普段から住み慣れた室内に、普段あまり聞く機会のない言語がモニターから流れていた。
馴染んだ言語版の映像もあったがあえて馴染みのない言語を選んだが、昔取った杵柄と言えばいいのだろうかしっかり理解できる。
これを機に他の映像も見てみるのもいいかもしれない。
オープニングが終わって本編が始まったようだ。
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画面の中で流れてる映像を眺めながらそういえば、こんなこともあったよなと思い出す。
先輩は元気にしているだろうかと思ったが、あの先輩のことだから何処に居ようと元気に過ごしているだろうと思いなおす。
映像をきっかけに過去に思いを馳せているとモニターから流れている映像が中盤に差し掛かっていた。
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そうだ。こんな状況だった。
あの構いたがりの先輩が珍しく真面目な顔をしていたのを今でもはっきりと覚えている。
この時は鬱陶しいとしか思ってなかったが、この時の会話があったからこそ今があるのかもしれない。
この後は確か誕生日を聞かれたり、どういう馴れ初めだったのかとかプロポーズの言葉は決めたのかとか色々と質問攻めされたんだったな。
徴兵直後で気が立ってた俺が馴染めるようにしてくれていたんだじゃないかと、今なら思う。
本当に色々なことがあった。
味気ない食事に文句を言ったこともあったし、短時間の入浴に慣れずに時間を超過して怒られたこともあった。
なによりも、たいして鍛えていなかったのに急に訓練をさせられてよく地面と熱い抱擁をしたものだ。
俺の監督者として付いてた先輩は爆笑してたが、いつかやり返してやると心から誓ったものだ。
閑話休題。
昔を思い返していたら、もはや佳境とも言えるとこまで映像が進んでいた。
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この後の展開もよく覚えている。
敵部隊が強襲を仕掛けてきて、それに対処するんだ。
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その時、俺は何も言えなかった。
何も言えず、何もできないままに先輩の背中を見てることしかできず司令部にこの急な事態を伝えるために走る車両に無理やり詰め込まれた。
ぬかるんで不安定な悪路を敵に見つからないように気を付けながら拠点に戻ったらしい。
聴取を受けてる間の記憶も朧気で、気が付いたら先輩はMIA判定を受けていた。
軍には慣例としてタグを託された者はそのタグの期間分だけ徴兵期間を短縮されるというモノがあった。
それもあって俺はその後すぐに故郷に帰ることになった。
この映像は帰郷直後に聞かれた話が、どういう訳か話が大きくなって全国上映される事になったモノのサンプルだがよく出来ていると思う。
「お父さん。何してるの?」
「お父さんはちょっとお仕事をしたんだ。もう終わったから、お母さんと一緒に出掛けようか」
「本当!?じゃあ、お母さん呼んでくるね!!」
元気よく部屋から出ていく娘の姿を見送りながら、モニターの電源を落として外出の準備をする。
今日はよく晴れているから、ピクニックも良いかもしれない。