わたしが主人公の2次創作なんて…ムリムリ!(※ムリじゃなかった⁉︎)   作:れな悪教徒

7 / 10
 待たせたなぁ!(潜伏解除)
 そろそろアニメ未視聴組はいなくなったと思うので、
 エピソード2を投下して参ります!
 物語時系列は4巻中盤。
 香穂ちゃんの催眠を聴いてる時期で設定しています。
 くっ、どうして原作では催眠状態は維持されてないんだ…!
 とにかく可愛いれな子で、クラスメイト全員堕としたかった!!


『追いかけるのは誰の影』〜プロローグ〜

 二回目の撮影会もあと三日に迫り。

 スキマ時間に香穂ちゃんの音声ファイルを聴くのに慣れてきた頃。

 コスプレの参考に、原作小説でもないかなぁ…っと。

 ふらふら図書室を歩いていたわたしに、背後から声がかけられる。

 

「あら、甘織?」

「あ、紗月さん。こんにちは。」

 

 琴紗月。

 わたしも所属するカーストトップグループ───クインテットのクール系美女担当。

 真唯をライバル視して努力を欠かさない、芦高屈指の優等生だ。

 ……ちなみにこう見えて、キスされただけで真っ赤になってしまうくらい乙女なところがある。

 

───ま、相手がわたしなら仕方ないけどね☆

 

「…何かイラッとしたわね」

「え? いや、ははは…気のせいじゃないですかね?」

 

 ちなみにおそらくエスパーでもある。

 

「そう、まぁいいわ。それで何か用かしら?」

「え? いや別に…」

 

 そんな彼女は、やれやれと首を振って椅子に腰掛ける。

 さりげなく手前の椅子を引き、奥側に座った彼女は、わたしがそこに座らないとは考えていないのだろう。

 

 ──紗月さんってば、素直じゃないんだから〜!

 ま、それならおしゃべりに付き合ってあげちゃおっかなー☆

 

「嘘ね、貴女が自分から図書室に来る筈ないじゃない。暇があれば瀬名にセクハラまがいのダル絡みしているのだから。」

 

 ───凄まじい風評被害!! 

 

「してないですけどー!? 紫陽花さんを不純な目で見たこととか、一度だってないですけどー!?」

「ハッ」

「鼻で笑われた!?」

「失礼ね、私は他人を嘲笑したりしないわ。貴女が突然冗談を言ったものだから、笑ってあげたのよ」

「冗談でもないんですけど!?」

 

 軽快な軽口にツッコミで返す。

 やっぱり紗月さんと一緒にいるのは気が楽だ。

 

 …ちょっと、毒が強い気もするけど…

 

 コレが友達に対する、紗月さんらしいコミュニケーションだと分かっていれば…なんて事はない。

 

「ふふふ…」

 

 ──お友達のわたしは、わかってますからね☆

 

「……あなた、何かあった?」

 

 そんな我が大親友の紗月さんが、何やら困惑した声色で問いかけてくる。

 

「何もないですけど…」

「そう…気色悪い笑みが見えたのだけど…。幻覚だったようね…。」

「?」

 

 変な紗月さん。

 …あ、そういえば。

 紗月さんってムーンさんなんだよな? 

 じゃあ、コスプレのアドバイスとか、聞いたらしてもらえないだろうか…

 

「ところで、ムー───。」

「私はムーン何某では無いわ。」

 

 ピシャリとわたしの言葉を遮って、露骨に嫌そうな顔をする紗月さん。

 

 重いため息と共に文庫本を開いた彼女は。

 視線を本に固定すると、手をひらひらさせて告げる。

 

「さようなら甘織。……絵本コーナーはあっちよ」

「扱い酷くない!?」

 

 なんて事だ…彼女はわたしに対する興味をなくしてしまったらしい。

 

 ──おのれ、かわいいわたしの悩みより、えっちな本のが大切だと言うのか!? 

 ……ん? いや、まぁ、紗月さん的にはそっちの方が大事だよね。

 あれ…? いや、うん…? 

 

「んーー?」

「…動きがうるさいわ。」

「はーい…」

 

 首を捻りながら席を立つ。

 そういえば、ここには資料になりそうな本を探しにきたのだった。

 散歩ついでに探すとしよう。

 

「……あれ?」

 

 そんなこんなでキョロキョロと、静かな図書室を歩いてると。

 小柄な黒髪の少女が視界に入る。

 

 ───アレは、同じクラスの佐上鏡花(さがみ きょうか)ちゃん? 

