わたしが主人公の2次創作なんて…ムリムリ!(※ムリじゃなかった⁉︎)   作:れな悪教徒

9 / 10
 エピソード2〜神社デート〜パートになります。
 こういう、神域が一般解放されてる神社は、意外と存在したりします。
 おふだは現地で受け取るけどね()描写と現実が違うのはご愛嬌。
 紗月さん家近くの神社は、まずこのタイプでないこともご愛嬌です。
 神社でかわいい☆(怪異)を、お祓いしてもらうんだぞ…れな子!


〜穏やかな神社デート〜

 

 放課後。

 一度帰ってお出かけ用の服に着替えたわたし達は、紗月さんの家近くにある駅で、改めて集まっていた。

 

「お待たせ! 待った?」

 

 見覚えのある背中に声をかける。

 小柄な身体に黄色いお花の髪飾り。

 切り揃えられたおかっぱ髪が少し揺れ。

 それがゆっくりと振り返り───

 

「いえ…今しがた…来たところにございます…」

 

 ───わたしは言葉を失った。

 

 聞こえてきたおとなしい声。

 森の中で聞こえてくるせせらぎの様な、リラックス効果を発揮するその声の主は。

 まさしく、現在に降り立った平安少女そのものだった。

 

「かわいッ!?」

 

 飾り袖で手元が隠れるみかん色の服に、ふわふわのスカート。

 小柄おかっぱな鏡花ちゃんが着ると、着物を着たお人形さんのようで───。

 

 ──コレは確かに心配になる可愛さだ…。

 紗月さん、紫陽花さんもそうだけど清楚なかわいい女の子好きだからなぁ…

 あんなに対応ダダ甘なのも頷ける…

 

「ンッン…今日はよろしくね。()()()()()

「こちらこそ…お願いいたします…()()()()

 

 咳払いを一つ。改めて挨拶をする。

 お互いに名前で呼んだのは。

 この三時間を楽しむための軽い意思表示だ。

 

 三時間後、紗月さんのアルバイトが終わる。

 その時間まで、わたし達は一緒に遊び…

 もし、それを中断してまで見に行きたくなったら佐上さんの勝ち。

 ───運命の人は、紗月さんだった。

 

 もし、そうじゃなければわたしの勝ち。

 ───運命の人なんていなかった。

 佐上さんは、紗月さんと友達として向き合ってみる。

 

 これはそう言うゲーム…と言うのが鏡花ちゃんに説明した話。

 

 つまり、わたしは三時間。

 彼女を楽しませてあげればいいのだ。

 …ふ、余裕だな。

 なんていったってわたしは、あの王塚真唯と何度もお出かけして、楽しんでもらった女! 

 

「それじゃ、行こっか。」

「…はい…」

 

 いざ、ゲームスタートだ! 

 

 *

 

 和服姿の美少女を引き連れて、わたしはとある場所に足を運んでいた。

 朱に塗られた大鳥居、自然に囲まれたこの場所は……

 

「こちらは…神社…でございますか?」

 

 そう、神社である。

 なぜわたしが、神社を選んだのかと言うと…紗月さんにすぐ会える距離、と言うのが理由の一つ。

 もう一つが…

 

「うん、鏡花ちゃんって騒がしいの苦手かな、って思ってさ」

「それは…そうかもしれません」

 

 鏡花ちゃんの耳の良さを気遣っての選出だった。

 

 なにせ───

 

「自分の事なのにわかんないんだ? ……なら。」スッ

 

 話しながらさりげなく耳元に近づき。

 香穂ちゃんの音声をイメージしながら、声を出す。

 

「耳が弱いことも気づいてない?」コソ

「ふぁ…や、やめてくださいませ」サッ

 

 余分な力を抜いた、色気のある声。

 思ったより、それっぽい声が出たとはいえ…

 肩を跳ね上げ、軽く吐息が漏れる鏡花ちゃん。

 

 ──少し囁いてあげるだけでコレだ。

 

 わたしも、香穂ちゃんのせいで少し弱くなった自覚はあるけど。

 鏡花ちゃんはソレの比じゃない。

 

 ……もうちょいからかっても……バレへんか…?

