わたしが主人公の2次創作なんて…ムリムリ!(※ムリじゃなかった⁉︎)   作:れな悪教徒

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 エピソード1〜制服デート〜パートになります。
 物語自体はあまり進まないほのぼのパートなので、
 短編としては必要なのか賛否ありそうですよね。
 こういうほのぼのが、ラブコメの本懐だ!と言える文章力が欲しい…
 しかし、この話も、比奈さん視点では割と重要だったりします。
 彼女にとって大切な、青春。ですからね。


〜思い出の制服デート〜

 

 騒がしさも少し和らいだ昼過ぎの店内。

 お会計人垣の向こうからゆらりと、灰色の髪が視界の隅に映り込み。

 わたしは、デザートスプーンを咥えながら言葉を紡ぐ。

 

「比奈さんおそーい! 香穂ちゃん帰っちゃいましたよ?」

 

「ごめんねー! せっかくだからメイク直しちゃったー!」

 

 明るい声色。

 しかし、どこか硬さを感じるそれに首を傾げ。

 彼女の方を覗き込んだわたしは、『ゔ!?』と、奇声を上げながらスプーンを取り落とした。

 

 スーツの上からはわからなかった健康的なおみ足…。

 ふわりと跳ねるミニスカートが生み出す絶対領域に思わず視線が行き、断腸の思いで無理やり下げた視線が、太ももに食い込むニーハイの魅力にやられて動かなくなる。

 

「れな子ちゃん? どうかした?」

「マ"⁉︎」

 

 不自然に固まったわたしに、心配になったのか覗き込んでくる比奈さん。

 

 そもそものサイズが合ってないのか、制服の襟元は少しぶかぶかで。

 暑さを逃すために開けられた第二ボタンのせいで女性らしい膨らみと、若葉色の下着がわたしの視界を占領し、脳内RAMを圧迫し始める。

 

 ──香穂ちゃんコレ誰の!? 真唯とか、紗月さんサイズだよね!? 

 てか、比奈さんもボタンくらい閉めない!? 

 見せてんのか!? 見ろってのか!? 

 ありがとうございます!!!! 

 

「?」

 

 首を傾げる比奈さん。

 サラサラと流れる灰色の髪がうまい具合に首元を隠し、ようやく思考するための容量を取り戻したわたしは。

 まだ半分残っていたフルーツケーキを、スッと差し出した。

 

「お納めください…。」

「え? …? ありがと」

「いえ、こちらこそありがとうございます。」

「??? お腹いっぱいなのかな…?」

 

 危ないところだった…。

 そもそも、比奈さんって無防備すぎるんだよね、お仕事もしてる大人なはずなのに。なんでそんな無邪気純真系なの? かわいいかよ! 

 こっちは毎日駅で見てたカッコいいお姉さんからのギャップでどうにかなりそうですよ! 

 

「ま、いっか。それじゃ、この後どうしようか?」

 

 比奈さんの言葉にハッとする。

 そういえば、さっき香穂ちゃんからデートコース…じゃなくて。おでかけコースを指導してもらったんだった! 

 それを発表するチャンス! 

 

「ショッピングモールとか、どうですか!?」

「お、いいねー! ちょうど行きたかったんだー」

 

 ──やった! 通った! 

 

 香穂ちゃんによれば、今どきJKのマストは映えるスイーツとかコスメショップ! 

 比奈さんのようなタイプならスポーツ用品もなくは無いけど、それならかわいい靴とかを探しに行ったほうがいいとの事! 

 その辺りを考慮してルートを設定して……。

 よし! 頑張るぞーー! 

 目指せ! 量産型陽キャJK──!! 

 

 

 ***

 

 そうしてやってきましたショッピングモール!

 都心と比べると小規模だけど、この辺りの人からすると十分ありがたい設備が揃っているここが、今日のおでかけスポット!

 脳内でのマッピングは完璧!