 

 今どき珍しい切り揃えられたおかっぱの髪に、ワンポイント。

 ヒマワリによく似た花飾りをつけた彼女は、微動だにする事なく、本棚の前で立っていた。

 

「佐上さん??」

「…!? 甘織さん!?」

 

 わたしの声にびくりと肩を跳ね上げて、サッと振り返る小柄な少女。

 彼女は本棚に置いていたらしいスマホを、パタンと倒すと。そのまま私の元に近づいてきて───。

 

「何見て…もがもがもが!?」

「静かに…してください…でないと…舌を切ります…」

 

 ───グッと口元を抑え込み。

 ポケットから糸切りバサミを取り出して見せた。

 

「んー!?」コクコク

 

 流石は手芸部! 

 糸切り挟みを常備してるなんてすごいなー! 

 あ、当然わたしは何も見てませんよ! 

 信じて! お目目キラキラ☆

 

「…よし」

「ヒーヒー…」

 

 怖…! 

 

 危うく現代版舌切り雀されるところだった…。

 なんなの? わたしはただ香穂ちゃんの為にキャラ作りの資料探しにきただけなのに…! 

 

 ──やっぱりわたしが可愛すぎるのがいけないのかな…☆

 

「それで、何を見てるんですか?」コソコソ

 

 そのまま逃げ去るのも何となく悔しいので、彼女の隣に並び立つ。

 

「…。何も見て…おりません…」サッ

「見てたじゃないですか」コソコソ

「…ン。見て…おりません……欲しい本が…この棚に…あるのでございます」サッ

 

 チラリとコチラを見て離れる少女。

 声が大きかったのかと思って、小声で話しかけてもすぐに距離を取られてしまった。

 

 ──なんか…距離置かれるな……。

 パーソナルスペース広めなんだろうか……。

 

 とりあえず、彼女の言う棚を見る。

 並べられているのは、特に見るものもいない似非科学読本や図鑑。

 それらはちょうど、彼女の目線にある段だけはじに寄せられ、その空間の先に紗月さんが座るテーブルがあった。

 

「その棚空ですけど…」

「見えない魔法の本が…あるのでございます」

「急にメルヘン!?」

「お静かに…」

「あ、はい…」

 

 キランと輝くハサミに口を閉じる。

 …よくわからんが、佐上さんは紗月さんに見つからずに彼女を監視していたらしい。

 

 なんなんだろうか。

 この小さな身体で、王塚真唯の弱点を探るスパイかなんかで…? 

 その弱点として、紗月さんに目をつけたとか…そんな感じだろうか…? 

 

「…うつくしい…。」

「ん?」

「やはり…紗月様こそが…クインテットの女神…」

「えぇ…?」

 

 そうして───。

 彼女の口から漏れ出した言葉に困惑する。

 

「おわかりに…なりませんか…? あの凜とした姿勢…時折ページを捲る指先なんて…繊細なガラス細工のようで───。」

 

 なんか、語り出したんだが……? 

 

「あーうん。確かに。紗月さんって凄い美人ですよね」

「髪を整えた後にふと…時計を見る仕草…。物語の高揚から…生まれる微かな微笑みは───」

 

 わたしの相槌を無視して語ってる…。

 

 内心ドン引きしながら、ようやく理解する。

 会話をしていると言うより、自らの感想をひけらかすソレはまさしく。わたし達陰キャが、好きな作品を語るソレで…

 

「───甘織さん…常日頃から…隣に立つ貴女が…恨めしい…!」

 

 ───この子…紗月さん推しのオタクなんだな…。

 

「うらやましいではなく!?」

 

 結論と共に向けられたギラギラした視線に、ツッコミを入れる。

 

 ……花取さんといい、この子といい、紗月さん推しは過激派が多すぎる…

 相手をするわたしの身になってほしい…

 

「ぁ…紗月様がこちらに…! 

 ……甘織さん…後は…お任せいたします」

「え、ぇえ!?」

 

 そのくせ所作は丁寧に。

 サッと頭を下げ、身だしなみを整えた少女は、綺麗な早歩きで図書室を立ち去っていった。

 

 *

 

「甘織。話しをするなとは言わないけれどもっと静かに………? …なに貴女。一人で騒いでいたの?」

 

 入れ替わるように本棚の角から顔を出したのは、先程まで佐上さんが熱く語っていた紗月さん。

 艶のある黒髪を靡かせて、落ち着いた所作で現れた彼女は、わたしが一人で立っているのを見ると、怪訝そうな顔を向けた。

 

「んなわけあるかぁ! さっきまで佐上さんがここにいたんですよ…!」

 

 一周回って表面化したストレスで声を荒げる。

 いや、本気で怖かったんですよ? 

 マジで。わたしのかわいいお顔が傷つけられるんじゃないかって!☆

 そんなの世界の損失だからな!? 