 

「あ、こら。逃げないで……だって、囁かれるの、好きでしょ?」ギュ

「フゥ…ん…くすぐったい…だけで…ございます…」

 

 腕の中で耳まで真っ赤にして、弱々しく震える少女。

 加虐心を誘うと言うか、なんというか…。

 この状態の彼女を見てると開いてはいけない扉が開きそうになる。

 

 ───ハッ!? 深呼吸! 正気に戻れ、わたし! 

 

「……スー…。」

 

 なけなしの理性にしたがって。わたしは胸いっぱいに空気を吸い込んだ。

 

「…れな子様?」

 

 

 …そう、鏡花ちゃんを抱きしめたままで、である。

 新鮮な空気と共に、ガツンと鼻腔を打つ椿の香り。

 上品な甘さが、わたしの心を甘く溶かし。

 早っていた気持ちが急速に整っていく…

 

「スー……」

 

 ───これがアニマルセラピー……。

 SNSで流れてくる、猫吸いなるものの良さがわかってしまったかもしれない…

 このまま一緒に、おふとんに入ってお昼寝してくれないかな…

 

「ン…れな子さま…くすぐったく…ございます…」

「ハッ!? ごめんごめん!」

 

 身じろぎする鏡花ちゃんに、慌ててパッと距離を取る。

 おかげさまで落ち着いたわたしと対照的に、頬を赤く染めた鏡花ちゃん。

 先程と同じはずなのに、今度はとてつもない庇護欲に駆り立てられる。

 わたしが護らねば!

 

「よし、じゃあ行こうか」

「…はい」

 

 そうして手を差し出し。わたし達は一緒に歩き出した。

 

 *

 

 入り口の大鳥居を抜け。

 鳥のさえずりを聴きながら。

 手水舎で手を清めた後、客殿の方に足を進める。

 

「…そちらは順路では…ございませんが…。」

 

 鏡花ちゃんの困惑する声。

 それに内心キタキタ! と思いつつ、口を開く。

 

「あぁ、今日はこっちで大丈夫なんだよ」

「?」

「はい、これ」

 

 そうしてわたしが取り出したのは、今日の秘密兵器───! 

 

「こちらは…おふだ。でございますか?」

 

 ───そう、おふだ。だ。

 しかもコレはただのおふだではない。

 持っていることで、マップが開放されるタイプのアイテムなのだ! 

 

「そ、これ持って御祈祷してもらうと。神域に入れるんだって!」

「それは…興味深く…ございます…」

 

 …神域…カッコいい響きだ。

 そのまま過去の世界に行けちゃったりするんだろうか! 

 はたまた、世界樹的な物があったりして! 

 勇者の剣が突き刺さってるパターンも捨てがたい! 

 

「ふふふ…ワクワクで…ございますね…」

 

 ***

 

 ご祈祷も終わり、案内を受け。

 わたし達は本殿の裏手にある小道へと案内されていた。

 他のお客さんに先に行ってもらい、二人きりになった事を確認したわたしは、胸いっぱいに深呼吸をする。

 

「おぉ…さすが神域。空気が澄んでるや」

 

 マイナスイオンを感じさせる爽やかな風。

 表とは明らかに違う自然の香りに、感性の鋭くないわたしですら。

 厳かな特別感を感じていた。

 

「…涼風や…葉擦れの奏で…うつくしく…木漏れ日差すは…隠り世のみち……にございます。」*1

 

 そんなわたしの隣で、鏡花ちゃんが流れる様に言葉を紡いだ。

 独特の音節で区切られた短い歌。

 古文の授業で少しだけ習った覚えがある…。

 五七五に追加で2節だから……。

 

「短歌…かな? 誰の唄なの?」

「祖母に…ございます。」

「おー!」

 

 鏡花ちゃんの言葉に感嘆を返す。

 おばあちゃんっ子…すごい、イメージ通りだ……。

 きっと一緒にお手玉とかして遊んでたんだろうなぁー! 

 

 ……そういえば、短歌って、短歌で返すものだって聞いたような…。

 

「良い唄だね…なら、わたしも返してみようかな。」

「ふふ…ぜひ。」

 

 鏡花ちゃんの期待するような声色に、慌てて材料を探す。

 お返事だから鏡花ちゃんは外せないとして…わたしが綺麗に思ったもの……あ、いい感じのお花! 

