、この顛末を。
だが、結末を知っていた脇方とは違い、彼は手段しか知らなかった。
「状況を把握したい。何か言ってくれ」
「……いやだ」
と、脇方は激怒した。
ついに、戦争の火蓋は切って落とされた。
だが、ここで一つの疑問が湧く。
この戦争を仕掛けたのは高橋だったが、恐慌状態に陥っているのは誰だろう。
この世界における、数人の要人がそうだったのだ。
さあ、戦争は起こるのだろうか?
本当に、起こるのだろうか?