 

「佐上…? あぁ、佐上鏡花ね。何よ、あの子また居たの?」

 

 しかし、そんなわたしの怒りなど、紗月さんを怯ませるには至らないらしい。

 少し疲れたように額を抑えた紗月さんは、棚の上のスマホを手に取るとため息を吐いた。

 

「え!? 紗月さんご存知だったんですか!?」

「当たり前じゃない、私を何だと思ってるのよ…。人の名前も覚えない傲岸不遜な愚か者に、成り下がった覚えはないわ」

「さすが紗月さん…スクールカースト最上位の女……」

 

 なかなか名前を覚えられない下々の事など、そもそも考慮されていない傲慢な回答に相槌を返す。

 コレを言っても少しムッとくる程度でまかり通るのだから、紗月さんは罪な女だ。

 そりゃ、過激なファンも増える…

 

「にしても困ったわね…。人に見られるのは慣れているけれど。こうも追いかけられてはさすがに気が滅入るわ…」

「あの紗月さんがそこまで!?」

 

 やれやれと憂いのこもった目を手元のスマホに投げかける紗月さん。

 聞くところによれば、軽くここ一ヶ月はストーカーじみた行為に晒されているらしい。

 

「なんであんな子になってしまったのかしら…。元々は、よくドーナツを買いに来てくれるお得意さんだったのだけれど…」

「そっちから入ったオタクだったのか…」

 

 紗月さんの言葉になるほど、と頷く。

 確かにあそこで働いてる紗月さんはかわいい。

 追っかけたくなる気持ちも、わからなくは無いかもしれない。

 

 ……いや、でも過激派すぎんか? 

 

 そんなわたしの疑問は、続く紗月さんの言葉で、氷解する事となる。

 

「あの子、良いとこの出でね。私服も大人しい和服然としたものを着るものだから。ナメられて、すぐナンパされるのよ。」

「ん?」

「流石にマズそうな輩に引っかかるのは見てられないし、多少強引に『今日も来るんでしょ?』と割り込みをかけていたら…だんだん距離感がおかしくなってきてね…」

「はい?」

「自分から話しかけるタイプでもないらしくて、いつの間にかあんな子になってしまったの。」

 

 これ、被害者は佐上さんの方でしょ…。

 

「そら、紗月さんが悪いわ…」

「人聞きの悪いことを言わないでちょうだい。」

「いや、だって…えぇ??」

 

 …かわいい物好きの大人しい女の子が? 

 …女の子なら誰でも憧れちゃうような、かわいい制服を普段から着こなす美少女目当てでお店に通ってたら? 

 …ナンパされて怖い思いをしているときに、颯爽と現れて、クールに助け出してくれて…? 

 ……実は学校のクール美人が、そのかわいい店員さんだった…ってことでしょ? 

 

「いや、やっぱり紗月さんが悪いわ」

「殴るわよ」ベシィ

「もう殴ってます!」

 

 小気味よいチョップを一つ。

 頭を押さえて唸るわたしに、ため息を吐いた紗月さんは。

 スマホを、アルバイト用のポーチにしまって口を開いた。

 

「それで、何とかならないかしら。話してたって事は、仲良いんでしょ? あなた。」

 

 叩かれた頭をさすりつつ、考える。

 

 ……いや、正直怖いんだけど……。

 でも紗月さんの話しを聞いた感じ、危ない子では無さそうだしなぁ…

 むしろ紗月さんがこんなで、申し訳ないって言うか───。

 

「まぁ。ほどほど…クラスメイトくらいには?」

 

 それを考慮して。

 佐上さんとの関係は、良くも悪くも彼女次第。

 会話が通じるなら仲良くできるかも…? 

 そんな感じのクラスメイトだ。

 

「なら、任せるわ。あの子も悪い子じゃ無いし。陰キャだからって無視する事はないから安心して話しかけていきなさい。」

 

 まるで名案と言わんばかりにうなづいて見せる紗月さん。

 その横顔を見ながら、わたしは思った。

 

 ──絶対そう言う問題じゃないと思うんだけどな…。




 というわけで今エピソードのヒロイン『佐上鏡花(さがみきょうか)』ちゃんのプロローグでした。
 ちなみに鏡花ちゃんは香穂ちゃんくらいの大きさです。
 背伸びして本棚見てるのかな?かわいいね?
 え?ヒロインの出番が短い?
 紗月さんが悪いんだよ……
 ちなみに紗月さんが回収したスマホは、バイト先で本人に返却されています。
 …なんでお前ストーカーやってんの?紗月さんダダ甘じゃない?
 と言う疑問は心にしまいつつ、次話の投稿をしばしお待ちください。
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