 

 ──まずは、三階の靴屋さんに…

 

「わ、れな子ちゃん! クレープ! クレープよってこ!」

「え!? は、はい!」

「わーい! じゃあ、チョコバナナクレープ! アイスとベリートッピングでー! れな子ちゃんは?」

「わ、わたしは、季節のクレープでお願いします。」

「いいねー。あ! 一口ちょーだい!」

「えっ、じゃあスプーンもらってきま…」

「えー?友達なんだから直でいいってー!あむ。ウマウマ」

「ええ!?」

 

 ───靴屋に…

 

「おー! TSUTAYAだ! まだDVDとか置いてあるのかなぁ? 見てこー!」

「え!? ええ!? ネットで良くないですか!?」

「チッチッチ…こう言うとこには掘り出し物があるんだよ。星のカ○ビィとか!!」

「た、確かに…あったらスゴク観たい!」

「だよね! だよね! 探すぞー!」

 

 ───くつ…

 

「おぉ、つけ耳カチューシャだ。こんなの本当に売ってるんだー!」

「…売れてるんですかね?」

「はぁ…売れてるか、じゃない。買うんだよぉ〜! 店員さーん!」

「え!? ちょ、まっ!?」

 

 ───…ま、いっか。

 

「あ、プリクラだ!? プリ撮るよ! プリ!」

「えー、今の時代スマホのが盛れるんじゃ?」

「へー、ふーん。じゃあいいよ、ハイ。カチューシャ! 付けてね!」

「プリ、行きましょうか! 楽しみだなぁーー!」

 

 ───チャートなんて崩すためにあるから。

 

「わー! 見てよれな子ちゃん! タマひよのグッズだー!」

「あ、ほんとだ。カワイイー」

「実はタマひよの卵には秘密があってね───。」

「はぇー。」

 

 ───楽しそうなら問題ナシナシ! 

 

 

 ***

 

「ふんふふ〜ん♪」

 

 雑貨店の小袋を手に抱えて楽しそうに歩く比奈さんに、わたしも自然と頬が緩む。

 ふわりふわりと跳ねる絹糸のような灰色の髪。

 エメラルド色の瞳は、キラキラと輝いて。

 本物の高校生のように、生き生きと青春を謳歌している彼女は。

 この何気ない時間を、陰キャだったわたし以上に大切にしているようだった。

 

「あ、ボール当てゲームだって!」

 

 そんな比奈さんが、小走りで広々としたスペースに近づいていく。

 カラーボールを3つほど持ち。9つあるパネルにぶつけるボールゲーム。

 俗に言う『ストラックアウト』と言うやつだ。

 わたしも数える程度だが、やったことがある。

 

「ほんとだ! …ここは一つ、勝負といきますか!」

「むむ、流石れな子ちゃん。わかってるねぇ!」

「ま、わたしのエイム力にかかれば圧勝ですけど!」

「言ったなー!?」

 

 煽りとも言える言葉の応酬。

 元気に飛び出していった比奈さんは、特設コーナーで係員さんに声をかけると。

 カラーボールを手に、定位置に立った。

 

 ──よし、わたしも! 

 

「てぇい!」

 

 すぐ隣から聞こえる気合い十分なかけ声。

 目にも止まらぬ豪速球を横目に、わたしもボールを構え、的を狙う。

 ──狙うは9.8.7の高得点! いざっ! 

 

「あ、」

「へぶっ!?」

 

 そんなタイミングで、斜め前方から迫ってくるカラーボール。

 投げようとしたその瞬間にひたいを叩かれたことで、無惨にも手のひらからこぼれ落ちたボールはコロコロとわたしから逃げ去っていった。

 

「比奈さぁん?」

「ェ? な、なに、れな子ちゃん。何かあった? あ、私は順調だよ? ほら! 二枚も落ちてる!」

 

 額をこすりながら、ジト目で比奈さんの方を見る。

 それに対してワタワタと指差しで返す比奈さん。

 指先を見てみると、確かに落ちているのは7と4の二枚のプレート。

 言葉通り、順調ではあるのだろう。

 

「で、残りの球は?」

 

 それを理解した上で、ジト目を返す。

 玉は3球。なら一球をイタズラのためにこちらへ投げていても、十分達成できる。…わたしは誤魔化されないからな! 

 

「2球! ほら! ね、係員さんもほら!」

「2球ですね〜。」

「なんで!?」

 

 スッと現れ。

 頷く係員さんの言葉に驚愕を返す。

 ───え? 何? どゆこと? 

 ボーナスパネルでもあったの? 

 それとも比奈さんは増殖バグの使い手だった!? 

