スキル「コンティニュー」を持った、TS提督が艦これ世界で無双してみた   作:木村スバル

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4、繰り返されない銃後の一幕

次の日、縁側を見ながら茶の間でぼーっとしていると、赤城がむこうからとてとてと走ってきた。

秘書艦である彼女を、私は無下に扱いたくなかった。

 

「赤城」

 

そして、それが、おとといの繰り返しだとなんとなく気づいた私は、それを繰り返しにしたくなくて。

 

「なんでしょう、提督……?」

「こっちに来て座れ」

 

彼女の頭をそっと抱いた。

 

「て、て、て、提督……っ!?」

 

彼女は、驚いて口をもごもごさせたと思うと、慌てて顔を赤らめた。

それが、無性にかわいかったので、頭をずーっと撫でていた。

対面座位の形になって、彼女が腰を震わせて落とすまで、髪をなで続けた。

彼女はふにゃふにゃと柔らかく顔を私の帽子に埋めた。

 

「て、提督!! 私はもう大丈夫ですから!」

「そうか、そうか……」

 

私はボケ老人のように、うなずくより他ない。

と、突然柱の陰から、ねたましげな目線を感じる。

 

「提督……提督……提督……?」

 

扶桑である。

その恨みがましそうな目の下に隈を作りながら、こちらを呪わんとばかりに見ていた。

扶桑は先日の旗艦であり、MVPであったため、戦勝祝いでは存分に褒めちぎった。

 

「提督、私プレッシャーにやられて、昨晩は眠れませんでした……。お夜伽に呼んでいただければいいものを……」

 

まぁ、だが……、普遍に全ての艦を愛するというのは無理なことで……。

 

「私、提督を、本当に、尊敬していましたのにっ……!!」

「ああ、すまんすまん……」

「もう本当に、この憎いアンチクショウ!」

「わかったわかった……(死語だな)」

 

本当に平和な午前のことだった。

あまりに平和で、剣呑にすぎるので、赤城の手を揉みながら私はこう切り出した。

 

「すまんが、ここに道場はあるか?」

「いえ、ございますが……」

 

『在中戦場』の掛け軸に目をやる。

 

「相手になる者は……いるだろうか」

「残念ながら男手は、脇方少尉と提督しかいらっしゃいません」

「そうか、なら素振りだな」

 

私は立ち上がった。

赤城は急いで装いを正し、私の前を案内しようと進み出た。

 

「扶桑もついてくるか?」

「私は……………………結構です………………」

 

おお、なんと恨みがましい。化けて出るなよ、扶桑。

 

「そうか」

 

赤城は何も言わず、私を道場へと連れ立った。

道場は広々とした、六十畳程度の畳張りの建物であった。

古畳の臭いが、むっと薫った。

剣道着は、真新しいものが、更衣室に置かれていたので、一揃拝借した。

一通り、着替えを終えると、私は素振りを始めた。

剣道の素振りは、足運びと同時に上段に打ってかかるものである。

一刀一刀はそれそのものが、自然の運びだ。

打っては、戻り、打っては戻りを繰り返すと、自然悟道の如く身体に熱が入る。

赤城は道場の脇で正座しそれを見ていた。

 

「……ふぅ」

 

五百は振っただろうか。

そろそろいいだろう、と見切りをつけ。私は道場に礼をし、更衣室へ戻った。

振り返ると、赤城が頬を染めて、私を見ていた。

 

「……提督、あの……、お強いのですね」

「……それほどでもない。本当は、居合のほうが得意なのだが」

「我流でいらっしゃるのですか?」

「……ああ、まあそうだ」

「そうですか……、あの……臭いがすごくて」

「ああ、すまない。風呂で流したい」

「少し、嗅がせていただけませんか?」

「え」

 

そう言うと、彼女は私の肩に鼻をつけた。

 

「ああ、すごい匂い……」

「…………」

 

私はだまって、それを受け入れた。

 

――風呂。

混浴になっており、正直素晴らしい(いかがなものか)と思う。

すまない、本音と建前を並列してしまった。

しかしながら、広い風呂場は一人だった。

汗、洗い流して湯。

つかると、白い濁ったバスクリンの匂いが、きつく匂った。

ケロヨン桶に、タイル張りの浴槽。天井には富士。

あまりにも、古風なスタイルの銭湯である。

まぁ、いい湯なのでいっか……。

今は一人なのでいいが、皆が入ると芋洗で大変だろう。

はぁ……、ラッキースケベとか、ねえかなぁ……。(死語)

 

「はぁ……」

 

天井を見上げると、ぽとりと背中に、露が落ちた。

 

「しれえーっ!!」

「ぶふっ!! 前を隠せ、前を!」

 

入ってきたのは、雪風と秋津風であった。

読者諸君、この極楽を見ることが出来ないのは、無念であるだろうけど、まあそこは君たちのゆたかな想像力で、ご想像願いたい。

駆逐艦は好きだ。ただ、小回りが利くのがいい。

つるぺた幼女……。は、あまり関係ないのだが。多分ないと言うと切って捨てられる気がする。空母あたりに。

彼女たちが、身体を洗って流すのを、私はまんじりとして見ていた。

 

「提督変態ー!」

「変態変態!」

「はいはい」

 

背中の稜線から、尻までを描く曲線に、歪曲が少ないのを、私は幼いなぁ……と思って眺めている

正直なところ、かわいいのはかわいい。

しばらく眺めていても、飽きが来ないかわいさだ。

戦場で上手く使ってやりたいものだ、などと思うが。今は平時故、無粋な考えである。

はぁ……それより。今日の夜伽は誰にしよう。

にゃんにゃんしたい。

 




この、物語はまだ高橋の幼少期の話。
眠気の中でぼーっとしているみたいだね。
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