スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた 作:木村スバル
次の日、縁側を見ながら茶の間でぼーっとしていると、赤城がむこうからとてとてと走ってきた。
秘書艦である彼女を、私は無下に扱いたくなかった。
「赤城」
そして、それが、おとといの繰り返しだとなんとなく気づいた私は、それを繰り返しにしたくなくて。
「なんでしょう、提督……?」
「こっちに来て座れ」
彼女の頭をそっと抱いた。
「て、て、て、提督……っ!?」
彼女は、驚いて口をもごもごさせたと思うと、慌てて顔を赤らめた。
それが、無性にかわいかったので、頭をずーっと撫でていた。
対面座位の形になって、彼女が腰を震わせて落とすまで、髪をなで続けた。
彼女はふにゃふにゃと柔らかく顔を私の帽子に埋めた。
「て、提督!! 私はもう大丈夫ですから!」
「そうか、そうか……」
私はボケ老人のように、うなずくより他ない。
と、突然柱の陰から、ねたましげな目線を感じる。
「提督……提督……提督……?」
扶桑である。
その恨みがましそうな目の下に隈を作りながら、こちらを呪わんとばかりに見ていた。
扶桑は先日の旗艦であり、MVPであったため、戦勝祝いでは存分に褒めちぎった。
「提督、私プレッシャーにやられて、昨晩は眠れませんでした……。お夜伽に呼んでいただければいいものを……」
まぁ、だが……、普遍に全ての艦を愛するというのは無理なことで……。
「私、提督を、本当に、尊敬していましたのにっ……!!」
「ああ、すまんすまん……」
「もう本当に、この憎いアンチクショウ!」
「わかったわかった……(死語だな)」
本当に平和な午前のことだった。
あまりに平和で、剣呑にすぎるので、赤城の手を揉みながら私はこう切り出した。
「すまんが、ここに道場はあるか?」
「いえ、ございますが……」
『在中戦場』の掛け軸に目をやる。
「相手になる者は……いるだろうか」
「残念ながら男手は、脇方少尉と提督しかいらっしゃいません」
「そうか、なら素振りだな」
私は立ち上がった。
赤城は急いで装いを正し、私の前を案内しようと進み出た。
「扶桑もついてくるか?」
「私は……………………結構です………………」
おお、なんと恨みがましい。化けて出るなよ、扶桑。
「そうか」
赤城は何も言わず、私を道場へと連れ立った。
道場は広々とした、六十畳程度の畳張りの建物であった。
古畳の臭いが、むっと薫った。
剣道着は、真新しいものが、更衣室に置かれていたので、一揃拝借した。
一通り、着替えを終えると、私は素振りを始めた。
剣道の素振りは、足運びと同時に上段に打ってかかるものである。
一刀一刀はそれそのものが、自然の運びだ。
打っては、戻り、打っては戻りを繰り返すと、自然悟道の如く身体に熱が入る。
赤城は道場の脇で正座しそれを見ていた。
「……ふぅ」
五百は振っただろうか。
そろそろいいだろう、と見切りをつけ。私は道場に礼をし、更衣室へ戻った。
振り返ると、赤城が頬を染めて、私を見ていた。
「……提督、あの……、お強いのですね」
「……それほどでもない。本当は、居合のほうが得意なのだが」
「我流でいらっしゃるのですか?」
「……ああ、まあそうだ」
「そうですか……、あの……臭いがすごくて」
「ああ、すまない。風呂で流したい」
「少し、嗅がせていただけませんか?」
「え」
そう言うと、彼女は私の肩に鼻をつけた。
「ああ、すごい匂い……」
「…………」
私はだまって、それを受け入れた。
――風呂。
混浴になっており、正直素晴らしい(いかがなものか)と思う。
すまない、本音と建前を並列してしまった。
しかしながら、広い風呂場は一人だった。
汗、洗い流して湯。
つかると、白い濁ったバスクリンの匂いが、きつく匂った。
ケロヨン桶に、タイル張りの浴槽。天井には富士。
あまりにも、古風なスタイルの銭湯である。
まぁ、いい湯なのでいっか……。
今は一人なのでいいが、皆が入ると芋洗で大変だろう。
はぁ……、ラッキースケベとか、ねえかなぁ……。(死語)
「はぁ……」
天井を見上げると、ぽとりと背中に、露が落ちた。
「しれえーっ!!」
「ぶふっ!! 前を隠せ、前を!」
入ってきたのは、雪風と秋津風であった。
読者諸君、この極楽を見ることが出来ないのは、無念であるだろうけど、まあそこは君たちのゆたかな想像力で、ご想像願いたい。
駆逐艦は好きだ。ただ、小回りが利くのがいい。
つるぺた幼女……。は、あまり関係ないのだが。多分ないと言うと切って捨てられる気がする。空母あたりに。
彼女たちが、身体を洗って流すのを、私はまんじりとして見ていた。
「提督変態ー!」
「変態変態!」
「はいはい」
背中の稜線から、尻までを描く曲線に、歪曲が少ないのを、私は幼いなぁ……と思って眺めている
正直なところ、かわいいのはかわいい。
しばらく眺めていても、飽きが来ないかわいさだ。
戦場で上手く使ってやりたいものだ、などと思うが。今は平時故、無粋な考えである。
はぁ……それより。今日の夜伽は誰にしよう。
にゃんにゃんしたい。
この、物語はまだ高橋の幼少期の話。
眠気の中でぼーっとしているみたいだね。