 

「一発で二つ落としちゃった!」

「そうはならんでしょ!?」

「なってるんだよねー…」

「な、ならもう一回! やってみせてくださいよ!」

「えー、うまくいくかなぁ?」

 

 わたしからのお願いにより、比奈さんが的の方に向き直る。

 意外と様になるオーバースロー。

 勢いよく放たれたカラーボールが、真っ直ぐに突き進み、的のフレームに着弾。

 跳ね返ったボールは、係員さんがペシと叩き落として。

 大きく揺らされた6のパネルが、少し遅れて落下していった。

 

「ほら、パネルは落ちてるからよし!」

「よし、じゃないが!?」

 

 思わずツッコんでしまう。

 え? パネルに当てるゲームですよね?

 そんな思いを込めて、比奈さんの隣に立つ係員さんに視線を向ける。

 

「えー、アリだよね? 係員さん」

「アリよりのアリ。さ〜すがひなちゃん。」

「いえーい! ピスピスー!」

「そんな仲良くなったの!? この数分で!?」

 

 しかしわたしの些細な疑問も、陽キャのコミュ力の前では無力。

 もはや最初から知り合いだったのでは? と言うレベルで盛り上がる比奈さんに、なんとも言えないモヤモヤを抱えつつ。

 

 わたしは改めて的に向き直った。

 1球は減ったけど、9点に当てれば、まだ盛り返せるはず! 

 

「せぇい!」

 

 初速は上々。我ながら完璧なフォームから放たれたカラーボールが、山なりに9のパネルへと迫り……

 

 ──そのまま減速する事なく、飛び越えていった。

 

「エイム力…?」

「実質0点が言わないでください。」

「ひぃん、お言葉が強いー!」

「大丈夫ですよひなちゃん。17点ですからね〜A賞目指しましょうね〜」

「がんばるぞー!」

 

 イチャつきおる…なんなんですか? 

 わたしとのデート…ではなく、おでかけじゃなかったんですか? 

 

 ──他の女とイチャつくのはなんか違くない!? 

 

「おのれ…見てろよ…。4つくらいパネル落として大逆転決めてやるからなぁ!」

「なら、私は8点落としてA賞ゲット!」

 

 そうして、二人して投げた第三球。

 

 同時に宙を舞ったカラーボールは、見事に中央の軸を揺らし。

 5のパネルを一枚ずつ叩き落としたのだった──。

 

 

「おめでとうございま〜す。お二人ともB賞で〜す!」

「え? B賞範囲広くない?」

「ね?5対22なんだけど…」

「1〜25点までがB賞なので〜」

「それはもはや参加賞でしょ!?」

 

 思わず顔を見合わせるわたし達。

 それに悪びれもなく係員さんが言葉を紡いだので。

 わたしもツッコミを入れさせてもらった。

 ───多分わたしのために範囲広げてくれたんだなぁ、係員さん良い人〜!

 

「いや〜、でも初めてバレちゃいました〜。二枚落ち狙わないと、25点は取れないって。」

「え!? ほんとだ!」

「いや、何らかの法に引っかかるでしょソレ!?」

「ソンナコトナイデスヨ〜」

 

 ───違ったわ、普通にその範囲設定してるわ。

 

 気づいてなかったのか目をぱちくりさせる比奈さん。

 それに続いてツッコミを入れたわたしに、満足げな顔で棒読みを返した係員さんは。

 サッとチケットを取り出してわたし達に握らせてきた。

 

「賞品は…パルクールアトラクションの入場チケットになりま〜す! あ〜! 今日もやってるみたいですよ! 行きましょ〜♪ レッツゴー楽しんで〜!」

「ちょ、力つよ!?押すなー!」

「わー! 楽しそう! いくぞーー!」

 

 そうしてわちゃわちゃしたまま、背中を押されたわたし達。

 そのままエスカレーターに乗って、ヤレヤレと首を振ったわたしは、

 ほぼ強制的に、階下にひろがるパルクールエリアに押し込まれたのだった。

 




 と言うわけで、ヒロイン以外のオリキャラ?係員さんの登場です。
 実は彼女、ただのモブと言うわけではありません。
 まぁ、れな子さんからすると関わりのないモブなので、このエピソード内でも深掘りをする事はありませんが…
 もし、エピソード終了後に機会があれば、書いてみるのも良いかもしれませんね。

 それでは、次話をしばしお待ち下さい。
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