 

唄の音を、奏でるきみはそこにいて…瞳映すは、現世の花…どうかな?」*2

 

 ちょっと自信ありげに、彼女の方を見て唄う。

 五七五にもなってるし、いい感じのお返しにもなってるはず! 

 

「……はずかしく…ございます……」

「そ、そんなに…? 上手く唄えたと思ったんだけどなぁ…」

 

 フイと顔を背ける鏡花ちゃん。

 どうやら、恥ずかしいレベルの出来だったらしい…。

 な、何がいけなかったんだ……

 ──ハッ! 季語か! 季語が無かったんだ…!! 

 気づくのが遅いんだよわたし!! 

 

 *

 

 少し歩き、まるで日本庭園の様なスペースについたわたしは、あるものを見つけて鏡花ちゃんに声をかける。

 

「ねっ、鏡花ちゃん」コソコソ

「ん…どうか、されましたか?」ビク

「かわいいよ!」コソコソ

「ふぁ…か、かわいい…ですか?」

 

 茶色くてふわふわした身体。

 湧水をツンツンついてる子もいれば、気ままに歩いてる子もいる。

 

「うん。あそこ、ちょこちょこ歩いてる」

 

「…あ、あぁ…雀にございますね……」

 

 ───そう。雀である。

 

 最近見なくなったよなぁ…いや、そもそも都心じゃ見かける方が稀か? 

 

 そんなことを考えながら鏡花ちゃんを見ると、なんとも言えない無表情。

 よく見ると、少し眉根が下がっている気がする…

 

「あれ? 雀。嫌いだった?」

「いえ…れな子様と同程度には…好ましく思っております…」

「それは…どのくらいなんだ…?」

 

 嫌いってこと? 

 …いや、でも。なんだかんだで付き合ってくれてるしな…

 

「ふふふ……ちなみに…あちらにはネコ様もおります」

「え! 本当だ! かわいい!」

 

 改めて指差す彼女は、いつも通りの無表情+軽い微笑み。

 とりあえず、楽しんでくれてるみたいだし…大丈夫か。

 

「えぇ、とってもかわいく…ございます…ね?」

 

 そう呟く彼女は、優しくこちらへ微笑んでいた。

 

 *

 

「んぐんぐ…こ、コレが本物のお抹茶!」

 

 何故か神域に併設されていた御茶屋さん。

 わたしは、そこで出されたお抹茶に舌鼓をうっていた。

 目の前の机には山吹色のお菓子が並べられ、気分はまさにお貴族さまだ。

 

「ふふ…一気に飲まれるものでは…ありませんよ?」

 

 柔らかく笑いながらお茶碗を手に取る鏡花ちゃん。

 綺麗に正座した彼女は、とても慣れたもので。

 きっとわたしとは違って、足も痺れてないのだろう。

 

 お上品に手を添えた彼女は。

 お椀の縁をなぞるように回し、一度置いてから口を開く。

 

「うつわを回し…三口ほど…。お茶菓子と合わせていただくと…美味しゅうございます。」

 

 モナカをサクリと口にして、お椀を回してゆっくり味わう様に飲む鏡花ちゃん。

 

「へー…。ん! ん〜♪ す、すごいまろやかだ!」

 

 それを視て、わたしも見様見真似で飲んでみる。

 モナカは、本当に残念なことに、一口分だけしか残っていなかったが。

 餡子の甘味は、抹茶の渋みに見事に調和し、まさしく正解! としか言う他ない味わいであった。

 

「ふふふ、和の味わいは…久しぶりに…ございます…」 

 

 それを見ながら、柔らかく微笑む鏡花ちゃん。

 わたし達だけの時間は、誰にも邪魔される事なく。

 そうして、穏やかに進んでいくのだった。

*1
夏の風が涼しげに葉っぱを揺らし、太陽は神聖なこの道を照らしている(簡易意訳)

*2
綺麗な唄を奏でる君の姿で、私の瞳はいっぱいだよ(深読み意訳)




 と、いうわけでデートパートでした。
 こう言う時、昔ながらの短歌を流用すると味があっていいんだろうけど、鏡花ちゃん家族大好きだからね…頑張って考えたよ……。
 しっかり意味を込めたから、味わってくれよな!れな悪!
 それでは、次話をしばしお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。