スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた 作:木村スバル
恐慌状態冷めやらぬ脇方中佐の尻の軽さと言ったら。
殺戮の果てに生きるなどと言う、高橋大尉の傲慢さに輪をかけて、中佐は驕り高ぶることについて、何たるかを知っていたに違いない。
それは、戦争の色をしていた。
右手に有り余る人の業の色をしていた。
左手には、船の左舷があった。ブイの青い色が海底の地震兵器の冨嶽の位置を知らせていた。
高橋は、小康状態にあると思った。このざまではという傲慢だ。彼は、もはや魔王になり代わらんとしていた。
魔王ミリム・ナーヴァ尻を振った小市民ケーンであるところの、ビジュはいまやタバコを蒸すしかなかった。
軍服に身を包んだ、男は泣きも泣かれぬ立場にいた。
セントラルの軍人であるビジュは、この国旗高揚さる玉音放送をまにまにしていた。
そう、リィンバウムの一時戦争中止が大々的に発表されたのだ。
「高橋について聞こう」
タバコの紫煙が上がった。
「このザマでは、終戦も間近です」
「戦敗か、俺は……死ぬのか」
ビジュにとって死などは、どうでもよかった。さしたる問題ではなくて、残しているアティの身が心配でならなかった。
恐怖が身を包んだ。身体が芯から慄えて仕方がなかった。
つまり、それは敗戦ともなって足掻く男の性根の深さだった。
食らいつくまで、死ねないと思った。
高橋は海にいる。国家戦力の深海に頼りないリィンバウムではもはやといった感じである。一方その頃……。
「ミリムなのだ! もはや言うこともないな、高橋」
「はっ」
究極を突き詰めると、どこに行くのだろう。
覇者を極めると、何者になれるのだろう。
「高橋い、私はもはや何もしたくないというリムルが不憫に思えていたのだが」
「馬鹿にするなァっ!!!」
「あ、リムル」
「高橋は、舌を巻いて死んだ!」
「はー………………」
「だが、リムルよ。三次元住人のアンソロとかいうものに、出演したのだろう?」
「う、うん」
「はっはっは」
「早えよ、高橋。笑うのが」
とガビルが突っ込む。
ソーカが呆れて、
「兄さん……」
と声もなく言った。
彼女は、もう声に音がなかった。
「下手こいて失くなったのだ」とリムルは言うが、それとて悲しい話だ。
「アンソロはどうだった?」
と、ミリム。
「いや、その話はもうどうでもいいから!」
魔王連盟たちは、もはや空軍すらも手中に収めていた。
しかし、その対抗勢力として選ばれたのは、竜騎兵たちであった。
困惑の色がひしめいていた。
立ち並ぶ飛空帽子の頭。頭上に飛ぶ竜。これらは全員、竜騎兵たちであった。
脇方は号令を出す。
「翼神、竜神、巫、質実剛健なるモノ、たとえ死に至るとも、この罪咎を納め給え」
それは、号令の声にも似た祝詞であった。
重々承知で、高橋は笑う。
(脇方は脇が甘いな)
もはや、この機を狙っていたように、ミリム・ナーヴァの魔砲が炸裂した。
彼は、裏切りに裏切りを重ねている。リムルのことだ。
御子とは、東屋に座したる、盲目の皇子のことだ。御子に擦り寄り、お伺いを立てたのは良いものの、連絡が続かなかった。
それは反省しているリムルだったが、重要視されていたのは、それではなかった。もっと重用なものがあったのだ。ヴェルドラも言っていた。
「人間はヤバい。この世界にはびこる悪だ」
羽ばたいた黒い竜は、空の上に消えた。