スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた 作:木村スバル
イリュリア連邦共和国。
第三化学中性子炉。
飛鳥=R=クロイツは呟く。
「花の色だね……。まるで、御子の魔力みたいだ」
「ここは、危ないです。危険領域です」
と、研究員の一人が、脇に立ってささやいた。
「なぜだろう。落ち着くんだ」
「それはわかりますが……、飛鳥さん。泣かないでください」
「僕の杖と、同じ色をしているね」
彼が持っている、本を触媒にした杖は、確かに中性子炉の光と同じ色をしていた。
「ああ、君……」
と、飛鳥はガラス越しに愛を囁いた。
◆◆◆
測量とは、国家基盤を揺るがす、一大事業である。
測量とは、感情の形を取らない、地球への奉仕活動である。
神は言うだろう。
測量をせよ、と。
ターニャ・デグレチャフです。
測量は、つらい。
伊能忠敬が、日本一周したけど、今どきポケモンGOで、いっぱいいるだろうに。
一歩歩んでは、測量尺を立て、紐を伸ばし、はぁ~ん。辛いね。また歩く。
「一体測量にはどのような意味があるのだろう」
戦時下の測量は、意味をもつ。多大な意味を。
「連王閣下」
とイリュリア兵。
頭を下げる、重装甲の騎士は連王であるカイ・キスクに向かって言った。
カイは紫色の騎士団衣に身を包んでいた。
王の威厳。
「測量騎士団が、リィンバウムよりはばかり来ております」
「よろしい、よろしい」
「だが、御老中。私はそんなこと、言ったかな?」
「すっとぼけるのも、大概にしなさい」
「あ、いや。最近ぼーっとすることが増えまして」
「閣下、今が正念場ですから」
と、元気づけるしかない兵。
「がんばりなよ、アンタ」
赤いジャケット。イノだ。
「それだけだ」
「魔法薬をお持ちします。イノ様」
「かまわない、ありがとう」
とカイは目の下の隈を深くした。
◆◆◆
悪阻………。
御子は、苦しんでいた。
そもそも、東の桐皇宮では、御子の御身をはばかって、耳にも入れぬ日が続いていた。
「よいど」
アンドロギュノスの御子は、それだけ言って、静かに腹の子のため、死にむしばまれたように見えたが、再び目を開いた。
高橋、頭を垂れて。
「ご病気です」
「不徳な」
「御子がご病気だと?」
「失礼……」
「魔力障壁をなんだと思っている?」
「く……」
「なにか言いかけたな?」
「いえ、何も……」
宮を出て、高橋は盛大なため息をついた。
「まさか、あんな……」
「高橋ぃ……あほ?」
「ミリム様……、同情はいらないから」
「でも、悲しいことは共有すべきだよ」
「そうだな」
「恐縮するよ。魔王が俺にいくつも着いてくれている。だけど、脇方だけは、倒せない」
――一方、脇方は。
◆◆◆
「リィンバウムの測量は終わったか?」
「罪業は大きいと思われます」
「まさか、測量だぞ……?」
「行ったことがあるのですか?」
「いや、ない」
「それはそうでしょうが……」
「だが、わかることはわずかだがある。鬼妖界に近く、神がいる」
「その通りです」
「うん」
ここまでの責任が、彼には課せられていた。
「高橋……、御子は……」
「そんな事は、分かっている」
5次元存在である、高橋の姿は、もはや従順な肉体を持て余していた。肉体はもはや用無しと切り捨てた高橋と、肉こそ神だと断じた脇方の差であった。
脇方は、長時間の使用に耐えうるべく、二次元の身体を三次元転用させていた。それは、究極辛さを伴ったが、重用なのはそこではないと、本人は感情を切り捨てたのだった。
ただ、そのためではない。
高橋の感情は、膨大な力となって世界を塗り替えつつあったのだ。
二人は、拮抗していた。
それぞれ、非や辛さや悪気はあったが、違う軸、ベクトル、選択を経由して、ここに立っているのであった。
これは、最後の戦いと言っても良かったが、最初の闘いの模倣でもあるのだった。
99%の確率で、高橋が勝つと、決意した神は、脇方を殺した。
1%にかけた脇方は、6つ策を案じた。
それは、99%を無にする、神通力の行使。式神の航空母艦転用。航空母艦静寂の使用。生体AIの使用。
脇方は車に乗った。
そして、脱出を図る。
飛び出した車。
飛び散る車輪。
ああ、さようならだ。
さらば2次元、こんにちは世界。